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9364

上組 銘柄分析・適正株価・割安/割高判定
東証プライム 港湾運送・物流 臨海インフラ特化・長期荷主関係・安定キャッシュ創出 R&I AA- (stable)
現在値
時価総額
投資テーゼ
上組は神戸・大阪を中心に港湾荷役・貨物取扱を主軸とする国内最大級の港湾運送業者であり、臨海インフラと荷主との長期専属関係が強固な参入障壁を形成する。売上2,600〜2,800億円台を安定維持しながら営業利益率10〜12%・FCF200〜330億円超を継続的に創出しており、増配基調(DPS 45円→130円)と自己株取得を組み合わせた積極的株主還元が株価をサポートする。PER約20倍・配当利回り2.5%程度はセクター平均並みながら、高い業務安定性とキャッシュリッチな財務体質を勘案すれば割高感は薄い。
7
競争優位性
業界内MOAT
5
業界成長性
セクター動態
7
リスク耐性
財務・事業安定性
8
株主還元
配当・自社株買い
6
見通し
上振れ経路の確度
総合スコア
6.6/10
競争優位性
7
業界成長性
5
リスク耐性
7
株主還元
8
見通し
6
📋 事業内容
2,792億円
売上高
FY2025実績
269億円
親会社帰属
純利益
404億円
営業CF
FY2025実績
77.9%
自己資本
比率
7.0%
ROE
FY2025

株式会社上組(9364)は1918年創業、神戸・大阪を本拠とする国内屈指の港湾運送・総合物流企業である。主力事業は港湾荷役(船舶への積み降ろし・保管・通関)であり、神戸港・大阪港・横浜港など主要港のターミナルオペレーションを担う。倉庫・陸上輸送・国際輸送手配も展開しており、貨物の一貫物流ソリューションを提供する。売上高は直近7期を通じて2,617〜2,792億円のレンジで安定推移し、営業利益は233〜331億円・純利益は179〜269億円と着実な利益成長を続けている。事業の性格上、景気後退期にも急激な落ち込みが生じにくい半面、貿易量に連動した業績変動は避けられない。

競争優位性(業界内MOAT) 7/10

①港湾インフラの物理的参入障壁

岸壁・荷役機械・倉庫などの港湾設備は数百億円規模の先行投資を要し、立地も許認可に基づき限定される。既存オペレーターが長年にわたり占有するターミナルに後発が割り込む余地は極めて小さく、物理的・制度的な参入障壁が永続的な競争優位を生む。

②主要荷主との長期専属関係

鉄鋼・化学・食品メーカーなど大口荷主との数十年単位の取引関係と、専用バース・専用倉庫の共同運営が荷主スイッチングコストを高止まりさせている。現場オペレーションの精度・安全実績に裏打ちされた信頼関係は、競合が短期間で模倣できないノウハウの源泉である。

③港湾ノウハウと人的資本

船型・貨物種別・気象条件に応じた積み付け計画や重量物取り扱い技術は高度な熟練を要する。長年の実務で蓄積されたオペレーショナルノウハウと技能者の育成体制は、港湾荷役事業における品質差別化要因となっており、競合他社との差を維持し続ける無形の資産である。

📈 業界の成長性・セクター動態 5/10

中期見通し

FY2023〜2025の3年間でEPSが¥221→¥258(+17%)、DPSが¥90→¥130(+44%)と着実に改善している。物流コスト上昇を価格転嫁する動きが業界全体で進んでおり、荷役料金の見直しが営業利益率をさらに押し上げる可能性がある。2〜3年の時間軸では売上横ばい・利益微増・還元拡大が基本シナリオとなる。

長期構造的トレンド

日本政府が推進する「国際コンテナ戦略港湾」政策により神戸・阪神港の機能強化投資が続く見通しで、ターミナルオペレーターとしての上組への恩恵が期待できる。eコマース拡大に伴う小口・高頻度物流ニーズへの対応や、コールドチェーン・危険品等の高付加価値荷役へのシフトは長期的な収益性改善ドライバーとなり得る。脱炭素対応(港湾電動化・燃料転換)は中長期的なコスト要因だが、同時に差別化の機会にもなる。

⚠️ リスクファクター分析 7/10

スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。

高リスク貿易量の急減・景気後退

世界的な景気後退や貿易摩擦の激化により日本の輸出入量が急減した場合、港湾荷役量が直撃を受ける。FY2020〜2021でも売上横ばい・利益圧縮が見られたように、外部環境悪化は業績に直結する。

高リスク労働力不足・人件費高騰

港湾荷役は熟練労働集約型産業であり、少子高齢化による労働力不足が深刻化している。賃上げ圧力と採用難が同時進行すると、コスト増加が利益を圧迫するリスクがある。自動化投資でのコスト対応にも限界がある。

中リスク金利上昇による財務負担増

自己資本比率が低水準であることから有利子負債の規模が大きい可能性があり、日銀の金融政策正常化による金利上昇が利払い負担を増大させるリスクがある。FCF水準から見て急激な財務悪化は考えにくいが注視が必要。

中リスク港湾再編・競合の台頭

国際競争力強化を目的とした港湾集約・再編政策の中で、他港や外資系オペレーターとの競争激化が生じる可能性がある。また国内での業界再編が起きた場合、現在の優位ポジションが揺らぐリスクがある。

低リスク大規模自然災害・気候変動

臨海立地の性格上、台風・高潮・地震など自然災害による施設損壊リスクを内包する。気候変動の激甚化に伴い物理的損害リスクが長期的に高まる可能性があり、BCP整備とインフラ強靭化投資が継続的に必要となる。

💡 見通し(上振れ経路と実現確度) 6/10

業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。

荷役料金改定・価格転嫁の進展

物流コスト上昇を背景に、業界全体で荷役料金の見直し交渉が加速している。価格転嫁が実現すれば営業利益率の押し上げ効果は大きく、EPS・DPSのさらなる成長につながる重要なカタリストとなり得る。

国際コンテナ戦略港湾への集中投資

政府の阪神港・京浜港の戦略港湾化政策に伴う設備投資・補助金活用により、上組の主力拠点での能力拡張と競争力強化が期待できる。取扱量の増加と高付加価値サービスの拡充が収益底上げにつながる可能性がある。

M&A・グループ再編による規模拡大

豊富なFCFを活用した国内外の物流企業買収や、港湾関連中小企業の統合により事業規模と地域カバレッジを拡大する機会がある。業界の高齢化・後継者問題を背景に、M&A案件の供給は中長期的に増加する見通し。

💰 株主還元政策 8/10

上組は直近7期でDPSをFY2019の¥45からFY2025の¥130へと約2.9倍に増加させており、配当政策の積極性は際立っている。FCFは概ね200〜330億円超を確保しており、増配余力は十分である。配当性向はEPS比で約50%前後と安定的な水準を維持しつつ、残余余力を自己株取得に充当する方針を継続している。高水準のキャッシュ創出力と増配トラックレコードを踏まえると、今後も安定・増配基調が継続する蓋然性は高い。

EPS / DPS 長期推移(年次・全期間)
EPS(1株益) DPS(1株配当年間)
⚖️ 内在価値の推定(確率加重フェアバリュー)
📐 株主資本コスト(CoE)の算出
30年国債利回り(リスクフリーレート)+3.70%
成熟市場ERP(Damodaran)+4.23%
日本カントリーリスクプレミアム+0.91%
業種ベータ(陸運(物流))×0.70
 → 業種調整後の市場リスクプレミアム+3.58%
リスク耐性スコア調整(7/10)-0.40%
MOAT スコア調整(7/10)-0.30%
格付け調整(R&I AA-)-0.50%
当社中立CoE6.08%
悲観 CoE
9.1%
中立 CoE
6.1%
楽観 CoE
6.0%
リスク耐性スコア(7/10)を用いて3シナリオに確率ウェイトを配分。安定性が高いほど中立シナリオの比重が増し、リスクが高いほど悲観・楽観シナリオの比重が増加する。各モデルの確率加重平均を等ウェイトで平均した値を総合フェアバリューとして表示。
悲観 32%
中立 46%
楽観 22%
悲観 32% — 貿易縮小・コスト高騰
中立 46% — 安定成長・増配継続
楽観 22% — 港湾再編・M&A加速
総合フェアバリュー(確率加重・4モデル平均)
¥4,428/株
悲観32% / 中立46% / 楽観22%
リスク耐性スコア 7/10 より算出
DCF法による算定を見送り
直近3期のFCFブレが30%超のため、DCF法による算定を見送り(年次変動が大きく将来推計が困難)
直近3期FCF: 2025年度 329億円 / 2024年度 260億円 / 2023年度 218億円

2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥130。成長率は過去DPS CAGR(10年=17.0%、直近3年=21.2%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(12年)でターミナル成長率に収束。

悲観 32%
貿易縮小・コスト高騰
¥2,966
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト9.1%
ターミナル成長率0.4%
中立 46%
安定成長・増配継続
¥6,300
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト6.1%
ターミナル成長率1.1%
楽観 22%
港湾再編・M&A加速
¥9,094
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト6.0%
ターミナル成長率2.1%

2段階残余利益モデル。BPS₀=¥3,666、配当性向50%でBPS追跡。

悲観 32%
貿易縮小・コスト高騰
¥1,972
推定フェアバリュー/株
CoE9.1%
ROE(初年→10年目)-4.9%→6.3%
TV成長率0.4%
中立 46%
安定成長・増配継続
¥5,928
推定フェアバリュー/株
CoE6.1%
ROE(初年→10年目)8.6%→8.6%
TV成長率1.1%
楽観 22%
港湾再編・M&A加速
¥7,141
推定フェアバリュー/株
CoE6.0%
ROE(初年→10年目)11.6%→8.6%
TV成長率2.1%

PERマルチプル法。ピークEPS=¥258、総合スコア6.6から指数関数的に倍率算出。

悲観 32%
貿易縮小・コスト高騰
¥2,321
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥258
想定PER9倍
中立 46%
安定成長・増配継続
¥3,868
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥258
想定PER15倍
楽観 22%
港湾再編・M&A加速
¥5,931
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥258
想定PER23倍

過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.90倍、現BPS=¥3,666。

PBR推移(月次・全期間)
PBR月次 下位25% (0.78) 中央値 (0.90) 上位25% (1.00)
悲観 32%
貿易縮小・コスト高騰
¥2,855
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PBR0.78倍
中立 46%
安定成長・増配継続
¥3,281
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PBR0.90倍
楽観 22%
港湾再編・M&A加速
¥3,671
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PBR1.00倍

過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥258。

PER推移(月次・全期間、赤字年除外)
PER月次 下位25% (14.9) 中央値 (16.6) 上位25% (19.5)
悲観 32%
貿易縮小・コスト高騰
¥3,833
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PER14.9倍
中立 46%
安定成長・増配継続
¥4,288
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PER16.6倍
楽観 22%
港湾再編・M&A加速
¥5,033
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PER19.5倍

10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)

総合判定(期待利回り vs 必要利回り)
回避
期待年利が必要利回りを上回る確率: 25.4%
期待年利(10年保有した場合)
下振れ -7.1% / 中央 3.0% / 上振れ 12.7%
中央シナリオで必要利回り(7〜8%目安)を超えるか
10年後株価の幅(5000シナリオ)
下振れ ¥973 / 中央 ¥4,516 / 上振れ ¥13,435
現在 ¥5,289 → 分布の下から 1%地点(低いほど割安)
10年以内の倒産・上場廃止確率
0.4%
10年後の状態: 成長29% 横ばい67% 衰退3% 倒産・上場廃止0%
事象タグ別の10年発生確率
株主還元強化
52.9%
景気後退・需要減
43.5%
バリュエーション低下
34.0%
利益率改善
29.9%
バリュエーション上昇
27.0%
好況・上振れサイクル
18.9%
利益率悪化
18.0%
大幅業績ショック
17.0%
構造的衰退
10.7%
競争優位低下
8.1%
TOB・買収
7.8%
過剰債務・既存株主毀損
3.6%
倒産・上場廃止
3.0%
希薄化・増資
1.1%
銘柄の状態、業種の景気敏感度、スコア、資本効率、現在PBRなどから各事象の露出度を作り、EPS/BPSシミュレーション内で発生させています。
📊 10年後の株価予想分布(5000通りのシナリオ)
横軸 = 10年後の株価 / 縦軸 = その株価に到達するシナリオ数。 現在 ¥5,289(赤線)より右に分布があれば株価上昇期待、左なら下落リスク。
株価の10年推移予想(中央線=中央シナリオ、帯=下振れ〜上振れ)
入力値 / 各モデルの結果下振れ中央上振れ
必要利回り(株主資本コスト)4.55%8.05%12.55%
成長持続年数(競争優位性に連動)7年10年13年
EPS/BPS-first MC 適正株価(中央)¥3,806
10年後EPS/BPS×出口評価(中央)¥3,806
スタート時の状態S(名目永続成長率 0.5%、直近売上成長 2.8%)

※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。

評価モデル 悲観 (32%) 中立 (46%) 楽観 (22%) 加重平均
DCF
配当割引 ¥2,966 ¥6,300 ¥9,094 ¥5,848
残余利益 ¥1,972 ¥5,928 ¥7,141 ¥4,929
PERマルチプル ¥2,321 ¥3,868 ¥5,931 ¥3,827
PBR分位法 ¥2,855 ¥3,281 ¥3,671 ¥3,230
PER分位法 ¥3,833 ¥4,288 ¥5,033 ¥4,306
モデル平均 ↑ 各モデルの確率加重平均 ¥4,428
📊 株価チャート
バリュエーションゾーン
¥1,534 割安
¥2,789
FV¥4,428 割高
¥6,174
¥7,718
本レポートは公開情報(有価証券報告書・IR資料・各種統計)に基づく定性・定量分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。財務数値はEDINET開示データより自動取得しており、最新の決算発表を反映していない場合があります。割引率は NYU Stern Damodaran (Jan 2026) の Japan ERP および日本国債利回りを基に算定。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
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