8418
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
山口フィナンシャルグループ(8418)は山口県を本拠とする地域銀行持株会社で、山口銀行・もみじ銀行・北九州銀行の3行を傘下に持つ。営業エリアは山口県・広島県・北九州市を中心とする西日本一帯で、地域の中小企業・個人向け融資・預金・資産運用を中核事業とする。売上(業務粗利益相当)は2019年1,626億円から2025年2,134億円へと着実に拡大。金利上昇局面の恩恵を受けて純利益は2022年の一時赤字から2025年353億円へと大幅に回復した。役務収益やコンサルティングを強化し非金利収入の拡充にも取り組んでいる。
①長年の地域顧客基盤
山口・広島・北九州の地場企業・個人との数十年にわたる取引関係は他行が短期間で代替することが難しい参入障壁を形成している。地元シェアの高さは預金調達コストの安定化にも寄与しており、収益の下支えとなっている。
②三行体制による広域ネットワーク
山口・もみじ・北九州銀行の連携により、山口県から広島圏・北九州圏へと広がる営業網を持つ。単独地銀では達成困難な広域カバレッジを実現しており、広域に事業展開する中堅企業へのソリューション提供力を高めている。
③地域密着コンサルティング機能
事業承継・M&A仲介・資産運用など、融資に留まらないコンサルティング収益を強化している。地域情報の蓄積と人的ネットワークを活かした提案力は都市銀行やネット銀行が容易に模倣できない強みである。
中期見通し
日銀の金利正常化路線が続く限り、2〜3年の視野では預貸金利鞘の拡大が純利益を押し上げる。2025年3月期の353億円を超えて400億円超を目指す中期計画の実現可能性は高まっている。加えて有価証券運用収益の改善や、役務収益の拡大も収益を後押しする見通しである。コスト面では三行の共通システム化・店舗最適化による経費削減効果も継続する。
長期構造的トレンド
山口・広島・北九州の人口は長期的に減少傾向にあり、融資需要の構造的縮小は避けられない。しかしデジタルトランスフォーメーション推進・地方創生支援・インバウンド関連融資など新たな需要分野もある。また富裕層向け資産運用ニーズの高まりや相続・事業承継ビジネスの拡大は非金利収益の成長ドライバーとして機能する。長期的には再編・統合も視野に入れた業界再構成の中でのポジション強化が鍵となる。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
日銀が利上げを停止・撤回した場合、預貸金利鞘の改善が頭打ちとなり収益拡大シナリオが崩れる。特に現在の収益改善の大部分が金利上昇に依存しているため、影響度が大きい。
景気後退や金利上昇による中小企業の経営悪化が貸倒引当金の増加につながるリスクがある。2022年の最終赤字もクレジットコスト増加が一因であり、地域経済の悪化時に業績が大きく落ち込む可能性がある。
過去の低金利環境で積み上げた中長期債・外国債券に含み損が発生するリスクがある。金利上昇局面では逆に債券価格が下落するため、ポートフォリオの構成次第でOCIへの影響が生じる。
ネット銀行・フィンテック企業が個人・中小企業向け金融サービスに参入を加速しており、預金・決済・小口融資の分野で競合が増す。顧客離れが進むと利鞘・手数料収益の双方に悪影響が及ぶ。
山口・広島・北九州は豪雨・地震等の自然災害リスクがある地域であり、大規模災害が発生した場合に貸出先の毀損と店舗・システムへのオペレーショナルリスクが生じる可能性がある。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
日銀がさらなる政策金利引き上げに踏み切った場合、預貸金利鞘が追加的に拡大し純利益400億円超の達成が視野に入る。金利感応度の高い地銀にとって最大のアップサイドドライバーである。
現在PBR0.4倍台という割安水準を解消するため、増配・自社株買い拡大・ROE改善目標の明確化などを打ち出した場合、株価の大幅な再評価が起こり得る。市場からの期待値が低い分、サプライズ効果が大きい。
地銀業界全体で再編が加速する中、近隣地銀との統合・業務提携によるシステム共通化・店舗合理化が実現すれば、固定費削減による収益性向上が期待できる。長期的な株主価値向上につながる選択肢である。
配当は2019年22円から2025年60円まで6期連続増配を達成しており、株主還元への積極的な姿勢が示されている。配当性向は概ね30〜40%の範囲を目安としており、増益に応じた増配が期待できる。加えて自己株取得も実施しており、総還元利回りは地銀平均に比べ見劣りしない水準。PBRが0.4倍台と割安なことから、資本効率改善に向けた追加策(増配・自社株買い拡大)の公表が株価のカタリストとなる可能性がある。
リスク耐性スコア 6/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 4,685億円 / 2024年度 -4,618億円 / 2023年度 -2,989億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥60。成長率は過去DPS CAGR(10年=13.1%、直近3年=28.9%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(10年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥2,893、配当性向36%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥165、総合スコア5.6から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.50倍、現BPS=¥2,893。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥165。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 5.46% | 8.96% | 13.46% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥1,390 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥1,390 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 0.0%、直近売上成長 6.5%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (34%) | 中立 (43%) | 楽観 (23%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥842 | ¥1,938 | ¥4,885 | ¥2,243 |
| 残余利益 | ¥1,339 | ¥3,724 | ¥6,952 | ¥3,656 |
| PERマルチプル | ¥1,321 | ¥2,147 | ¥3,469 | ¥2,170 |
| PBR分位法 | ¥1,125 | ¥1,460 | ¥1,758 | ¥1,415 |
| PER分位法 | ¥1,338 | ¥1,570 | ¥2,051 | ¥1,602 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥2,217 | ||
¥1,193 FV¥2,217 割高
¥3,823 ¥4,779
関連: 8418 山口フィナンシャルグループ の株価・財務分析(概要ページ) / 銘柄分析ランキング一覧 / 銀行業の業界分析