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日東電工 銘柄分析・適正株価・割安/割高判定
東証プライム 化学 機能性フィルム JCR AA (stable) R&I AA- (stable)
現在値
時価総額
投資テーゼ
液晶用偏光板で世界最大シェアを持ち、半導体加工テープ・医療テープ・絶縁材料へと展開する機能性フィルム専業の世界的リーダー。OLED移行後も偏光板需要を維持しつつ、水素・脱炭素向けイオン交換膜・燃料電池用膜で次の成長軸を構築中。北米・中国・東南アジアの広域製造網と高参入障壁が安定した超過収益を支える。
9
競争優位性
業界内MOAT
7
業界成長性
セクター動態
8
リスク耐性
財務・事業安定性
7
株主還元
配当・自社株買い
8
見通し
上振れ経路の確度
総合スコア
7.8/10
競争優位性
9
業界成長性
7
リスク耐性
8
株主還元
7
見通し
8
📋 事業内容
10,282億円
売上高
FY2026実績
1,335億円
親会社帰属
純利益
1,922億円
営業CF
FY2026実績
79.6%
自己資本
比率
11.6%
ROE
FY2026

日東電工は機能性フィルム・テープを中核とする素材メーカー。主力の光学フィルム事業では液晶ディスプレイ用偏光板で世界最大シェアを保持し、OLED向け製品への転換も進める。半導体加工テープは先端プロセスのダイシング・バックグラインド工程で高いシェアを持ち、半導体需要の恩恵を安定的に享受する。医療用テープ・絶縁材料は高い参入障壁の下で安定キャッシュを生む。新成長軸として水素製造用水電解膜・燃料電池用膜への展開を本格化しており、脱炭素インフラ素材企業としての再評価が期待される。

競争優位性(業界内MOAT) 9/10

①偏光板世界最大シェアと品質認証の壁

液晶用偏光板で世界市場の過半を占め、主要パネルメーカーとの長期的な品質認証関係が形成する切り替えコストが参入障壁を極めて高くする。精密光学フィルムに求められる均一性・耐久性・寸法精度は、数十年の製造ノウハウに裏打ちされており、新規参入者が短期間で同等の品質を実現することは困難。

②半導体加工テープの工程組み込みによる粘着性

ダイシングテープ・バックグラインドテープは半導体製造プロセスに深く組み込まれており、一度採用されると顧客の歩留まり管理・工程条件と一体化する。先端パッケージング(3D実装・チップレット)の普及に伴い、より高機能な加工テープへの需要がシフトし、日東電工の技術優位を再強化する構造。

③フィルム加工技術の横展開による事業創出力

コア技術である精密フィルム加工・薄膜コーティングを医療テープ・絶縁材料・膜材料へと展開する能力が、連続的な新事業創出を可能にする。水素関連の膜材料開発もこの延長線上にあり、既存技術基盤を活かした低コストでの新市場参入が競争優位を形成する。

📈 業界の成長性・セクター動態 7/10

中期見通し

半導体加工テープは先端パッケージング技術の高度化に伴い付加価値・需要双方が拡大し、安定的な成長ドライバーとして機能する。光学フィルムはOLED向け製品のラインアップ拡充と新興国市場での液晶需要継続により売上を維持。医療・産業テープは安定成長を継続し、全体の収益基盤を底堅くする。

長期構造的トレンド

脱炭素・水素社会の実現に向けたイオン交換膜・燃料電池用膜の需要は、政府主導のグリーンインフラ投資拡大とともに中長期で急拡大が期待される。EV・再エネ・データセンター向けの絶縁・封止材料も構造的成長トレンドに乗る。AI普及に伴うディスプレイ高精細化・多様化も光学フィルムの高付加価値化を促す。

⚠️ リスクファクター分析 8/10

スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。

高リスク液晶パネル需要の構造的縮小と偏光板価格下落

スマートフォン・テレビのOLED移行加速と中国パネルメーカーの過剰供給が液晶用偏光板の需要・価格を双方向から圧迫する。売上・利益への影響が大きい主力事業ゆえ、OLED対応製品への移行ペース次第では一時的な業績の大幅悪化リスクが顕在化する。

高リスク中国事業リスクと地政学的分断

中国に主要製造拠点・販売先を抱えるため、米中技術摩擦の激化・現地規制強化・不買運動等の影響を受けやすい。地政学的緊張が高まる局面では、現地生産能力の稼働率低下や販売先の代替調達への切り替えが業績を直撃するリスクがある。

中リスク水素・膜材料事業の収益化遅延

燃料電池・水電解向け膜材料は現時点での規模が限定的であり、期待される収益貢献には政府補助金・インフラ整備・量産コスト低減が前提となる。これらの条件が揃わない場合、開発投資が先行するだけで業績改善に繋がらない期間が長引くリスクがある。

低リスク原材料・エネルギーコストの上昇

フィルム基材・接着剤原料・電力コストの高騰は製造コストを押し上げ、価格転嫁が遅れる局面では利益率を圧迫する。特にエネルギー集約型の薄膜製造プロセスは電力価格の変動感応度が高く、国内外のエネルギー政策の変化が収益に影響しうる。

💡 見通し(上振れ経路と実現確度) 8/10

業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。

水素・脱炭素インフラ向け膜材料の需要急拡大

各国政府の脱炭素政策とグリーン水素への投資拡大を背景に、水電解装置向けイオン交換膜・固体高分子形燃料電池用膜の需要が中長期で急拡大する見通し。日東電工の精密フィルム加工技術と既存の開発実績は、この市場での早期シェア獲得に有利に働く。大型受注が顕在化した際の株価・業績へのインパクトは大きい。

💰 株主還元政策 7/10

安定した高シェア事業群から生まれる強いキャッシュフローを背景に、継続的な増配と自社株買いを組み合わせた株主還元を実施。ROEは日本製造業平均を上回る水準を維持しており、資本効率への意識が経営方針に反映されている。膜材料事業の収益化が加速する局面では業績の上振れ期待とともにバリュエーション再評価が進み、キャピタルゲイン機会の拡大も見込まれる。

EPS / DPS 長期推移(年次・全期間)
EPS(1株益) DPS(1株配当年間)
⚖️ 内在価値の推定(確率加重フェアバリュー)
📐 株主資本コスト(CoE)の算出
30年国債利回り(リスクフリーレート)+3.70%
成熟市場ERP(Damodaran)+4.23%
日本カントリーリスクプレミアム+0.91%
業種ベータ(機能性化学・電子材料)×1.11
 → 業種調整後の市場リスクプレミアム+5.69%
リスク耐性スコア調整(8/10)-0.80%
MOAT スコア調整(9/10)-0.90%
格付け調整(JCR AA / R&I AA-)-0.50%
当社中立CoE7.19%
悲観 CoE
10.2%
中立 CoE
7.2%
楽観 CoE
6.0%
リスク耐性スコア(8/10)を用いて3シナリオに確率ウェイトを配分。安定性が高いほど中立シナリオの比重が増し、リスクが高いほど悲観・楽観シナリオの比重が増加する。各モデルの確率加重平均を等ウェイトで平均した値を総合フェアバリューとして表示。
悲観 25%
中立 54%
楽観 21%
悲観 25% — 液晶パネル需要の急激な縮小・偏光板価格崩落と水素関連事業の収益化遅延が重なる局面
中立 54% — 液晶・OLED向け偏光板での安定的な高シェア維持と半導体加工テープの拡大、膜材料の段階的な収益貢献
楽観 21% — AI/データセンター向けディスプレイ需要急増・燃料電池膜の大口受注・半導体加工テープの先端パッケージ採用拡大が同時進行
総合フェアバリュー(確率加重・4モデル平均)
¥3,637/株
悲観25% / 中立54% / 楽観21%
リスク耐性スコア 8/10 より算出

2段階DCF(FCF)。直近3期平均FCF(営業CF − 投資CF)を起点に10年成長率をシナリオ別に展開、Phase 2はターミナル成長率で永続割引。ベースFCF/株=¥135。成長率は過去EPS CAGR(10年=8.1%、直近3年=10.1%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(14年、Mauboussin CAP研究準拠)でターミナル成長率に収束。

悲観 25%
液晶パネル需要の急激な縮小・偏光板価格崩落と水素関連事業の収益化遅延が重なる局面
¥2,047
推定フェアバリュー/株
WACC10.2%
ターミナル成長率1.6%
中立 54%
液晶・OLED向け偏光板での安定的な高シェア維持と半導体加工テープの拡大、膜材料の段階的な収益貢献
¥4,475
推定フェアバリュー/株
WACC7.2%
ターミナル成長率2.8%
楽観 21%
AI/データセンター向けディスプレイ需要急増・燃料電池膜の大口受注・半導体加工テープの先端パッケージ採用拡大が同時進行
¥9,345
推定フェアバリュー/株
WACC6.0%
ターミナル成長率3.7%

2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥60。成長率は過去DPS CAGR(10年=8.8%、直近3年=7.7%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(14年)でターミナル成長率に収束。

悲観 25%
液晶パネル需要の急激な縮小・偏光板価格崩落と水素関連事業の収益化遅延が重なる局面
¥892
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト10.2%
ターミナル成長率1.6%
中立 54%
液晶・OLED向け偏光板での安定的な高シェア維持と半導体加工テープの拡大、膜材料の段階的な収益貢献
¥1,898
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト7.2%
ターミナル成長率2.8%
楽観 21%
AI/データセンター向けディスプレイ需要急増・燃料電池膜の大口受注・半導体加工テープの先端パッケージ採用拡大が同時進行
¥3,854
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト6.0%
ターミナル成長率3.7%

2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,696、配当性向30%でBPS追跡。

悲観 25%
液晶パネル需要の急激な縮小・偏光板価格崩落と水素関連事業の収益化遅延が重なる局面
¥1,055
推定フェアバリュー/株
CoE10.2%
ROE(初年→10年目)-3.9%→8.4%
TV成長率1.6%
中立 54%
液晶・OLED向け偏光板での安定的な高シェア維持と半導体加工テープの拡大、膜材料の段階的な収益貢献
¥3,721
推定フェアバリュー/株
CoE7.2%
ROE(初年→10年目)10.9%→10.9%
TV成長率2.8%
楽観 21%
AI/データセンター向けディスプレイ需要急増・燃料電池膜の大口受注・半導体加工テープの先端パッケージ採用拡大が同時進行
¥7,388
推定フェアバリュー/株
CoE6.0%
ROE(初年→10年目)15.6%→10.6%
TV成長率3.7%

PERマルチプル法。ピークEPS=¥197、総合スコア7.8から指数関数的に倍率算出。

悲観 25%
液晶パネル需要の急激な縮小・偏光板価格崩落と水素関連事業の収益化遅延が重なる局面
¥2,169
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥197
想定PER11倍
中立 54%
液晶・OLED向け偏光板での安定的な高シェア維持と半導体加工テープの拡大、膜材料の段階的な収益貢献
¥3,352
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥197
想定PER17倍
楽観 21%
AI/データセンター向けディスプレイ需要急増・燃料電池膜の大口受注・半導体加工テープの先端パッケージ採用拡大が同時進行
¥5,522
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥197
想定PER28倍
PBR法による価値算定を見送り
過去PBR中央値が1.5超のため、PBR法による価値算定は適していません(高ROE/成長銘柄)

過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥197。

PER推移(月次・全期間、赤字年除外)
PER月次 下位25% (14.7) 中央値 (19.0) 上位25% (27.8)
悲観 25%
液晶パネル需要の急激な縮小・偏光板価格崩落と水素関連事業の収益化遅延が重なる局面
¥2,908
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PER14.7倍
中立 54%
液晶・OLED向け偏光板での安定的な高シェア維持と半導体加工テープの拡大、膜材料の段階的な収益貢献
¥3,745
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PER19.0倍
楽観 21%
AI/データセンター向けディスプレイ需要急増・燃料電池膜の大口受注・半導体加工テープの先端パッケージ採用拡大が同時進行
¥5,486
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PER27.8倍

10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)

総合判定(期待利回り vs 必要利回り)
中立
期待年利が必要利回りを上回る確率: 53.0%
期待年利(10年保有した場合)
下振れ -0.6% / 中央 10.8% / 上振れ 20.8%
中央シナリオで必要利回り(7〜8%目安)を超えるか
10年後株価の幅(5000シナリオ)
下振れ ¥1,392 / 中央 ¥6,268 / 上振れ ¥17,141
現在 ¥3,158 → 分布の下から 0%地点(低いほど割安)
10年以内の倒産・上場廃止確率
0.2%
10年後の状態: 成長48% 横ばい51% 衰退1% 倒産・上場廃止0%
事象タグ別の10年発生確率
株主還元強化
58.2%
景気後退・需要減
44.4%
AI先端パッケージ・材料需要
35.1%
好況・上振れサイクル
34.7%
利益率改善
33.6%
バリュエーション低下
32.3%
バリュエーション上昇
30.4%
利益率悪化
17.7%
大幅業績ショック
17.1%
構造的衰退
11.4%
競争優位低下
6.8%
TOB・買収
4.7%
倒産・上場廃止
2.7%
希薄化・増資
0.6%
銘柄の状態、業種の景気敏感度、スコア、資本効率、現在PBRなどから各事象の露出度を作り、EPS/BPSシミュレーション内で発生させています。
📊 10年後の株価予想分布(5000通りのシナリオ)
横軸 = 10年後の株価 / 縦軸 = その株価に到達するシナリオ数。 現在 ¥3,158(赤線)より右に分布があれば株価上昇期待、左なら下落リスク。
株価の10年推移予想(中央線=中央シナリオ、帯=下振れ〜上振れ)
入力値 / 各モデルの結果下振れ中央上振れ
必要利回り(株主資本コスト)6.60%10.10%14.60%
成長持続年数(競争優位性に連動)7年10年13年
EPS/BPS-first MC 適正株価(中央)¥3,891
10年後EPS/BPS×出口評価(中央)¥3,891
スタート時の状態S(名目永続成長率 1.0%、直近売上成長 3.9%)

※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。

評価モデル 悲観 (25%) 中立 (54%) 楽観 (21%) 加重平均
DCF ¥2,047 ¥4,475 ¥9,345 ¥4,891
配当割引 ¥892 ¥1,898 ¥3,854 ¥2,057
残余利益 ¥1,055 ¥3,721 ¥7,388 ¥3,825
PERマルチプル ¥2,169 ¥3,352 ¥5,522 ¥3,512
PBR分位法
PER分位法 ¥2,908 ¥3,745 ¥5,486 ¥3,901
モデル平均 ↑ 各モデルの確率加重平均 ¥3,637
📊 株価チャート
バリュエーションゾーン
¥998 割安
¥1,814
FV¥3,637 割高
¥6,319
¥7,899
本レポートは公開情報(有価証券報告書・IR資料・各種統計)に基づく定性・定量分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。財務数値はEDINET開示データより自動取得しており、最新の決算発表を反映していない場合があります。割引率は NYU Stern Damodaran (Jan 2026) の Japan ERP および日本国債利回りを基に算定。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
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