8368
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
百五銀行(8368)は三重県津市に本店を置く地方銀行で、三重県内を主要な営業エリアとする。預金・貸出・為替などの伝統的な銀行業務を中核としつつ、投資信託・保険の窓口販売や事業承継支援、ソリューション営業にも注力している。直近7期の推移を見ると、売上(業務粗利益)は2019年の858億円から2025年の1,245億円へと46%増加しており、純利益も108億円から180億円へ着実に成長している。日銀の金融政策正常化に伴う貸出金利の上昇が利ざや改善を後押しする環境にあり、収益基盤の強化が続いている。
①地域密着の顧客基盤
三重県内で100年超の業歴を持ち、県内の個人・中小企業・地方公共団体との深い取引関係を築いている。長年の融資実績や事業支援ノウハウはスイッチングコストとして機能し、新規参入者が短期間で代替することは難しい。地元の信頼ブランドとしての地位が競争優位の根幹をなす。
②店舗・ATMネットワーク
三重県内に広く展開する店舗網とATMネットワークは、高齢者層を中心とした対面ニーズに応えるインフラとして機能している。ネット銀行が取り込みにくいシニア層や中小事業者向けの対面チャネルは依然として競争優位として作用する。
③行政・地域経済との連携
三重県・県内市町村の指定金融機関として公的資金の取り扱いや地域振興事業への参画を担い、行政との関係を通じた安定的な資金需要を確保している。地方創生・産業集積支援などの取り組みを通じて地域内での存在感を維持している。
中期見通し
日銀による段階的な利上げが継続する場合、貸出利ざやの拡大が純利息収入の増加に直結する。2025年純利益180億円をベースに、利ざや改善効果で2027年度には200億円超が視野に入る。また投資信託・保険販売の増加による役務収益の底上げも期待される。ただし信用コストの増加が一部収益を相殺するリスクも念頭に置く必要がある。
長期構造的トレンド
三重県の人口減少は長期的な貸出需要の頭打ちをもたらすリスクがあり、5〜10年スパンでは構造的な逆風となる可能性がある。一方でDX推進による業務効率化や、相続・資産承継ニーズへの対応、地方移住促進に伴う住宅ローン需要など、変化する需要構造への対応が成長の鍵を握る。地域金融機関の再編・合従連衡が進む中での自立経営維持も重要な課題となる。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
金利上昇局面では中小企業の借入コスト増加により経営悪化・倒産が増え、貸倒引当金の積み増しが必要になる可能性がある。地域経済の低迷が重なった場合、収益への打撃は大きい。
現在の利ざや改善は日銀の利上げ継続を前提としているが、景気悪化により利上げが停止・反転した場合は運用収益が再び圧迫される。金利環境への依存度が高い収益構造は脆弱性をはらむ。
保有する国債・外債・株式などの有価証券が金利上昇・市場変動により評価損を抱えるリスクがある。OCFの大幅変動はその一端を示しており、特に長期債保有残高の多寡が財務に影響する。
三重県の人口減少・高齢化が続く中、住宅ローンや中小企業向け融資の新規需要は長期的に縮小傾向をたどる可能性がある。地域経済の縮小は収益の持続的な成長を困難にする構造的リスクとなる。
ネット銀行・フィンテック企業との競争に対応するためのシステム投資や人材育成コストが増加する可能性がある。DX投資が収益改善に結びつくまでの間、費用増加が利益を圧迫するリスクがある。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
日銀が段階的な利上げを継続すれば、変動金利の貸出金利が上昇し純利息収入が大幅に拡大する。地方銀行にとって最大の収益ドライバーであり、純利益200億円超への道筋が開ける可能性がある。
新NISAの普及や相続対策ニーズの高まりを背景に、投資信託・保険の窓口販売増加が見込まれる。役務収益の拡大は利ざや依存から脱却する収益構造の多様化につながり、評価向上に寄与しうる。
現在PBR1倍割れとみられる水準は、増配・自社株買いによる資本効率改善への取り組みが評価されれば株価上昇の余地となる。東証の上場企業に対するPBR改善要請を受けた施策強化が期待される。
配当実績は2019年9円から毎年増配を続け、2025年には21円に達している。EPS成長に連動した連続増配方針が示す株主還元姿勢は明確で、配当性向は約29%と地銀の中では保守的な水準にある。今後は金利上昇による収益改善を背景に、配当性向の引き上げや自社株買いの実施による総還元性向向上が期待される。PBR1倍達成に向けた資本効率改善策の一環として、積極的な株主還元強化が検討されるとみられる。
リスク耐性スコア 6/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -7,392億円 / 2024年度 660億円 / 2023年度 -5,178億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥21。成長率は過去DPS CAGR(10年=7.6%、直近3年=24.1%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(10年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,758、配当性向29%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥73、総合スコア5.4から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.41倍、現BPS=¥1,758。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥73。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 5.46% | 8.96% | 13.46% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥536 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥536 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 0.0%、直近売上成長 8.1%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (34%) | 中立 (43%) | 楽観 (23%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥238 | ¥554 | ¥1,412 | ¥644 |
| 残余利益 | ¥802 | ¥2,289 | ¥4,316 | ¥2,250 |
| PERマルチプル | ¥583 | ¥947 | ¥1,530 | ¥957 |
| PBR分位法 | ¥584 | ¥725 | ¥1,093 | ¥762 |
| PER分位法 | ¥689 | ¥952 | ¥1,761 | ¥1,049 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥1,132 | ||
¥579 FV¥1,132 割高
¥2,022 ¥2,528