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FY2026実績
純利益
FY2026実績
比率
FY2026
富士通は国内最大規模のITサービス・SI企業であり、官公庁・金融・製造・流通を主要顧客基盤とする。スーパーコンピュータ「富岳」(理化学研究所連携)は科学技術計算・創薬・気象シミュレーション分野での圧倒的な実績を持つ。DXブランド「Uvance」のもとにクラウド移行・AI活用・サステナビリティ支援を統合し、従来の請負SI依存から脱却するビジネスモデル転換を推進中。コンサルティング子会社Ridgelinezにより上流から下流まで一貫支援体制を整備。FCCL(ノートPC)はLenovo主導出資の下で独立経営、半導体関連(旧富士通エレクトロニクス)はInfineonグループへ移行済みであり、本体の事業集中は完了に近い段階にある。ERPパッケージ「GLOVIA」は製造業向けに継続して安定顧客基盤を維持している。
① 官公庁・金融向けSIの長期受注関係
中央省庁・地方自治体・メガバンクとの数十年単位のシステム運営実績は、組織的な信頼関係と業務ノウハウの蓄積に裏打ちされており、競合が短期間で代替することは現実的に困難。レガシーシステムの維持管理と次世代移行を一体で受注できる立場は、中長期の収益安定性を支えている。
② 富岳・高性能計算技術の国内独自性
理化学研究所と共同開発した「富岳」は汎用超並列計算機として世界最高水準の実績を持ち、創薬・素材開発・気象予測などの分野で国内唯一に近い商業活用基盤を形成している。量子コンピューティング研究との連携も進んでおり、次世代計算基盤での先行優位が期待できる。
③ Uvanceブランドによる顧客基盤横断のDX展開
既存の大規模顧客基盤に対してクラウド・AI・サステナビリティ支援をクロスセルする構造は、新規顧客獲得コストなしに単価引き上げを実現できる優位なポジション。Ridgelinezによる戦略コンサルとの連携で上流からの提案力が強化され、競合SIerとの差別化要素になりつつある。
中期見通し
ガバメントクラウド対応・マイナンバー活用拡大・医療DXといった国策案件が中期の受注を支える構造は続く見通し。Uvanceの売上比率向上が営業利益率改善の主ドライバーであり、サービス比率が上昇するにつれ利益レバレッジが効きやすい体質へ移行する。
長期構造的トレンド
生成AI活用の業務実装ニーズは官公庁・金融・製造の全顧客層で急速に高まっており、富士通が持つ顧客接点と既存システム知識は競合に対する先行優位となる。社会インフラのデジタル化——電力・交通・医療・行政——という長期テーマは国内SIerへの安定した案件供給源となり続ける。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
マイナンバー・社会保障・省庁基幹システム等の大型開発案件は、要件変更・人材不足・サプライチェーン調整により工期延長と費用超過が生じるリスクが残る。過去に複数の公共案件で損失計上の実績があり、プロジェクト管理の高度化が継続課題。一件の大型損失案件が通期業績見通しを大きく引き下げる構造的脆弱性がある。
赤字事業の整理・拠点統廃合・人員再配置に伴う一時費用は、転換期のある数年間にわたって発生し続ける可能性が高い。アナリスト予想との乖離が生じやすく、開示タイミングによって株価が大きく振れる局面がある。改革の進捗と費用の見通しに対する投資家の信頼度が株式評価の鍵を握る。
顧客のパブリッククラウド移行が進むにつれ、オンプレミス保守・開発案件の量的減少は避けられない。クラウド対応サービスへの移行で単価を維持または向上できるかは、Uvance展開のスピードと深度にかかっており、移行が遅れた場合は売上規模の縮小が先行するリスクがある。
生成AI・クラウドに精通した高スキル人材の争奪は国内外で激化しており、GAFAMや外資系コンサルとの報酬格差が人材定着の課題となりつつある。富士通は処遇改革(ジョブ型人事制度導入)を進めているが、即効性には限界があり、競合に対する人材面での相対的魅力低下は中長期リスクとして残存する。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
デジタル庁主導のガバメントクラウド移行・マイナンバー活用拡大・自治体システム標準化といった国策案件は、中央省庁から地方まで数兆円規模の投資を長期にわたって誘発する。国内最大の公共IT実績と既存顧客関係を持つ富士通はこの波の主要受益者であり、大規模な新規受注の積み上がりが今後数年の業績を下支えする構造にある。
赤字事業の切り離しと構造改革の進展によりROEは改善トレンドにあり、2020年代後半にかけてのサービス比率上昇が資本効率をさらに押し上げると期待される。配当政策は安定的な連続増配路線を維持しており、自社株買いとの組み合わせで株主還元の水準は着実に向上している。構造改革関連の特別損失が一段落した後のフリーキャッシュフロー創出力向上が、還元余力拡大の主なトリガーとなる見込み。グローバルITサービス企業との評価倍率格差は依然として存在するが、収益モデルの転換が可視化されるにつれてその格差は縮小する方向性にある。
リスク耐性スコア 5/10 より算出
直近3期のFCFブレが30%超のため、DCF法による算定を見送り(年次変動が大きく将来推計が困難)
直近3期FCF: 2026年度 4,826億円 / 2025年度 2,147億円 / 2024年度 1,520億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥50。成長率は過去DPS CAGR(10年=16.7%、直近3年=27.7%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(11年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,148、配当性向20%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥138、総合スコア6.0から指数関数的に倍率算出。
過去PBR中央値が1.5超のため、PBR法による価値算定は適していません(高ROE/成長銘柄)
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥138。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 8.18% | 11.68% | 16.18% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥1,957 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥1,957 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 2.0%、直近売上成長 -1.2%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (35%) | 中立 (40%) | 楽観 (25%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥758 | ¥1,564 | ¥3,689 | ¥1,813 |
| 残余利益 | ¥574 | ¥1,582 | ¥3,305 | ¥1,660 |
| PERマルチプル | ¥1,244 | ¥1,936 | ¥3,180 | ¥2,005 |
| PBR分位法 | — | — | — | — |
| PER分位法 | ¥2,242 | ¥2,834 | ¥4,211 | ¥2,971 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥2,112 | ||
¥1,205 FV¥2,112 割高
¥3,596 ¥4,495