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FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
大林組はスーパーゼネコン四社の一角を占め、土木部門ではダム・トンネル・港湾・地下鉄など高難度案件、建築部門では超高層ビル・データセンター・物流施設など大型複合案件を手掛ける。リニア中央新幹線の南アルプストンネル工区や原子力関連工事を主要受注として抱え、手持ち工事残高は国内外で高水準を維持している。国内建設市場は人手不足・資材費高騰という構造的コスト圧力に直面しており、価格転嫁交渉と生産性向上への対応が収益の鍵を握る。
高難度工事における技術的参入障壁
ダム・シールドトンネル・原子力施設など発注者が実績主義で選定する工種では、施工実績の積み上げ自体がモートとなり新規参入を構造的に排除する。大林組は戦前から続く施工ノウハウと専門技術者の育成体制を持ち、競合他社との差別化を維持している。
官民発注者との長期的な信頼関係
国土交通省・鉄道・電力等の基幹インフラ発注者との数十年単位の取引関係は、情報優位・随意契約機会・追加発注の獲得につながる見えないコスト優位性を生む。この関係資本は短期間では模倣困難であり、参入障壁として機能し続ける。
スーパーゼネコン寡占による価格交渉力
国内超大型案件を受注できる実力を持つプレイヤーは事実上四社に限定されており、発注者は施工品質・安全管理・資金力を担保するため競争入札においてもゼネコン大手を優遇する。この寡占構造が価格過当競争を抑制し、採算性の底上げに寄与している。
中期見通し
リニア中央新幹線の工事進捗加速と首都圏大型再開発案件の着工集中により、今後三〜五年の完成工事高は高水準で推移する見通しである。原発再稼働・新増設関連の設備投資拡大も受注パイプラインを豊かにし、受注残高の積み上がりが業績の視界を確保する。ただし労務費・資材費の上昇を上回る価格転嫁の実現が増益の条件となる。
長期構造的トレンド
国土強靭化計画・防災インフラ投資・老朽インフラ更新は十年以上にわたる持続的な建設需要を生み出す。データセンターや物流施設への旺盛な投資も大型建築案件を供給し、エネルギー転換に伴う水素・蓄電・送配電インフラ整備という新領域でも大林組の技術力が求められる局面が増加していく。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
鉄鋼・セメント・型枠材等の資材費と技能労働者の確保コストが高止まりし、固定請負価格のまま原価が膨らむ案件では工事損失引当金の計上リスクが生じる。インフレ環境が長期化した場合、受注単価の改定交渉が追いつかない期間が発生しやすい。
リニア南アルプストンネルや大深度地下工事は地質リスク・用地取得遅延・行政手続き長期化など想定外事象が発生しやすく、追加費用が自社負担となれば一時的な大幅減益要因となりうる。過去の大型案件でも同種の損失計上が株価急落を引き起こした事例がある。
少子高齢化と若年層の建設離れにより、施工を担う技能労働者の確保が中長期的に困難化する。工期延長や外注コスト上昇につながり、受注能力の天井を引き下げる構造的リスクとして経営の重しになる。
日本銀行の政策正常化が進み長期金利が上昇した場合、民間デベロッパーや事業会社の建設投資マインドが冷え込み、建築受注の競争激化につながる可能性がある。公共工事は財政依存のため直接影響は限定的だが、民間建築比率が高い案件構成では注視が必要である。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
エネルギー安全保障を背景に原発新増設・リプレースの政策議論が具体化すれば、原子力施設建設で豊富な実績を持つ大林組への発注集中が起きる可能性がある。既存原発の点検・改修工事需要も再稼働台数の増加とともに拡大しており、高採算の専門工事として収益改善に直結する。
渋谷・新宿・虎ノ門・麻布台など都心部で大型複合再開発が着工ラッシュを迎えており、超高層建築に強みを持つ大林組の受注機会が重なっている。インバウンド回復と外資系企業の拠点拡充需要がオフィス・ホテル建設投資を下支えし、民間建築の高採算案件が積み上がる局面にある。
AI・クラウド普及を背景とした国内データセンター投資の急拡大と、EC物流網の高度化に伴う大型物流施設建設が継続的な受注源となっている。これらは工期・仕様が明確で採算管理しやすい建築案件であり、利益率改善への貢献が期待できる。
配当は安定的に維持されているものの、ROEは概ね一桁台前半に留まり資本効率の観点で改善余地が大きい。自己株買いは実施されるものの規模は限定的で、大型工事受注への備えとして手元流動性を厚く保つ財務方針が株主還元の上限を画している。PBRは概ね一倍近傍で推移しており、コスト転嫁の進展と増益局面での再評価に期待がかかる水準にある。
リスク耐性スコア 3/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 952億円 / 2024年度 -341億円 / 2023年度 1,268億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥81。成長率は過去DPS CAGR(10年=20.6%、直近3年=36.3%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(9年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,617、配当性向40%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥204、総合スコア3.4から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=1.02倍、現BPS=¥1,617。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥204。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 4.77% | 8.27% | 12.77% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥860 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥860 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 0.5%、直近売上成長 6.6%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (39%) | 中立 (34%) | 楽観 (27%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥1,326 | ¥2,835 | ¥7,223 | ¥3,431 |
| 残余利益 | ¥581 | ¥1,553 | ¥3,089 | ¥1,589 |
| PERマルチプル | ¥1,223 | ¥2,039 | ¥3,058 | ¥1,996 |
| PBR分位法 | ¥1,254 | ¥1,652 | ¥2,140 | ¥1,629 |
| PER分位法 | ¥2,384 | ¥3,858 | ¥5,711 | ¥3,783 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥2,486 | ||
¥1,354 FV¥2,486 割高
¥4,244 ¥5,305