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FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
ロームは1958年創業の独立系電子部品・半導体メーカーで、パワーデバイス(SiC MOSFET・ダイオード・GaNなど)、アナログ・LSI、モジュール、受動部品を世界に供給する。売上の約6割を自動車向けが占め、EV・HVの普及を追い風にSiCパワー半導体を戦略コアに据えている。熊本・福岡・タイ・フィリピン等にグローバル製造拠点を持ち、前工程から後工程まで一貫生産する垂直統合型ビジネスモデルが特徴。2024年には福岡県筑後市に300mmウエハー対応のSiC前工程工場(アポロ筑後)を竣工、大型投資サイクルのピークを迎えている。
①SiC基板内製化と製造ノウハウの蓄積
ロームは2009年のSiCry買収以来、SiC単結晶基板の内製化に取り組み、材料から素子まで一気通貫で品質管理できる数少ないメーカーの一社である。基板内製は材料コスト抑制と歩留り改善に直結し、外部調達に依存する競合との差別化要因となっている。
②自動車向け品質認証とロングテール顧客関係
車載半導体はAECQ認定取得に加え、OEMごとの量産承認プロセスに数年を要する。一度採用されれば数世代にわたって継続採用される傾向が強く、トヨタ・ホンダ・欧州OEMなど複数の主要自動車メーカーとの長期取引実績が参入障壁を形成している。
③垂直統合による品質・コストコントロール
前工程(ウエハー加工)から後工程(パッケージング・テスト)まで自社内で完結する垂直統合モデルにより、品質・納期・コストを高次元で管理できる。特に車載・産業向けの高信頼性要求に対応しやすく、ファブレスや水平分業型競合にはない強みを持つ。
中期見通し
2025年3月期は在庫調整と設備償却費増加で赤字転落したが、2026〜2027年3月期にかけてSiC向け車載需要の持ち直しと稼働率回復により営業利益の黒字復帰が見込まれる。アポロ筑後の稼働が本格化すれば生産能力は段階的に拡大し、コスト吸収によるマージン改善が期待される。ただし市況回復ペース次第で上振れ・下振れリスクが大きい局面にある。
長期構造的トレンド
EV化の加速に伴いパワーモジュール1台当たりの半導体搭載量は内燃機関車の数倍に達し、SiCはその中核部品として需要が急拡大する。IEAの試算ではEV販売台数は2030年までに世界で年間4,000万台を超える見通しで、SiC市場は2030年時点で現在の約10倍規模に成長するとも試算される。再生可能エネルギー向けパワコンや産業用モータ制御向けの需要増も追い風であり、ロームの事業機会は構造的に拡大局面にある。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
欧米でのEV販売鈍化や中国EV市場の競争激化が続いた場合、巨額投資で増強したSiC生産設備の稼働率が低迷し、固定費負担が収益を圧迫し続けるリスクがある。投資回収期間の長期化は財務健全性をさらに損なう。
自己資本比率が極めて低水準まで低下しており、金利上昇局面では有利子負債の利息負担が増大する。業績回復が遅れた場合、追加借入や増資による資金調達が必要となり、既存株主の希薄化リスクが生じる可能性がある。
STマイクロ・インフィニオン・オン・セミなど大手が相次いでSiC投資を拡大しており、中長期的な供給増と価格競争の激化は避けられない。ロームの製品差別化が不十分な場合、採算性が悪化するリスクがある。
米中対立の深化による輸出規制強化や、台湾有事リスクに伴うサプライチェーン混乱が、ロームの調達・販売双方に悪影響を及ぼす可能性がある。特に中国市場への依存度が高い製品ラインは影響を受けやすい。
売上高の約7割が海外向けであり、円高が進行した場合は円換算の売上・利益が目減りする。ロームは一定程度の為替ヘッジを実施しているが、急激な円高は業績下押し要因となる。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
世界的なEV普及加速に伴い、車載SiCパワーモジュールの需要は2030年に向けて急拡大が見込まれる。アポロ筑後工場のフル稼働が実現すれば、業績の大幅な改善と株価の大きなバリュエーション修正が期待できる。
太陽光発電用パワコン・産業用モータ・データセンター電源など、EV以外の領域でもSiCおよびGaNパワーデバイスの採用拡大が進んでいる。車載依存を分散しながら需要基盤を拡充できるチャンスがある。
現在の株価はPBR1倍を大きく下回る水準にあり、業績が正常化した局面でのバリュエーション修正による株価上昇余地は大きい。東証の資本効率改善要請を受けた自社株買いや増配が株価の触媒となる可能性もある。
ロームは創業来、長期安定配当を基本方針としており、赤字決算となった2025年3月期も年間50円配当を維持した。配当性向は現状算定不能なほど高く(純損失のため)、実質的に内部留保の取り崩しで配当を支えている形。中長期的には業績回復に応じた増配を目指す方針を示しているが、大型設備投資が一巡するまでは配当の大幅引き上げは難しい見通し。自社株買いについても財務余裕が出てからの検討になると想定される。
リスク耐性スコア 4/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -317億円 / 2024年度 -3,491億円 / 2023年度 99億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥50。成長率は過去DPS CAGR(10年=11.1%、直近3年=2.6%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(12年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥2,305、配当性向45%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥205、総合スコア5.8から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=1.14倍、現BPS=¥2,305。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥205。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 7.39% | 10.89% | 15.39% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥635 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥635 | ||
| スタート時の状態 | L(名目永続成長率 1.0%、直近売上成長 2.8%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (32%) | 中立 (42%) | 楽観 (26%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥416 | ¥770 | ¥1,751 | ¥912 |
| 残余利益 | ¥1,063 | ¥2,757 | ¥5,150 | ¥2,837 |
| PERマルチプル | ¥1,842 | ¥2,865 | ¥4,707 | ¥3,017 |
| PBR分位法 | ¥1,976 | ¥2,620 | ¥3,609 | ¥2,671 |
| PER分位法 | ¥3,746 | ¥5,360 | ¥7,768 | ¥5,470 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥2,981 | ||
¥1,809 FV¥2,981 割高
¥4,597 ¥5,746