1893
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
五洋建設は1906年創業の海洋・港湾土木専業大手ゼネコンである。主力事業は港湾・護岸・防波堤・浚渫・橋梁などの海洋・土木工事で、国内シェアは最大級。近年は洋上風力発電の基礎工事や海底ケーブル敷設工事にも参入しており、エネルギーインフラ領域での存在感を高めている。売上高は2019年の5,419億円から2025年には7,275億円へと拡大しているが、営業利益率は2〜4%台と低水準。受注型ビジネスのため工期・資材コスト・人件費の変動が収益を左右する構造となっている。
①海洋土木技術の高い参入障壁
大水深・大規模港湾工事や洋上風力基礎工事には専用の重機・船舶・施工ノウハウが必要であり、国内でこれを備える企業は限られる。五洋建設は100年超の海洋土木実績と独自の海上施工技術を有しており、大型官公庁案件での競争力は高い。
②国・地方自治体との深い取引関係
国土交通省・港湾局・防衛省など官公庁との長年の実績と信頼関係は容易に複製できない競争優位である。公共工事は入札資格審査・実績評価が重視されるため、既存プレイヤーの優位性が持続しやすい。
③洋上風力専業船舶・機材の保有
洋上風力工事に必要なジャケット据付船・起重機船などを自社保有していることは、外注コストの圧縮と工程管理の優位につながる。設備投資の重さが参入障壁を形成し、新規参入を抑制する効果がある。
中期見通し
2026〜2028年にかけて国内洋上風力案件の着工が本格化する見込みであり、五洋建設は複数のプロジェクトで参画を表明している。また防衛・港湾インフラの老朽化更新・強靭化投資も続いており、公共工事の受注パイプラインは積み上がりやすい環境。ただし資材・人件費インフレによる工事採算の悪化リスクが引き続き利益を圧迫する可能性がある。
長期構造的トレンド
日本政府は2040年までに洋上風力45GWの導入を目標とし、今後10〜20年で海洋工事需要は急増する見通し。また気候変動に伴う台風・高潮対策の海岸防護工事や、老朽化港湾インフラの大規模更新も長期的な受注基盤となる。海外では東南アジアを中心に港湾開発需要が旺盛であり、海外展開の加速も長期成長の鍵となる。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
自己資本比率0.3%という極端な低水準は財務的脆弱性を示す。FCFが連続マイナスとなる局面では借入金が膨らみ、金利上昇や信用収縮時に資金繰りリスクが顕在化しうる。
鉄鋼・コンクリート・燃料価格の高止まりと熟練工不足による人件費上昇が固定価格受注案件の採算を悪化させるリスク。2023年度の大幅減益はこの影響が主因であり、再発リスクは継続している。
洋上風力基礎工事への参入企業が増加しており、今後は価格競争が激化する可能性がある。受注単価の低下が長期的な利益率の圧迫につながるリスクがある。
財政悪化を背景に政府が公共事業予算を縮小した場合、官公庁向け受注が急減するリスクがある。売上の大部分を公共工事に依存する構造は景気・政策変動に対する脆弱性を内包する。
東南アジア等の海外工事では為替変動・政情不安・現地パートナーリスクが伴う。過去にも海外案件での損失計上事例があり、海外展開拡大に伴うリスク管理が課題となる。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
政府目標達成に向けた洋上風力工事は今後10年で数兆円規模に拡大する見込み。海洋土木専業の強みを活かした大型EPC受注が実現すれば、売上・利益の急拡大が期待できる。
高度成長期に整備された港湾・護岸インフラが更新時期を迎え、大規模改修工事の需要が増大。防災・国土強靭化予算の増額も追い風となり、安定した公共工事受注が続く見込み。
経済成長が続くアジア新興国での港湾・海洋インフラ整備需要は旺盛。ODA案件や現地政府との協業を通じた海外受注の拡大が実現すれば、新たな収益源の確立につながる。
五洋建設は安定配当を基本方針とし、直近7期のDPSは19〜28円の範囲で安定的に推移している。2024・2025年度はいずれも24円配当を実施。配当性向は利益変動に応じて変化するが、減配は最低限に抑える姿勢が見られる。自社株買いの実施は散発的であり、株主還元の主軸はあくまで配当。現在の株価水準では配当利回り約1.4%と、高配当とは言えないが安定性は評価できる。
リスク耐性スコア 3/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -465億円 / 2024年度 27億円 / 2023年度 80億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥24。成長率は過去DPS CAGR(10年=24.6%、直近3年=1.4%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(10年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥609、配当性向54%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥82、総合スコア4.8から指数関数的に倍率算出。
過去BPSデータの連続性に問題があるため、PBR法による価値算定を見送り(時系列に不連続な急変あり(株式分割の遡及反映が不完全な可能性))
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥82。
10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 4.77% | 8.27% | 12.77% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥531 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥531 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 0.5%、直近売上成長 7.7%) | ||
※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (34%) | 中立 (39%) | 楽観 (27%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥209 | ¥513 | ¥1,578 | ¥697 |
| 残余利益 | ¥222 | ¥618 | ¥1,156 | ¥629 |
| PERマルチプル | ¥573 | ¥982 | ¥1,555 | ¥998 |
| PBR分位法 | — | — | — | — |
| PER分位法 | ¥913 | ¥1,527 | ¥2,189 | ¥1,497 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥955 | ||
¥479 FV¥955 割高
¥1,620 ¥2,025