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FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
日本発條株式会社(NHKスプリング)は1938年創業のばね専業から発展した総合自動車部品メーカーで、コイルスプリング・リーフスプリングなどのばね類と自動車シートフレームを二本柱とする。ばね分野では世界トップシェアを誇り、トヨタ・ホンダ・日産など国内主要自動車メーカーのほか海外OEMにも広く納入している。シートフレームでも国内最大手の地位を維持しており、安定した需要基盤を持つ。近年は航空機エンジン部品や医療機器向け精密ばね、半導体製造装置用精密部品にも展開し事業の多角化を進めている。売上の約7割は国内外の自動車向けであり、自動車産業の動向に業績が大きく左右される構造となっている。
①スプリング製造の圧倒的技術蓄積
80年超のばね製造の歴史で培った冶金・成形・熱処理ノウハウは一朝一夕では模倣不可能。微細径から超大型まで広範な製品ラインアップと厳格な品質管理体制は、主要顧客による認定取得のハードルを高め、新規参入を困難にしている。
②トヨタグループとの深い協業関係
創業以来の長期取引関係を背景にトヨタ・豊田通商と資本・業務上の結びつきが強く、新モデル開発段階から設計に関与するTier1の地位を確立している。系列取引慣行の変化はあるものの、生産ラインへの深い組み込みが安定受注を支えている。
③グローバル生産・調達ネットワーク
北米・欧州・アジアに製造拠点を展開し、顧客の海外生産拡大に追随できる体制を整備している。現地調達コスト競争力と為替リスク分散が同時に達成されており、グローバル展開する自動車メーカーのニーズに対応できる点が競合他社に対する優位性となっている。
中期見通し
2025年3月期の業績回復を受け、2026〜2027年度も緩やかな増収増益が見込まれる。自動車生産台数の回復とともにばね・シートフレーム需要は底堅く推移する見通し。原材料費上昇分の価格転嫁が引き続き重要課題だが、足元は実現しつつある。航空機エンジン部品は民間航空需要回復で受注積み上がりが続き、2〜3年で売上貢献が高まると期待される。
長期構造的トレンド
EV化の進展でコイルスプリング需要は一部代替・減少リスクがあるが、EV車体の重量増に対応するサスペンション部品需要は継続する。自動運転・ADAS搭載による車両の高付加価値化がシートフレームの高機能化需要を促進する可能性もある。より長期的には、精密ばね技術を応用した半導体・医療機器分野への展開が自動車依存を低減し収益安定化に寄与すると見込まれる。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
電気自動車はエンジン・トランスミッション周りの機械部品が不要となり、コイルスプリングの採用形態や数量が変化するリスクがある。主力製品の市場縮小は中長期的に最大の事業リスクで、代替製品の開発・売上多角化が急務となっている。
売上の相当割合をトヨタグループ向けが占めており、トヨタの生産計画変更・調達方針転換・業績悪化の影響を直接受けやすい。顧客集中リスクは依然として高く、新規顧客開拓によるリスク分散が進展途上にある。
ばね製品は鋼材を主原料とするため、鉄鋼価格の上昇は収益を直接圧迫する。価格転嫁交渉には時間的ラグが生じるため、急激な原材料高局面では一時的な利益率低下を招くリスクがある。
海外売上比率の上昇に伴い円高局面での収益への影響が大きくなっている。海外現地生産によるナチュラルヘッジで対応しているが、完全には排除できず、急激な円高は円換算売上・利益を押し下げる。
自動車部品の品質問題は大規模リコールにつながり、補償費用・ブランド毀損・顧客離れを招く可能性がある。厳格な品質管理体制を構築しているが、製造業全般に内在するリスクとして排除不能である。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
民間航空機の需要回復・ボーイング/エアバスの生産増加を背景に、高精度ばね・部品の受注が積み上がっている。航空分野は単価・利益率が自動車より高く、売上構成比上昇が全社利益率改善に直結するため、最大の収益アップサイド要因として注目される。
PBR0.6倍前後という水準は東証の要請する1倍超達成に向けた改善余地が大きく、自社株買い実施や増配加速により株価が大幅に上振れる可能性がある。ROE改善とセットで市場の評価が高まれば、バリュー株再評価の恩恵を享受できる。
半導体製造装置や医療機器に使われる超精密ばねは高付加価値で利益率が高い。自動車部品で培った精密加工技術の応用が可能で、非自動車売上比率の向上が企業価値の多様化・安定化に寄与すると期待される。
2025年3月期のDPSは69円と前期比27円増配となり、業績回復に連動した積極的な還元姿勢を示している。配当性向は約30%程度で維持されており、EPS改善が続けばさらなる増配余地がある。現株価ベースの配当利回りは約2.4%で、自動車部品セクターとして標準的な水準。会社側は安定配当・継続増配を基本方針とし、業績連動で段階的に引き上げる方針。自社株買いについては直近では実施情報が限られるが、低PBR是正の観点から今後の実施への期待が高まっている。
リスク耐性スコア 5/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 79億円 / 2024年度 564億円 / 2023年度 -281億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥69。成長率は過去DPS CAGR(10年=9.8%、直近3年=36.7%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(11年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,902、配当性向31%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥225、総合スコア5.6から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=1.13倍、現BPS=¥1,902。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥225。
| 評価モデル | 悲観 (35%) | 中立 (40%) | 楽観 (25%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥830 | ¥2,306 | ¥7,910 | ¥3,190 |
| 残余利益 | ¥841 | ¥2,409 | ¥4,897 | ¥2,482 |
| PERマルチプル | ¥1,798 | ¥2,921 | ¥4,719 | ¥2,977 |
| PBR分位法 | ¥1,631 | ¥2,151 | ¥2,798 | ¥2,131 |
| PER分位法 | ¥2,462 | ¥3,239 | ¥6,454 | ¥3,771 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥2,910 | ||
¥1,512 FV¥2,910 割高
¥5,356 ¥6,695