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富士通 銘柄分析・適正株価・割安/割高判定
東証プライム 情報・通信業 DX/官公庁SI/スパコン R&I AA- (stable)
現在値
時価総額
投資テーゼ
富士通は不採算ハードウェア・半導体・PC事業を順次切り離し、官公庁・金融・製造向けSIとDXブランド「Uvance」への収益集中を進める構造転換期にある。スーパーコンピュータ「富岳」で培った高性能計算技術と国内最大級の公共ITインフラ運営実績が参入障壁を形成し、脱請負モデルへの移行が収益性改善の主軸。赤字事業の整理完了後は高マージンのサービス比率上昇が利益レバレッジとなり、国内SIトップ層の中では最も大規模な構造転換を実行中の局面にある。
6
競争優位性
業界内MOAT
6
業界成長性
セクター動態
5
リスク耐性
財務・事業安定性
6
株主還元
配当・自社株買い
7
見通し
上振れ経路の確度
総合スコア
6.0/10
競争優位性
6
業界成長性
6
リスク耐性
5
株主還元
6
見通し
7
📋 事業内容
35,030億円
売上高
FY2026実績
4,494億円
親会社帰属
純利益
3,381億円
営業CF
FY2026実績
59.5%
自己資本
比率
22.1%
ROE
FY2026

富士通は国内最大規模のITサービス・SI企業であり、官公庁・金融・製造・流通を主要顧客基盤とする。スーパーコンピュータ「富岳」(理化学研究所連携)は科学技術計算・創薬・気象シミュレーション分野での圧倒的な実績を持つ。DXブランド「Uvance」のもとにクラウド移行・AI活用・サステナビリティ支援を統合し、従来の請負SI依存から脱却するビジネスモデル転換を推進中。コンサルティング子会社Ridgelinezにより上流から下流まで一貫支援体制を整備。FCCL(ノートPC)はLenovo主導出資の下で独立経営、半導体関連(旧富士通エレクトロニクス)はInfineonグループへ移行済みであり、本体の事業集中は完了に近い段階にある。ERPパッケージ「GLOVIA」は製造業向けに継続して安定顧客基盤を維持している。

競争優位性(業界内MOAT) 6/10

① 官公庁・金融向けSIの長期受注関係

中央省庁・地方自治体・メガバンクとの数十年単位のシステム運営実績は、組織的な信頼関係と業務ノウハウの蓄積に裏打ちされており、競合が短期間で代替することは現実的に困難。レガシーシステムの維持管理と次世代移行を一体で受注できる立場は、中長期の収益安定性を支えている。

② 富岳・高性能計算技術の国内独自性

理化学研究所と共同開発した「富岳」は汎用超並列計算機として世界最高水準の実績を持ち、創薬・素材開発・気象予測などの分野で国内唯一に近い商業活用基盤を形成している。量子コンピューティング研究との連携も進んでおり、次世代計算基盤での先行優位が期待できる。

③ Uvanceブランドによる顧客基盤横断のDX展開

既存の大規模顧客基盤に対してクラウド・AI・サステナビリティ支援をクロスセルする構造は、新規顧客獲得コストなしに単価引き上げを実現できる優位なポジション。Ridgelinezによる戦略コンサルとの連携で上流からの提案力が強化され、競合SIerとの差別化要素になりつつある。

📈 業界の成長性・セクター動態 6/10

中期見通し

ガバメントクラウド対応・マイナンバー活用拡大・医療DXといった国策案件が中期の受注を支える構造は続く見通し。Uvanceの売上比率向上が営業利益率改善の主ドライバーであり、サービス比率が上昇するにつれ利益レバレッジが効きやすい体質へ移行する。

長期構造的トレンド

生成AI活用の業務実装ニーズは官公庁・金融・製造の全顧客層で急速に高まっており、富士通が持つ顧客接点と既存システム知識は競合に対する先行優位となる。社会インフラのデジタル化——電力・交通・医療・行政——という長期テーマは国内SIerへの安定した案件供給源となり続ける。

⚠️ リスクファクター分析 5/10

スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。

高リスク大型公共プロジェクトの工事損失・納期遅延リスク

マイナンバー・社会保障・省庁基幹システム等の大型開発案件は、要件変更・人材不足・サプライチェーン調整により工期延長と費用超過が生じるリスクが残る。過去に複数の公共案件で損失計上の実績があり、プロジェクト管理の高度化が継続課題。一件の大型損失案件が通期業績見通しを大きく引き下げる構造的脆弱性がある。

高リスク構造改革費用の継続計上による短期利益の不安定性

赤字事業の整理・拠点統廃合・人員再配置に伴う一時費用は、転換期のある数年間にわたって発生し続ける可能性が高い。アナリスト予想との乖離が生じやすく、開示タイミングによって株価が大きく振れる局面がある。改革の進捗と費用の見通しに対する投資家の信頼度が株式評価の鍵を握る。

中リスククラウドシフトによるSI単価・ボリュームへの構造的下押し

顧客のパブリッククラウド移行が進むにつれ、オンプレミス保守・開発案件の量的減少は避けられない。クラウド対応サービスへの移行で単価を維持または向上できるかは、Uvance展開のスピードと深度にかかっており、移行が遅れた場合は売上規模の縮小が先行するリスクがある。

中リスクIT人材獲得競争と離職率上昇

生成AI・クラウドに精通した高スキル人材の争奪は国内外で激化しており、GAFAMや外資系コンサルとの報酬格差が人材定着の課題となりつつある。富士通は処遇改革(ジョブ型人事制度導入)を進めているが、即効性には限界があり、競合に対する人材面での相対的魅力低下は中長期リスクとして残存する。

💡 見通し(上振れ経路と実現確度) 7/10

業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。

ガバメントクラウドと公共DXの大型案件波

デジタル庁主導のガバメントクラウド移行・マイナンバー活用拡大・自治体システム標準化といった国策案件は、中央省庁から地方まで数兆円規模の投資を長期にわたって誘発する。国内最大の公共IT実績と既存顧客関係を持つ富士通はこの波の主要受益者であり、大規模な新規受注の積み上がりが今後数年の業績を下支えする構造にある。

💰 株主還元政策 6/10

赤字事業の切り離しと構造改革の進展によりROEは改善トレンドにあり、2020年代後半にかけてのサービス比率上昇が資本効率をさらに押し上げると期待される。配当政策は安定的な連続増配路線を維持しており、自社株買いとの組み合わせで株主還元の水準は着実に向上している。構造改革関連の特別損失が一段落した後のフリーキャッシュフロー創出力向上が、還元余力拡大の主なトリガーとなる見込み。グローバルITサービス企業との評価倍率格差は依然として存在するが、収益モデルの転換が可視化されるにつれてその格差は縮小する方向性にある。

EPS / DPS 長期推移(年次・全期間)
EPS(1株益) DPS(1株配当年間)
⚖️ 内在価値の推定(確率加重フェアバリュー)
📐 株主資本コスト(CoE)の算出
30年国債利回り(リスクフリーレート)+3.70%
成熟市場ERP(Damodaran)+4.23%
日本カントリーリスクプレミアム+0.91%
業種ベータ(ITサービス・ソフトウェア)×1.42
 → 業種調整後の市場リスクプレミアム+7.31%
リスク耐性スコア調整(5/10)+0.00%
MOAT スコア調整(6/10)+0.00%
格付け調整(R&I AA-)-0.50%
当社中立CoE10.51%
悲観 CoE
13.5%
中立 CoE
10.5%
楽観 CoE
8.0%
リスク耐性スコア(5/10)を用いて3シナリオに確率ウェイトを配分。安定性が高いほど中立シナリオの比重が増し、リスクが高いほど悲観・楽観シナリオの比重が増加する。各モデルの確率加重平均を等ウェイトで平均した値を総合フェアバリューとして表示。
悲観 35%
中立 40%
楽観 25%
悲観 35% — Uvance展開遅延と公共案件単価圧縮で利益率改善が停滞
中立 40% — 赤字事業整理完了とUvance拡大で営業利益率が段階的に上昇
楽観 25% — DX需要加速と公共クラウド移行が重なりサービス比率が急伸し高ROE水準を実現
総合フェアバリュー(確率加重・4モデル平均)
¥2,112/株
悲観35% / 中立40% / 楽観25%
リスク耐性スコア 5/10 より算出
DCF法による算定を見送り
直近3期のFCFブレが30%超のため、DCF法による算定を見送り(年次変動が大きく将来推計が困難)
直近3期FCF: 2026年度 4,826億円 / 2025年度 2,147億円 / 2024年度 1,520億円

2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥50。成長率は過去DPS CAGR(10年=16.7%、直近3年=27.7%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(11年)でターミナル成長率に収束。

悲観 35%
Uvance展開遅延と公共案件単価圧縮で利益率改善が停滞
¥758
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト13.5%
ターミナル成長率2.2%
中立 40%
赤字事業整理完了とUvance拡大で営業利益率が段階的に上昇
¥1,564
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト10.5%
ターミナル成長率3.1%
楽観 25%
DX需要加速と公共クラウド移行が重なりサービス比率が急伸し高ROE水準を実現
¥3,689
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト8.0%
ターミナル成長率3.7%

2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,148、配当性向20%でBPS追跡。

悲観 35%
Uvance展開遅延と公共案件単価圧縮で利益率改善が停滞
¥574
推定フェアバリュー/株
CoE13.5%
ROE(初年→10年目)-1.3%→9.9%
TV成長率2.2%
中立 40%
赤字事業整理完了とUvance拡大で営業利益率が段階的に上昇
¥1,582
推定フェアバリュー/株
CoE10.5%
ROE(初年→10年目)12.3%→12.3%
TV成長率3.1%
楽観 25%
DX需要加速と公共クラウド移行が重なりサービス比率が急伸し高ROE水準を実現
¥3,305
推定フェアバリュー/株
CoE8.0%
ROE(初年→10年目)15.9%→12.2%
TV成長率3.7%

PERマルチプル法。ピークEPS=¥138、総合スコア6.0から指数関数的に倍率算出。

悲観 35%
Uvance展開遅延と公共案件単価圧縮で利益率改善が停滞
¥1,244
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥138
想定PER9倍
中立 40%
赤字事業整理完了とUvance拡大で営業利益率が段階的に上昇
¥1,936
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥138
想定PER14倍
楽観 25%
DX需要加速と公共クラウド移行が重なりサービス比率が急伸し高ROE水準を実現
¥3,180
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥138
想定PER23倍
PBR法による価値算定を見送り
過去PBR中央値が1.5超のため、PBR法による価値算定は適していません(高ROE/成長銘柄)

過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥138。

PER推移(月次・全期間、赤字年除外)
PER月次 下位25% (16.2) 中央値 (20.5) 上位25% (30.5)
悲観 35%
Uvance展開遅延と公共案件単価圧縮で利益率改善が停滞
¥2,242
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PER16.2倍
中立 40%
赤字事業整理完了とUvance拡大で営業利益率が段階的に上昇
¥2,834
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PER20.5倍
楽観 25%
DX需要加速と公共クラウド移行が重なりサービス比率が急伸し高ROE水準を実現
¥4,211
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PER30.5倍

10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)

総合判定(期待利回り vs 必要利回り)
回避
期待年利が必要利回りを上回る確率: 19.9%
期待年利(10年保有した場合)
下振れ -9.9% / 中央 3.5% / 上振れ 15.3%
中央シナリオで必要利回り(7〜8%目安)を超えるか
10年後株価の幅(5000シナリオ)
下振れ ¥371 / 中央 ¥3,193 / 上振れ ¥11,525
現在 ¥3,382 → 分布の下から 1%地点(低いほど割安)
10年以内の倒産・上場廃止確率
0.1%
10年後の状態: 成長30% 横ばい63% 衰退7% 倒産・上場廃止0%
事象タグ別の10年発生確率
AIエージェント代替・内製化リスク
58.3%
株主還元強化
49.2%
景気後退・需要減
42.5%
バリュエーション低下
34.4%
AI活用による生産性上振れ
31.8%
バリュエーション上昇
26.2%
利益率改善
23.0%
好況・上振れサイクル
19.8%
利益率悪化
18.8%
AI代替・知識労働サービス圧迫
17.6%
大幅業績ショック
15.4%
構造的衰退
10.9%
競争優位低下
8.7%
TOB・買収
2.6%
銘柄の状態、業種の景気敏感度、スコア、資本効率、現在PBRなどから各事象の露出度を作り、EPS/BPSシミュレーション内で発生させています。
📊 10年後の株価予想分布(5000通りのシナリオ)
横軸 = 10年後の株価 / 縦軸 = その株価に到達するシナリオ数。 現在 ¥3,382(赤線)より右に分布があれば株価上昇期待、左なら下落リスク。
株価の10年推移予想(中央線=中央シナリオ、帯=下振れ〜上振れ)
入力値 / 各モデルの結果下振れ中央上振れ
必要利回り(株主資本コスト)8.18%11.68%16.18%
成長持続年数(競争優位性に連動)7年10年13年
EPS/BPS-first MC 適正株価(中央)¥1,957
10年後EPS/BPS×出口評価(中央)¥1,957
スタート時の状態S(名目永続成長率 2.0%、直近売上成長 -1.2%)

※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。

評価モデル 悲観 (35%) 中立 (40%) 楽観 (25%) 加重平均
DCF
配当割引 ¥758 ¥1,564 ¥3,689 ¥1,813
残余利益 ¥574 ¥1,582 ¥3,305 ¥1,660
PERマルチプル ¥1,244 ¥1,936 ¥3,180 ¥2,005
PBR分位法
PER分位法 ¥2,242 ¥2,834 ¥4,211 ¥2,971
モデル平均 ↑ 各モデルの確率加重平均 ¥2,112
📊 株価チャート
バリュエーションゾーン
¥663 割安
¥1,205
FV¥2,112 割高
¥3,596
¥4,495
本レポートは公開情報(有価証券報告書・IR資料・各種統計)に基づく定性・定量分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。財務数値はEDINET開示データより自動取得しており、最新の決算発表を反映していない場合があります。割引率は NYU Stern Damodaran (Jan 2026) の Japan ERP および日本国債利回りを基に算定。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
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