8750
第一ライフグループ 銘柄分析・適正株価・割安/割高判定
東証プライム
保険業
生保/グローバル
JCR AA- (stable)
投資テーゼ
国内生保3メガの一角として安定した国内収益基盤を持ちながら、米Protective Lifeを中核に豪州TAL・インドStar Healthへの出資を通じた海外多角化を進める。日本の金利正常化は予定利率上昇コストと運用利回り改善の二面性を持ち、EV(エンベディッドバリュー)拡大の鍵は海外成長の実行力と国内金利環境の均衡にある。
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事業内容
第一生命ホールディングスは第一生命保険を中核とし、米国のProtective Life Corporation・豪州のTAL Dai-ichi Life Australia・インドのStar Health and Allied Insurance(持分法適用)を主要海外拠点として擁する生命保険持株会社である。国内では個人保険・団体保険・年金保険にわたる幅広い商品ラインと全国の営業職員・代理店ネットワークを有し、日本生命・住友生命と並ぶ生保3メガの一角を占める。EVベースの企業価値評価を採用しており、グループEVの拡大が中期経営計画における最重要指標として位置づけられる。
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競争優位性(業界内MOAT)
5/10
①長期契約性質による顧客ロックイン 生命保険契約は数十年単位の長期性を持ち、解約時の解約返戻金の不利・再契約時の査定リスクがスイッチングコストを高水準に維持する。第一生命の既存契約基盤はキャッシュフローの高い予見可能性を与え、解約率の安定性が国内EV計算の前提に埋め込まれた実質的な堀として機能する。
②国内営業職員ネットワークと代理店基盤 全国に展開する営業職員組織と代理店ネットワークは、顧客接点の量と質において新規参入者が短期間で複製することが困難な流通インフラを形成する。特に高齢化社会における相続・医療・介護ニーズへの対応は対面営業力の優位性が持続する領域であり、デジタル化が進んでも完全代替されにくい顧客層を包摂する。
③Protective Lifeによる米国市場プレゼンス Protective Lifeはアラバマ州を本拠とする米国大手生命保険会社であり、定期保険・終身保険・年金領域での独自のブランドと販売ネットワークを保有する。第一生命グループに完全子会社として組み込まれたことで、日本の親会社の信用力と米国子会社の現地ノウハウが融合した競争力を構築しており、海外収益の分散効果もグループ全体のリスク低減に寄与する。
📈
業界の成長性・セクター動態
5/10
中期見通し 日本の金利正常化が段階的に進む局面では、国内運用ポートフォリオの利回り改善がEVの新契約価値・保有契約価値の双方を押し上げ、中期的なグループEV成長率の加速が期待される。Protective Lifeは米国の金利環境と死亡率トレンドに業績が連動するため、米国マクロ環境の安定が中期的収益の可視性を高める前提条件となる。
長期構造的トレンド 国内市場は少子化・高齢化による死亡保障ニーズの縮小と介護・医療保険ニーズの拡大という二極化が進行しており、商品ミックスの転換が長期的な国内収益の質を左右する。インドのStar Healthが属する新興アジア保険市場は中間所得層の拡大とともに高成長が続く構造にあり、出資深化・持分取得拡大が実現すれば長期のグループEV成長に非線形なアップサイドをもたらす可能性がある。
⚠️
リスクファクター分析
4/10
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
高リスク 金利正常化における予定利率上昇圧力とコスト増
日本の金利上昇は新規契約および更新契約における予定利率の引き上げ要求を生み、保険負債の割引率上昇とともに保険コスト構造を悪化させる側面がある。運用利回り改善との時間差および既存契約の低予定利率継続期間との不整合が、短期的な収益圧迫と長期的な改善効果のラグとして顕在化するリスクがある。
高リスク Protective Lifeの米国クレジット・死亡率リスク
Protective Lifeは米国の信用スプレッド拡大・死亡率の予期せぬ悪化(パンデミック等)・金利急変動の複合リスクに晒されており、これらが同時に顕在化した場合のグループEVへの毀損は日本国内リスクと相関が低い形で発生する。為替ヘッジコストの変動と円高局面での海外収益の円換算減少も財務インパクトを増幅させる要因となる。
中リスク 国内新契約縮小と少子化による市場縮退
日本の人口動態は死亡保障を中心とする伝統的生命保険の需要基盤を構造的に縮小させており、新契約高の長期的逓減がグループ全体のEV成長のヘッドウィンドとなる。国内収益の低迷を海外成長で補う構造が定着する中で、海外子会社のパフォーマンスへの依存度が高まりグループリスク集中が進む点に注意が必要である。
低リスク アジア出資先(Star Health等)のガバナンス・規制リスク
インド・東南アジアの出資先は現地規制変化・政治リスク・持分比率規制の変更により期待するリターンや出資深化の機会が制約される可能性がある。持分法適用先については連結EV計算上の不確実性も高く、将来の完全子会社化シナリオに至るまでの不透明性がバリュエーション上のディスカウント要因として残存する。
💡
見通し(上振れ経路と実現確度)
6/10
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
大 日本金利正常化による逆ざや解消と運用利回り改善
長年の低金利環境で生じた「逆ざや」問題は金利正常化によって段階的に解消に向かい、国内保有契約の運用利回り改善がグループEVの保有契約価値を構造的に引き上げる。特に超長期債への再投資利回り改善効果は数年単位でじわじわとEVに積み上がるストック型の収益改善であり、市場が短期業績指標だけで評価する局面では株価の非効率な割安圏が生じやすい。
中 インド・アジア保険市場の高成長取り込み
Star Healthが属するインドの健康保険市場は中間所得層拡大・医療費上昇・政府の保険加入促進政策を背景に高成長が続いており、持分比率の戦略的引き上げが実現すれば連結EVおよび利益への貢献が非線形に拡大する潜在性を持つ。アジア全域での生保普及率が先進国を大幅に下回る現状は、第一生命グループの海外出資先ネットワークが長期的に高い内部成長率を享受し続ける構造的土台となっている。
💰
株主還元政策
5/10
第一生命HDは累進配当方針を基本とし、グループEVの成長に連動した安定的な株主還元を掲げている。自社株買いについても機動的な実施実績を有するが、生保持株会社としての規制資本制約と国際的なソルベンシー規制(ICS)への対応が資本配分の自由度を一定程度制限する。総還元利回りはセクター内で相対的に安定しているが、EV成長率と還元規模の連動性をより明確に開示することが市場との信頼醸成に資すると考えられる。
EPS / DPS 長期推移(年次・全期間)
EPS(1株益)
DPS(1株配当年間)
⚖️
内在価値の推定(確率加重フェアバリュー)
📐 株主資本コスト(CoE)の算出
30年国債利回り(リスクフリーレート) +3.70%
成熟市場ERP(Damodaran) +4.23%
日本カントリーリスクプレミアム +0.91%
業種ベータ(生命保険) ×1.31
→ 業種調整後の市場リスクプレミアム +6.71%
リスク耐性スコア調整(4/10) +0.60%
MOAT スコア調整(5/10) +0.00%
格付け調整(JCR AA-) -0.50%
当社中立CoE 10.51%
リスク耐性スコア(4/10)を用いて3シナリオに確率ウェイトを配分。安定性が高いほど中立シナリオの比重が増し、リスクが高いほど悲観・楽観シナリオの比重が増加する。各モデルの確率加重平均を等ウェイトで平均した値を総合フェアバリューとして表示。
悲観 32%
— 国内金利上昇が予定利率コスト増を上回る形で収益を圧迫、Protective Lifeで与信・死亡率悪化が顕在化し海外EVが毀損、少子化加速による国内新契約縮小がEV成長を打ち消すシナリオ
中立 42%
— 日本の段階的金利正常化が運用利回り改善とEV成長を下支えし、Protective Lifeが安定収益を継続、累進配当と自社株買いを組み合わせた安定還元が評価されるシナリオ
楽観 26%
— 米国金利高止まりとProtective Lifeの死亡率改善が海外EV成長を加速、国内金利正常化が逆ざや解消を促進し総EV成長率が高水準化、アジア出資先の収益貢献拡大が新たなバリューカタリストとなるシナリオ
総合フェアバリュー(確率加重・4モデル平均)
¥1,224/株
悲観32% / 中立42% / 楽観26%
リスク耐性スコア 4/10 より算出
DCF
配当割引(DDM)
残余利益(RIM)
PERマルチプル
PBR分位法
PER分位法
★MC
DCF法による算定を見送り
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り 直近3期FCF: 2025年度 -3,879億円 / 2024年度 3,957億円 / 2023年度 1,780億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥34。成長率は過去DPS CAGR(10年=18.0%、直近3年=18.2%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(10年)でターミナル成長率に収束。
悲観 32%
国内金利上昇が予定利率コスト増を上回る形で収益を圧迫、Protective Lifeで与信・死亡率悪化が顕在化し海外EVが毀損、少子化加速による国内新契約縮小がEV成長を打ち消すシナリオ
¥471
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト 13.5%
ターミナル成長率 0.4%
中立 42%
日本の段階的金利正常化が運用利回り改善とEV成長を下支えし、Protective Lifeが安定収益を継続、累進配当と自社株買いを組み合わせた安定還元が評価されるシナリオ
¥707
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト 10.5%
ターミナル成長率 1.1%
楽観 26%
米国金利高止まりとProtective Lifeの死亡率改善が海外EV成長を加速、国内金利正常化が逆ざや解消を促進し総EV成長率が高水準化、アジア出資先の収益貢献拡大が新たなバリューカタリストとなるシナリオ
¥1,183
推定フェアバリュー/株
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥936、配当性向30%でBPS追跡。
悲観 32%
国内金利上昇が予定利率コスト増を上回る形で収益を圧迫、Protective Lifeで与信・死亡率悪化が顕在化し海外EVが毀損、少子化加速による国内新契約縮小がEV成長を打ち消すシナリオ
¥444
推定フェアバリュー/株
CoE 13.5%
ROE(初年→10年目) -2.9%→9.3%
TV成長率 0.4%
中立 42%
日本の段階的金利正常化が運用利回り改善とEV成長を下支えし、Protective Lifeが安定収益を継続、累進配当と自社株買いを組み合わせた安定還元が評価されるシナリオ
¥1,102
推定フェアバリュー/株
CoE 10.5%
ROE(初年→10年目) 11.6%→11.6%
TV成長率 1.1%
楽観 26%
米国金利高止まりとProtective Lifeの死亡率改善が海外EV成長を加速、国内金利正常化が逆ざや解消を促進し総EV成長率が高水準化、アジア出資先の収益貢献拡大が新たなバリューカタリストとなるシナリオ
¥1,999
推定フェアバリュー/株
CoE 8.0%
ROE(初年→10年目) 14.6%→11.6%
TV成長率 2.1%
PERマルチプル法。ピークEPS=¥116、総合スコア5.0から指数関数的に倍率算出。
悲観 32%
国内金利上昇が予定利率コスト増を上回る形で収益を圧迫、Protective Lifeで与信・死亡率悪化が顕在化し海外EVが毀損、少子化加速による国内新契約縮小がEV成長を打ち消すシナリオ
¥928
推定フェアバリュー/株
中立 42%
日本の段階的金利正常化が運用利回り改善とEV成長を下支えし、Protective Lifeが安定収益を継続、累進配当と自社株買いを組み合わせた安定還元が評価されるシナリオ
¥1,391
推定フェアバリュー/株
楽観 26%
米国金利高止まりとProtective Lifeの死亡率改善が海外EV成長を加速、国内金利正常化が逆ざや解消を促進し総EV成長率が高水準化、アジア出資先の収益貢献拡大が新たなバリューカタリストとなるシナリオ
¥2,319
推定フェアバリュー/株
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.81倍、現BPS=¥936。
PBR推移(月次・全期間)
PBR月次
下位25% (0.57)
中央値 (0.81)
上位25% (1.07)
悲観 32%
国内金利上昇が予定利率コスト増を上回る形で収益を圧迫、Protective Lifeで与信・死亡率悪化が顕在化し海外EVが毀損、少子化加速による国内新契約縮小がEV成長を打ち消すシナリオ
¥531
推定フェアバリュー/株
中立 42%
日本の段階的金利正常化が運用利回り改善とEV成長を下支えし、Protective Lifeが安定収益を継続、累進配当と自社株買いを組み合わせた安定還元が評価されるシナリオ
¥761
推定フェアバリュー/株
楽観 26%
米国金利高止まりとProtective Lifeの死亡率改善が海外EV成長を加速、国内金利正常化が逆ざや解消を促進し総EV成長率が高水準化、アジア出資先の収益貢献拡大が新たなバリューカタリストとなるシナリオ
¥1,000
推定フェアバリュー/株
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥116。
PER推移(月次・全期間、赤字年除外)
PER月次
下位25% (9.0)
中央値 (13.7)
上位25% (33.2)
悲観 32%
国内金利上昇が予定利率コスト増を上回る形で収益を圧迫、Protective Lifeで与信・死亡率悪化が顕在化し海外EVが毀損、少子化加速による国内新契約縮小がEV成長を打ち消すシナリオ
¥1,048
推定フェアバリュー/株
中立 42%
日本の段階的金利正常化が運用利回り改善とEV成長を下支えし、Protective Lifeが安定収益を継続、累進配当と自社株買いを組み合わせた安定還元が評価されるシナリオ
¥1,588
推定フェアバリュー/株
楽観 26%
米国金利高止まりとProtective Lifeの死亡率改善が海外EV成長を加速、国内金利正常化が逆ざや解消を促進し総EV成長率が高水準化、アジア出資先の収益貢献拡大が新たなバリューカタリストとなるシナリオ
¥3,853
推定フェアバリュー/株
10年後の株価を 5000通り の未来シナリオでシミュレーション。
業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。
(最終計算: 2026-05-10)
総合判定(期待利回り vs 必要利回り)
回避
期待年利が必要利回りを上回る確率: 18.4%
期待年利(10年保有した場合)
下振れ -10.1% /
中央 1.6% /
上振れ 14.8%
中央シナリオで必要利回り(7〜8%目安)を超えるか
10年後株価の幅(5000シナリオ)
下振れ ¥138 /
中央 ¥663 /
上振れ ¥3,473
現在 ¥1,439 →
分布の下から 1%地点(低いほど割安)
10年以内の倒産・上場廃止確率
3.4%
10年後の状態: 成長27% 横ばい45% 衰退24% 倒産・上場廃止3%
事象タグ別の10年発生確率
銘柄の状態、業種の景気敏感度、スコア、資本効率、現在PBRなどから各事象の露出度を作り、EPS/BPSシミュレーション内で発生させています。
📊 10年後の株価予想分布(5000通りのシナリオ)
横軸 = 10年後の株価 / 縦軸 = その株価に到達するシナリオ数。
現在 ¥1,439 (赤線)より右に分布があれば株価上昇期待、左なら下落リスク。
株価の10年推移予想(中央線=中央シナリオ、帯=下振れ〜上振れ)
入力値 / 各モデルの結果 下振れ 中央 上振れ
必要利回り(株主資本コスト) 7.60% 11.10% 15.60%
成長持続年数(競争優位性に連動) 7年 10年 13年
EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) ¥864
10年後EPS/BPS×出口評価(中央) ¥864
スタート時の状態 S(名目永続成長率 0.5%、直近売上成長 7.7%)
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
評価モデル
悲観 (32%)
中立 (42%)
楽観 (26%)
加重平均
DCF
—
—
—
—
配当割引
¥471
¥707
¥1,183
¥755
残余利益
¥444
¥1,102
¥1,999
¥1,125
PERマルチプル
¥928
¥1,391
¥2,319
¥1,484
PBR分位法
¥531
¥761
¥1,000
¥750
PER分位法
¥1,048
¥1,588
¥3,853
¥2,004
モデル平均
↑ 各モデルの確率加重平均
¥1,224
📊
株価チャート
バリュエーションゾーン
¥376
割安 ¥684
FV¥1,224
割高 ¥2,071
¥2,589
本レポートは公開情報(有価証券報告書・IR資料・各種統計)に基づく定性・定量分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。財務数値はEDINET開示データより自動取得しており、最新の決算発表を反映していない場合があります。割引率は NYU Stern Damodaran (Jan 2026) の Japan ERP および日本国債利回りを基に算定。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
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