6890
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
株式会社フェローテック(6890)は半導体製造プロセスに不可欠なシリコン部品(シリコンリング・シリコンフォーカスリング等)、真空シール・磁性流体シール、石英製品、SiC部品、サーモモジュール(熱電変換素子)などを製造・販売するグローバルメーカーである。主要顧客は大手半導体装置メーカーや半導体デバイスメーカーで、エッチング・CVD・イオン注入などの主要製造工程向けに消耗品を供給する。中国・日本・東南アジアに生産拠点を展開し、売上高の大半をアジア市場が占める。FY2019の895億円からFY2025の2,744億円へ約3倍の成長を遂げた。
①高スイッチングコストの消耗品ビジネス
シリコン部品や真空シールは半導体製造装置の性能・歩留まりに直結するため、顧客は一度採用したサプライヤーを簡単に変更できない。製造装置の認定(qualification)プロセスに時間とコストがかかり、実質的な乗り換え障壁となっている。装置稼働中は定期的な交換需要が発生する反復ビジネスモデルが安定収益を支える。
②真空・精密技術の蓄積
磁性流体シールや真空シールの製造には高度な精密加工技術が必要で、同社は数十年にわたる技術蓄積を持つ。特に磁性流体シール分野は世界トップクラスのシェアを持ち、競合参入が困難な専門領域である。この技術基盤がシリコン・石英・SiCなど周辺材料分野への展開を可能にしている。
③中国生産拠点によるコスト優位
中国に大規模な生産拠点を持ち、労働・用地コストで日系競合に対するコスト優位を確保している。中国ローカル半導体メーカーへの近接性も中国市場でのシェア拡大に有利に働く。ただし地政学リスクおよび中国規制の変化が長期的な優位性の変数となる点には注意が必要。
中期見通し
FY2024〜FY2025は半導体投資サイクルの一時的な調整により営業利益が減少したが、AI・データセンター向け先端ロジック半導体の投資再加速が追い風となりFY2026以降の回復が期待される。積極的な設備投資(年間300〜700億円規模のCapEx)による生産能力増強が売上3,000億円超を目指す基盤となる。EV・パワー半導体向けSiC部品の受注拡大も上乗せ要因となる見込みである。
長期構造的トレンド
AIの普及に伴うデータセンター拡張と半導体微細化の継続は、半導体製造消耗品の長期需要を構造的に押し上げる。EV・再生可能エネルギー向けパワー半導体(SiC・GaN)の採用拡大も新たな需要源として5〜10年にわたり成長を支える。さらに半導体製造のリショアリング(日本・欧米での工場建設)もグローバル消耗品市場の拡大に寄与する。技術進化により消耗品の交換サイクルが短縮されるトレンドも単価・ボリューム双方での追い風となる。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
半導体製造装置・材料の需要は設備投資サイクルに強く依存する。景気後退やメモリ過剰在庫局面では顧客の投資削減が消耗品需要を急速に冷やし、売上・利益が大幅に落ち込む可能性がある。FY2023→FY2024の営業利益減少(350→249億円)はその実例である。
自己資本比率0.4%前後という極めて高い負債依存の財務構造は、金利上昇や業績悪化時に資金繰りを急速に悪化させるリスクを内包する。FCFが長期にわたりマイナスであり、借入の継続的な借り換えが前提となっている点は信用リスクとして留意が必要。
売上・生産の大半を中国に依存しており、米中技術摩擦の激化や中国当局の規制強化、輸出規制の波及が事業継続に重大な影響を与えるリスクがある。中国ローカル競合の台頭による価格圧力も中期的な懸念材料となる。
売上の大部分を海外(中国・アジア)で計上しており、円高進行時には円換算業績が悪化する。FY2025は円安恩恵があったが、円高反転局面では利益圧迫要因となる。原材料(ポリシリコン等)の調達コストも為替に連動するため収益の振れ幅が大きい。
将来の半導体製造技術(EUV次世代プロセス等)への移行に際して、現行の消耗品が新素材・新構造の部品に置き換えられるリスクがある。ただし同社は新技術への適応投資を継続しており、短期的な代替リスクは限定的とみられる。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
生成AI・LLM向けGPU・HBMの需要急拡大に伴い、TSMC・Samsung・SKHynixなどのCapExが急増している。同社のシリコン部品・石英部品はこれら先端プロセスへの消耗品として直接恩恵を受け、単価上昇とボリューム拡大の同時実現が期待される。
EV・産業機器向けSiCパワー半導体の採用が急拡大しており、同社のSiC関連部品の受注増加が見込まれる。従来のシリコン系材料から高付加価値のSiC部品へのプロダクトミックス改善は粗利率向上にも寄与し得る。
日本・欧米での半導体工場建設(ラピダス・TSMC熊本等)が進むことで、国内顧客向けの近接供給機会が拡大する。国内生産拠点を持つ同社にとって地政学的に安全な供給源としての評価が高まり、新規顧客獲得につながる可能性がある。
フェローテックの配当政策は成長投資を優先しながらも増配を継続するスタンスで、FY2019の24円からFY2025の141円へ約6倍の増配を実現した。配当性向は明示されていないが、EPSが333円のFY2025に141円の配当は配当性向約42%に相当する。自社株買いは限定的であり株主還元の主軸は配当。FCFマイナスが続く中での積極的な増配は借入依存であるため、業績悪化局面での減配リスクには注意が必要。今後の収益回復と投資一巡によるFCF黒字転換が持続的な還元強化の鍵となる。
リスク耐性スコア 4/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -136億円 / 2024年度 -637億円 / 2023年度 -257億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥141。成長率は過去DPS CAGR(10年=31.2%、直近3年=41.3%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(11年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥5,043、配当性向42%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥645、総合スコア5.8から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=1.05倍、現BPS=¥5,043。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥645。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 12.80% | 16.30% | 20.80% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥2,961 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥2,961 | ||
| スタート時の状態 | 成長(名目永続成長率 2.0%、直近売上成長 20.2%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (37%) | 中立 (26%) | 楽観 (37%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥2,245 | ¥3,860 | ¥6,538 | ¥4,253 |
| 残余利益 | ¥2,408 | ¥5,439 | ¥8,107 | ¥5,305 |
| PERマルチプル | ¥5,803 | ¥9,027 | ¥14,831 | ¥9,982 |
| PBR分位法 | ¥3,682 | ¥5,315 | ¥6,505 | ¥5,151 |
| PER分位法 | ¥4,885 | ¥8,492 | ¥14,212 | ¥9,274 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥6,793 | ||
¥3,805 FV¥6,793 割高
¥10,039 ¥12,549