1861 熊谷組 銘柄分析・適正株価
5.6Sol 個別レビュー
投資テーゼ
FY27の309億円営業利益達成には建築の採算改善が必要。現値1,388円は会社EPS120円の約11.6倍で極端な割安ではないが、純現金と政策株が下支えする。監査済み資本コスト7.16%で、受注規律が定着するかを中心に評価する。
主な懸念
1Q建築受注42%減、建築繰越18%減は売上先行きの警戒点。政策株・不動産・周辺事業を現金同等物として過大評価せず、工事損失、資材・労務、施工人員、借換を別々に監視する。
シナリオ内訳
| シナリオ | 確率 | 妥当価値 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 建築採算再悪化と受注空洞化 | 10.0% | 241円 | 民間建築の繰越減と原価高が重なり、施工能力を埋められない。 |
| 建築回復遅延と土木下支え | 25.0% | 612円 | 公共需要は堅調でも民間建築の受注と利益率が戻り切らない。 |
| 受注規律と採算正常化 | 40.0% | 1,150円 | 価格転嫁と受注選別でFY27利益率が定着し、低成長でも利益を維持する。 |
| 国土強靱化と施工DXの複利 | 20.0% | 1,690円 | 公共更新需要と民間設備投資が続き、DXで施工能力と採算が改善する。 |
| 自律施工と周辺事業高ROIC化 | 5.0% | 2,517円 | 自律施工・再生エネ・不動産協業が施工制約を解き、長期利益率を高める低確率ケース。 |
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
熊谷組は土木建築の総合力を持つゼネコンで、公共と民間の両方を手がける。実績はあるが、業界全体としては成熟し、採算管理が評価を大きく左右する。建設は受注の量だけでなく、現場管理と採算統制の質が結果を大きく左右する。更新需要や防災需要が支えになる一方で、人手や資材の制約が常に収益性に影を落としやすい。この会社を見るときは、目先の追い風よりも事業の型がどれだけ再現性を持つかを丁寧に見たい。
競争優位の源泉
施工実績と発注者との関係は強みだが、ゼネコンは競争が激しい。大手の中で突出した差別化を長く維持するのは容易ではない。施工実績と顧客との信頼関係は受注競争で効いてくる。特殊領域を持つ企業ほど、単純な価格勝負から一歩引いた立場を取りやすい。強みが本物かどうかは、価格以外の理由で選ばれ続けるかに表れやすい。
成長の見通し
国内建設は更新需要が中心で、高成長産業ではない。案件次第の伸びはあっても構造的な成長期待は小さい。成長の見通しは大型案件の積み上がりより、得意分野の深掘りで生まれやすい。保守や更新まで含めた継続接点が増えると質も上がりやすい。外部環境の追い風があっても、最終的には自社の得意分野をどこまで広げられるかが差を生みやすい。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
受注残が下支えになる一方、不採算案件や人手不足の影響は受けやすい。景気感応も残るため耐性は中立的だ。一つの大型工事でつまずくと、利益の見え方が大きく変わることがある。見積もり精度と現場統制の甘さは後から効きやすい。
受注残が下支えになる一方、不採算案件や人手不足の影響は受けやすい。景気感応も残るため耐性は中立的だ。技能人材の確保が難しい局面では、受注機会があっても取り込み切れない。工期や品質の面でも負担がかかりやすい。
受注残が下支えになる一方、不採算案件や人手不足の影響は受けやすい。景気感応も残るため耐性は中立的だ。原材料や外注費の上昇が急だと、契約条件によっては採算を削りやすい。受注残の多さがそのまま安心材料にならないこともある。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
見通しは選別受注と高採算案件の積み上げにある。ただし業界全体の成熟感が強く、評価上昇の余地は限定されやすい。老朽設備や社会基盤の更新が続く限り、専門性を持つ企業には出番が生まれやすい。短期の波を越えて需要の土台になりうる。
見通しは選別受注と高採算案件の積み上げにある。ただし業界全体の成熟感が強く、評価上昇の余地は限定されやすい。工事後のメンテナンスまで握れると、収益の見通しは安定しやすい。景気敏感さをやわらげる意味でも大きい。
見通しは選別受注と高採算案件の積み上げにある。ただし業界全体の成熟感が強く、評価上昇の余地は限定されやすい。得意分野に絞って良い案件を取れると、量より質の成長が可能になる。専門性の再評価にもつながりやすい。
還元の魅力よりも採算安定のほうが先に問われやすい。資本配分の強さは平均的だ。建設会社の還元は本業採算の安定とセットで見られやすい。受注残の質が良いほど、資本配分への安心感も増しやすい。派手さよりも、無理のない資本配分を続けられるかが長期の評価に結びつきやすい。
リスク耐性スコア 5/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -38億円 / 2024年度 62億円 / 2023年度 -273億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥33。成長率は過去DPS CAGR(10年=20.6%、直近3年=2.7%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(10年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,058、配当性向60%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥110、総合スコア4.2から指数関数的に倍率算出。
過去BPSデータの連続性に問題があるため、PBR法による価値算定を見送り(債務超過/赤字年あり)
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥110。
10年後の株価を 1000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-07-29)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 3.00% | 6.11% | 10.61% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥768 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥811 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 0.9%、直近売上成長 5.6%) | ||
※ 試算精度について:現在は 1000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (39%) | 中立 (30%) | 楽観 (31%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥350 | ¥908 | ¥1,901 | ¥998 |
| 残余利益 | ¥447 | ¥1,263 | ¥1,727 | ¥1,089 |
| PERマルチプル | ¥770 | ¥1,210 | ¥1,980 | ¥1,277 |
| PBR分位法 | — | — | — | — |
| PER分位法 | ¥646 | ¥912 | ¥1,595 | ¥1,020 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥1,096 | ||
¥553 FV¥1,096 割高
¥1,801 ¥2,251