8359
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
八十二長野銀行(8359)は長野県長野市に本店を置く地方銀行であり、長野県内において最大規模の預貸金残高を誇る。個人・法人向け融資、預金・為替業務を中核とし、証券・保険の窓販や事業承継・M&Aアドバイザリーなどのソリューション業務も展開する。直近7期の売上(業務粗利益相当)は1,500億〜2,500億円レンジで推移しており、2025年3月期は2,542億円と過去最高を更新した。純利益も480億円と大幅増益となり、日銀の利上げによる資金利益拡大の恩恵を如実に示している。フィンテックへの対応やデジタルバンキング強化にも取り組み、生産性向上を図っている。
①長野県内トップの顧客基盤と店舗網
長野県内に100店舗超の拠点を持ち、地元企業・個人との長期的な取引関係が参入障壁を形成している。地域内での知名度・信頼性は他の金融機関や新興フィンテックが短期間で代替することは困難であり、安定した預金・貸出基盤の維持につながっている。
②地域経済との深い連携による情報優位
長野県の産業・行政・観光分野における取引実績の蓄積により、地元企業の財務情報・事業状況に関する深い知見を保有している。この情報優位はリスク管理精度の向上と優良融資案件の獲得に貢献しており、県外大手行や信金には模倣困難な強みとなっている。
③コンサルティング・ソリューション機能の拡充
事業承継、M&Aマッチング、海外展開支援など非金利収益を生むソリューション業務を強化しており、単純な資金提供者を超えた地域経済の課題解決パートナーとしての地位を確立しつつある。これにより手数料収入の多様化と顧客定着率の向上が期待される。
中期見通し
日銀の段階的な利上げ継続を前提とすると、今後2〜3年は貸出利鞘の改善が資金利益を押し上げ、純利益は高水準を維持しやすい。また政策保有株式の売却益を原資とした増配・自己株買いの継続も業績とは独立した株価押し上げ要因となる。一方、長野県内の中小企業の景況感悪化や建設・観光業界の信用リスク上昇には引き続き注意が必要。
長期構造的トレンド
長野県の人口は減少傾向にあり、長期的な貸出需要の縮小と優良案件の競合激化は避けられない構造問題である。この課題に対して同行は広域化・デジタル化・非金利収益拡大という三つの軸で対応を図っている。また気候変動・カーボンニュートラル関連の融資や地域再生可能エネルギー案件など新たな融資分野の開拓が長期成長の鍵を握る。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
日銀が利上げ方針を転換し金利が低下した場合、資金利益の拡大シナリオが崩れ、収益の柱が失われる。利上げ局面を前提とした現在のバリュエーション評価が大幅に修正される可能性がある。
長野県内の中小企業や観光・建設関連企業の業況悪化が進んだ場合、貸出先の破綻・延滞が増加し引当金負担が急増する。景気後退や自然災害などのショックが発生すると短期間で収益が大幅悪化するリスクがある。
スマートフォンバンクや決済アプリの普及が若年層の金融行動を変化させ、地銀の預金・手数料収入を侵食するリスクがある。デジタル対応の遅れは中長期的な顧客離れにつながる可能性がある。
長野県の人口減少と高齢化が進むと、住宅ローン・消費者ローンの新規需要が減少し、貸出残高の維持が困難になる。地域経済の縮小は貸出先企業の収益悪化を通じて信用リスクも高める。
株式市場が大幅に下落した場合、保有する政策株式の評価損が自己資本を圧迫し、資本比率の低下につながる可能性がある。売却計画の見直しを余儀なくされるシナリオも否定できない。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
日銀がさらに政策金利を引き上げた場合、変動金利型の貸出ポートフォリオが多い地銀は即座に利鞘改善の恩恵を受ける。市場予想を上回る利上げペースは業績の大幅上振れ要因となり得る。
政策保有株式の縮減・売却益の増配・自己株買いへの還元、ROE向上目標の明示などの資本効率改善策が評価されれば、現状のPBR0.5倍前後から大幅な株価再評価が期待できる。
デジタル変革支援や事業承継・M&Aアドバイザリー、再生可能エネルギー融資など非金利収益分野の成長が加速すれば、金利に依存しない安定収益の柱として評価されバリュエーション改善につながる。
2025年3月期の1株当たり配当は42円と前期比75%増配し、過去最高水準を更新した。同行は累進配当方針を掲げており、業績が維持される限り減配リスクは低い。配当性向はまだ40%台前後と地銀平均と比較して保守的な水準にあり、今後の増益局面での増配余地は十分に残されている。加えて自己株買いも実施しており、EPS向上を通じた株主価値の底上げにも注力している。
リスク耐性スコア 6/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -6,470億円 / 2024年度 1,197億円 / 2023年度 -4,251億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥42。成長率は過去DPS CAGR(10年=9.1%、直近3年=37.9%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(11年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥2,032、配当性向41%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥101、総合スコア5.8から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.56倍、現BPS=¥2,032。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥101。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 5.46% | 8.96% | 13.46% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥831 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥831 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 0.0%、直近売上成長 7.9%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (34%) | 中立 (43%) | 楽観 (23%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥517 | ¥1,614 | ¥5,557 | ¥2,148 |
| 残余利益 | ¥952 | ¥2,599 | ¥4,777 | ¥2,540 |
| PERマルチプル | ¥911 | ¥1,417 | ¥2,227 | ¥1,431 |
| PBR分位法 | ¥827 | ¥1,139 | ¥1,671 | ¥1,155 |
| PER分位法 | ¥1,116 | ¥1,430 | ¥1,809 | ¥1,410 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥1,737 | ||
¥865 FV¥1,737 割高
¥3,208 ¥4,010