7956 ピジョン 銘柄分析・適正株価
5.6Sol 個別レビュー
投資テーゼ
ベビー用哺乳器・乳首で国内圧倒的シェアを持つブランドフランチャイズであり、資本コスト6.27%という低さは妥当。ROEは会社予想ベースで11.0%と資本コストを大きく上回り、成長率1%前提の理論PBRは1.90倍、2%前提でも2.11倍で、現値のPBR2.93倍はこれを上回る。2025年12月期は売上1091.7億円・営業利益131.6億円・経常136.8億円・純利益85.7億円と回復基調にあり、中国事業への集中的な成長投資が9カ月累計で売上805.26億円(前年同期比5.9%増)・営業利益100.28億円(同18.2%増)と実を結び始めた。2026年12月期会社予想は売上1135億円(同4.0%増)・営業利益139億円(同5.6%増)・純利益91.4億円・EPS76.39円。ブランドの質は割り引かないが、二大市場の出生数減という数量の逆風に対して26.6倍は払い過ぎと判断し、中立は会社予想EPSにPER24.6倍を当てた1880円とした。配当利回り3.75%は下値の支え。
主な懸念
成長が止まったクオリティ銘柄に成長株の倍率が付いたままである点が最大の懸念。売上は2020年12月期994億円から2025年12月期1091.7億円までの5年でCAGR1.9%、営業利益に至っては2020年の153億円がピークで2025年は131.6億円と6年たっても前ピークを回復していない。EPSも2020年88.93円に対し2025年は71.64円で2割減。株価2028.5円は2026年12月期会社予想EPS76.39円に対しPER26.6倍、BPS693.1円に対しPBR2.93倍と高い。DPS76円は予想EPS76.39円と同額で配当性向は約99.5%、内部留保がほぼ残らないため自己資本からの成長は期待しにくく、実質的に永久債に近いキャッシュフローとして評価すべき。資本コスト6.27%で会社予想EPS76.39円を割り引くと成長ゼロで1218円、永久成長2%でも1789円にしかならず、現値は約2.5%の永久成長を前提としている。しかし主戦場である日本の出生数は年70万人割れ、中国も出生数減少と現地ブランドとの競合で減速しており、二大市場の数量は構造的にマイナス。DBのeps_0=74.4は実績71.64円と会社予想76.39円の中間の混成値(bps_0=693.1とdividend_0=76.0は実績と一致)。
シナリオ内訳
| シナリオ | 確率 | 妥当価値 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 悲観 | 14.0% | 1,150円 | 中国の出生数減と現地ブランド競合で中国売上が二桁減。EPS55円×PER20.9倍、PBR1.66倍。配当性向99.5%を支えきれずDPS55円へ減配。 |
| 弱気 | 28.0% | 1,500円 | 日本の出生数70万人割れで国内が縮小しEPS68円×PER22.1倍、PBR2.16倍。成長率1%前提の理論PBR1.90倍近辺。 |
| 中立 | 30.0% | 1,880円 | 会社予想EPS76.39円×PER24.6倍、PBR2.71倍。資本コスト6.27%・永久成長2%のDDM(1789円)とおおむね整合。 |
| 強気 | 20.0% | 2,450円 | インド・ASEANの新規獲得と中国プレミアム帯の回復でEPS95円×PER25.8倍、PBR3.54倍。 |
| 楽観 | 8.0% | 3,050円 | 営業利益が2020年ピーク153億円を超えEPS115円×PER26.5倍、PBR4.40倍。成長株としての再評価を伴う。 |
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
同社は日用品や生活関連製品を通じて、家庭の継続需要を取り込む。毎日の使用頻度が高いぶん、品質の安定と買いやすさが重視される。ブランド力だけでなく、店頭で手に取られる導線づくりも大切だ。定番の強さと新提案のバランスが事業の表情を決める。
日用品では、認知、棚取り、使用体験の積み重ねが堀になる。習慣として使われる商品を持つ企業は、価格差だけで離れにくい。供給の確かさや販路との関係も、見えにくい競争力として効く。とはいえ模倣や比較は起きやすく、守り続ける努力が欠かせない。
成長余地は、新カテゴリの開拓や高付加価値化にある。生活者の不便を小さく解く商品は、成熟市場でも伸びしろを作りやすい。定番が強い企業ほど、新商品にも信頼を乗せやすい。海外や周辺用途へ広がると、評価の幅も出やすい。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
原材料や物流費の上昇が続くと、定番品ほど採算が圧迫されやすい。値上げの伝え方も難しくなりがちだ。
店頭の限られた場所を巡る競争は常に強い。新商品が定着しないと投資効率が悪くなりやすい。
定番に頼り過ぎると、生活者の気分変化に置いていかれやすい。小さな古さが積み重なると戻しにくい。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
機能や使い心地で選ばれる商品が増えれば、価格勝負を避けやすい。利益の質も改善しやすい。
既存ブランドを近い用途へ広げられれば、販路効率が上がりやすい。無理のない成長の形を作れる。
不安定な局面ほど、繰り返し買われる日用品の強さは見直されやすい。守りのある銘柄として評価されやすい。
日用品企業は比較的安定した需要を持つため、還元の継続性が見られやすい。もっとも広告や開発への投資を止めると、ブランドの鮮度は落ちやすい。基盤を守りながら配分する姿勢が重要になる。長く支持される企業ほど、資本配分にも落ち着きが出やすい。
リスク耐性スコア 7/10 より算出
直近3期のFCFブレが30%超のため、DCF法による算定を見送り(年次変動が大きく将来推計が困難)
直近3期FCF: 2025年度 99億円 / 2024年度 131億円 / 2023年度 91億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥76。成長率は過去DPS CAGR(10年=7.9%、直近3年=0.0%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(11年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥693、配当性向90%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥121、総合スコア5.2から指数関数的に倍率算出。
過去PBR中央値が1.5超のため、PBR法による価値算定は適していません(高ROE/成長銘柄)
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥121。
10年後の株価を 1000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-07-29)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 3.00% | 6.27% | 10.77% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥1,761 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥1,804 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 1.1%、直近売上成長 5.1%) | ||
※ 試算精度について:現在は 1000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (36%) | 中立 (36%) | 楽観 (28%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥746 | ¥1,609 | ¥2,694 | ¥1,602 |
| 残余利益 | ¥384 | ¥862 | ¥1,092 | ¥754 |
| PERマルチプル | ¥970 | ¥1,576 | ¥2,424 | ¥1,595 |
| PBR分位法 | — | — | — | — |
| PER分位法 | ¥2,891 | ¥3,522 | ¥4,943 | ¥3,693 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥1,911 | ||
¥1,248 FV¥1,911 割高
¥2,788 ¥3,485