6728
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
アルバック(6728)は真空技術を基盤とする産業機器・半導体製造装置メーカー。主力はスパッタリング装置・CVD装置・ドライエッチング装置などの半導体向け成膜・処理装置と、フラットパネルディスプレイ(FPD)向け大型真空装置。さらに太陽電池製造装置、表面処理装置、真空ポンプなど多様な製品群を持つ。売上高の半数以上をアジア向け輸出が占め、特に中国・台湾・韓国の半導体・ディスプレイメーカーが主要顧客。アフターサービスや消耗品・スペアパーツの収入がリカーリング収益として安定性を支える。
①真空技術の深い蓄積と特許群
1952年の創業以来70年超にわたり真空技術を磨いてきたことで、設計・製造ノウハウと特許ポートフォリオが厚く積み上がっている。半導体の微細化・3D化が進むほど高精度の真空制御が必要となり、長年の知見が競合との差別化要因となっている。
②装置組み込みによる高い切り替えコスト
製造装置は顧客の生産プロセスに深く組み込まれるため、一度採用されると変更に高いコストと時間がかかる。特に量産ラインでは装置のメンテナンス・改造履歴が蓄積されており、競合他社への切り替えは生産停止リスクを伴うため、リテンション率が高い。
③グローバルサービスネットワーク
日本・中国・台湾・韓国・欧米に現地法人・サービス拠点を持ち、装置稼働率を最大化するオンサイトサポートを提供。迅速な保守対応能力は顧客の生産継続に直結するため、納入後の関係維持と追加受注につながっている。
中期見通し
2025〜2027年は、AI・HBM向けロジック/メモリ投資の増勢とTSMC熊本・Rapidusなど国内半導体工場建設が受注を押し上げる見込み。FPD向けは中国勢の大型投資一巡で横ばいが続くが、半導体装置の伸びが全体を牽引する。営業利益率は売上増による固定費吸収で10〜13%台への改善が期待でき、EPS400〜500円水準を目指す軌道が視野に入る。
長期構造的トレンド
5〜10年スパンでは、生成AI・自動運転・IoTによる半導体需要の構造的拡大が同社の成長を支える。先端プロセスの微細化・3D積層化では成膜工程が増えるため装置の需要単価も上昇傾向にある。また次世代太陽電池(ペロブスカイト)の量産化や、パワー半導体(SiC/GaN)向け装置は新たな成長市場として期待が高く、長期的な事業領域の拡大が見込まれる。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
顧客の設備投資計画は景気・需給サイクルに左右されやすく、半導体不況局面では受注急減・キャンセルが発生しうる。FY2023のFCFがマイナス147億円となったように、投資期と収益期のギャップが大きい。
売上の相当部分を中国向けが占めるため、米国輸出管理規制(EAR)の強化や日本政府の追加規制が発動された場合、特定装置の輸出が制限され売上が大幅に落ち込むリスクがある。
液晶FPD市場は中国メーカーの過剰設備・低価格競争により新規設備投資が鈍化している。FPD向け装置の比率が高い期間は全体の収益性を圧迫する可能性がある。
売上の過半が海外顧客向けのため、円高が進行すると円換算売上・利益が圧縮される。製品は円建てコストで製造されるため、為替ヘッジが不十分な場合の利益影響は大きい。
真空・成膜技術に精通したエンジニアの採用難が続く中、技術者の流出や採用コスト増加が将来的な成長の制約となる可能性がある。国内製造業全般の課題と共通する。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
生成AIの急拡大を背景に、TSMC・Samsung・Micronなどが先端ロジック・HBMへの設備投資を加速している。スパッタリング・CVD工程の需要増が直接受注に結び付き、今後2〜3年の業績押し上げが期待される。
日本政府の半導体国産化戦略により国内で大型工場建設が進行中。地理的・言語的優位性を持つアルバックは国内案件を優先的に取り込みやすく、中期的な安定受注源となる可能性がある。
次世代太陽電池として注目されるペロブスカイト型は成膜・真空プロセスが必要であり、アルバックの技術が活用できる新市場。量産化が本格化する2027年以降、新たな収益柱となりうる。
アルバックは安定増配を基本方針とし、業績連動型の配当を継続している。FY2025のDPSは164円、FY2024は144円と増配傾向を維持。配当性向は概ね40〜50%前後を意識した運営とみられる。自社株買いも適宜実施しており、資本効率の向上を意識した株主還元姿勢が見られる。設備投資サイクルが落ち込む局面では配当水準を維持する方針を示しており、下方硬直性がある点は評価できる。
リスク耐性スコア 6/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 240億円 / 2024年度 -24億円 / 2023年度 -147億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥164。成長率は過去DPS CAGR(10年=30.1%、直近3年=9.8%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(12年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥4,536、配当性向48%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥729、総合スコア6.4から指数関数的に倍率算出。
過去BPSデータの連続性に問題があるため、PBR法による価値算定を見送り(時系列に不連続な急変あり(株式分割の遡及反映が不完全な可能性))
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥729。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 12.80% | 16.30% | 20.80% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥3,999 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥3,999 | ||
| スタート時の状態 | C(名目永続成長率 2.0%、直近売上成長 0.7%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (34%) | 中立 (32%) | 楽観 (34%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥1,316 | ¥2,775 | ¥6,135 | ¥3,421 |
| 残余利益 | ¥2,452 | ¥5,381 | ¥8,153 | ¥5,328 |
| PERマルチプル | ¥7,287 | ¥10,930 | ¥17,488 | ¥11,921 |
| PBR分位法 | — | — | — | — |
| PER分位法 | ¥9,949 | ¥14,364 | ¥19,177 | ¥14,499 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥8,792 | ||
¥5,251 FV¥8,792 割高
¥12,738 ¥15,923