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4114

日本触媒 銘柄分析・適正株価・割安/割高判定
東証プライム 総合化学 アクリル酸世界トップ・高機能ポリマー R&I A (stable)
現在値
時価総額
投資テーゼ
日本触媒はアクリル酸および吸水性樹脂(SAP)で世界トップクラスのシェアを持ち、紙おむつ・衛生用品向け需需要の長期成長を取り込む構造的優位性を有する。エチレンオキサイド誘導品や電子材料など高付加価値製品への事業シフトが進み、収益の質改善が期待される。現在の株価は割安圏にあり、需要回復局面での利益率改善と配当増を見込める。
6
競争優位性
業界内MOAT
5
業界成長性
セクター動態
5
リスク耐性
財務・事業安定性
5
株主還元
配当・自社株買い
6
見通し
上振れ経路の確度
総合スコア
5.4/10
競争優位性
6
業界成長性
5
リスク耐性
5
株主還元
5
見通し
6
📋 事業内容
4,093億円
売上高
FY2025実績
174億円
親会社帰属
純利益
470億円
営業CF
FY2025実績
70.4%
自己資本
比率
4.5%
ROE
FY2025

株式会社日本触媒(4114)は大阪に本社を置く総合化学メーカーで、アクリル酸および吸水性樹脂(SAP:高吸水性ポリマー)の製造・販売を中核事業とする。アクリル酸・SAPの生産能力は世界最大級で、紙おむつや衛生用品向けに世界主要メーカーへ供給している。その他、エチレンオキサイド誘導品(界面活性剤原料・洗剤用途)、無水マレイン酸、機能性化学品(電子材料・医薬品中間体)なども展開する。海外売上比率が高く、アジアを中心にグローバル需要を取り込む体制を整えている。売上規模は約4,000億円超で、化学セクター内では中堅大手の位置づけ。

競争優位性(業界内MOAT) 6/10

①アクリル酸・SAPにおける世界最大級の生産能力と技術

アクリル酸とSAPで世界トップクラスの生産能力を保有し、長年の製造ノウハウによる品質と安定供給が強みとなっている。紙おむつ大手メーカーとの長期供給契約が収益の安定基盤を形成しており、新規参入者が同水準の顧客信頼を獲得するには相当の時間とコストを要する。

②独自触媒技術と製造プロセスの垂直統合

社名の由来でもある触媒技術は自社開発を継続しており、アクリル酸製造プロセスにおいて原料プロピレンからの高効率変換を実現している。触媒の内製化はコスト削減と技術流出防止の両面で競争優位を支え、他社への技術ライセンス収入も一部発生している。

③電子材料・高機能ポリマーへの技術展開

基盤となるポリマー合成技術を応用し、半導体製造プロセス向け薬品や電子部品用機能性材料への展開を進めている。これら特殊品領域は単品当たり付加価値が高く、コモディティ事業に対するクッションとなり得る。長期的には高機能品比率向上が収益の質改善につながると見込まれる。

📈 業界の成長性・セクター動態 5/10

中期見通し

2〜3年の視点では、アジア新興国における衛生用品普及の継続とSAP需要の着実な拡大が収益回復を牽引すると見込まれる。足元では中国や中東の大型設備稼働による供給過剰懸念が価格を抑制しているが、需要増による需給改善で2026〜2027年頃にはスプレッド改善が期待される。国内ではエチレンオキサイド誘導品の安定収益と機能化学品の拡販が下支えとなる。

長期構造的トレンド

5〜10年の長期では、アジア・アフリカの人口増加と中間層拡大に伴う衛生用品消費の増加がSAP需要を構造的に押し上げる。また、EV・蓄電池材料や半導体向け機能性化学品の需要拡大は新たな成長軸として期待される。サステナビリティ対応として生分解性SAPや省エネ触媒プロセスの開発を進めており、ESG観点からの評価向上も長期的な株主価値に貢献し得る。

⚠️ リスクファクター分析 5/10

スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。

高リスク原料(プロピレン)価格急騰リスク

主原料であるプロピレンは石油由来コモディティであり、原油価格や需給環境に応じて価格が急変動する。原料高騰時には製品価格への転嫁が遅れ、スプレッドが急速に縮小して営業利益を直撃するリスクが高い。FY2021の大幅赤字はその典型例。

高リスク中国・中東の大型新規設備による価格下落

中国および中東産油国ではコスト競争力の高いアクリル酸・SAP大型設備の新規稼働が続いており、グローバルな供給過剰が慢性化するリスクがある。製品価格の下落は売上・利益の双方を圧迫し、設備償却負担の重い日本触媒には特に打撃が大きい。

中リスク設備老朽化と大規模定期修繕コスト

国内外の大型製造設備の老朽化に伴う更新投資と定期修繕費用の増大が、FCFを圧迫する可能性がある。設備トラブルによる生産停止は供給責任問題に直結し、顧客信頼の損失および賠償リスクを孕んでいる。

中リスク為替リスク(円安・円高双方)

海外売上比率が高いため、円安局面では円換算収益が増加するが、原料輸入コストも上昇する。円高局面では輸出競争力低下と円換算売上減が重なり、収益が下押しされるリスクがある。ヘッジポリシーの有効性が業績安定の鍵となる。

低リスク代替素材・脱SAP技術の台頭

紙おむつ向けSAPに対して、再利用可能な布おむつ普及や生分解性代替素材の技術革新が進めば長期的な需要を侵食するリスクがある。ただし現時点では性能・コスト面でSAPの代替は困難であり、顕在化まで相当の時間を要すると見込まれる。

💡 見通し(上振れ経路と実現確度) 6/10

業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。

アジア新興国でのSAP需要拡大

インドネシア・インド・アフリカなどの人口大国で衛生用品の普及率向上が続いており、SAP需要が長期的に急拡大する見通し。日本触媒の現地供給体制と顧客関係を活かした数量増による増収・増益効果が高く、最大のアップサイドシナリオを形成する。

電子材料・EV向け機能性化学品の育成

半導体製造プロセス向け特殊薬品や電池材料向け機能性ポリマーは高付加価値であり、日本触媒の基盤技術を活かした展開が可能。これら事業が売上比率を高めることで収益構造の質が改善し、PER評価の向上につながる機会がある。

生分解性・バイオ由来素材への転換によるESGプレミアム

化石原料依存からの脱却を目指した生分解性SAPやバイオアクリル酸の開発・商業化が実現すれば、ESG投資家からの評価向上と欧州環境規制対応による競合差別化が期待できる。実現時期は2030年代以降の見込みだが、先行投資の進捗が株価を先取りする可能性がある。

💰 株主還元政策 5/10

日本触媒の株主還元は主に配当によって行われており、業績に連動した安定配当を基本方針としている。FY2025はEPS¥114に対してDPS¥114と高配当性向を維持し、株主への利益還元を重視する姿勢を示している。過去7期を見ると景気低迷期でも配当を維持または微減にとどめており、配当の下方硬直性が認められる。自社株買いの実施は限定的だが、財務体質の改善とともに総還元方針の強化が期待される。現行配当利回りはサービス業平均を上回る水準にある。

EPS / DPS 長期推移(年次・全期間)
EPS(1株益) DPS(1株配当年間)
⚖️ 内在価値の推定(確率加重フェアバリュー)
📐 株主資本コスト(CoE)の算出
30年国債利回り(リスクフリーレート)+3.70%
成熟市場ERP(Damodaran)+4.23%
日本カントリーリスクプレミアム+0.91%
業種ベータ(総合化学)×1.16
 → 業種調整後の市場リスクプレミアム+5.96%
リスク耐性スコア調整(5/10)+0.00%
MOAT スコア調整(6/10)+0.00%
格付け調整(R&I A)-0.20%
当社中立CoE9.46%
悲観 CoE
12.5%
中立 CoE
9.5%
楽観 CoE
7.0%
リスク耐性スコア(5/10)を用いて3シナリオに確率ウェイトを配分。安定性が高いほど中立シナリオの比重が増し、リスクが高いほど悲観・楽観シナリオの比重が増加する。各モデルの確率加重平均を等ウェイトで平均した値を総合フェアバリューとして表示。
悲観 36%
中立 30%
楽観 34%
悲観 36% — 原料高・需要停滞
中立 30% — 緩やかな収益回復
楽観 34% — SAP需要急拡大・スプレッド改善
総合フェアバリュー(確率加重・4モデル平均)
¥3,103/株
悲観36% / 中立30% / 楽観34%
リスク耐性スコア 5/10 より算出
DCF法による算定を見送り
直近3期のFCFブレが30%超のため、DCF法による算定を見送り(年次変動が大きく将来推計が困難)
直近3期FCF: 2025年度 165億円 / 2024年度 422億円 / 2023年度 155億円

2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥114。成長率は過去DPS CAGR(10年=10.5%、直近3年=36.3%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(11年)でターミナル成長率に収束。

悲観 36%
原料高・需要停滞
¥1,340
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト12.5%
ターミナル成長率0.4%
中立 30%
緩やかな収益回復
¥3,536
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト9.5%
ターミナル成長率1.1%
楽観 34%
SAP需要急拡大・スプレッド改善
¥11,170
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト7.0%
ターミナル成長率2.1%

2段階残余利益モデル。BPS₀=¥2,508、配当性向90%でBPS追跡。

悲観 36%
原料高・需要停滞
¥1,306
推定フェアバリュー/株
CoE12.5%
ROE(初年→10年目)-4.6%→8.6%
TV成長率0.4%
中立 30%
緩やかな収益回復
¥2,929
推定フェアバリュー/株
CoE9.5%
ROE(初年→10年目)10.9%→10.9%
TV成長率1.1%
楽観 34%
SAP需要急拡大・スプレッド改善
¥4,709
推定フェアバリュー/株
CoE7.0%
ROE(初年→10年目)13.9%→10.9%
TV成長率2.1%

PERマルチプル法。ピークEPS=¥160、総合スコア5.4から指数関数的に倍率算出。

悲観 36%
原料高・需要停滞
¥1,281
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥160
想定PER8倍
中立 30%
緩やかな収益回復
¥2,082
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥160
想定PER13倍
楽観 34%
SAP需要急拡大・スプレッド改善
¥3,364
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥160
想定PER21倍

過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.94倍、現BPS=¥2,508。

PBR推移(月次・全期間)
PBR月次 下位25% (0.74) 中央値 (0.94) 上位25% (1.13)
悲観 36%
原料高・需要停滞
¥1,849
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PBR0.74倍
中立 30%
緩やかな収益回復
¥2,355
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PBR0.94倍
楽観 34%
SAP需要急拡大・スプレッド改善
¥2,845
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PBR1.13倍

過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥160。

PER推移(月次・全期間、赤字年除外)
PER月次 下位25% (11.4) 中央値 (15.6) 上位25% (22.9)
悲観 36%
原料高・需要停滞
¥1,825
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PER11.4倍
中立 30%
緩やかな収益回復
¥2,503
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PER15.6倍
楽観 34%
SAP需要急拡大・スプレッド改善
¥3,667
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PER22.9倍

10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)

総合判定(期待利回り vs 必要利回り)
回避
期待年利が必要利回りを上回る確率: 13.7%
期待年利(10年保有した場合)
下振れ -9.7% / 中央 0.5% / 上振れ 12.1%
中央シナリオで必要利回り(7〜8%目安)を超えるか
10年後株価の幅(5000シナリオ)
下振れ ¥371 / 中央 ¥1,166 / 上振れ ¥4,551
現在 ¥2,169 → 分布の下から 1%地点(低いほど割安)
10年以内の倒産・上場廃止確率
0.4%
10年後の状態: 成長33% 横ばい47% 衰退20% 倒産・上場廃止0%
事象タグ別の10年発生確率
景気後退・需要減
49.5%
株主還元強化
45.9%
好況・上振れサイクル
42.9%
バリュエーション低下
33.3%
バリュエーション上昇
32.2%
利益率改善
31.4%
AI先端パッケージ・材料需要
28.3%
大幅業績ショック
20.6%
利益率悪化
19.7%
構造的衰退
12.8%
競争優位低下
12.7%
TOB・買収
12.4%
希薄化・増資
5.3%
倒産・上場廃止
2.7%
銘柄の状態、業種の景気敏感度、スコア、資本効率、現在PBRなどから各事象の露出度を作り、EPS/BPSシミュレーション内で発生させています。
📊 10年後の株価予想分布(5000通りのシナリオ)
横軸 = 10年後の株価 / 縦軸 = その株価に到達するシナリオ数。 現在 ¥2,169(赤線)より右に分布があれば株価上昇期待、左なら下落リスク。
株価の10年推移予想(中央線=中央シナリオ、帯=下振れ〜上振れ)
入力値 / 各モデルの結果下振れ中央上振れ
必要利回り(株主資本コスト)6.86%10.36%14.86%
成長持続年数(競争優位性に連動)7年10年13年
EPS/BPS-first MC 適正株価(中央)¥1,126
10年後EPS/BPS×出口評価(中央)¥1,126
スタート時の状態S(名目永続成長率 0.5%、直近売上成長 1.9%)

※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。

評価モデル 悲観 (36%) 中立 (30%) 楽観 (34%) 加重平均
DCF
配当割引 ¥1,340 ¥3,536 ¥11,170 ¥5,341
残余利益 ¥1,306 ¥2,929 ¥4,709 ¥2,950
PERマルチプル ¥1,281 ¥2,082 ¥3,364 ¥2,230
PBR分位法 ¥1,849 ¥2,355 ¥2,845 ¥2,339
PER分位法 ¥1,825 ¥2,503 ¥3,667 ¥2,655
モデル平均 ↑ 各モデルの確率加重平均 ¥3,103
📊 株価チャート
バリュエーションゾーン
¥836 割安
¥1,520
FV¥3,103 割高
¥5,151
¥6,439
本レポートは公開情報(有価証券報告書・IR資料・各種統計)に基づく定性・定量分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。財務数値はEDINET開示データより自動取得しており、最新の決算発表を反映していない場合があります。割引率は NYU Stern Damodaran (Jan 2026) の Japan ERP および日本国債利回りを基に算定。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
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