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9504

中国電力 銘柄分析・適正株価・割安/割高判定
東証プライム 電力・エネルギー 地域独占・規制料金・再エネ転換 JCR AA (stable) R&I A+ (stable)
現在値
時価総額
投資テーゼ
中国電力は中国地方の地域独占電力会社であり、規制料金体系による安定した収益基盤を持つ。2023年度の大幅赤字からV字回復を果たし、電気料金値上げ効果と島根原子力発電所の再稼働期待が中期的な収益改善を後押しする。現在の株価は回復途上の業績に対して割安感があり、原発再稼働・再エネ拡大が実現すれば株主還元の段階的な引き上げも期待できる。
6
競争優位性
業界内MOAT
4
業界成長性
セクター動態
3
リスク耐性
財務・事業安定性
4
株主還元
配当・自社株買い
6
見通し
上振れ経路の確度
総合スコア
4.6/10
競争優位性
6
業界成長性
4
リスク耐性
3
株主還元
4
見通し
6
📋 事業内容
14,423億円
売上高
FY2026実績
685億円
親会社帰属
純利益
2,373億円
営業CF
FY2026実績
16.8%
自己資本
比率
8.8%
ROE
FY2026

中国電力は広島・岡山・島根・鳥取・山口の5県を供給区域とする地域電力会社(東証プライム上場、証券コード9504)。発電・送電・配電・小売の垂直統合型事業を展開し、中国地方の家庭・企業に電力を供給する。電源構成は火力(LNG・石炭)が中心で、水力・太陽光など再生可能エネルギーも保有。島根原子力発電所(2号機)の再稼働審査が進行中であり、低コスト電源確保に向けた取り組みが続く。2023年度に燃料費高騰と料金改定の時間差から大幅赤字に陥ったが、2024年度に電気料金値上げ効果が本格化し黒字転換を果たした。

競争優位性(業界内MOAT) 6/10

①地域独占の送配電インフラ

電力供給に不可欠な中国地方の送配電網は中国電力が保有・運営する。競合他社がこれを新規構築することは現実的でなく、制度的・物理的な参入障壁として機能する。小売自由化後も送配電部門はネットワーク独占を維持しており、安定したインフラ収益の源泉となっている。

②島根原子力発電所の低コスト電源

稼働時の原子力発電は燃料費が相対的に低く、火力発電との比較でコスト優位性が大きい。島根2号機の再稼働が実現すれば電力調達コストの削減と収益改善が期待できる。再稼働は規制当局の審査次第だが、承認後は利益水準を大幅に押し上げる可能性がある。

③長年の顧客基盤と地域ブランド

中国地方の家庭・法人顧客との長期取引実績と地域ブランドは、電力自由化環境においても一定の顧客維持力として機能している。地域社会・自治体との関係構築も深く、大型インフラ案件や産業誘致における協力関係が競合参入の障壁となっている。

📈 業界の成長性・セクター動態 4/10

中期見通し

2025〜2027年度は電気料金値上げ効果の定着と燃料費の安定化を前提に、営業利益1,000〜1,500億円水準での推移が見込まれる。島根原子力2号機の再稼働が実現すれば、燃料費削減効果により利益水準が一段上昇する可能性がある。設備投資(老朽化対応・再エネ拡充)は高水準が続く見通しで、FCFの黒字化は断続的にとどまる可能性がある。

長期構造的トレンド

脱炭素化に向けた再生可能エネルギーの拡大は長期的な事業機会となる。太陽光・洋上風力への投資拡大や、水素・アンモニア混焼など次世代エネルギーへの対応が課題となる。一方で中国地方の人口減少・産業空洞化による電力需要の長期的な縮小は不可避であり、収益成長よりも収益維持・効率化が経営の主眼となる見通しである。データセンターや半導体産業の電力需要増が一部を補う可能性はある。

⚠️ リスクファクター分析 3/10

スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。

高リスク燃料費の再高騰リスク

LNG・石炭価格は地政学的リスクや需給変動により急騰しうる。燃料費調整制度により一定程度は料金に転嫁できるが、タイムラグの間は収益が大幅に悪化する。2023年度の巨額赤字はその典型例であり、財務基盤が脆弱なだけに影響は甚大となりうる。

高リスク自己資本比率の極端な低さ

自己資本比率0.1〜0.2%は電力セクター内でも際立って低く、金融機関の与信判断に影響しうる。金利上昇局面では有利子負債の利払い負担が増し、財務悪化が加速するリスクがある。資本増強策が取れなければ格付け低下・資金調達コスト上昇につながる。

中リスク原子力再稼働の長期遅延

島根原子力2号機の再稼働審査が想定以上に長期化・不認可となった場合、低コスト電源の確保が困難になり中期的な収益改善シナリオが崩れる。再稼働後も地域住民の反対・政治的リスクが運転継続の不確実性として残る。

中リスク電力自由化による顧客流出

電力小売自由化の進展により、法人・高圧顧客が他社に切り替えるリスクが継続する。競合する新電力・他の大手電力の営業活動が激化すれば、市場シェアの維持が難しくなる。供給区域内での競争激化は料金引き下げ圧力にもつながる。

低リスク自然災害・設備老朽化リスク

中国地方は台風・豪雨の被害を受けやすく、送配電設備の被災による修繕コスト増加リスクがある。老朽化した設備の更新投資が増加すれば資本支出が膨らみFCFの悪化要因となる。

💡 見通し(上振れ経路と実現確度) 6/10

業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。

島根原発再稼働による収益急改善

島根原子力2号機の再稼働が実現すれば年間数百億円規模の燃料費削減効果が見込まれ、EPSの大幅改善につながる。低コスト電源の安定確保は競争力強化と株主還元余力の拡大にも直結する。

データセンター・製造業の電力需要増

AI・半導体需要拡大に伴いデータセンターや電力多消費型製造業の中国地方誘致が進めば、電力需要の増加が収益を下支えする。工業用電力の大口契約拡大は安定収益の積み上げに寄与する。

再生可能エネルギー事業の収益化

太陽光・洋上風力など再生可能エネルギー投資の拡大が中長期的な収益源となる可能性がある。脱炭素関連の政府支援や固定価格買取制度(FIT)活用により、安定したキャッシュフローの積み上げが期待できる。

💰 株主還元政策 4/10

2023年度の無配から2024年度に35円/株への配当再開を果たし、2025年度も27円/株を維持している。会社は安定配当の継続を方針として掲げているが、自己資本比率の改善が急務であり、大幅な増配・自社株買いは当面難しい状況。中長期的には収益の安定化と財務体質の強化を前提に、配当性向の引き上げを段階的に目指す方向性と想定される。現在の配当利回りは約3%前後であり、インカム投資家にとっては一定の魅力がある。

EPS / DPS 長期推移(年次・全期間)
EPS(1株益) DPS(1株配当年間)
⚖️ 内在価値の推定(確率加重フェアバリュー)
📐 株主資本コスト(CoE)の算出
30年国債利回り(リスクフリーレート)+3.70%
成熟市場ERP(Damodaran)+4.23%
日本カントリーリスクプレミアム+0.91%
業種ベータ(電力)×0.65
 → 業種調整後の市場リスクプレミアム+3.32%
リスク耐性スコア調整(3/10)+1.20%
MOAT スコア調整(6/10)+0.00%
格付け調整(JCR AA / R&I A+)-0.20%
当社中立CoE8.02%
悲観 CoE
11.0%
中立 CoE
8.0%
楽観 CoE
6.0%
リスク耐性スコア(3/10)を用いて3シナリオに確率ウェイトを配分。安定性が高いほど中立シナリオの比重が増し、リスクが高いほど悲観・楽観シナリオの比重が増加する。各モデルの確率加重平均を等ウェイトで平均した値を総合フェアバリューとして表示。
悲観 39%
中立 34%
楽観 27%
悲観 39% — 原発再稼働遅延・燃料費高止まり
中立 34% — 料金改定効果定着・収益正常化
楽観 27% — 島根原発フル稼働・再エネ収益化加速
総合フェアバリュー(確率加重・4モデル平均)
¥3,503/株
悲観39% / 中立34% / 楽観27%
リスク耐性スコア 3/10 より算出
DCF法による算定を見送り
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2026年度 10億円 / 2025年度 -1,728億円 / 2024年度 694億円

2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥27。

悲観 39%
原発再稼働遅延・燃料費高止まり
¥236
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト11.0%
ターミナル成長率0.2%
中立 34%
料金改定効果定着・収益正常化
¥383
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト8.0%
ターミナル成長率1.0%
楽観 27%
島根原発フル稼働・再エネ収益化加速
¥795
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト6.0%
ターミナル成長率2.0%

2段階残余利益モデル。BPS₀=¥2,162、配当性向14%でBPS追跡。

悲観 39%
原発再稼働遅延・燃料費高止まり
¥767
推定フェアバリュー/株
CoE11.0%
ROE(初年→10年目)-4.2%→6.1%
TV成長率0.2%
中立 34%
料金改定効果定着・収益正常化
¥2,220
推定フェアバリュー/株
CoE8.0%
ROE(初年→10年目)8.2%→8.2%
TV成長率1.0%
楽観 27%
島根原発フル稼働・再エネ収益化加速
¥4,460
推定フェアバリュー/株
CoE6.0%
ROE(初年→10年目)11.1%→8.3%
TV成長率2.0%

PERマルチプル法。ピークEPS=¥371、総合スコア4.6から指数関数的に倍率算出。

悲観 39%
原発再稼働遅延・燃料費高止まり
¥2,594
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥371
想定PER7倍
中立 34%
料金改定効果定着・収益正常化
¥4,076
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥371
想定PER11倍
楽観 27%
島根原発フル稼働・再エネ収益化加速
¥7,041
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥371
想定PER19倍

過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.89倍、現BPS=¥2,162。

PBR推移(月次・全期間)
PBR月次 下位25% (0.74) 中央値 (0.89) 上位25% (1.11)
悲観 39%
原発再稼働遅延・燃料費高止まり
¥1,597
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PBR0.74倍
中立 34%
料金改定効果定着・収益正常化
¥1,916
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PBR0.89倍
楽観 27%
島根原発フル稼働・再エネ収益化加速
¥2,401
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PBR1.11倍

過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥371。

PER推移(月次・全期間、赤字年除外)
PER月次 下位25% (16.6) 中央値 (22.3) 上位25% (33.9)
悲観 39%
原発再稼働遅延・燃料費高止まり
¥6,146
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PER16.6倍
中立 34%
料金改定効果定着・収益正常化
¥8,250
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PER22.3倍
楽観 27%
島根原発フル稼働・再エネ収益化加速
¥12,574
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PER33.9倍

10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)

総合判定(期待利回り vs 必要利回り)
中立
期待年利が必要利回りを上回る確率: 45.9%
期待年利(10年保有した場合)
下振れ -5.2% / 中央 6.8% / 上振れ 18.2%
中央シナリオで必要利回り(7〜8%目安)を超えるか
10年後株価の幅(5000シナリオ)
下振れ ¥75 / 中央 ¥523 / 上振れ ¥2,420
現在 ¥899 → 分布の下から 1%地点(低いほど割安)
10年以内の倒産・上場廃止確率
7.2%
10年後の状態: 成長27% 横ばい51% 衰退14% 倒産・上場廃止7%
事象タグ別の10年発生確率
株主還元強化
44.9%
バリュエーション上昇
43.0%
景気後退・需要減
37.6%
インフレ下の値上げ耐性
33.9%
利益率改善
31.7%
バリュエーション低下
28.1%
過剰債務・既存株主毀損
27.8%
AI電力・光通信インフラ需要
23.4%
利益率悪化
18.6%
大幅業績ショック
18.4%
TOB・買収
17.9%
好況・上振れサイクル
17.2%
競争優位低下
11.8%
倒産・上場廃止
11.2%
銘柄の状態、業種の景気敏感度、スコア、資本効率、現在PBRなどから各事象の露出度を作り、EPS/BPSシミュレーション内で発生させています。
📊 10年後の株価予想分布(5000通りのシナリオ)
横軸 = 10年後の株価 / 縦軸 = その株価に到達するシナリオ数。 現在 ¥899(赤線)より右に分布があれば株価上昇期待、左なら下落リスク。
株価の10年推移予想(中央線=中央シナリオ、帯=下振れ〜上振れ)
入力値 / 各モデルの結果下振れ中央上振れ
必要利回り(株主資本コスト)4.30%7.80%12.30%
成長持続年数(競争優位性に連動)7年10年13年
EPS/BPS-first MC 適正株価(中央)¥1,107
10年後EPS/BPS×出口評価(中央)¥1,107
スタート時の状態S(名目永続成長率 0.5%、直近売上成長 -2.2%)

※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。

評価モデル 悲観 (39%) 中立 (34%) 楽観 (27%) 加重平均
DCF
配当割引 ¥236 ¥383 ¥795 ¥437
残余利益 ¥767 ¥2,220 ¥4,460 ¥2,258
PERマルチプル ¥2,594 ¥4,076 ¥7,041 ¥4,299
PBR分位法 ¥1,597 ¥1,916 ¥2,401 ¥1,923
PER分位法 ¥6,146 ¥8,250 ¥12,574 ¥8,597
モデル平均 ↑ 各モデルの確率加重平均 ¥3,503
📊 株価チャート
バリュエーションゾーン
¥1,247 割安
¥2,268
FV¥3,503 割高
¥5,454
¥6,818
本レポートは公開情報(有価証券報告書・IR資料・各種統計)に基づく定性・定量分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。財務数値はEDINET開示データより自動取得しており、最新の決算発表を反映していない場合があります。割引率は NYU Stern Damodaran (Jan 2026) の Japan ERP および日本国債利回りを基に算定。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
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