地域別の電力需要と、2036年のLNG燃料費条件
電力需要の増加と、LNGの値動きは別の要因です。地域別の公表需要を確認し、燃料価格と発電効率が費用にどう響くかを比べます。発電の燃料費をJEPXの年平均価格や小売料金へ置き換えません。
共通条件:CPI年3%、日本短期金利2%・長期3%、2036年ドル円150円。公表数量は各機関の条件による見通しで、この共通マクロで数量を再推定したものではありません。
調査版 lng-power-outlook-20261025-r1 · 分析日 2026-10-25 · 見直し期限 2026-11-25。
全国:需要電力量と最大需要電力
OCCTOの2026年1月21日公表版。2014~2024年度は原表実績、2025年度は推定実績、2026~2035年度は想定です。2035年度は2036年3月までの期間で、2036年度以降や2036年10月の特定日の予測ではありません。
TWhは年間に使う電力量、GWはある時間帯の需要の大きさです。使用端と送電端を混ぜて負荷率を作らず、地域ごとの最大需要を同じ時刻のピークとも解釈しません。供給力を差し引いた予備率や不足率は、この需要表だけでは算定していません。
年度別の原数値・冬季の掲載範囲
| 年度・原表区分 | 需要電力量(百万kWh・使用端) | 夏季最大需要(千kW・送電端) | 冬季最大需要(掲載地域のみ) |
|---|---|---|---|
| 2014 実績 | 850,784 | 156,900 | — |
| 2015 実績 | 843,129 | 156,335 | — |
| 2016 実績 | 842,789 | 155,760 | — |
| 2017 実績 | 850,911 | 157,077 | — |
| 2018 実績 | 846,432 | 159,355 | — |
| 2019 実績 | 836,421 | 158,697 | — |
| 2020 実績 | 818,603 | 159,158 | — |
| 2021 実績 | 836,799 | 162,308 | — |
| 2022 実績 | 821,092 | 161,037 | — |
| 2023 実績 | 803,777 | 157,259 | — |
| 2024 実績 | 804,647 | 157,605 | — |
| 2025 推定実績 | 803,370 | 158,815 | — |
| 2026 想定 | 803,404 | 159,626 | — |
| 2027 想定 | 808,039 | 160,008 | — |
| 2028 想定 | 810,221 | 160,515 | — |
| 2029 想定 | 817,601 | 161,481 | — |
| 2030 想定 | 824,263 | 162,435 | — |
| 2031 想定 | 832,637 | 163,118 | — |
| 2032 想定 | 835,243 | 163,646 | — |
| 2033 想定 | 839,446 | 164,211 | — |
| 2034 想定 | 842,128 | 164,439 | — |
| 2035 想定 | 846,129 | 164,601 | — |
冬季最大需要は原表にある北海道・東北・北陸のみ表示します。未掲載をゼロや夏季の値で補完しません。Excel「公表添付①」、需要電力量73行・夏季最大需要23行。列E~Z。地域別・用途別の使用端合計と全国計を照合しています。
全国需要の用途別内訳
| 原表の区分 | 2025年度 TWh | 2026年度 TWh | 2030年度 TWh | 2035年度 TWh |
|---|---|---|---|---|
| 家庭用その他 | 293.38 | 291.58 | 284.74 | 276.61 |
| 業務用 | 193.48 | 193.70 | 194.35 | 195.18 |
| 産業用その他 | 316.51 | 318.12 | 345.18 | 374.34 |
2025年度は推定実績、以降は想定。データセンターだけの需要と全国全体の需要増加率を混同しません。
出所:OCCTO 全国及び供給区域ごとの需要想定(2026年度) · 詳細Excel · 報告書PDF。当サイトが抽出・換算・図表化しました。
需要に供給力は追いつくか
2026~2035年度の需要・供給力と年間EUEを地域別に見る →。設備容量と実際に頼れる供給力を分け、年ごとの供給信頼度を確認できます。
2036年のアジアLNGスポット価格:公表終点と独自の延長
国別の液化能力・追加能力・36案件の立上げリスクを確認する →
豪州DISRの2026年9月版は、2031年のアジアLNGスポット価格を2026年実質ドルで8.229 USD/MMBtuと見込んでいます。これを2036年まで実質維持し、独自の追加倍率と共通CPI年3%を一度だけ掛けます。2036年の公表予測ではありません。
対象はアジア・スポット系列の将来条件です。日本の平均輸入CIFや長期油価連動契約の将来価格とは異なります。現在のアジア・スポット値は未接続です。配分は主観的・未校正で、価格帯に入る検証済み確率ではありません。
| 価格条件 | 独自倍率 | 主観的配分 | 2036年の2026年実質 USD/MMBtu | 2036年・共通CPIによる名目 USD/MMBtu | 発電の燃料費だけ JPY/kWh |
|---|---|---|---|---|---|
| 低価格 | 0.55 | 10% | 4.53 | 6.08 | 5.77 |
| やや低価格 | 0.80 | 20% | 6.58 | 8.85 | 8.39 |
| 中立 | 1.00 | 40% | 8.23 | 11.06 | 10.48 |
| やや高価格 | 1.40 | 20% | 11.52 | 15.48 | 14.67 |
| 高価格 | 2.25 | 10% | 18.51 | 24.88 | 23.58 |
燃料費の式:LNG名目価格 × 150円/USD ÷(293.07107 kWh熱/MMBtu × HHV効率54.0%)。効率の初期値54%は独自の比較仮定です。上の入力を変えても、公表原表・DBの価格仮説・共通マクロを上書きしません。
この計算には、設備費・固定維持費・炭素費用・市場の逼迫・送配電・税等を含めていません。各費用がゼロという意味ではなく、燃料費だけの計算です。LNG発電が価格を決める時間割合も未推定で、JEPXの年平均価格・小売料金へ置き換えられません。
5価格それぞれの条件
低価格:新規LNG設備の立上げと供給回復が順調で、需要増が弱い。価格に敏感な需要家の代替・省エネも進む低価格条件。
やや低価格:北米等の増設が進み、輸出再開・輸送の正常化が供給余力を増やす。公表中立より実質価格が低い。
中立:公表2031年の2026年実質ドル価格を2036年まで維持する独自条件。公表元の2036年予測ではない。
やや高価格:液化設備・原料・輸送の制約が残り、アジア等の需要増に供給が追いつくまで時間がかかる。
高価格:主要生産国の供給障害と新設遅延・航路制約が長く重なる。瞬間的なスポット高値をそのまま永久価格にする仮定ではない。
観測と別の価格条件を確認:日本のLNG輸入平均価格(月次CIF) · JEPX全国システム価格 · 東京 · 関西。
ガス生産・消費と、LNG貿易の公表見通し
2025年は原表の履歴、2026~2027年は予測、2028~2031年はExcelの見通し区分です。天然ガス全体のbcmと、液化して貿易されるLNGのMtは対象範囲も単位も違います。生産−消費をLNG余剰とは計算しません。
| 年 | ガス生産 bcm | ガス消費 bcm | LNG貿易 Mt | アジアLNG実質価格(2026年ドル/MMBtu) |
|---|---|---|---|---|
| 2025 | 4,310.4 | 4,278.7 | 423.2 | 12.561 |
| 2026 | 4,402.8 | 4,361.9 | 427.0 | 18.269 |
| 2027 | 4,499.3 | 4,445.5 | 471.7 | 13.517 |
| 2028 | 4,588.3 | 4,529.1 | 478.3 | 11.011 |
| 2029 | 4,657.4 | 4,602.1 | 511.9 | 9.527 |
| 2030 | 4,734.4 | 4,668.2 | 536.4 | 8.801 |
| 2031 | 4,768.2 | 4,699.4 | 562.7 | 8.229 |
出所:DISR 2026年9月版、PDF表6.1・66ページ、Excel「Gas」H~N列。公表 2026-10-02・情報締切 2026-09-20。当サイトが抽出・再計算。Commonwealth of Australia / DISR, CC BY 4.0(第三者資料を除く)。
株主に残る現金へつなぐ前に
電力会社では、燃料の購入量・契約価格・ヘッジと、販売価格への転嫁時期が重要です。小売事業はスポット高で調達費が先に増える場合があり、発電事業でも停止・稼働率・維持投資で現金は変わります。需要が増える地域でも、送電網や発電所の追加投資が利益を先食いしないかを確認します。この表だけで企業利益・株価は算定していません。
検証の限界・原本の区分差
- LNG価格は公表されたアジア・スポット系列の将来条件。日本の平均輸入CIFや長期油価連動契約の価格とは異なる。現在のアジア・スポット値はこのデータに接続していない。
- 2031→2036年の実質維持・5倍率・配分・HHV効率54%は独自仮定。国別の生産量・地域別電力需要を各価格ケースに合わせて再推計したものではない。
- 燃料費はLNG価格×ドル円150÷(293.07107 kWh熱/MMBtu×HHV効率)。設備・固定維持費・炭素費用・市場逼迫・送配電・税等を含まず、JEPXや小売電気料金の予測ではない。
- 公表電力需要は公表元の経済・省エネ・個別案件の条件による。サイトのCPI3%・金利2/3%・為替150円で数量を再推定していない。
- 需要電力量の使用端と、最大需要電力の送電端をそのまま割って負荷率にしない。夏季の最大需要は年間最大・同一時刻の地域ピークではない。
- ガス生産・消費はLNG貿易だけの範囲ではなく、その差をLNGの供給余剰にしない。bcmとMtを同じ量として足さない。
- Excelの2028年ガス見通しはz、PDF表6.1はf。表の区分差を保持。価格履歴のExcel注はNorth Asia SLInG、本文・図はJKM表記があるため、単一の約定系列として過去と接続しない。
参考:現在の電力JEPX(全国システム)
21.37 JPY/kWh · 対象 2026-11-03。最新の48コマ平均で、小売料金ではありません。観測値と保存した価格仮説を確認する。
全国システム価格と、沖縄を含むOCCTO全国需要は対象範囲が一致しません。需要量をそのまま掛けて全国の電力費へ換算しません。
JSONと原本ハッシュ · 結果保存 2026-10-25T05:49:49+00:00。需要原表616セル・ガス原表35セル。原本の見直し時は別版で保存します。