7729
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
東京精密(7729)は1949年創業の精密機器メーカーで、主力は半導体製造向けの「ウェーハ研削・CMP装置」および「計測・検査装置」と、製造業全般向け「3D座標測定機・表面粗さ測定機」の2事業。半導体事業はダイシングソーや研削装置、CMP後のウェーハ厚・形状計測装置を展開し、先端半導体プロセスに不可欠な工程を担う。精密測定事業はエンジンブロック、金型、航空宇宙部品向け精密測定ソリューションを提供。売上規模はFY2025で1,505億円に達し、営業利益率は約20%と業界平均を上回る高収益体質を確立している。消耗品・保守サービスによる安定的なリカーリング収益が業績の底上げに貢献する。
①半導体CMP・研削装置での高いシェアと技術参入障壁
CMP(化学機械研磨)工程後の厚み・形状計測装置や研削装置において東京精密は高い市場シェアを有し、顧客の製造ラインへの深い組み込みがスイッチングコストを高めている。先端プロセスへの対応実績と継続的な技術開発投資が新規参入を困難にしている。
②顧客との長期取引関係とインストールベースの蓄積
国内外の主要半導体デバイスメーカーや装置メーカーとの長年にわたる取引関係は容易に代替されない無形資産。既存インストールベースからの保守・アップグレード需要が安定収益を生み出し、次世代装置採用においても既存顧客への優先的参入機会を創出する。
③精密測定領域でのブランドとアプリケーション知見
自動車・航空宇宙・金型向け精密3D測定機「ACCRETECH」ブランドは国内外で高い認知度を持つ。各産業向けの測定アプリケーション開発ノウハウの蓄積が競合との差別化を維持し、付加価値の高いソリューション提案を可能にしている。
中期見通し
2〜3年の中期では、AI半導体(GPU/HBM)向け先端パッケージング投資の拡大と国内半導体工場(ラピダスなど)の立ち上げが設備投資需要を押し上げる。FY2025のFCF314億円の黒字転換が示す通り、投資負担が一段落した後の利益成長と財務改善が期待される。EPS成長率は年率10〜15%水準が視野に入り、株主還元の拡充余地も生まれよう。
長期構造的トレンド
5〜10年の長期では、半導体微細化(2nm以降)に伴う計測・検査工程の重要性向上と複雑化が東京精密の装置需要を構造的に押し上げる。加えてEV・自動運転の普及による車載半導体増産、データセンター向け先端メモリ投資の継続が業界全体の設備投資規模を底上げする。精密測定事業でもスマートファクトリー・品質管理高度化ニーズが追い風となる。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
半導体需要の減速や在庫調整局面では顧客の設備投資が急速に凍結され、装置受注が大幅に落ち込む。FY2024のFCFが−57億円となった実績が示す通り、投資周期のボラティリティが高く業績への影響は甚大となる可能性がある。
米中摩擦激化に伴う半導体関連機器の輸出規制強化は、中国向け売上(一定比率を占めるとみられる)に直撃する可能性がある。規制の範囲が精密計測装置に及ぶ場合、売上・収益への下押し圧力が顕在化するリスクがある。
ディスコや海外計測装置大手との競争が激化する場合、価格交渉力の低下や利益率圧迫につながる可能性がある。特に中国系新興メーカーの技術向上が国内外市場でのシェア侵食リスクを高めている。
輸出比率が高い精密機器事業にとって、円高進行は海外売上の円換算額を押し下げ、収益に悪影響を及ぼす。特に対ドル・対ユーロでの急激な円高は営業利益率を数ポイント押し下げる可能性がある。
半導体・精密機器分野での高度技術者需要は国内外で逼迫しており、優秀な研究開発・エンジニア人材の採用・定着が困難になる可能性がある。人材不足は製品開発スピードの低下や競争優位の侵食につながりうる。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
AI向けGPUやHBMメモリの生産拡大に伴い、CMP・研削・計測工程への投資が急増する。東京精密の主力製品が直接恩恵を受ける局面であり、受注拡大と利益率向上が同時に実現する可能性が高い。
政府支援のもと国内で先端半導体工場の建設・立ち上げが進む場合、国内顧客からの装置需要が新たに創出される。地理的な近接性や言語・サービス面での優位性を活かした受注獲得が期待できる。
EV普及に伴う車載部品の精密度要求向上や、製造業全般でのスマートファクトリー化推進により、3D座標測定機・表面粗さ測定機の需要が中長期的に拡大する可能性がある。新規顧客開拓による売上多様化にもつながる。
東京精密は安定配当を基本方針とし、配当性向は概ね40%前後を維持。FY2025 DPS ¥253はFY2019比+102%増と、EPS成長に連動した増配を着実に実施している。自社株買いは現状限定的だが、FCFの安定化が進む中で今後の追加的な株主還元強化が期待される。半導体サイクルに応じた利益変動があるも、配当の連続性を重視する姿勢が株主にとっての安心感を提供する。
リスク耐性スコア 6/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 314億円 / 2024年度 -57億円 / 2023年度 -74億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥253。成長率は過去DPS CAGR(10年=21.9%、直近3年=11.0%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(12年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥4,307、配当性向40%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥634、総合スコア6.4から指数関数的に倍率算出。
過去PBR中央値が1.5超のため、PBR法による価値算定は適していません(高ROE/成長銘柄)
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥634。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 6.50% | 10.00% | 14.50% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥8,803 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥8,803 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 1.0%、直近売上成長 7.1%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (29%) | 中立 (48%) | 楽観 (23%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥3,461 | ¥7,530 | ¥23,026 | ¥9,914 |
| 残余利益 | ¥2,114 | ¥5,893 | ¥13,424 | ¥6,529 |
| PERマルチプル | ¥6,338 | ¥9,506 | ¥15,210 | ¥9,899 |
| PBR分位法 | — | — | — | — |
| PER分位法 | ¥6,645 | ¥9,651 | ¥13,752 | ¥9,722 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥9,016 | ||
¥4,640 FV¥9,016 割高
¥16,353 ¥20,441