6952
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
カシオ計算機(6952)は1957年創業の電機メーカーで、電卓・時計(Gショック)・電子楽器・デジタルカメラ・教育機器を主要事業として展開する。売上の中心はウォッチ事業と電卓・電子辞書を含むシステム事業で、グローバルに製品を販売している。Gショックは1983年の発売以来、耐衝撃・防水を軸に世界的なブランドを確立し、特に欧米・アジアの若年層を中心に根強い人気を誇る。一方、電卓市場はスマートフォンの普及により縮小傾向が続いており、主力事業の一角を担う関数電卓は教育機関向けの需要を維持しているものの、売上・利益の構造的な縮小圧力にさらされている。楽器事業(電子ピアノ・キーボード)やデジタルカメラ事業も競合が多く、差別化が課題となっている。
①Gショックのブランド・コミュニティ
Gショックは「落としても壊れない時計」として40年以上にわたりブランドを磨き続け、ミリタリー・アウトドア・ストリートファッションと幅広い層に支持されている。コレクターコミュニティや限定コラボモデルの展開により、単なる時計メーカーを超えたカルチャーブランドとしての地位を確立している。
②教育向け関数電卓のスイッチングコスト
世界各国の教育機関やセンター試験・大学入試での公認使用実績が積み上がっており、一度採用されると生徒・教員双方に使い慣れた機種を継続使用するインセンティブが生まれる。特に理数系教育が盛んな新興国市場では関数電卓の需要が堅調であり、参入障壁として機能している。
③垂直統合による製品開発力
電卓・時計・楽器にわたる長年の製品開発ノウハウと、省電力・超薄型化などの独自技術を保有している。特にソーラー発電・電波時刻合わせを組み合わせたマルチバンド技術は業界内でも高く評価されており、高機能製品の製造コストと品質のバランスを保つ基盤となっている。
中期見通し
2〜3年の中期では、Gショックの高価格帯モデル(プレミアムライン)の展開強化と、アジア・中東・アフリカ向けの拡販によって緩やかな売上回復を目指す方向性が示されている。電卓・楽器事業は構造的縮小の中でコスト最適化を進めつつ、教育向けICT機器との融合製品開発が鍵となる。現時点では大幅な利益回復を見込むのは困難であり、営業利益は150〜200億円程度での推移が基本シナリオとなる。
長期構造的トレンド
5〜10年の長期では、スマートウォッチ市場の拡大とGショックのスマート化(G-SHOCK MOVE等)の成否が最重要テーマとなる。ヘルスケア機能・GPS連携を備えたタフネス系スマートウォッチとしての再定義に成功すれば、アップルウォッチとは異なるニッチを守れる可能性がある。また新興国における中間層の拡大と教育水準向上は、関数電卓・電子辞書の長期需要を下支えする構造的トレンドとなりうる。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
スマートフォン・タブレットの普及により一般電卓・関数電卓の市場は先進国を中心に縮小が続いている。主力事業の一角を担うシステム事業の売上減少は、収益基盤の長期的な弱体化に直結するリスクがある。
売上の半分以上を海外が占める中、円高局面での収益悪化リスクが高い。また半導体・液晶パネルなど電子部品のコスト上昇が製品コストを圧迫しており、価格転嫁が難しい低価格帯製品では利益率がさらに低下する懸念がある。
Apple Watch・Garmin・Samsungなどのスマートウォッチメーカーが機能・デザインの両面で進化を続けており、従来のGショックユーザー層に食い込む可能性がある。特に健康管理機能を重視する若年層へのアピール力が問われる。
2025年度のEPS35円に対しDPS45円と配当性向が100%超の状態が続いており、業績低迷が長引けば配当維持のための財務圧力が高まる。減配となれば株価への下押し圧力が生じる可能性がある。
アジア・中東・アフリカなどの新興国市場は成長ドライバーである一方、為替変動・政治不安・関税政策の変化による需要の急変リスクを内包している。特定市場への依存度が高まると業績のボラティリティが増す懸念がある。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
限定コラボモデルや素材・機能にこだわったプレミアムラインの展開が進んでおり、高価格帯モデルの拡売は収益性の改善に直結する。コレクター市場やファッション感度の高い若年層への訴求強化が鍵となる。
インド・東南アジア・アフリカでは理数系教育の普及に伴い関数電卓の需要が拡大している。現地教育機関との連携強化と現地適合製品の開発により、成熟した先進国市場の縮小を補う成長余地がある。
GPS・心拍数モニタリングを搭載したG-SHOCK MOVEシリーズは、タフネスとスマート機能を組み合わせたニッチを狙う製品群である。アウトドア・ミリタリー・スポーツ用途でのニーズが取り込めれば、スマートウォッチ市場での存在感を高められる可能性がある。
カシオは7期連続でDPS45円の安定配当を維持しており、株主還元への意志は強い。2025年度はEPS35円に対してDPS45円と配当性向が100%を超えており、内部留保の取り崩しによる維持と見られる。FCFはおおむねプラスであり、短期的な減配リスクは低いが、業績が一段と悪化した場合には配当方針の見直しが必要になる可能性がある。自社株買いの実施実績は限定的であり、総還元利回りは配当がほぼ全てを占める構成となっている。
リスク耐性スコア 5/10 より算出
直近3期のFCFブレが30%超のため、DCF法による算定を見送り(年次変動が大きく将来推計が困難)
直近3期FCF: 2025年度 208億円 / 2024年度 303億円 / 2023年度 82億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥45。成長率は過去DPS CAGR(10年=5.4%、直近3年=0.0%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(11年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥956、配当性向90%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥120、総合スコア5.0から指数関数的に倍率算出。
過去PBR中央値が1.5超のため、PBR法による価値算定は適していません(高ROE/成長銘柄)
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥120。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 7.66% | 11.16% | 15.66% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥458 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥458 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 0.5%、直近売上成長 2.8%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (38%) | 中立 (29%) | 楽観 (33%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥319 | ¥527 | ¥971 | ¥594 |
| 残余利益 | ¥517 | ¥1,067 | ¥1,655 | ¥1,052 |
| PERマルチプル | ¥958 | ¥1,437 | ¥2,275 | ¥1,532 |
| PBR分位法 | — | — | — | — |
| PER分位法 | ¥2,368 | ¥2,854 | ¥3,488 | ¥2,879 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥1,514 | ||
¥1,041 FV¥1,514 割高
¥2,097 ¥2,621