9336 大栄環境 銘柄分析・適正株価
5.6Sol 個別レビュー
投資テーゼ
最終処分場の許認可は日本で新規取得がほぼ不可能で、埋立容量そのものが構造的な参入障壁になっている。営業利益率25%とROE14.6%はその証拠で、断片化した産廃業界のロールアップ余地も大きい。ただし26/3期は営業益3.0%増、27/3期会社計画も純利益3.5%増にとどまり、3年500億円の成長投資に対して増益ペースが鈍い。PER23倍PBR3.4倍は質を織り込み済みの水準で、M&Aの投下資本利益率が証明されるまでは上値の根拠が弱い。
主な懸念
KT_pbr 1.28とKT_yield 3.91は誤り。実際は発行済99,892,900株でBPS 1108.6、PBR約3.4倍、配当49-52円で利回り約1.3%。免許障壁は本物だが売上9.6%増に対し営業益3.0%増と成長投資500億円の初期利回りが低く、有利子負債増加で自己資本比率も低下。
シナリオ内訳
| シナリオ | 確率 | 妥当価値 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 悲観 | 15.0% | 2,240円 | M&Aの投下資本利益率が上がらず埋立容量も減少、EPS160で頭打ちとなりPER14倍。 |
| 弱気 | 25.0% | 2,975円 | 成長投資が薄く効き3年後EPS175、産廃需要横ばいでPER17倍に収れん。 |
| 中立 | 30.0% | 4,200円 | 年率7%成長で3年後EPS210、免許障壁を評価したPER20倍。 |
| 強気 | 22.0% | 6,000円 | 産廃ロールアップが機能しEPS250、処分単価上昇も加わりPER24倍。 |
| 楽観 | 8.0% | 8,100円 | 業界再編の主役となりEPS300、希少な最終処分場の価格決定力を織り込みPER27倍。 |
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
大栄環境株式会社(9336)は、産業廃棄物の収集・運搬・中間処理・最終処分および資源化を主要事業とする環境サービス企業である。全国に処理施設・リサイクル施設を展開し、製造業・建設業・自治体など幅広い顧客から廃棄物処理を受託している。近年は廃棄物の資源循環・エネルギー回収にも注力し、単なる廃棄から付加価値の高いリサイクルへと事業の高度化を進めている。2021年の東証上場以降、売上・利益ともに一貫した成長トレンドを維持しており、環境規制強化と脱炭素潮流を背景に中期的な成長加速が期待されている。
①許認可による参入障壁
産業廃棄物処理業の営業許可は都道府県ごとに必要で、取得要件が厳しく時間がかかる。処理施設の建設には地域住民・行政との合意形成も必要で、新規参入者が全国規模のネットワークを構築することは実質的に困難。既存プレイヤーとしての大栄環境は強固なライセンス優位を持つ。
②全国処理施設ネットワーク
長年の設備投資によって構築された全国規模の処理・リサイクル施設ネットワークは、大口顧客への一括処理・広域対応を可能にする。物流拠点との連携や輸送効率の最適化により、競合他社が容易に模倣できない規模の経済性を実現している。
③顧客との長期取引関係
製造業・建設業などの大手企業や地方自治体との長期継続契約が収益の安定性を支えている。廃棄物処理は定期的・継続的に発生するニーズであり、一度取引関係が構築されると切り替えコストが高く、解約率は低水準に保たれる傾向がある。
中期見通し
2〜3年の中期では、建設廃棄物・産業廃棄物の処理需要増加、廃プラスチック規制強化による高度処理需要の拡大が追い風となる。M&Aを活用した地域拡大戦略も継続されており、売上成長率は年率8〜10%程度が見込まれる。設備稼働率の向上により利益率の更なる改善余地も残っている。
長期構造的トレンド
5〜10年の長期では、カーボンニュートラル目標達成に向けた廃棄物エネルギー回収(WtE)や資源循環型社会への移行加速が業界全体を押し上げる。電子廃棄物・バッテリー廃棄物など新種廃棄物の処理需要も急増が見込まれる。環境規制の一層の厳格化により適正処理への需要が高まり、大手処理業者への集約が進む構造変化も追い風となる。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
自己資本比率が0.5%程度と極めて低く、高い財務レバレッジを抱える。金利上昇局面では利息負担が増加し、収益を圧迫するリスクがある。景気急悪化時の資金繰り悪化にも注意が必要。
廃棄物処理基準や排出規制の突然の変更により、既存施設の大規模改修・廃棄が生じる可能性がある。規制緩和による競争激化も価格低下圧力となりうる。
大規模な処理施設は定期的な更新投資が必要で、FCFを圧迫し続ける構造的コスト要因。設備更新費用の増大は資本効率の低下につながるリスクがある。
産業廃棄物の発生量は製造業・建設業の活動水準に連動するため、景気後退局面では処理量が減少し収益に影響する。価格競争の激化も懸念される。
積極的なM&A戦略を推進する中、買収先との組織統合・文化融合が想定通り進まない場合、のれん減損や収益悪化につながるリスクがある。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
カーボンニュートラル政策を背景に廃棄物のエネルギー回収・高度リサイクル需要が急拡大しており、技術・施設を持つ大栄環境への需要集中が期待される。
地方の中小廃棄物処理業者の後継者問題を背景に、低コストでの買収機会が増加している。地域シェア拡大とスケールメリット強化による収益性向上が見込まれる。
アジア新興国での廃棄物処理インフラ需要や、EV普及に伴うバッテリー廃棄物処理など新規分野への参入が中長期的な成長機会となりうる。
大栄環境は上場以来、安定的な増配を実現している。FY2023のDPS34円からFY2025のDPS48円へ3期で41%増加しており、増配継続への経営意思が明確である。配当性向は30%台と過度に高くなく、利益成長に連動した増配余地が確保されている。FCFは設備投資負担により利益比較で低めだが、OCFは安定して高水準を維持しており、財務規律を保ちながらの株主還元継続が期待できる。自社株買いも適宜実施しており、総合的な株主還元姿勢は評価に値する。
リスク耐性スコア 6/10 より算出
直近3期のFCFブレが30%超のため、DCF法による算定を見送り(年次変動が大きく将来推計が困難)
直近3期FCF: 2025年度 41億円 / 2024年度 61億円 / 2023年度 40億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥48。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥955、配当性向33%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥146、総合スコア7.0から指数関数的に倍率算出。
過去BPSデータの連続性に問題があるため、PBR法による価値算定を見送り(長期データ不足(10年未満))
黒字年の長期データ不足のためPER法による価値算定を見送り
10年後の株価を 1000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-07-29)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 4.24% | 7.74% | 12.24% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥2,129 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥2,456 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 1.9%、直近売上成長 9.3%) | ||
※ 試算精度について:現在は 1000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (29%) | 中立 (48%) | 楽観 (23%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥411 | ¥1,039 | ¥2,362 | ¥1,161 |
| 残余利益 | ¥462 | ¥1,450 | ¥3,094 | ¥1,542 |
| PERマルチプル | ¥1,455 | ¥2,329 | ¥3,784 | ¥2,410 |
| PBR分位法 | — | — | — | — |
| PER分位法 | — | — | — | — |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥1,704 | ||
¥776 FV¥1,704 割高
¥3,080 ¥3,850