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長瀬産業 銘柄分析・適正株価・割安/割高判定
東証プライム 化学品・素材専門卸 グローバル専門商社・高付加価値提案 R&I A+ (stable)
現在値
時価総額
投資テーゼ
長瀬産業は化学品・機能材料・ライフサイエンスを軸とする専門商社であり、単なる仲介にとどまらず技術提案・ソリューション提供による差別化が競争優位の源泉。直近7期で売上は8000億円前後を安定維持しつつEPS・DPSともに着実な増加基調を示しており、成熟した事業ポートフォリオながら配当成長株としての評価が高まりつつある。時価総額約5176億円・株価1178円水準は業績トレンドに対して依然割安感が残り、配当利回り改善とROE向上施策の進展が株価再評価の鍵となる。
6
競争優位性
業界内MOAT
5
業界成長性
セクター動態
5
リスク耐性
財務・事業安定性
6
株主還元
配当・自社株買い
5
見通し
上振れ経路の確度
総合スコア
5.4/10
競争優位性
6
業界成長性
5
リスク耐性
5
株主還元
6
見通し
5
📋 事業内容
9,450億円
売上高
FY2025実績
255億円
親会社帰属
純利益
363億円
営業CF
FY2025実績
49.3%
自己資本
比率
6.3%
ROE
FY2025

長瀬産業は1832年創業の老舗専門商社で、化学品・機能材料・ライフサイエンス・電子材料を中核事業として展開する。単なる製品販売にとどまらず、技術的な提案・ソリューション提供を通じて顧客の開発・製造プロセスに深く関与するビジネスモデルが特徴。売上高は7800億〜9400億円の規模で推移しており、グローバルでの事業展開により需要変動への分散効果も持つ。自動車・電機・製薬・食品などの幅広い産業に素材・原料・加工品を供給しており、産業横断的な需要基盤が収益安定性を支えている。

競争優位性(業界内MOAT) 6/10

①メーカー認定代理店資格・独占取扱権

大手化学品・素材メーカーから認定を受けた正規代理店として特定製品の独占または優先販売権を持つケースがあり、競合他社との差別化要因となっている。長年の取引実績と技術的信頼関係が次世代品の優先販売権獲得につながる好循環を形成している。

②技術提案型営業による顧客囲い込み

素材・化学品の単純仲介ではなく、顧客の製品開発段階から技術者が参画して最適な素材・配合を提案するソリューション営業が差別化の核心。顧客の仕様に深く組み込まれることで切り替えコストが高まり、長期継続取引が生まれやすい構造を持つ。

③グローバル調達・供給ネットワーク

欧米・アジアを含むグローバルなサプライヤーネットワークと顧客基盤を持ち、日本国内外での調達・供給を一貫して担える体制が競争優位を形成。複数のサプライヤーとの関係を活かした価格交渉力と安定供給能力が顧客から高く評価されている。

📈 業界の成長性・セクター動態 5/10

中期見通し

直近2〜3年は電子材料・機能化学品分野での需要回復と単価改善を背景に、営業利益・EPSの緩やかな改善基調が続く見通し。自動車の電動化に伴うバッテリー材料・軽量化素材需要の増加が追い風になり得る。コスト管理の強化と利益率改善施策により、売上成長が限定的でも利益の伸びは売上を上回るペースで推移することが期待される。

長期構造的トレンド

5〜10年スパンでは半導体・EV・バイオ医薬品の3つのメガトレンドが同社にとって追い風となる。半導体製造に不可欠な特殊化学品、EV向けバッテリー材料・樹脂部品、バイオ医薬品製造向け機能性素材のいずれも長瀬産業が強みを持つ領域と重なる。アジア新興国での製造業拡大も中長期の需要増加要因として機能し、グローバルネットワークを活かした成長が見込まれる。

⚠️ リスクファクター分析 5/10

スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。

高リスク景気後退による化学品需要急減

同社売上の大半を占める化学品・素材は景気サイクルに敏感であり、世界的な景気後退局面では顧客の在庫調整や設備投資抑制により需要が急減するリスクがある。2020年の実績でも売上・利益が大幅に落ち込んでおり、景気連動性の高さが確認されている。

高リスク為替変動リスク(円高)

海外仕入れ・海外販売比率が高く、急激な円高局面では仕入価格上昇や海外事業の円換算収益の目減りが生じる。為替ヘッジを実施しているものの、大幅な円高が続く場合は業績への悪影響が避けられない。

中リスク主要取引先の内製化・調達先変更

大口顧客が調達を内製化したり、他社サプライヤーへ切り替えた場合、売上が一気に減少するリスクがある。専門商社は仲介機能の価値が問われる存在であり、付加価値提供力の低下は取引継続の脅威となる。

中リスク原材料・素材価格の急騰によるマージン圧迫

石油化学品など原材料価格が急騰した場合、仕入コスト上昇を販売価格に転嫁できないタイムラグや転嫁困難な局面では利益率が圧迫される。2022年のFCFマイナスも一部は原材料高に伴う運転資本増加が要因と考えられる。

低リスク規制強化・環境規制対応コスト増大

化学品の製造・流通に係る各国の環境規制・安全規制の強化が進む場合、対応コストの増大や取扱製品の変更が必要となることがある。ただし専門商社としての対応力と情報収集力が一定のバッファとなり、影響は限定的と考えられる。

💡 見通し(上振れ経路と実現確度) 5/10

業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。

EV・半導体向け機能材料需要の爆発的拡大

電気自動車用バッテリー材料・パワー半導体関連素材の世界需要は今後10年で数倍規模に拡大する見通しで、これらを得意領域とする長瀬産業に大きな需要増加をもたらす可能性がある。技術提案力の強みが活かせる高付加価値領域であり、利益率改善も期待できる。

アジア新興国市場への事業拡大

インド・東南アジアでの製造業拡大を背景に、同地域での化学品・素材需要が急増している。既存のアジアネットワークを活用した販路拡大により、国内の成熟した市場を補完する成長源となり得る。

低PBRを背景とした資本政策強化・株価再評価

東証の低PBR改善要請を背景に、自社株買い・増配・資産圧縮などの資本効率改善施策が進展した場合、PBR・ROEの改善を通じた株価の再評価が起きる可能性がある。現状の割安水準は中長期投資家にとってのエントリー機会となり得る。

💰 株主還元政策 6/10

配当政策は累進配当を志向しており、2019年¥10から2025年¥22まで一貫して増配を継続している実績は株主還元姿勢の安定性を示している。配当性向は概ね35〜45%の範囲で維持されており、利益成長に連動した配当増加が期待できる。自社株買いについても資本効率改善の観点から機動的な実施を検討しており、低PBR是正に向けた取り組みとして株主価値向上に寄与する可能性がある。長期保有投資家にとって配当再投資効果が期待できる銘柄。

EPS / DPS 長期推移(年次・全期間)
EPS(1株益) DPS(1株配当年間)
⚖️ 内在価値の推定(確率加重フェアバリュー)
📐 株主資本コスト(CoE)の算出
30年国債利回り(リスクフリーレート)+3.70%
成熟市場ERP(Damodaran)+4.23%
日本カントリーリスクプレミアム+0.91%
業種ベータ(専門卸・流通)×0.72
 → 業種調整後の市場リスクプレミアム+3.71%
リスク耐性スコア調整(5/10)+0.00%
MOAT スコア調整(6/10)+0.00%
格付け調整(R&I A+)-0.20%
当社中立CoE7.21%
悲観 CoE
10.2%
中立 CoE
7.2%
楽観 CoE
6.0%
リスク耐性スコア(5/10)を用いて3シナリオに確率ウェイトを配分。安定性が高いほど中立シナリオの比重が増し、リスクが高いほど悲観・楽観シナリオの比重が増加する。各モデルの確率加重平均を等ウェイトで平均した値を総合フェアバリューとして表示。
悲観 30%
中立 45%
楽観 25%
悲観 30% — 景気後退・化学品需要低迷
中立 45% — 安定成長・配当拡大継続
楽観 25% — 機能材料需要急拡大・収益構造転換
総合フェアバリュー(確率加重・4モデル平均)
¥813/株
悲観30% / 中立45% / 楽観25%
リスク耐性スコア 5/10 より算出
DCF法による算定を見送り
直近3期のFCFブレが30%超のため、DCF法による算定を見送り(年次変動が大きく将来推計が困難)
直近3期FCF: 2025年度 247億円 / 2024年度 613億円 / 2023年度 14億円

2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥23。成長率は過去DPS CAGR(10年=11.0%、直近3年=18.6%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(11年)でターミナル成長率に収束。

悲観 30%
景気後退・化学品需要低迷
¥322
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト10.2%
ターミナル成長率-0.2%
中立 45%
安定成長・配当拡大継続
¥680
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト7.2%
ターミナル成長率1.0%
楽観 25%
機能材料需要急拡大・収益構造転換
¥1,298
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト6.0%
ターミナル成長率2.0%

2段階残余利益モデル。BPS₀=¥901、配当性向39%でBPS追跡。

悲観 30%
景気後退・化学品需要低迷
¥420
推定フェアバリュー/株
CoE10.2%
ROE(初年→10年目)-4.8%→6.4%
TV成長率-0.2%
中立 45%
安定成長・配当拡大継続
¥1,185
推定フェアバリュー/株
CoE7.2%
ROE(初年→10年目)8.7%→8.7%
TV成長率1.0%
楽観 25%
機能材料需要急拡大・収益構造転換
¥1,833
推定フェアバリュー/株
CoE6.0%
ROE(初年→10年目)11.4%→8.7%
TV成長率2.0%

PERマルチプル法。ピークEPS=¥58、総合スコア5.4から指数関数的に倍率算出。

悲観 30%
景気後退・化学品需要低迷
¥461
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥58
想定PER8倍
中立 45%
安定成長・配当拡大継続
¥749
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥58
想定PER13倍
楽観 25%
機能材料需要急拡大・収益構造転換
¥1,210
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥58
想定PER21倍

過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.70倍、現BPS=¥901。

PBR推移(月次・全期間)
PBR月次 下位25% (0.61) 中央値 (0.70) 上位25% (0.79)
悲観 30%
景気後退・化学品需要低迷
¥553
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PBR0.61倍
中立 45%
安定成長・配当拡大継続
¥628
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PBR0.70倍
楽観 25%
機能材料需要急拡大・収益構造転換
¥714
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PBR0.79倍

過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥58。

PER推移(月次・全期間、赤字年除外)
PER月次 下位25% (11.7) 中央値 (14.3) 上位25% (16.9)
悲観 30%
景気後退・化学品需要低迷
¥671
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PER11.7倍
中立 45%
安定成長・配当拡大継続
¥821
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PER14.3倍
楽観 25%
機能材料需要急拡大・収益構造転換
¥971
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PER16.9倍

10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)

総合判定(期待利回り vs 必要利回り)
回避
期待年利が必要利回りを上回る確率: 27.9%
期待年利(10年保有した場合)
下振れ -10.3% / 中央 1.4% / 上振れ 15.6%
中央シナリオで必要利回り(7〜8%目安)を超えるか
10年後株価の幅(5000シナリオ)
下振れ ¥179 / 中央 ¥657 / 上振れ ¥3,412
現在 ¥1,118 → 分布の下から 1%地点(低いほど割安)
10年以内の倒産・上場廃止確率
0.3%
10年後の状態: 成長32% 横ばい40% 衰退27% 倒産・上場廃止0%
事象タグ別の10年発生確率
株主還元強化
49.6%
景気後退・需要減
42.8%
バリュエーション低下
33.7%
利益率改善
29.0%
バリュエーション上昇
27.3%
好況・上振れサイクル
20.4%
利益率悪化
17.2%
大幅業績ショック
16.5%
構造的衰退
13.0%
競争優位低下
11.1%
TOB・買収
7.9%
希薄化・増資
5.9%
過剰債務・既存株主毀損
3.6%
倒産・上場廃止
2.4%
銘柄の状態、業種の景気敏感度、スコア、資本効率、現在PBRなどから各事象の露出度を作り、EPS/BPSシミュレーション内で発生させています。
📊 10年後の株価予想分布(5000通りのシナリオ)
横軸 = 10年後の株価 / 縦軸 = その株価に到達するシナリオ数。 現在 ¥1,118(赤線)より右に分布があれば株価上昇期待、左なら下落リスク。
株価の10年推移予想(中央線=中央シナリオ、帯=下振れ〜上振れ)
入力値 / 各モデルの結果下振れ中央上振れ
必要利回り(株主資本コスト)4.68%8.18%12.68%
成長持続年数(競争優位性に連動)7年10年13年
EPS/BPS-first MC 適正株価(中央)¥740
10年後EPS/BPS×出口評価(中央)¥740
スタート時の状態S(名目永続成長率 0.0%、直近売上成長 5.4%)

※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。

評価モデル 悲観 (30%) 中立 (45%) 楽観 (25%) 加重平均
DCF
配当割引 ¥322 ¥680 ¥1,298 ¥727
残余利益 ¥420 ¥1,185 ¥1,833 ¥1,118
PERマルチプル ¥461 ¥749 ¥1,210 ¥778
PBR分位法 ¥553 ¥628 ¥714 ¥627
PER分位法 ¥671 ¥821 ¥971 ¥814
モデル平均 ↑ 各モデルの確率加重平均 ¥813
📊 株価チャート
バリュエーションゾーン
¥267 割安
¥485
FV¥813 割高
¥1,205
¥1,506
本レポートは公開情報(有価証券報告書・IR資料・各種統計)に基づく定性・定量分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。財務数値はEDINET開示データより自動取得しており、最新の決算発表を反映していない場合があります。割引率は NYU Stern Damodaran (Jan 2026) の Japan ERP および日本国債利回りを基に算定。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
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