7013
IHI 銘柄分析・適正株価・割安/割高判定
東証プライム
輸送用機器
重工/航空エンジン
JCR A (positive)
R&I A- (positive)
投資テーゼ
GE・P&W・Rolls-Royceとの合弁による民間航空エンジン収益が長期リカーリング収益を形成。防衛・宇宙・エネルギーインフラとの多角化で景気耐性を持つ重工複合体。
📋
事業内容
IHI(石川島播磨重工業)は航空・宇宙・防衛、資源・エネルギー・環境、社会基盤の3セグメントを持つ総合重工メーカー。売上の最大柱は航空エンジンで、GEとのCFM合弁(LEAP/CFM56)、P&WのPW1000Gシリーズ、Rolls-RoyceのTrent系に主要部品・モジュールを供給する。エンジン販売後のアフターサービス契約(ASC)が長期リカーリング収益を生む構造。エネルギー領域ではLNG受入基地・タンクの建設・保守に強みを持ち、社会基盤では鋼橋・ターボチャージャーも手がける。防衛では航空自衛隊向けエンジン整備・次期戦闘機F-Xへの参画も視野に入る。宇宙ではH3ロケット第2段エンジン(LE-5B改)を担当しJAXAと深く連携。
⚠️
リスクファクター分析
5/10
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
中リスク 航空エンジン品質問題の再発リスク
過去に発覚したジェットエンジン検査データ改ざん問題は航空当局・顧客との信頼を毀損した。再発時は合弁パートナーとの契約見直し・多額の補償コスト・ブランド毀損が発生し株価への打撃は甚大となる可能性がある。
中リスク 円高・為替リスク
航空エンジン収益の大半はドル建てで計上され、円高進行は即座に売上・利益を圧迫する。為替ヘッジを実施するが長期的な円高トレンドへの対応余地は限られる。
中リスク 大型プロジェクトの納期遅延・コスト超過
LNG基地・橋梁・宇宙ロケット等の大型案件は工期遅延や材料費高騰が発生しやすく、固定価格契約の場合は利益が消失するリスクがある。過去にも造船・プラント案件で損失計上の前例あり。
中リスク 航空需要の再失速リスク
パンデミック・地政学的緊張・燃料高による航空需要の急減は、エンジン生産計画の下方修正とASC収益の縮小を招く。エンジン事業への収益集中度が高いため需要ショックの影響は業績全体に波及しやすい。
💡
見通し(上振れ経路と実現確度)
7/10
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
中 次世代エンジン(CFM RISE)への参画
GEとSafranが共同開発する次世代エンジンCFM RISEへのIHI参画が有力視される。オープンファン技術による燃費20%改善を実現する本エンジンは2030年代の主力製品となる見通しで、早期参画によるRSP比率確保が将来の大幅収益拡大に直結する。現時点で株価への織り込みは限定的であり、参画公式発表がカタリストとなりうる。
中 防衛・宇宙領域の拡大
次期戦闘機F-XエンジンへのIHI主導参画、H3後継ロケット開発、防衛省向け誘導弾推進系など、国策と直結した案件群が受注パイプラインを形成。防衛費倍増の予算が本格執行される2026年度以降に受注・売上が加速する見込み。
中 エネルギー転換需要(水素・アンモニア)
IHIはアンモニア混焼タービン・水素ガスタービン技術を保有し、脱炭素インフラの建設需要取り込みを狙う。既存LNGインフラ顧客との関係を活かした受注転換が期待でき、中長期の新規成長ドライバーとなりうる。
💰
株主還元政策
6/10
配当利回りは1〜2%台で推移し重工業セクター平均並み。PERは業績変動が大きいため幅があるが、航空エンジンASC収益の安定性を考慮すると実態より割高感は薄い。自己資本比率は30%台でレバレッジ経営が続くが、大型インフラ案件の受注残が収益見通しの視認性を高める。品質問題後のガバナンス強化コストが短期的に利益率を抑制しているが、正常化後の利益率改善がバリューアップ要因となりうる。
EPS / DPS 長期推移(年次・全期間)
EPS(1株益)
DPS(1株配当年間)
⚖️
内在価値の推定(確率加重フェアバリュー)
📐 株主資本コスト(CoE)の算出
30年国債利回り(リスクフリーレート) +3.70%
成熟市場ERP(Damodaran) +4.23%
日本カントリーリスクプレミアム +0.91%
業種ベータ(航空・防衛) ×1.62
→ 業種調整後の市場リスクプレミアム +8.32%
リスク耐性スコア調整(5/10) +0.00%
MOAT スコア調整(8/10) -0.60%
格付け調整(JCR A / R&I A-) +0.00%
当社中立CoE 11.42%
リスク耐性スコア(5/10)を用いて3シナリオに確率ウェイトを配分。安定性が高いほど中立シナリオの比重が増し、リスクが高いほど悲観・楽観シナリオの比重が増加する。各モデルの確率加重平均を等ウェイトで平均した値を総合フェアバリューとして表示。
悲観 35%
— 航空需要再失速+品質問題再発により補償コスト膨張、エンジン収益が大幅下振れ
中立 40%
— 航空回復継続でエンジンASC収益拡大、防衛予算増が公共インフラ減少を補完
楽観 25%
— 次世代エンジン(RISE等)参画×防衛増税×LNG需要復活で3セグメント同時拡大
総合フェアバリュー(確率加重・4モデル平均)
¥1,282/株
悲観35% / 中立40% / 楽観25%
リスク耐性スコア 5/10 より算出
DCF
配当割引(DDM)
残余利益(RIM)
PERマルチプル
PBR分位法
PER分位法
★MC
DCF法による算定を見送り
直近3期のFCFブレが30%超のため、DCF法による算定を見送り(年次変動が大きく将来推計が困難) 直近3期FCF: 2025年度 1,188億円 / 2024年度 104億円 / 2023年度 18億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥17。成長率は過去DPS CAGR(10年=6.2%、直近3年=19.7%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(13年)でターミナル成長率に収束。
悲観 35%
航空需要再失速+品質問題再発により補償コスト膨張、エンジン収益が大幅下振れ
¥152
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト 14.4%
ターミナル成長率 1.2%
中立 40%
航空回復継続でエンジンASC収益拡大、防衛予算増が公共インフラ減少を補完
¥309
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト 11.4%
ターミナル成長率 2.1%
楽観 25%
次世代エンジン(RISE等)参画×防衛増税×LNG需要復活で3セグメント同時拡大
¥742
推定フェアバリュー/株
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥455、配当性向16%でBPS追跡。
悲観 35%
航空需要再失速+品質問題再発により補償コスト膨張、エンジン収益が大幅下振れ
¥243
推定フェアバリュー/株
CoE 14.4%
ROE(初年→10年目) -0.3%→10.9%
TV成長率 1.2%
中立 40%
航空回復継続でエンジンASC収益拡大、防衛予算増が公共インフラ減少を補完
¥612
推定フェアバリュー/株
CoE 11.4%
ROE(初年→10年目) 13.3%→13.3%
TV成長率 2.1%
楽観 25%
次世代エンジン(RISE等)参画×防衛増税×LNG需要復活で3セグメント同時拡大
¥1,196
推定フェアバリュー/株
CoE 8.9%
ROE(初年→10年目) 16.9%→13.2%
TV成長率 3.3%
PERマルチプル法。ピークEPS=¥106、総合スコア6.4から指数関数的に倍率算出。
悲観 35%
航空需要再失速+品質問題再発により補償コスト膨張、エンジン収益が大幅下振れ
¥1,064
推定フェアバリュー/株
中立 40%
航空回復継続でエンジンASC収益拡大、防衛予算増が公共インフラ減少を補完
¥1,596
推定フェアバリュー/株
楽観 25%
次世代エンジン(RISE等)参画×防衛増税×LNG需要復活で3セグメント同時拡大
¥2,554
推定フェアバリュー/株
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=1.41倍、現BPS=¥455。
PBR推移(月次・全期間)
PBR月次
下位25% (1.15)
中央値 (1.41)
上位25% (2.03)
悲観 35%
航空需要再失速+品質問題再発により補償コスト膨張、エンジン収益が大幅下振れ
¥524
推定フェアバリュー/株
中立 40%
航空回復継続でエンジンASC収益拡大、防衛予算増が公共インフラ減少を補完
¥640
推定フェアバリュー/株
楽観 25%
次世代エンジン(RISE等)参画×防衛増税×LNG需要復活で3セグメント同時拡大
¥921
推定フェアバリュー/株
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥106。
PER推移(月次・全期間、赤字年除外)
PER月次
下位25% (13.1)
中央値 (27.8)
上位25% (53.7)
悲観 35%
航空需要再失速+品質問題再発により補償コスト膨張、エンジン収益が大幅下振れ
¥1,396
推定フェアバリュー/株
中立 40%
航空回復継続でエンジンASC収益拡大、防衛予算増が公共インフラ減少を補完
¥2,959
推定フェアバリュー/株
楽観 25%
次世代エンジン(RISE等)参画×防衛増税×LNG需要復活で3セグメント同時拡大
¥5,717
推定フェアバリュー/株
10年後の株価を 5000通り の未来シナリオでシミュレーション。
業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。
(最終計算: 2026-05-10)
総合判定(期待利回り vs 必要利回り)
回避
期待年利が必要利回りを上回る確率: 5.0%
期待年利(10年保有した場合)
下振れ -12.8% /
中央 -0.3% /
上振れ 9.9%
中央シナリオで必要利回り(7〜8%目安)を超えるか
10年後株価の幅(5000シナリオ)
下振れ ¥193 /
中央 ¥1,876 /
上振れ ¥6,184
現在 ¥3,059 →
分布の下から 1%地点(低いほど割安)
10年以内の倒産・上場廃止確率
0.3%
10年後の状態: 成長28% 横ばい66% 衰退6% 倒産・上場廃止0%
事象タグ別の10年発生確率
銘柄の状態、業種の景気敏感度、スコア、資本効率、現在PBRなどから各事象の露出度を作り、EPS/BPSシミュレーション内で発生させています。
📊 10年後の株価予想分布(5000通りのシナリオ)
横軸 = 10年後の株価 / 縦軸 = その株価に到達するシナリオ数。
現在 ¥3,059 (赤線)より右に分布があれば株価上昇期待、左なら下落リスク。
株価の10年推移予想(中央線=中央シナリオ、帯=下振れ〜上振れ)
入力値 / 各モデルの結果 下振れ 中央 上振れ
必要利回り(株主資本コスト) 9.16% 12.66% 17.16%
成長持続年数(競争優位性に連動) 7年 10年 13年
EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) ¥1,166
10年後EPS/BPS×出口評価(中央) ¥1,166
スタート時の状態 S(名目永続成長率 1.0%、直近売上成長 5.8%)
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
評価モデル
悲観 (35%)
中立 (40%)
楽観 (25%)
加重平均
DCF
—
—
—
—
配当割引
¥152
¥309
¥742
¥362
残余利益
¥243
¥612
¥1,196
¥629
PERマルチプル
¥1,064
¥1,596
¥2,554
¥1,649
PBR分位法
¥524
¥640
¥921
¥670
PER分位法
¥1,396
¥2,959
¥5,717
¥3,101
モデル平均
↑ 各モデルの確率加重平均
¥1,282
📊
株価チャート
バリュエーションゾーン
¥372
割安 ¥676
FV¥1,282
割高 ¥2,226
¥2,783
本レポートは公開情報(有価証券報告書・IR資料・各種統計)に基づく定性・定量分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。財務数値はEDINET開示データより自動取得しており、最新の決算発表を反映していない場合があります。割引率は NYU Stern Damodaran (Jan 2026) の Japan ERP および日本国債利回りを基に算定。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
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