1808
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
長谷工コーポレーション(1808)は分譲マンションの設計・施工を中核とする国内最大手の建設会社。累計施工戸数は100万戸を超え、三井不動産レジデンシャル・住友不動産・野村不動産など大手デベロッパー全社との取引実績を持つ。事業はマンション建設(請負)を主体とし、設計・監理・不動産開発支援・マンション管理まで一気通貫のサービスを展開。売上高は直近FY2025に1兆1,774億円と過去最高水準を更新し続けており、首都圏を中心とした旺盛な分譲需要が業績を下支えしている。ただしFY2025は工事原価上昇により純利益が前年比38%減の344億円に圧縮されており、採算管理が重要課題となっている。
①累計100万戸超の施工ノウハウと標準化工法
長谷工が長年かけて蓄積した大規模マンション専用の設計・施工標準化システムは業界随一。工期短縮・コスト削減を実現するプレキャストコンクリート工法や独自の施工管理体制は、新規参入者が短期間で模倣することが困難な無形の競争優位となっている。
②大手デベロッパーとの長期的パートナーシップ
三井・住友・野村・東急など主要デベロッパー全社との長年にわたる取引関係は、高いスイッチングコストを生む。施工品質・納期・アフターサービスで培った信頼は容易に代替されず、各社のマンション建設計画における「ファースト・コール」としての地位を確立している。
③業界最大規模の施工体制と協力会社ネットワーク
全国各地に展開する施工拠点と長年かけて構築した協力会社・職人ネットワークは、大量・多拠点同時施工を可能にする規模の経済を実現。資材調達の交渉力や繁忙期の人材確保力においても中堅ゼネコンを圧倒しており、受注競争における価格競争力につながっている。
中期見通し
2〜3年の視点では首都圏・大阪圏での都市再開発プロジェクトの増加と老朽マンション建替え需要の顕在化が受注増の主因となる見込み。一方で建設コスト高騰(資材・人件費)が採算を圧迫しており、値上げ交渉力の向上と工法改善による原価低減が課題。受注残高は高水準を維持しており、2〜3年の売上視界は相対的に良好といえる。
長期構造的トレンド
5〜10年スパンでは新築マンション市場の縮小が避けられない一方、老朽化ストックの建替え・再生需要が本格化する。2040年代にかけて築40年超のマンションが急増する日本では、建替えコンサルティングから施工・管理まで一括受託できる長谷工の強みが顕在化する可能性が高い。また政府の省エネ・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)推進政策も高付加価値工事の需要を押し上げる追い風となる。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
資材価格(鋼材・コンクリート)と人件費の高止まりが工事採算を圧迫。受注時と施工時の価格差を価格転嫁できない場合、大幅な利益率低下につながる。FY2025純利益の急減はこの問題が既に顕在化していることを示す。
日銀の金融政策正常化に伴う住宅ローン金利上昇はマンション購買力を低下させ、デベロッパーの新規開発計画を抑制する。長谷工は需要の川下(デベロッパー)に依存しており、受注量の急減が業績に直撃する構造リスクがある。
建設業の担い手不足は業界共通の課題で、熟練技能者の高齢化により施工能力が制約される恐れがある。工期遅延や追加コスト発生が受注企業との関係に悪影響を及ぼす可能性がある。
マンション施工における設計ミスや施工不良が発覚した場合、多数の区分所有者への損害賠償と社会的信用失墜につながる。過去業界では大規模訴訟事例も発生しており、品質管理体制の維持が不可欠。
大成・鹿島・清水など総合ゼネコン大手がマンション特化施工に本腰を入れた場合、長谷工の受注シェアが脅かされる可能性がある。ただし現時点では専業特化による競争優位が維持されており、近い将来の大規模シフトは起こりにくい。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
築40年超マンションが2040年代に急増する中、建替えコンサルティングから施工まで一括対応できる長谷工の総合力が最大の差別化要因となる。政府の容積率緩和・建替え促進策も追い風で、大型案件の安定受注が期待できる。
政府の省エネ基準義務化やZEHマンション推進に伴い、高性能断熱・太陽光・蓄電設備を組み込んだ付加価値の高い工事需要が拡大。長谷工の標準化工法にこれらを組み込むことで、単価上昇と競争力向上を同時に実現できる。
ベトナム・インドネシア等の都市化が進むアジア諸国では日本式高品質マンションへの需要が顕在化しつつある。長谷工の施工ノウハウ・管理システムを現地デベロッパーへライセンス供与または合弁展開することで、国内市場縮小を補う新たな収益源となり得る。
長谷工は「安定的な配当の実施」を株主還元の基本方針として掲げ、直近7期でDPSを60→85円へ段階的に引き上げてきた。FY2025は純利益が大幅減少したにもかかわらず85円配当を維持しており、株主還元への強いコミットメントを示している。配当性向は純利益変動により年度によってはかなり高くなるが、キャッシュフロー創出力を背景に維持する方針。自社株買いも状況に応じ実施しており、総合的な資本効率改善への意識は高い。現在の配当利回り約3.1%は安定大型株として一定の魅力を持つ。
リスク耐性スコア 5/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -286億円 / 2024年度 752億円 / 2023年度 -1,074億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥85。成長率は過去DPS CAGR(10年=29.1%、直近3年=2.0%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(12年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,949、配当性向67%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥440、総合スコア6.0から指数関数的に倍率算出。
過去BPSデータの連続性に問題があるため、PBR法による価値算定を見送り(債務超過/赤字年あり)
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥440。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 4.77% | 8.27% | 12.77% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥2,480 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥2,480 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 0.5%、直近売上成長 8.5%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (36%) | 中立 (30%) | 楽観 (34%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥891 | ¥2,896 | ¥8,567 | ¥4,102 |
| 残余利益 | ¥931 | ¥2,600 | ¥3,723 | ¥2,381 |
| PERマルチプル | ¥3,960 | ¥6,160 | ¥9,680 | ¥6,565 |
| PBR分位法 | — | — | — | — |
| PER分位法 | ¥2,577 | ¥3,598 | ¥4,507 | ¥3,540 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥4,147 | ||
¥2,090 FV¥4,147 割高
¥6,619 ¥8,274
関連: 1808 長谷工コーポレーション の株価・財務分析(概要ページ) / 銘柄分析ランキング一覧 / 建設業の業界分析