6135
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
牧野フライス製作所は1937年創業の工作機械専業メーカーで、マシニングセンタ・放電加工機・研削盤を主力製品とする。特に自動車用金型加工、航空宇宙部品、精密金型向けの高精度5軸マシニングセンタで国内外に強固な顧客基盤を持つ。売上高の約6割を海外が占め、米国・欧州・アジアにグローバルな生産・販売・サービス拠点を展開する。FY2025売上高は2,342億円、営業利益185億円で、設備投資サイクルに連動した景気循環型のビジネスモデルが特徴である。アフターサービス・部品・リモート診断サービスも収益源として成長しており、製品販売後の継続的収益確保にも取り組んでいる。
①高精度加工技術の長期蓄積
60年以上にわたる金型・航空宇宙分野での加工技術の蓄積が同社の根幹的な競争優位である。サブミクロン精度の加工を実現する主軸・制御技術は独自開発であり、競合他社が短期間で同等の性能を実現することは困難。顧客ごとの加工要件に対応したカスタマイズ提案力も差別化の源泉となっている。
②グローバルサービスネットワーク
北米・欧州・アジア全域に整備されたサービス拠点が、顧客の生産ライン停止リスクを最小化するという強力な価値を提供する。工作機械は稼働率が命であるため、迅速なオンサイトサービス体制は購入判断に直結する。このネットワーク構築には多大な投資と時間が必要であり、新規参入者にとっての高い参入障壁となっている。
③特定高付加価値分野への集中
汎用品競争を避け、金型・航空宇宙・医療機器向けの超高精度加工という高付加価値ニッチに経営資源を集中する戦略が、価格競争力ではなく技術力による競争を可能にしている。この分野では中国・台湾系メーカーとの直接競合が少なく、価格訴求よりも精度・信頼性が優先されるため、一定の価格支配力を維持できる。
中期見通し
2〜3年の視点では、国内製造業の設備更新需要(老朽設備の入れ替え)と航空宇宙分野の受注回復が主な成長ドライバーとなる。コロナ禍後に延期された航空機製造の本格再開により、機体構造部品・エンジン部品向けの5軸加工機需要が回復軌道に入る見込み。また国内防衛予算の増大が航空宇宙関連の国内需要を押し上げる追い風となる。EPS水準はFY2025の613円から700〜800円台への回復を基本シナリオとして想定する。
長期構造的トレンド
5〜10年の長期では、EV化に伴うモーター・バッテリー関連の新規金型需要、半導体製造装置の部品精度要求の高度化、および新興国製造業の高度化による需要拡大が構造的トレンドとして期待される。一方、従来型エンジン部品向け需要の縮小という逆風も存在するが、高精度加工ニーズ自体はEV時代でも消滅しないため、製品ポートフォリオの転換次第では長期成長を維持できる。加工技術へのAI・デジタル統合も新たな付加価値源となりうる。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
自動車・電機業界の設備投資が景気後退や貿易摩擦で急減すると、受注が短期間で大幅に落ち込む。FY2021の営業赤字転落はその典型例であり、売上高が約27%減少した場合に損益分岐点を割り込むリスクがある。
自己資本比率0.6%という極めて高いレバレッジ構造は、日銀の金融政策正常化に伴う金利上昇局面で財務コストが急増するリスクを内包する。業績悪化と金利上昇が重なる局面では、信用リスクの上昇と資本調達コスト増大が同時発生しうる。
内燃機関部品向け金型加工はEV普及に伴い長期的に縮小が見込まれる。主力顧客である日系自動車メーカーの国内生産縮小も重なると、従来の中核需要が構造的に目減りするリスクがある。
中国国内の工作機械メーカーが政府支援のもとで急速に技術力を高めており、中・低精度帯での価格競争激化に加え、一部高精度分野への侵食リスクが高まっている。中国市場での販売シェア維持が今後の課題となる。
売上の約6割を占める海外売上は円建て換算で目減りするリスクがあり、円高が進行すると輸出価格競争力も低下する。現在の円安環境が反転した場合、業績へのマイナス影響は相応に大きい。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
国内防衛費増大と民間航空機の生産再開が重なり、高精度5軸加工機への需要が急拡大する局面が到来する可能性がある。航空宇宙分野は収益性が高く、受注獲得できれば利益率の大幅改善が期待できる。
半導体製造装置向け超高精度部品の加工需要は長期成長が続く見通しである。牧野の高精度加工技術はこの分野の要求水準を満たしており、既存の顧客基盤を活用した新規需要開拓の余地が大きい。
稼働監視・予防保全・遠隔診断などのデジタルサービスをサブスクリプション型で提供する事業モデルへの転換が進めば、景気変動に左右されにくいストック型収益の比率が高まり、業績の安定性が向上する。
配当政策は業績連動型を基本としており、FY2025は1株当たり180円(中間90円+期末90円)を予定。過去7期の配当推移を見ると、FY2019の105円からFY2021の20円への大幅減配、その後の段階的増配と業績との連動性が明確である。自己株式取得については積極的な方針は現時点で見られず、株主還元は配当が中心。財務レバレッジの高さを勘案すると、当面は配当性向の大幅な引き上げよりも財務健全化が優先されるとみられ、還元拡大のペースは緩やかとなる見込みである。
リスク耐性スコア 4/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -3億円 / 2024年度 65億円 / 2023年度 -58億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥180。成長率は過去DPS CAGR(10年=10.3%、直近3年=44.2%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(12年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥9,625、配当性向29%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥689、総合スコア5.4から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.82倍、現BPS=¥9,625。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥689。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 6.59% | 10.09% | 14.59% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥8,106 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥8,106 | ||
| スタート時の状態 | C(名目永続成長率 1.0%、直近売上成長 9.5%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (32%) | 中立 (42%) | 楽観 (26%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥2,151 | ¥7,137 | ¥28,827 | ¥11,181 |
| 残余利益 | ¥3,915 | ¥11,193 | ¥22,040 | ¥11,684 |
| PERマルチプル | ¥5,514 | ¥8,961 | ¥14,475 | ¥9,292 |
| PBR分位法 | ¥6,251 | ¥7,867 | ¥10,555 | ¥8,049 |
| PER分位法 | ¥6,084 | ¥10,942 | ¥20,695 | ¥11,923 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥10,426 | ||
¥4,783 FV¥10,426 割高
¥19,318 ¥24,148