8358
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
スルガ銀行は静岡県沼津市に本店を置く地方銀行で、静岡県および神奈川県を主要営業基盤とする。個人向け住宅ローン・アパートローンを中心とした小口リテール融資に注力し、かつては高い利鞘と独自の審査モデルで高収益地銀として知られた。2018年に発覚したシェアハウス向け投資用不動産融資における大規模不正問題により、約971億円の純損失(2019年3月期)を計上し経営危機に陥ったが、その後の経営刷新・不良債権処理・コスト削減を通じて収益回復を進めている。直近では純利益が200億円台を回復し、EPSも107円まで改善。配当の段階的増配も実施しており、再建フェーズの成果が数字に現れている。
①静岡・神奈川の個人向けリテール基盤
長年にわたり静岡県・神奈川県の個人顧客に対する住宅ローンや消費者ローンを中心に事業展開してきた。地域密着の営業ネットワークと個人顧客との長期取引関係は一定の粘着性を持つ。都市部(神奈川)と地方(静岡)の二軸展開が顧客基盤の厚みを生んでいる。
②独自の個人向け与信審査ノウハウ
かつてメガバンクが断った案件でも独自審査で融資実行するモデルで高収益を上げた与信ノウハウは、不正事件後に一部毀損したが、個人の信用力を多面的に評価する審査手法自体は再構築されつつある。正常化後の融資品質向上が競争力の源泉となり得る。
③金利上昇局面での利鞘改善余地
日銀の金融政策正常化に伴う政策金利引き上げは、変動金利型住宅ローンを多く抱える地銀にとって利鞘拡大の直接的な恩恵をもたらす。スルガ銀行は個人向けローン主体の資産構造ゆえ、金利上昇局面において相対的に大きな収益改善効果が期待できる。
中期見通し
2〜3年の中期では、日銀の利上げ継続による貸出金利収益の改善と、不良債権処理の収束による信用コスト低下が収益を押し上げる見通し。EPSの回復トレンドが継続すれば、増配余地も拡大する。ただし売上高(業務粗利益相当)の回復には時間を要する可能性があり、コスト削減による利益率改善がメインドライバーとなる局面が続く見込み。
長期構造的トレンド
5〜10年の長期では、静岡・神奈川の人口動態(特に静岡の人口減少)が融資需要の縮小圧力となるリスクがある。一方、デジタル化による業務効率改善や、フィンテック企業との提携による新サービス展開が収益多様化の鍵となる。地銀再編の流れの中で、規模の経済追求のためのM&Aや経営統合の可能性も長期的な変数として存在する。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
自己資本比率が0.1%と異常に低く、銀行の健全性指標として深刻な水準にある。追加的な損失発生や規制強化に対するバッファーが乏しく、資本増強が急務。金融庁の監督リスクも高い。
シェアハウス問題関連の潜在不良債権や、不動産市況悪化による担保価値下落が追加の貸倒引当金計上につながるリスクがある。OCF・FCFの振れ幅の大きさがこの不安定性を示している。
不正融資問題により失墜したブランドイメージの回復は長期的課題。顧客の信頼回復が遅れると、新規融資獲得や預金調達に支障をきたし、収益基盤の再構築が困難になる。
金利上昇局面では保有債券の評価損が拡大するリスクがある。ALM(資産負債管理)の精度が問われ、デュレーションミスマッチが大きい場合は含み損が自己資本を圧迫する可能性がある。
静岡県の人口減少・高齢化が長期的な融資需要の縮小につながるリスク。住宅ローン新規需要の減退は収益成長の天井となり得る。地域経済の活力低下も中小企業向け融資の質に影響する。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
日銀の金融政策正常化に伴う政策金利引き上げは、変動金利型住宅ローン主体のスルガ銀行に大きな利鞘改善をもたらす。貸出金利の上昇が調達コスト上昇を上回るペースで進めば、NIM(純金利マージン)が大幅改善し、業績を押し上げる。
自己資本比率の正常化が達成された段階で、増配・自己株取得など積極的な株主還元に転じる余地がある。バリュエーション再評価による株価上昇期待が高まれば、投資家の注目度が上がる可能性がある。
フィンテック企業や異業種との提携による新たな金融サービス展開が、手数料収入増加や顧客基盤拡大につながる可能性がある。デジタルチャネルの強化によるコスト削減と顧客利便性向上が競争力回復を後押しし得る。
配当は2021年3月期の5円から2025年3月期の29円へと大幅に拡大しており、業績回復に連動した株主還元強化の姿勢が明確となっている。配当性向は現状27%程度と、銀行業の平均的水準を下回っており、今後の利益成長とともに増配余地が存在する。自己資本の充実と株主還元のバランスを取りながら、段階的な配当引き上げが続くと見られる。自己株取得については現状は限定的だが、資本政策が整備された段階での実施が期待される。
リスク耐性スコア 3/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -2,649億円 / 2024年度 -479億円 / 2023年度 1,668億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥29。成長率は過去DPS CAGR(10年=1.3%、直近3年=69.1%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(9年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,566、配当性向27%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥184、総合スコア4.2から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=1.26倍、現BPS=¥1,566。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥184。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 5.46% | 8.96% | 13.46% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥888 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥888 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 0.0%、直近売上成長 4.5%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (39%) | 中立 (34%) | 楽観 (27%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥223 | ¥1,119 | ¥5,817 | ¥2,038 |
| 残余利益 | ¥570 | ¥1,485 | ¥2,843 | ¥1,495 |
| PERマルチプル | ¥1,289 | ¥1,841 | ¥3,130 | ¥1,974 |
| PBR分位法 | ¥1,190 | ¥1,979 | ¥2,902 | ¥1,921 |
| PER分位法 | ¥2,462 | ¥3,056 | ¥3,997 | ¥3,078 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥2,101 | ||
¥1,147 FV¥2,101 割高
¥3,738 ¥4,673