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 牧野フライス製作所 銘柄分析・適正株価・割安/割高判定
東証プライム 工作機械・マシニングセンタ グローバル設備投資連動型 JCR #A- (negative)
現在値
時価総額
投資テーゼ
牧野フライス製作所は金型・航空宇宙・自動車向け高精度マシニングセンタで世界トップクラスのシェアを持ち、製品の高付加価値性と顧客の設備更新需要が安定収益を支える。EV化に伴う金型需要の変容や半導体・航空宇宙分野への展開拡大が中長期の成長ドライバーとなる。現在株価はPER約19倍と割高感は限定的で、設備投資サイクルの回復局面では業績・株価ともに上振れ余地がある。
7
競争優位性
業界内MOAT
5
業界成長性
セクター動態
4
リスク耐性
財務・事業安定性
5
株主還元
配当・自社株買い
6
見通し
上振れ経路の確度
総合スコア
5.4/10
競争優位性
7
業界成長性
5
リスク耐性
4
株主還元
5
見通し
6
📋 事業内容
2,342億円
売上高
FY2025実績
144億円
親会社帰属
純利益
136億円
営業CF
FY2025実績
61.6%
自己資本
比率
6.3%
ROE
FY2025

牧野フライス製作所は1937年創業の工作機械専業メーカーで、マシニングセンタ・放電加工機・研削盤を主力製品とする。特に自動車用金型加工、航空宇宙部品、精密金型向けの高精度5軸マシニングセンタで国内外に強固な顧客基盤を持つ。売上高の約6割を海外が占め、米国・欧州・アジアにグローバルな生産・販売・サービス拠点を展開する。FY2025売上高は2,342億円、営業利益185億円で、設備投資サイクルに連動した景気循環型のビジネスモデルが特徴である。アフターサービス・部品・リモート診断サービスも収益源として成長しており、製品販売後の継続的収益確保にも取り組んでいる。

競争優位性(業界内MOAT) 7/10

①高精度加工技術の長期蓄積

60年以上にわたる金型・航空宇宙分野での加工技術の蓄積が同社の根幹的な競争優位である。サブミクロン精度の加工を実現する主軸・制御技術は独自開発であり、競合他社が短期間で同等の性能を実現することは困難。顧客ごとの加工要件に対応したカスタマイズ提案力も差別化の源泉となっている。

②グローバルサービスネットワーク

北米・欧州・アジア全域に整備されたサービス拠点が、顧客の生産ライン停止リスクを最小化するという強力な価値を提供する。工作機械は稼働率が命であるため、迅速なオンサイトサービス体制は購入判断に直結する。このネットワーク構築には多大な投資と時間が必要であり、新規参入者にとっての高い参入障壁となっている。

③特定高付加価値分野への集中

汎用品競争を避け、金型・航空宇宙・医療機器向けの超高精度加工という高付加価値ニッチに経営資源を集中する戦略が、価格競争力ではなく技術力による競争を可能にしている。この分野では中国・台湾系メーカーとの直接競合が少なく、価格訴求よりも精度・信頼性が優先されるため、一定の価格支配力を維持できる。

📈 業界の成長性・セクター動態 5/10

中期見通し

2〜3年の視点では、国内製造業の設備更新需要(老朽設備の入れ替え)と航空宇宙分野の受注回復が主な成長ドライバーとなる。コロナ禍後に延期された航空機製造の本格再開により、機体構造部品・エンジン部品向けの5軸加工機需要が回復軌道に入る見込み。また国内防衛予算の増大が航空宇宙関連の国内需要を押し上げる追い風となる。EPS水準はFY2025の613円から700〜800円台への回復を基本シナリオとして想定する。

長期構造的トレンド

5〜10年の長期では、EV化に伴うモーター・バッテリー関連の新規金型需要、半導体製造装置の部品精度要求の高度化、および新興国製造業の高度化による需要拡大が構造的トレンドとして期待される。一方、従来型エンジン部品向け需要の縮小という逆風も存在するが、高精度加工ニーズ自体はEV時代でも消滅しないため、製品ポートフォリオの転換次第では長期成長を維持できる。加工技術へのAI・デジタル統合も新たな付加価値源となりうる。

⚠️ リスクファクター分析 4/10

スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。

高リスク設備投資サイクルの急激な冷え込み

自動車・電機業界の設備投資が景気後退や貿易摩擦で急減すると、受注が短期間で大幅に落ち込む。FY2021の営業赤字転落はその典型例であり、売上高が約27%減少した場合に損益分岐点を割り込むリスクがある。

高リスク財務レバレッジの高さと金利上昇リスク

自己資本比率0.6%という極めて高いレバレッジ構造は、日銀の金融政策正常化に伴う金利上昇局面で財務コストが急増するリスクを内包する。業績悪化と金利上昇が重なる局面では、信用リスクの上昇と資本調達コスト増大が同時発生しうる。

中リスクEV化による自動車金型需要の構造的縮小

内燃機関部品向け金型加工はEV普及に伴い長期的に縮小が見込まれる。主力顧客である日系自動車メーカーの国内生産縮小も重なると、従来の中核需要が構造的に目減りするリスクがある。

中リスク中国競合メーカーの技術追随

中国国内の工作機械メーカーが政府支援のもとで急速に技術力を高めており、中・低精度帯での価格競争激化に加え、一部高精度分野への侵食リスクが高まっている。中国市場での販売シェア維持が今後の課題となる。

低リスク円高進行による輸出競争力の低下

売上の約6割を占める海外売上は円建て換算で目減りするリスクがあり、円高が進行すると輸出価格競争力も低下する。現在の円安環境が反転した場合、業績へのマイナス影響は相応に大きい。

💡 見通し(上振れ経路と実現確度) 6/10

業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。

航空宇宙・防衛向け需要の本格拡大

国内防衛費増大と民間航空機の生産再開が重なり、高精度5軸加工機への需要が急拡大する局面が到来する可能性がある。航空宇宙分野は収益性が高く、受注獲得できれば利益率の大幅改善が期待できる。

半導体製造装置部品の精密加工需要取込み

半導体製造装置向け超高精度部品の加工需要は長期成長が続く見通しである。牧野の高精度加工技術はこの分野の要求水準を満たしており、既存の顧客基盤を活用した新規需要開拓の余地が大きい。

デジタル・IoTサービスによるストック収益拡大

稼働監視・予防保全・遠隔診断などのデジタルサービスをサブスクリプション型で提供する事業モデルへの転換が進めば、景気変動に左右されにくいストック型収益の比率が高まり、業績の安定性が向上する。

💰 株主還元政策 5/10

配当政策は業績連動型を基本としており、FY2025は1株当たり180円(中間90円+期末90円)を予定。過去7期の配当推移を見ると、FY2019の105円からFY2021の20円への大幅減配、その後の段階的増配と業績との連動性が明確である。自己株式取得については積極的な方針は現時点で見られず、株主還元は配当が中心。財務レバレッジの高さを勘案すると、当面は配当性向の大幅な引き上げよりも財務健全化が優先されるとみられ、還元拡大のペースは緩やかとなる見込みである。

EPS / DPS 長期推移(年次・全期間)
EPS(1株益) DPS(1株配当年間)
⚖️ 内在価値の推定(確率加重フェアバリュー)
📐 株主資本コスト(CoE)の算出
30年国債利回り(リスクフリーレート)+3.70%
成熟市場ERP(Damodaran)+4.23%
日本カントリーリスクプレミアム+0.91%
業種ベータ(機械・産業機器)×1.10
 → 業種調整後の市場リスクプレミアム+5.68%
リスク耐性スコア調整(4/10)+0.60%
MOAT スコア調整(7/10)-0.30%
格付け調整(JCR #A-)+0.00%
当社中立CoE9.68%
悲観 CoE
12.7%
中立 CoE
9.7%
楽観 CoE
7.2%
リスク耐性スコア(4/10)を用いて3シナリオに確率ウェイトを配分。安定性が高いほど中立シナリオの比重が増し、リスクが高いほど悲観・楽観シナリオの比重が増加する。各モデルの確率加重平均を等ウェイトで平均した値を総合フェアバリューとして表示。
悲観 32%
中立 42%
楽観 26%
悲観 32% — 設備投資急冷・受注急減
中立 42% — 緩やかな需要回復・安定成長
楽観 26% — 航空宇宙・半導体需要爆発的拡大
総合フェアバリュー(確率加重・4モデル平均)
¥10,426/株
悲観32% / 中立42% / 楽観26%
リスク耐性スコア 4/10 より算出
DCF法による算定を見送り
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -3億円 / 2024年度 65億円 / 2023年度 -58億円

2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥180。成長率は過去DPS CAGR(10年=10.3%、直近3年=44.2%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(12年)でターミナル成長率に収束。

悲観 32%
設備投資急冷・受注急減
¥2,151
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト12.7%
ターミナル成長率0.9%
中立 42%
緩やかな需要回復・安定成長
¥7,137
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト9.7%
ターミナル成長率1.6%
楽観 26%
航空宇宙・半導体需要爆発的拡大
¥28,827
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト7.2%
ターミナル成長率2.6%

2段階残余利益モデル。BPS₀=¥9,625、配当性向29%でBPS追跡。

悲観 32%
設備投資急冷・受注急減
¥3,915
推定フェアバリュー/株
CoE12.7%
ROE(初年→10年目)-5.0%→8.3%
TV成長率0.9%
中立 42%
緩やかな需要回復・安定成長
¥11,193
推定フェアバリュー/株
CoE9.7%
ROE(初年→10年目)10.6%→10.6%
TV成長率1.6%
楽観 26%
航空宇宙・半導体需要爆発的拡大
¥22,040
推定フェアバリュー/株
CoE7.2%
ROE(初年→10年目)13.6%→10.6%
TV成長率2.6%

PERマルチプル法。ピークEPS=¥689、総合スコア5.4から指数関数的に倍率算出。

悲観 32%
設備投資急冷・受注急減
¥5,514
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥689
想定PER8倍
中立 42%
緩やかな需要回復・安定成長
¥8,961
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥689
想定PER13倍
楽観 26%
航空宇宙・半導体需要爆発的拡大
¥14,475
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥689
想定PER21倍

過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.82倍、現BPS=¥9,625。

PBR推移(月次・全期間)
PBR月次 下位25% (0.65) 中央値 (0.82) 上位25% (1.10)
悲観 32%
設備投資急冷・受注急減
¥6,251
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PBR0.65倍
中立 42%
緩やかな需要回復・安定成長
¥7,867
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PBR0.82倍
楽観 26%
航空宇宙・半導体需要爆発的拡大
¥10,555
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PBR1.10倍

過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥689。

PER推移(月次・全期間、赤字年除外)
PER月次 下位25% (8.8) 中央値 (15.9) 上位25% (30.0)
悲観 32%
設備投資急冷・受注急減
¥6,084
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PER8.8倍
中立 42%
緩やかな需要回復・安定成長
¥10,942
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PER15.9倍
楽観 26%
航空宇宙・半導体需要爆発的拡大
¥20,695
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PER30.0倍

10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)

総合判定(期待利回り vs 必要利回り)
回避
期待年利が必要利回りを上回る確率: 15.0%
期待年利(10年保有した場合)
下振れ -8.4% / 中央 2.0% / 上振れ 11.9%
中央シナリオで必要利回り(7〜8%目安)を超えるか
10年後株価の幅(5000シナリオ)
下振れ ¥1,844 / 中央 ¥7,766 / 上振れ ¥25,143
現在 ¥13,200 → 分布の下から 1%地点(低いほど割安)
10年以内の倒産・上場廃止確率
0.3%
10年後の状態: 成長37% 横ばい53% 衰退10% 倒産・上場廃止0%
事象タグ別の10年発生確率
好況・上振れサイクル
51.9%
景気後退・需要減
51.0%
株主還元強化
49.4%
AI投資の供給側恩恵
35.2%
バリュエーション低下
33.9%
利益率改善
31.5%
バリュエーション上昇
28.3%
AI電力・光通信インフラ需要
28.1%
利益率悪化
21.9%
大幅業績ショック
21.5%
構造的衰退
12.7%
競争優位低下
12.4%
TOB・買収
8.2%
希薄化・増資
3.6%
銘柄の状態、業種の景気敏感度、スコア、資本効率、現在PBRなどから各事象の露出度を作り、EPS/BPSシミュレーション内で発生させています。
📊 10年後の株価予想分布(5000通りのシナリオ)
横軸 = 10年後の株価 / 縦軸 = その株価に到達するシナリオ数。 現在 ¥13,200(赤線)より右に分布があれば株価上昇期待、左なら下落リスク。
株価の10年推移予想(中央線=中央シナリオ、帯=下振れ〜上振れ)
入力値 / 各モデルの結果下振れ中央上振れ
必要利回り(株主資本コスト)6.59%10.09%14.59%
成長持続年数(競争優位性に連動)7年10年13年
EPS/BPS-first MC 適正株価(中央)¥8,106
10年後EPS/BPS×出口評価(中央)¥8,106
スタート時の状態C(名目永続成長率 1.0%、直近売上成長 9.5%)

※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。

評価モデル 悲観 (32%) 中立 (42%) 楽観 (26%) 加重平均
DCF
配当割引 ¥2,151 ¥7,137 ¥28,827 ¥11,181
残余利益 ¥3,915 ¥11,193 ¥22,040 ¥11,684
PERマルチプル ¥5,514 ¥8,961 ¥14,475 ¥9,292
PBR分位法 ¥6,251 ¥7,867 ¥10,555 ¥8,049
PER分位法 ¥6,084 ¥10,942 ¥20,695 ¥11,923
モデル平均 ↑ 各モデルの確率加重平均 ¥10,426
📊 株価チャート
バリュエーションゾーン
¥2,631 割安
¥4,783
FV¥10,426 割高
¥19,318
¥24,148
本レポートは公開情報(有価証券報告書・IR資料・各種統計)に基づく定性・定量分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。財務数値はEDINET開示データより自動取得しており、最新の決算発表を反映していない場合があります。割引率は NYU Stern Damodaran (Jan 2026) の Japan ERP および日本国債利回りを基に算定。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
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