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五洋建設 銘柄分析・適正株価・割安/割高判定
東証プライム 海洋土木・ゼネコン 海洋インフラ特化・官公庁依存・受注型事業 JCR A (stable) R&I A- (stable)
現在値
時価総額
投資テーゼ
五洋建設は国内屈指の海洋土木技術を持ち、港湾・護岸・洋上風力基礎工事において高い競争力を誇る。国内インフラ老朽化更新需要と洋上風力発電の拡大が中長期の受注を支える構造的追い風となっている。PBR0.6倍台と割安感があり、株主還元の継続性も評価できるが、直近のOCF悪化と自己資本比率の低さがリスクとして残る。
5
競争優位性
業界内MOAT
5
業界成長性
セクター動態
3
リスク耐性
財務・事業安定性
5
株主還元
配当・自社株買い
6
見通し
上振れ経路の確度
総合スコア
4.8/10
競争優位性
5
業界成長性
5
リスク耐性
3
株主還元
5
見通し
6
📋 事業内容
7,275億円
売上高
FY2025実績
125億円
親会社帰属
純利益
-233億円
営業CF
FY2025実績
26.0%
自己資本
比率
7.2%
ROE
FY2025

五洋建設は1906年創業の海洋・港湾土木専業大手ゼネコンである。主力事業は港湾・護岸・防波堤・浚渫・橋梁などの海洋・土木工事で、国内シェアは最大級。近年は洋上風力発電の基礎工事や海底ケーブル敷設工事にも参入しており、エネルギーインフラ領域での存在感を高めている。売上高は2019年の5,419億円から2025年には7,275億円へと拡大しているが、営業利益率は2〜4%台と低水準。受注型ビジネスのため工期・資材コスト・人件費の変動が収益を左右する構造となっている。

競争優位性(業界内MOAT) 5/10

①海洋土木技術の高い参入障壁

大水深・大規模港湾工事や洋上風力基礎工事には専用の重機・船舶・施工ノウハウが必要であり、国内でこれを備える企業は限られる。五洋建設は100年超の海洋土木実績と独自の海上施工技術を有しており、大型官公庁案件での競争力は高い。

②国・地方自治体との深い取引関係

国土交通省・港湾局・防衛省など官公庁との長年の実績と信頼関係は容易に複製できない競争優位である。公共工事は入札資格審査・実績評価が重視されるため、既存プレイヤーの優位性が持続しやすい。

③洋上風力専業船舶・機材の保有

洋上風力工事に必要なジャケット据付船・起重機船などを自社保有していることは、外注コストの圧縮と工程管理の優位につながる。設備投資の重さが参入障壁を形成し、新規参入を抑制する効果がある。

📈 業界の成長性・セクター動態 5/10

中期見通し

2026〜2028年にかけて国内洋上風力案件の着工が本格化する見込みであり、五洋建設は複数のプロジェクトで参画を表明している。また防衛・港湾インフラの老朽化更新・強靭化投資も続いており、公共工事の受注パイプラインは積み上がりやすい環境。ただし資材・人件費インフレによる工事採算の悪化リスクが引き続き利益を圧迫する可能性がある。

長期構造的トレンド

日本政府は2040年までに洋上風力45GWの導入を目標とし、今後10〜20年で海洋工事需要は急増する見通し。また気候変動に伴う台風・高潮対策の海岸防護工事や、老朽化港湾インフラの大規模更新も長期的な受注基盤となる。海外では東南アジアを中心に港湾開発需要が旺盛であり、海外展開の加速も長期成長の鍵となる。

⚠️ リスクファクター分析 3/10

スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。

高リスク財務レバレッジの高さと流動性リスク

自己資本比率0.3%という極端な低水準は財務的脆弱性を示す。FCFが連続マイナスとなる局面では借入金が膨らみ、金利上昇や信用収縮時に資金繰りリスクが顕在化しうる。

高リスク資材・労務費インフレによる工事採算悪化

鉄鋼・コンクリート・燃料価格の高止まりと熟練工不足による人件費上昇が固定価格受注案件の採算を悪化させるリスク。2023年度の大幅減益はこの影響が主因であり、再発リスクは継続している。

中リスク洋上風力工事の入札競争激化

洋上風力基礎工事への参入企業が増加しており、今後は価格競争が激化する可能性がある。受注単価の低下が長期的な利益率の圧迫につながるリスクがある。

中リスク公共投資の削減・財政引き締め

財政悪化を背景に政府が公共事業予算を縮小した場合、官公庁向け受注が急減するリスクがある。売上の大部分を公共工事に依存する構造は景気・政策変動に対する脆弱性を内包する。

低リスク海外事業での工事損失・政情リスク

東南アジア等の海外工事では為替変動・政情不安・現地パートナーリスクが伴う。過去にも海外案件での損失計上事例があり、海外展開拡大に伴うリスク管理が課題となる。

💡 見通し(上振れ経路と実現確度) 6/10

業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。

洋上風力大型受注の本格化

政府目標達成に向けた洋上風力工事は今後10年で数兆円規模に拡大する見込み。海洋土木専業の強みを活かした大型EPC受注が実現すれば、売上・利益の急拡大が期待できる。

インフラ老朽化更新・防災投資の拡大

高度成長期に整備された港湾・護岸インフラが更新時期を迎え、大規模改修工事の需要が増大。防災・国土強靭化予算の増額も追い風となり、安定した公共工事受注が続く見込み。

東南アジア・インドの港湾開発受注

経済成長が続くアジア新興国での港湾・海洋インフラ整備需要は旺盛。ODA案件や現地政府との協業を通じた海外受注の拡大が実現すれば、新たな収益源の確立につながる。

💰 株主還元政策 5/10

五洋建設は安定配当を基本方針とし、直近7期のDPSは19〜28円の範囲で安定的に推移している。2024・2025年度はいずれも24円配当を実施。配当性向は利益変動に応じて変化するが、減配は最低限に抑える姿勢が見られる。自社株買いの実施は散発的であり、株主還元の主軸はあくまで配当。現在の株価水準では配当利回り約1.4%と、高配当とは言えないが安定性は評価できる。

EPS / DPS 長期推移(年次・全期間)
EPS(1株益) DPS(1株配当年間)
⚖️ 内在価値の推定(確率加重フェアバリュー)
📐 株主資本コスト(CoE)の算出
30年国債利回り(リスクフリーレート)+3.70%
成熟市場ERP(Damodaran)+4.23%
日本カントリーリスクプレミアム+0.91%
業種ベータ(建設・ゼネコン)×0.74
 → 業種調整後の市場リスクプレミアム+3.81%
リスク耐性スコア調整(3/10)+1.20%
MOAT スコア調整(5/10)+0.00%
格付け調整(JCR A / R&I A-)+0.00%
当社中立CoE8.71%
悲観 CoE
11.7%
中立 CoE
8.7%
楽観 CoE
6.2%
リスク耐性スコア(3/10)を用いて3シナリオに確率ウェイトを配分。安定性が高いほど中立シナリオの比重が増し、リスクが高いほど悲観・楽観シナリオの比重が増加する。各モデルの確率加重平均を等ウェイトで平均した値を総合フェアバリューとして表示。
悲観 34%
中立 39%
楽観 27%
悲観 34% — 公共投資削減・コスト高騰
中立 39% — インフラ需要継続・緩やかな収益改善
楽観 27% — 洋上風力フル稼働・海外展開加速
総合フェアバリュー(確率加重・4モデル平均)
¥955/株
悲観34% / 中立39% / 楽観27%
リスク耐性スコア 3/10 より算出
DCF法による算定を見送り
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -465億円 / 2024年度 27億円 / 2023年度 80億円

2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥24。成長率は過去DPS CAGR(10年=24.6%、直近3年=1.4%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(10年)でターミナル成長率に収束。

悲観 34%
公共投資削減・コスト高騰
¥209
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト11.7%
ターミナル成長率0.4%
中立 39%
インフラ需要継続・緩やかな収益改善
¥513
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト8.7%
ターミナル成長率1.1%
楽観 27%
洋上風力フル稼働・海外展開加速
¥1,578
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト6.2%
ターミナル成長率2.1%

2段階残余利益モデル。BPS₀=¥609、配当性向54%でBPS追跡。

悲観 34%
公共投資削減・コスト高騰
¥222
推定フェアバリュー/株
CoE11.7%
ROE(初年→10年目)-5.0%→6.5%
TV成長率0.4%
中立 39%
インフラ需要継続・緩やかな収益改善
¥618
推定フェアバリュー/株
CoE8.7%
ROE(初年→10年目)8.8%→8.8%
TV成長率1.1%
楽観 27%
洋上風力フル稼働・海外展開加速
¥1,156
推定フェアバリュー/株
CoE6.2%
ROE(初年→10年目)11.8%→8.8%
TV成長率2.1%

PERマルチプル法。ピークEPS=¥82、総合スコア4.8から指数関数的に倍率算出。

悲観 34%
公共投資削減・コスト高騰
¥573
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥82
想定PER7倍
中立 39%
インフラ需要継続・緩やかな収益改善
¥982
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥82
想定PER12倍
楽観 27%
洋上風力フル稼働・海外展開加速
¥1,555
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥82
想定PER19倍
PBR法による価値算定を見送り
過去BPSデータの連続性に問題があるため、PBR法による価値算定を見送り(時系列に不連続な急変あり(株式分割の遡及反映が不完全な可能性))

過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥82。

PER推移(月次・全期間、赤字年除外)
PER月次 下位25% (11.2) 中央値 (18.7) 上位25% (26.7)
悲観 34%
公共投資削減・コスト高騰
¥913
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PER11.2倍
中立 39%
インフラ需要継続・緩やかな収益改善
¥1,527
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PER18.7倍
楽観 27%
洋上風力フル稼働・海外展開加速
¥2,189
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PER26.7倍

10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)

総合判定(期待利回り vs 必要利回り)
回避
期待年利が必要利回りを上回る確率: 7.6%
期待年利(10年保有した場合)
下振れ -17.9% / 中央 -6.8% / 上振れ 6.5%
中央シナリオで必要利回り(7〜8%目安)を超えるか
10年後株価の幅(5000シナリオ)
下振れ ¥104 / 中央 ¥401 / 上振れ ¥2,042
現在 ¥1,830 → 分布の下から 1%地点(低いほど割安)
10年以内の倒産・上場廃止確率
1.0%
10年後の状態: 成長23% 横ばい35% 衰退41% 倒産・上場廃止1%
事象タグ別の10年発生確率
バリュエーション低下
55.0%
株主還元強化
49.6%
景気後退・需要減
49.0%
好況・上振れサイクル
42.4%
大幅業績ショック
29.3%
利益率改善
28.0%
利益率悪化
24.2%
バリュエーション上昇
19.7%
競争優位低下
14.6%
構造的衰退
13.2%
希薄化・増資
11.9%
過剰債務・既存株主毀損
11.4%
TOB・買収
7.4%
倒産・上場廃止
2.8%
銘柄の状態、業種の景気敏感度、スコア、資本効率、現在PBRなどから各事象の露出度を作り、EPS/BPSシミュレーション内で発生させています。
📊 10年後の株価予想分布(5000通りのシナリオ)
横軸 = 10年後の株価 / 縦軸 = その株価に到達するシナリオ数。 現在 ¥1,830(赤線)より右に分布があれば株価上昇期待、左なら下落リスク。
株価の10年推移予想(中央線=中央シナリオ、帯=下振れ〜上振れ)
入力値 / 各モデルの結果下振れ中央上振れ
必要利回り(株主資本コスト)4.77%8.27%12.77%
成長持続年数(競争優位性に連動)7年10年13年
EPS/BPS-first MC 適正株価(中央)¥531
10年後EPS/BPS×出口評価(中央)¥531
スタート時の状態S(名目永続成長率 0.5%、直近売上成長 7.7%)

※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。

評価モデル 悲観 (34%) 中立 (39%) 楽観 (27%) 加重平均
DCF
配当割引 ¥209 ¥513 ¥1,578 ¥697
残余利益 ¥222 ¥618 ¥1,156 ¥629
PERマルチプル ¥573 ¥982 ¥1,555 ¥998
PBR分位法
PER分位法 ¥913 ¥1,527 ¥2,189 ¥1,497
モデル平均 ↑ 各モデルの確率加重平均 ¥955
📊 株価チャート
バリュエーションゾーン
¥263 割安
¥479
FV¥955 割高
¥1,620
¥2,025
本レポートは公開情報(有価証券報告書・IR資料・各種統計)に基づく定性・定量分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。財務数値はEDINET開示データより自動取得しており、最新の決算発表を反映していない場合があります。割引率は NYU Stern Damodaran (Jan 2026) の Japan ERP および日本国債利回りを基に算定。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
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