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9506 東北電力 銘柄分析・適正株価

東北電力 銘柄分析・適正株価・割安/割高判定
東証プライム 電力・エネルギー 地域独占・規制事業・再エネ転換 JCR AA (stable) R&I A+ (stable)
現在値
時価総額
投資テーゼ
東北電力は東北6県・新潟の地域独占電力会社であり、規制料金制度に守られた安定した収益基盤を持つ。2023年度の大幅赤字から2024・2025年度は大幅黒字に回帰しており、電気料金値上げ効果と燃料費低減が業績改善を牽引している。再生可能エネルギー強化・脱炭素戦略により長期的な事業ポートフォリオの転換が進む一方、PBR1倍割れの低バリュエーションは割安感を示唆する。
6
競争優位性
業界内MOAT
4
業界成長性
セクター動態
3
リスク耐性
財務・事業安定性
4
株主還元
配当・自社株買い
5
見通し
上振れ経路の確度
総合スコア
4.4/10
競争優位性
6
業界成長性
4
リスク耐性
3
株主還元
4
見通し
5
📋 事業内容
26,449億円
売上高
FY2025実績
1,828億円
親会社帰属
純利益
4,103億円
営業CF
FY2025実績
18.2%
自己資本
比率
18.5%
ROE
FY2025

東北電力は青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島・新潟の7県を供給エリアとする地域電力会社。発電・送電・配電・小売を一体的に運営する垂直統合モデルを採用し、売上高は約2.6〜3兆円規模。主力電源は火力(LNG・石炭)・水力・原子力(女川原発・東通原発)で、再生可能エネルギーの比率拡大を中長期戦略に掲げる。2022・2023年度はウクライナ紛争に起因する燃料費高騰で大幅赤字を計上したが、2023年6月の電気料金値上げ(平均32%超)と燃料費の落ち着きにより2024・2025年度は大幅黒字に回帰した。

競争優位性(業界内MOAT) 6/10

①送配電網の地域独占

送配電網は地域独占のインフラであり、電力小売自由化後も他社が東北エリア内に独自の送配電網を構築することは現実的に不可能。東北電力ネットワーク(送配電子会社)が管理するグリッドはすべての電力小売業者が利用しなければならず、安定した託送収入を生む。

②供給義務と規制料金制度

電気事業法に基づく最終保障供給義務を持ち、規制料金制度により一定の収益性が担保されている。燃料費調整制度(燃調)により燃料費変動を料金に転嫁できる仕組みがあるため、長期的に極端な収益悪化を防ぐ構造となっている。

③大規模水力・地熱発電資産

東北地方は水資源・地熱資源が豊富であり、低コストで運転できる大規模水力発電所や地熱発電所を多数保有する。これら再エネ資産は燃料費ゼロで安定発電が可能であり、変動費上昇局面での収益クッションとなる。新規参入者が同等の資産を短期間で構築することは困難。

📈 業界の成長性・セクター動態 4/10

中期見通し

2025〜2027年度は女川原子力発電所2号機の再稼働(2024年10月再稼働)による低コスト電源の追加が業績押し上げ要因として働く見込み。電気料金の高水準維持と燃料費の安定化が継続すれば、年間営業利益2,000〜3,000億円台の安定的な計上が期待できる。一方で大規模な設備更新投資・洋上風力投資によりFCFはタイトな状況が続く可能性が高い。

長期構造的トレンド

日本政府の2050年カーボンニュートラル目標に向け、電力会社は再生可能エネルギーへの大規模転換が求められる。東北沖は洋上風力の適地として国内最大規模の開発が計画されており、東北電力もこの恩恵を受ける立場にある。また脱炭素化に伴う電力需要増(EV・ヒートポンプ・水素製造等)が長期的に電力消費量を押し上げ、人口減少による需要縮小を相殺する可能性がある。データセンター需要の東北への立地も期待材料の一つ。

⚠️ リスクファクター分析 3/10

スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。

高リスク燃料費・為替リスク

LNG・石炭などの化石燃料価格と円ドル相場が業績を大きく左右する。燃料費調整制度で一部転嫁できるものの、タイムラグがあり急激な燃料費高騰期には業績が急速に悪化するリスクがある。2023年度の巨額赤字はその典型例。

高リスク原子力規制対応リスク

女川2号機は再稼働したが、東通1号機は審査中であり追加的な安全対策費用・工期延長が発生する可能性がある。規制当局の判断により長期停止が続けば、代替電源の調達コストが嵩み業績を圧迫する。

中リスク財務健全性の低さ

自己資本比率が約0.2%と極端に低く、有利子負債が多い。金利上昇局面では財務コストが増加し、業績・配当余力に悪影響を与える。格付け低下リスクが顕在化すれば資金調達コストがさらに上昇する恐れがある。

中リスク電力小売自由化による顧客流出

電力小売の完全自由化で大口・高圧顧客を中心に新電力へのスイッチングが進んでいる。電力市場の競争激化が続けば自由化部門の収益が縮小し、規制料金部門への依存度が高まる。

低リスク自然災害・気候変動リスク

東日本大震災の経験を持つ東北電力は地震・津波リスクへの対応を強化しているが、大規模自然災害による発電設備の損傷・供給停止は業績に甚大な影響を及ぼす可能性がある。気候変動による極端気象の増加も設備保守コスト上昇要因となる。

💡 見通し(上振れ経路と実現確度) 5/10

業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。

女川原発再稼働による利益押し上げ

2024年10月に再稼働した女川2号機(出力825MW)は低コスト電源として年間数百億円規模の利益改善に貢献する見込み。フル稼働が定着すれば収益安定化と電力コスト競争力の向上につながり、株価評価の改善が期待される。

洋上風力・再エネ事業の拡大

東北沖は国内最大級の洋上風力適地であり、促進区域の指定が相次いでいる。東北電力が再エネ事業を本格拡大できれば長期的な収益多様化と脱炭素対応の両立が可能となり、ESG投資家からの評価向上も見込まれる。

データセンター需要による電力消費増

AI・クラウドの急拡大でデータセンターが電力の新規大口需要源として注目されている。東北地方は地価・気温面で立地メリットがあり、大型データセンターの誘致が実現すれば電力需要の構造的増加につながる可能性がある。

💰 株主還元政策 4/10

東北電力の配当方針は「安定配当を基本とし、業績・財務状況を勘案した上で実施」としている。2019〜2021年度はDPS¥40を維持していたが、2022年度は業績悪化で¥35に減配、2023年度は無配、2024年度は¥15の復配、2025年度は¥35へ増配と段階的に回復中。自己資本比率が極めて低い現状では積極的な増配や自社株買いは難しく、まず財務体質の改善と安定配当の継続が優先課題となる。現時点での配当利回りは約3.2%(¥35/¥1,088)と一定の水準を維持している。

EPS / DPS 長期推移(年次・全期間)
EPS(1株益) DPS(1株配当年間)
⚖️ 内在価値の推定(確率加重フェアバリュー)
📐 株主資本コスト(CoE)の算出
10年国債利回り(リスクフリーレート)+2.61%
成熟市場ERP(Damodaran)+4.23%
日本カントリーリスクプレミアム+0.91%
業種ベータ(電力)×0.65
 → 業種調整後の市場リスクプレミアム+3.32%
リスク耐性スコア調整(3/10)+1.20%
MOAT スコア調整(6/10)+0.00%
格付け調整(JCR AA / R&I A+)-0.20%
当社中立CoE6.93%
悲観 CoE
9.9%
中立 CoE
6.9%
楽観 CoE
6.0%
リスク耐性スコア(3/10)を用いて3シナリオに確率ウェイトを配分。安定性が高いほど中立シナリオの比重が増し、リスクが高いほど悲観・楽観シナリオの比重が増加する。各モデルの確率加重平均を等ウェイトで平均した値を総合フェアバリューとして表示。
悲観 39%
中立 34%
楽観 27%
悲観 39% — 燃料費高騰・需要減退
中立 34% — 安定収益回帰・緩やかな成長
楽観 27% — 再エネ拡大・料金改定加速
総合フェアバリュー(確率加重・4モデル平均)
¥3,276/株
悲観39% / 中立34% / 楽観27%
リスク耐性スコア 3/10 より算出
DCF法による算定を見送り
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -123億円 / 2024年度 1,166億円 / 2023年度 -3,696億円

2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥35。成長率は過去DPS CAGR(10年=9.6%、直近3年=0.0%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(11年)でターミナル成長率に収束。

悲観 39%
燃料費高騰・需要減退
¥333
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト9.9%
ターミナル成長率0.1%
中立 34%
安定収益回帰・緩やかな成長
¥710
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト6.9%
ターミナル成長率1.0%
楽観 27%
再エネ拡大・料金改定加速
¥1,341
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト6.0%
ターミナル成長率2.0%

2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,970、配当性向10%でBPS追跡。

悲観 39%
燃料費高騰・需要減退
¥625
推定フェアバリュー/株
CoE9.9%
ROE(初年→10年目)-5.0%→5.0%
TV成長率0.1%
中立 34%
安定収益回帰・緩やかな成長
¥2,037
推定フェアバリュー/株
CoE6.9%
ROE(初年→10年目)7.1%→7.1%
TV成長率1.0%
楽観 27%
再エネ拡大・料金改定加速
¥3,126
推定フェアバリュー/株
CoE6.0%
ROE(初年→10年目)9.7%→7.2%
TV成長率2.0%

PERマルチプル法。ピークEPS=¥452、総合スコア4.4から指数関数的に倍率算出。

悲観 39%
燃料費高騰・需要減退
¥3,165
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥452
想定PER7倍
中立 34%
安定収益回帰・緩やかな成長
¥4,973
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥452
想定PER11倍
楽観 27%
再エネ拡大・料金改定加速
¥8,138
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥452
想定PER18倍

過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=1.04倍、現BPS=¥1,970。

PBR推移(月次・全期間)
PBR月次 下位25% (0.68) 中央値 (1.04) 上位25% (1.19)
悲観 39%
燃料費高騰・需要減退
¥1,343
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PBR0.68倍
中立 34%
安定収益回帰・緩やかな成長
¥2,058
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PBR1.04倍
楽観 27%
再エネ拡大・料金改定加速
¥2,337
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PBR1.19倍

過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥452。

PER推移(月次・全期間、赤字年除外)
PER月次 下位25% (10.9) 中央値 (14.7) 上位25% (22.3)
悲観 39%
燃料費高騰・需要減退
¥4,916
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PER10.9倍
中立 34%
安定収益回帰・緩やかな成長
¥6,634
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PER14.7倍
楽観 27%
再エネ拡大・料金改定加速
¥10,071
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PER22.3倍

10年後の株価を 1000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-06-05)

総合判定(期待利回り vs 必要利回り)
回避
期待年利が必要利回りを上回る確率: 2.6%
期待年利(10年保有した場合)
下振れ -36.0% / 中央 -12.7% / 上振れ 1.3%
中央シナリオで必要利回り(7〜8%目安)を超えるか
10年後株価の幅(1000シナリオ)
下振れ ¥12 / 中央 ¥255 / 上振れ ¥1,139
現在 ¥997 → 分布の下から 1%地点(低いほど割安)
10年以内の倒産・上場廃止確率
9.6%
10年後の状態: 成長4% 横ばい28% 衰退59% 倒産・上場廃止10%
事象タグ別の10年発生確率
rate environment net interest bridge
99.2%
debt service profit drag
99.1%
希薄化・増資
55.6%
balance sheet recapitalization
44.4%
景気後退・需要減
39.6%
利益率改善
32.9%
インフレ下の値上げ耐性
32.4%
バリュエーション上昇
32.0%
バリュエーション低下
31.9%
distress restructuring survival
27.1%
AI電力・光通信インフラ需要
24.6%
TOB・買収
23.5%
過剰債務・既存株主毀損
21.7%
利益率悪化
20.8%
銘柄の状態、業種の景気敏感度、スコア、資本効率、現在PBRなどから各事象の露出度を作り、EPS/BPSシミュレーション内で発生させています。
📊 10年後の株価予想分布(1000通りのシナリオ)
横軸 = 10年後の株価 / 縦軸 = その株価に到達するシナリオ数。 現在 ¥997(赤線)より右に分布があれば株価上昇期待、左なら下落リスク。
株価の10年推移予想(中央線=中央シナリオ、帯=下振れ〜上振れ)
入力値 / 各モデルの結果下振れ中央上振れ
必要利回り(株主資本コスト)3.27%6.77%11.27%
成長持続年数(競争優位性に連動)7年10年13年
EPS/BPS-first MC 適正株価(中央)¥178
10年後EPS/BPS×出口評価(中央)¥178
スタート時の状態S(名目永続成長率 1.2%、直近売上成長 3.2%)

※ 試算精度について:現在は 1000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。

評価モデル 悲観 (39%) 中立 (34%) 楽観 (27%) 加重平均
DCF
配当割引 ¥333 ¥710 ¥1,341 ¥733
残余利益 ¥625 ¥2,037 ¥3,126 ¥1,780
PERマルチプル ¥3,165 ¥4,973 ¥8,138 ¥5,122
PBR分位法 ¥1,343 ¥2,058 ¥2,337 ¥1,854
PER分位法 ¥4,916 ¥6,634 ¥10,071 ¥6,892
モデル平均 ↑ 各モデルの確率加重平均 ¥3,276
📊 株価チャート
バリュエーションゾーン
¥1,142 割安
¥2,076
FV¥3,276 割高
¥5,003
¥6,254
本レポートは公開情報(有価証券報告書・IR資料・各種統計)に基づく定性・定量分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。財務数値はEDINET開示データより自動取得しており、最新の決算発表を反映していない場合があります。割引率は NYU Stern Damodaran (Jan 2026) の Japan ERP および日本国債利回りを基に算定。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
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