費用の構成と、人員・生産性の条件を分ける
修繕費は資材単価だけでなく、賃金・工法・施工に必要な人員にも左右されます。公表された基準年の構成と外部の就業者推計を確認し、同じ工事量を維持するときの条件を試算します。
最新月の工事費指数、直近12か月平均、2036年シナリオの固定起点を分けて確認する →。国交省の「建築補修」は機能向上や耐用年数の向上を伴う改装・改修で、日常の軽微な修繕費全体とは同じ範囲ではありません。
共通条件:CPI年3.0%、日本短期2%・長期3%、2036年ドル円150円。以下の試算はCPIで名目化する投入費用に限り、借入返済・税・利益率を計算するものではありません。
分析日 2026-10-25 · 見直し期限 2026-11-25。
木造住宅の2020年費用構成
国交省の個別デフレーターのウエイトです。労務項目は賃金・俸給と雇用主負担社会保険料で、39.0%を占めます。
構成は2020年時点です。現在の費用比率や請負価格には置き換えません。工事費デフレーターは投入コスト型で、営業余剰・間接税等を含みません。用地・補償費もこの指数の対象外です。総合指数は工事種類を統合する別の計算なので、下表の単純平均にはしません。
| 個別工事 | 労務項目の比率(2020年) | 現在の観測価格・指数 |
|---|---|---|
| 木造住宅 | 39.00% | 対応する工事費指数 |
| RC住宅 | 41.62% | 対応する工事費指数 |
| 鉄骨住宅 | 31.57% | 対応する工事費指数 |
| 建築補修 | 40.86% | 対応する工事費指数 |
| 道路補修 | 44.25% | 対応する工事費指数 |
| 鉄道軌道工事 | 48.90% | 対応する工事費指数 |
| 電力設備工事 | 52.38% | 対応する工事費指数 |
| 電気通信工事 | 53.29% | 対応する工事費指数 |
労務以外の主な項目と、採用する賃金指数
建設業・規模5人以上・現金給与総額(季節調整済)の賃金指数。賃金・俸給と雇用主負担社会保険料のウエイトに対応。 公共工事設計労務単価や、全産業の所定内給与と同一ではありません。
| 労務以外の上位項目 | 2020年の10万分比 | 構成比 |
|---|---|---|
| その他の木製品 | 8,331.29 | 8.33% |
| 卸売・商業マージン | 7,450.37 | 7.45% |
| 土木建築サービス | 6,738.05 | 6.74% |
| 製材 製材・屑投入 | 4,572.50 | 4.57% |
| 建築用金属製品 | 3,638.24 | 3.64% |
| 道路貨物輸送(自家輸送を除く。)・国内貨物運賃 | 2,601.45 | 2.60% |
| 合板・集成材 | 2,218.13 | 2.22% |
| 生コンクリート | 1,440.34 | 1.44% |
原表「個別ウエイト」D列、4~117行。114項目の公表値合計 100,000.00、10万との差 0.00。試算では基準100をそろえるためだけに公表合計で除し、原表の値は保持しています。
2035年までの就業者数:需要調整を含む外部見通し
JILPTの2023年度版、2024年8月公表の鉱業・建設業の合計です。建設技能者だけの人数や労働時間ではありません。就業者数は経済条件と需給調整の結果で、単独の労働供給量・不足人数・賃上げ率とは違います。サイトのCPI3%で再推定した数量でもありません。
● 成長実現・労働参加進展シナリオ
● 成長率ベースライン・労働参加漸進シナリオ
● 一人当たりゼロ成長・労働参加現状シナリオ
2022年だけが資料の実績。背景付きの2025年以降は公表時点の推計で、2025年も現在確認した実績へ置き換えていません。線は原点間の補助線です。
| 外部の条件 | 2025年推計 万人 | 2035年推計 万人 | 人数変化 | 実質生産額の変化 | 同じ仕事量に必要な改善率(仮定・年率) |
|---|---|---|---|---|---|
| 成長実現・労働参加進展シナリオ | 459.8 | 415.9 | -9.5% | +8.1% | +1.0% |
| 成長率ベースライン・労働参加漸進シナリオ | 457.9 | 412.8 | -9.8% | -4.9% | +1.0% |
| 一人当たりゼロ成長・労働参加現状シナリオ | 450.2 | 385.5 | -14.4% | -15.0% | +1.6% |
最後の列は、推計人数を将来投入できる人員と仮置きし、1人当たり労働時間を変えずに2025年と同じ仕事量を維持する算術条件です。現場の施工能力・不足率や、JILPTが予測する技術改善率ではありません。実質生産額や1人当たり生産額も、賃金・利益・株主に残る現金へは置き換えません。
2020型の費用構成を持つ仮想工事:2036年の5条件
2026年の費用を100と置く条件別試算です。現在の費用比率が2020年と同じだと確認したモデルではなく、公式指数・請負価格の予測を更新するものでもありません。就業者数の3条件と対応付けず、確率も付けていません。
| 独自条件 | 労務項目の実質単価 年率 | その他投入の実質単価 年率 | 労務投入の効率改善 年率 | 同じ投入量の名目費用 | 同じ仕事量の名目費用 |
|---|---|---|---|---|---|
| 低コスト | -0.5% | -2.0% | +2.0% | 116.8 | 107.9 |
| やや低コスト | +0.0% | -0.5% | +1.5% | 130.4 | 123.1 |
| 中立条件 | +0.5% | +0.0% | +1.0% | 137.1 | 131.9 |
| やや高コスト | +1.5% | +1.0% | +0.5% | 151.4 | 148.4 |
| 高コスト | +3.0% | +3.5% | +0.0% | 186.1 | 186.1 |
単価は共通CPIに固有の実質変化を乗算して名目化します。「同じ投入量」は労務も資材等も数量を固定。「同じ仕事量」は、独自に仮定した効率改善に応じて労務投入だけを減らし、他の投入量は固定しています。工法・品質・稼働率が実際にこの通りになると推定したものではありません。
自分の条件で、効率改善と費用の関係を試す
入力は画面内の試算にだけ使います。価格観測・保存済みの価格シナリオ・銘柄評価は変更しません。
再投資と株主に残る現金を考える
設備や建物の更新費が上がっても、資産の含み価値や売上だけで株主利益の増加を置きません。安全・品質を保つ維持更新と能力増設を分け、必要な工事量と時期、契約の価格調整、賃料や料金への転嫁を確認します。建設総合・修繕費・労務費の指数を重ねて全額加算しないことも重要です。
JR東海:7.04→11.0兆円の工事費改定・実際の現金・安全投資。鉄道軌道の2020年投入構成をJR全体の現在費用比率や中央新幹線の見積りへそのまま適用する計算ではありません。
原本と検証範囲
国交省「2020年度基準の建設工事費デフレーター」2026年6月版・個別ウエイト114項目×8工事。JILPT「2023年度版 労働力需給の推計」産業別Excelの鉱業・建設業、3条件×5年×3指標。就業者・実質生産額・1人当たり生産額の単位と恒等式を照合し、重み合計の丸め差を保持しています。
国交省の原資料一覧 · JILPT原資料・訂正案内 · 元数値・原表行列・試算条件のJSON。
原本の抜粋と再計算は当サイト。分析日 2026-10-25、見直し期限 2026-11-25。資料の再取得だけで分析を更新したとは扱いません。