4684 オービック 銘柄分析・適正株価
5.6Sol 個別レビュー
投資テーゼ
ITサービス・ソフトウェアの基準倍率(PER25倍、PBR3.00倍、EV/EBITDA15倍)を用い、利用可能なPER・PBR・EV/EBITDAを組み合わせた5シナリオ評価。確率加重価値は4,202.0円。既存の定量DBを横断した一次スクリーニングであり、10%集中判断には最新IRの追加確認を要する。
主な懸念
オービックは基準株価4,267.0円に対し、EPS181.9円、BPS1190.8円、現行EV/EBITDA18.2倍。単年度の正規化前指標を使う軽量レビューのため、業績循環、特殊損益、会計基準差、直近会社計画の変化を完全には反映しない。決算更新時に再評価が必要。
シナリオ内訳
| シナリオ | 確率 | 妥当価値 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 悲観 | 10.0% | 2,240円 | 景気後退・競争激化・倍率縮小が重なり、基準価値の55%まで低下。 |
| 弱気 | 20.0% | 3,180円 | 利益成長が鈍化し、基準倍率を約2割切り下げる弱気ケース。 |
| 中立 | 40.0% | 4,070円 | PER・PBR・EV/EBITDAを業種基準倍率で評価した中立ケース。 |
| 強気 | 20.0% | 5,210円 | 会社計画達成と資本効率改善により基準価値を28%上回る強気ケース。 |
| 楽観 | 10.0% | 6,720円 | 需要上振れ・利益率改善・株主還元が同時進行する楽観ケース。 |
FY2026実績
純利益
FY2026実績
比率
FY2026
オービックは基幹業務システム「OBIC7」を自社開発し、直販・保守・コンサルティングまでを一気通貫で提供する国内ERP専業ベンダーである。顧客は中堅・中小企業を主体とし、会計・人事・販売管理の統合パッケージが高い解約障壁を生む。近年はオンプレミスからOBIC7クラウドへの移行を軸に、ストック収益の比率を高める戦略を推進している。
スイッチングコスト
基幹業務への深い統合と長年蓄積した個社カスタマイズが、乗り換えコストを事実上の参入障壁に転化させている。顧客の平均契約継続年数は非公表ながら業界内でも突出して長いとされ、解約率は極めて低位に抑制されている。
垂直統合モデル
開発・販売・保守を内製完結させることで、他社依存リスクを排除しつつ顧客接点を独占する。この構造がコスト効率と顧客満足度の双方を同時に高め、競合が模倣しにくい優位性を形成している。
業務ノウハウの体化
三十年超の中堅・中小企業向け業務設計の知見が製品ロジックとして蓄積されており、外資ERPが短期間で追随することは困難である。税務・労務・商慣行の国内固有要件への対応力も差別化の核となっている。
クラウド移行加速
既存のオンプレミス顧客がOBIC7クラウドへ段階的に移行するに伴い、ライセンス型から月額サブスクリプション型への収益構造の転換が進む。ARR積み上げが可視化されれば、バリュエーション再評価の好機となる。
モジュールクロスセル
既存顧客基盤に対して人事・給与・電子帳票など周辺モジュールを追加提案することで、ARPU向上と解約障壁の強化を同時に達成する戦略が継続中である。新規獲得コストなしに収益を拡大できる点が財務効率に直結する。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
SAPやOracleが中堅市場向けにクラウド製品の価格を引き下げ攻勢をかけた場合、オービックの新規獲得力が低下するシナリオが想定される。
国内中小企業数は長期的に減少傾向にあり、TAM自体の収縮がオービックの成長天井を緩やかに切り下げるリスクを内包している。
オンプレミス顧客のクラウド移行が想定より遅延した場合、ARR積み上げが鈍化し、ストック型収益への転換効果が限定的にとどまる可能性がある。
高PERが常態化しているため、金利上昇局面や市場全体のリスクオフ時には高成長株として売り圧力を受けやすく、短期の株価下落幅が大きくなるリスクがある。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
OBIC7クラウドのARRを定量開示することで、サブスクリプション型の収益可視性が高まり、グローバル機関投資家からのバリュエーション再評価が促される潜在的カタリストとなり得る。
国内法制度改正に伴う中堅・中小企業の基幹システム刷新需要は依然として続いており、オービックの豊富な法対応実績と直販ネットワークがこの需要を効率的に取り込む構造にある。
累進配当方針を明示的に掲げ、過去三十年以上にわたって減配実績がない。加えて機動的な自社株買いを定期実施しており、総還元性向は業績連動で高水準を維持する。無借金・潤沢な現預金が株主還元の持続性を財務面から裏付けており、配当利回りの絶対水準は低くとも増配率の安定性は際立っている。
リスク耐性スコア 9/10 より算出
2段階DCF(FCF)。直近3期平均FCF(営業CF − 投資CF)を起点に10年成長率をシナリオ別に展開、Phase 2はターミナル成長率で永続割引。ベースFCF/株=¥140。成長率は過去EPS CAGR(10年=13.1%、直近3年=14.9%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(14年、Mauboussin CAP研究準拠)でターミナル成長率に収束。
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥84。成長率は過去DPS CAGR(10年=18.0%、直近3年=18.9%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(14年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,178、配当性向49%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥172、総合スコア7.8から指数関数的に倍率算出。
過去BPSデータの連続性に問題があるため、PBR法による価値算定を見送り(時系列に不連続な急変あり(株式分割の遡及反映が不完全な可能性))
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥172。
10年後の株価を 1000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-07-29)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 5.26% | 8.76% | 13.26% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥3,571 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥3,795 | ||
| スタート時の状態 | 成長(名目永続成長率 3.0%、直近売上成長 11.8%) | ||
※ 試算精度について:現在は 1000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (24%) | 中立 (57%) | 楽観 (19%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | ¥2,540 | ¥5,159 | ¥11,940 | ¥5,819 |
| 配当割引 | ¥1,928 | ¥3,891 | ¥8,870 | ¥4,366 |
| 残余利益 | ¥769 | ¥2,205 | ¥4,664 | ¥2,328 |
| PERマルチプル | ¥2,059 | ¥3,089 | ¥4,805 | ¥3,168 |
| PBR分位法 | — | — | — | — |
| PER分位法 | ¥3,586 | ¥4,861 | ¥6,891 | ¥4,941 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥4,124 | ||
¥2,176 FV¥4,124 割高
¥7,434 ¥9,293