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荏原製作所 銘柄分析・適正株価・割安/割高判定
東証プライム 機械 ポンプ/半導体装置 R&I A (stable)
現在値
時価総額
投資テーゼ
半導体設備投資サイクルとAI/データセンター需要の双発エンジンが、CMP・ガスアブストラクション装置およびAI液冷ポンプの売上を中長期で押し上げる。風水力・環境の安定収益基盤がダウンサイドを下支えし、ポートフォリオ全体のボラティリティを抑制する構造を持つ。
4
競争優位性
業界内MOAT
4
業界成長性
セクター動態
3
リスク耐性
財務・事業安定性
3
株主還元
配当・自社株買い
5
見通し
上振れ経路の確度
総合スコア
3.8/10
競争優位性
4
業界成長性
4
リスク耐性
3
株主還元
3
見通し
5
📋 事業内容
9,583億円
売上高
FY2025実績
766億円
親会社帰属
純利益
408億円
営業CF
FY2025実績
47.0%
自己資本
比率
15.0%
ROE
FY2025

荏原製作所は流体機械を中核に、風水力・環境・精密・電子の四セグメントを展開する総合機械メーカーである。精密・電子セグメントでは半導体製造向けCMP装置とガスアブストラクション装置を主力とし、国内外の先端ファブへの納入実績を積み上げてきた。風水力セグメントは上下水道・火力・産業向けポンプで安定したインフラ需要を捕捉しており、環境セグメントの廃棄物焼却システムとともに収益の下支え役を担っている。近年はAI/データセンター向け液冷ポンプを新たな成長領域と位置付け、既存の流体技術資産を活用した事業展開を加速している。

競争優位性(業界内MOAT) 4/10

半導体装置における深い顧客組み込み

CMP装置は製造プロセスの歩留まりに直結するため、顧客による装置切り替えコストが極めて高く、長期的なサプライヤー関係が構築されやすい。先端プロセスへの共同開発参画が技術的な参入障壁をさらに強化している。

流体制御技術の長年の蓄積

ポンプ・コンプレッサの設計・製造で百年超の知見を有し、極めて高い信頼性と耐久性が求められるインフラ・産業向け市場で強固なブランド地位を確立している。この技術基盤がAI液冷ポンプへの横展開を可能にしている。

グローバルサービスネットワーク

世界各地に整備されたアフターサービス拠点は顧客の稼働継続ニーズに即応し、機器販売後の保守・部品収益を生み出すリカーリング構造を支えている。サービス契約の積み上げが景気サイクルに左右されにくい安定収益の源泉となっている。

📈 業界の成長性・セクター動態 4/10

AI/先端半導体投資の構造的追い風

HBM量産拡大・ゲートオール・アラウンド移行・先端ロジック微細化はいずれもCMP工程の回数増加と高精度化を要求し、装置更新・増設需要を中長期で押し上げる。台湾・韓国・米国の主要ファブの設備投資計画は同社の受注積み上げを裏付けており、複数年にわたる高水準な引き合いが継続する見通しである。

AI/DCデータセンター向け液冷ポンプの新市場開拓

AIサーバーの消費電力増大に伴い空冷限界が現実化しつつあり、液冷冷却システムへの移行は不可逆なトレンドとなっている。同社は既存の流体設計・素材技術を活かして高信頼性液冷ポンプを開発中であり、データセンター事業者との実証案件の積み上げが本格量産フェーズへの橋渡しとなる。

⚠️ リスクファクター分析 3/10

スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。

中リスク半導体設備投資サイクルのダウンターン

半導体市況の急悪化や顧客の設備投資凍結は精密・電子セグメントの売上を短期間に大幅に押し下げるリスクがあり、過去のサイクルでは二割超の受注減が生じた実績がある。在庫調整局面の長期化が収益の低迷期間を延ばす可能性もある。

中リスク地政学リスクと輸出規制の強化

米中技術摩擦の激化により中国向け半導体装置の輸出規制が強化された場合、同地域への販売が制限されるリスクがある。主要顧客の生産拠点移転や調達先多様化の動きも、既存の受注構造を変質させる潜在的リスク要因となっている。

中リスク円高による輸出採算の悪化

売上の相当割合を海外向け輸出が占めるため、急激な円高局面では為替換算益の縮小と採算悪化が同時に発生する。ヘッジ対応の限界もあり、長期的な円高定着は業績計画の下振れ要因となる。

中リスクAI液冷ポンプの量産移行遅延

液冷ポンプ事業は現状実証・試作段階にあり、量産移行のタイムラインが後ずれするリスクがある。競合他社の先行や顧客の仕様変更が開発コストを膨張させ、期待される利益貢献の時期を大幅に遅らせる可能性がある。

💡 見通し(上振れ経路と実現確度) 5/10

業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。

AI/DCインフラ拡張による液冷需要の爆発的成長取り込み

生成AIの普及に伴うデータセンター建設ラッシュは液冷冷却システム需要を数年内に急拡大させると予測されており、同社の流体技術が競合との差別化を果たせれば新規大口顧客の獲得が現実味を帯びる。液冷ポンプ事業の立ち上がりは既存の半導体装置成長と相乗し、全社の成長軌道を一段高い水準へ押し上げるポテンシャルを秘めている。

国内インフラ老朽化更新による風水力セグメントの底上げ

日本国内の上下水道・ダム・発電所設備の老朽化更新需要は今後数十年にわたる安定的な受注機会を提供し、リニューアル工事・部品交換のリカーリング収益として精密セグメントとは異なるサイクルで業績を下支えする。

💰 株主還元政策 3/10

配当は業績連動を基本としつつ安定的な増配基調を維持しており、機関投資家の長期保有ニーズに応える株主還元方針を掲げている。キャピタルアロケーションの優先順位は研究開発・設備投資への再投資が筆頭であるが、余剰キャッシュフローの範囲内で自社株買いを機動的に実施する姿勢も示している。半導体装置セグメントの利益率改善が進むにつれ、ROEの水準切り上げとそれに伴うバリュエーション再評価が期待される。

EPS / DPS 長期推移(年次・全期間)
EPS(1株益) DPS(1株配当年間)
⚖️ 内在価値の推定(確率加重フェアバリュー)
📐 株主資本コスト(CoE)の算出
30年国債利回り(リスクフリーレート)+3.70%
成熟市場ERP(Damodaran)+4.23%
日本カントリーリスクプレミアム+0.91%
業種ベータ(機械・産業機器)×1.10
 → 業種調整後の市場リスクプレミアム+5.68%
リスク耐性スコア調整(3/10)+1.20%
MOAT スコア調整(4/10)+0.20%
格付け調整(R&I A)-0.20%
当社中立CoE10.58%
悲観 CoE
13.6%
中立 CoE
10.6%
楽観 CoE
8.1%
リスク耐性スコア(3/10)を用いて3シナリオに確率ウェイトを配分。安定性が高いほど中立シナリオの比重が増し、リスクが高いほど悲観・楽観シナリオの比重が増加する。各モデルの確率加重平均を等ウェイトで平均した値を総合フェアバリューとして表示。
悲観 34%
中立 39%
楽観 27%
悲観 34% — 半導体設備投資の急減速・液冷需要の立ち上がり遅延
中立 39% — 先端ロジック/HBM向け装置の着実な成長と液冷ポンプの段階的拡大
楽観 27% — AI/DCインフラ爆発的拡張による液冷・CMP装置の同時急伸
総合フェアバリュー(確率加重・4モデル平均)
¥1,970/株
悲観34% / 中立39% / 楽観27%
リスク耐性スコア 3/10 より算出
DCF法による算定を見送り
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -505億円 / 2024年度 524億円 / 2023年度 344億円

2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥59。成長率は過去DPS CAGR(10年=17.6%、直近3年=15.2%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(9年)でターミナル成長率に収束。

悲観 34%
半導体設備投資の急減速・液冷需要の立ち上がり遅延
¥713
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト13.6%
ターミナル成長率0.6%
中立 39%
先端ロジック/HBM向け装置の着実な成長と液冷ポンプの段階的拡大
¥1,090
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト10.6%
ターミナル成長率1.2%
楽観 27%
AI/DCインフラ爆発的拡張による液冷・CMP装置の同時急伸
¥1,843
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト8.1%
ターミナル成長率2.0%

2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,104、配当性向35%でBPS追跡。

悲観 34%
半導体設備投資の急減速・液冷需要の立ち上がり遅延
¥408
推定フェアバリュー/株
CoE13.6%
ROE(初年→10年目)-5.0%→8.3%
TV成長率0.6%
中立 39%
先端ロジック/HBM向け装置の着実な成長と液冷ポンプの段階的拡大
¥1,081
推定フェアバリュー/株
CoE10.6%
ROE(初年→10年目)10.4%→10.4%
TV成長率1.2%
楽観 27%
AI/DCインフラ爆発的拡張による液冷・CMP装置の同時急伸
¥1,902
推定フェアバリュー/株
CoE8.1%
ROE(初年→10年目)13.0%→10.6%
TV成長率2.0%

PERマルチプル法。ピークEPS=¥166、総合スコア3.8から指数関数的に倍率算出。

悲観 34%
半導体設備投資の急減速・液冷需要の立ち上がり遅延
¥1,164
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥166
想定PER7倍
中立 39%
先端ロジック/HBM向け装置の着実な成長と液冷ポンプの段階的拡大
¥1,663
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥166
想定PER10倍
楽観 27%
AI/DCインフラ爆発的拡張による液冷・CMP装置の同時急伸
¥2,827
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥166
想定PER17倍

過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=1.35倍、現BPS=¥1,104。

PBR推移(月次・全期間)
PBR月次 下位25% (1.09) 中央値 (1.35) 上位25% (1.67)
悲観 34%
半導体設備投資の急減速・液冷需要の立ち上がり遅延
¥1,208
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PBR1.09倍
中立 39%
先端ロジック/HBM向け装置の着実な成長と液冷ポンプの段階的拡大
¥1,489
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PBR1.35倍
楽観 27%
AI/DCインフラ爆発的拡張による液冷・CMP装置の同時急伸
¥1,849
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PBR1.67倍

過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥166。

PER推移(月次・全期間、赤字年除外)
PER月次 下位25% (14.8) 中央値 (21.8) 上位25% (46.0)
悲観 34%
半導体設備投資の急減速・液冷需要の立ち上がり遅延
¥2,461
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PER14.8倍
中立 39%
先端ロジック/HBM向け装置の着実な成長と液冷ポンプの段階的拡大
¥3,619
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PER21.8倍
楽観 27%
AI/DCインフラ爆発的拡張による液冷・CMP装置の同時急伸
¥7,644
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PER46.0倍

10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)

総合判定(期待利回り vs 必要利回り)
回避
期待年利が必要利回りを上回る確率: 1.9%
期待年利(10年保有した場合)
下振れ -20.1% / 中央 -10.0% / 上振れ 3.0%
中央シナリオで必要利回り(7〜8%目安)を超えるか
10年後株価の幅(5000シナリオ)
下振れ ¥103 / 中央 ¥747 / 上振れ ¥5,106
現在 ¥5,750 → 分布の下から 1%地点(低いほど割安)
10年以内の倒産・上場廃止確率
0.4%
10年後の状態: 成長18% 横ばい65% 衰退17% 倒産・上場廃止0%
事象タグ別の10年発生確率
好況・上振れサイクル
52.1%
バリュエーション低下
51.7%
景気後退・需要減
50.3%
株主還元強化
42.7%
AI投資の供給側恩恵
35.5%
利益率改善
33.2%
AI電力・光通信インフラ需要
30.1%
大幅業績ショック
25.0%
利益率悪化
24.1%
バリュエーション上昇
21.0%
競争優位低下
17.1%
構造的衰退
13.4%
過剰債務・既存株主毀損
11.3%
希薄化・増資
5.1%
銘柄の状態、業種の景気敏感度、スコア、資本効率、現在PBRなどから各事象の露出度を作り、EPS/BPSシミュレーション内で発生させています。
📊 10年後の株価予想分布(5000通りのシナリオ)
横軸 = 10年後の株価 / 縦軸 = その株価に到達するシナリオ数。 現在 ¥5,750(赤線)より右に分布があれば株価上昇期待、左なら下落リスク。
株価の10年推移予想(中央線=中央シナリオ、帯=下振れ〜上振れ)
入力値 / 各モデルの結果下振れ中央上振れ
必要利回り(株主資本コスト)6.59%10.09%14.59%
成長持続年数(競争優位性に連動)7年10年13年
EPS/BPS-first MC 適正株価(中央)¥1,131
10年後EPS/BPS×出口評価(中央)¥1,131
スタート時の状態C(名目永続成長率 1.0%、直近売上成長 11.0%)

※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。

評価モデル 悲観 (34%) 中立 (39%) 楽観 (27%) 加重平均
DCF
配当割引 ¥713 ¥1,090 ¥1,843 ¥1,165
残余利益 ¥408 ¥1,081 ¥1,902 ¥1,074
PERマルチプル ¥1,164 ¥1,663 ¥2,827 ¥1,808
PBR分位法 ¥1,208 ¥1,489 ¥1,849 ¥1,491
PER分位法 ¥2,461 ¥3,619 ¥7,644 ¥4,312
モデル平均 ↑ 各モデルの確率加重平均 ¥1,970
📊 株価チャート
バリュエーションゾーン
¥655 割安
¥1,191
FV¥1,970 割高
¥3,213
¥4,016
本レポートは公開情報(有価証券報告書・IR資料・各種統計)に基づく定性・定量分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。財務数値はEDINET開示データより自動取得しており、最新の決算発表を反映していない場合があります。割引率は NYU Stern Damodaran (Jan 2026) の Japan ERP および日本国債利回りを基に算定。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
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