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1963

日揮ホールディングス 銘柄分析・適正株価・割安/割高判定
東証プライム 建設業 プラントEPC JCR A+ (stable)
現在値
時価総額
投資テーゼ
中東・オセアニアを中心とした大型LNGプロジェクトで培った世界最高水準のEPC遂行能力を持ち、脱炭素インフラ需要の本格化が追い風となる。エネルギー転換期において、化石燃料プラントから水素・CCUS・SAF等の新領域へと事業ポートフォリオを拡張しており、長期的な受注基盤の継続が期待できる。
4
競争優位性
業界内MOAT
3
業界成長性
セクター動態
3
リスク耐性
財務・事業安定性
3
株主還元
配当・自社株買い
4
見通し
上振れ経路の確度
総合スコア
3.4/10
競争優位性
4
業界成長性
3
リスク耐性
3
株主還元
3
見通し
4
📋 事業内容
8,581億円
売上高
FY2025実績
-4億円
親会社帰属
純利益
468億円
営業CF
FY2025実績
49.8%
自己資本
比率
-0.2%
ROE
FY2025

日揮ホールディングスは国内最大手の一角を占めるプラントEPC企業であり、LNG・石油精製・石油化学・化学プラントの設計・調達・施工を一括で請け負う総合力を有する。中東・オセアニア・東南アジアを主要市場とし、カタールやオーストラリアの超大型LNGプロジェクトで豊富な実績を積み上げてきた。近年は収益基盤の多角化を目的として、CCUS・水素・アンモニア・持続可能航空燃料(SAF)等の脱炭素関連プラントへの展開を加速させている。プロジェクト型ビジネスの性質上、受注残高と案件採算性が業績の先行指標として重要視される。

競争優位性(業界内MOAT) 4/10

大型LNG・化学プラントEPCの高度な実行能力

数十億ドル規模の超大型LNGプロジェクトを完工させてきた技術・プロジェクト管理ノウハウは国際的にも希少な競争優位である。複雑なサプライチェーン管理と多国籍エンジニアリング人材の統率力は長年の経験の積み重ねによって形成されており、短期間での模倣は極めて困難である。

中東・オセアニア国営企業との長期信頼関係

サウジアラムコ・QatarEnergy・Woodside等の主要エネルギー企業との深い関係性は反復受注を生み出すスイッチングコストの高いビジネス基盤を形成している。国営企業は実績・信頼性を最優先するため、新規参入者が同等の地位を獲得するには相当の時間と実績が必要となる。

エンジニアリング人材・知的財産の蓄積

LNG液化・水素製造・CCUS等の分野における独自技術・特許・プロセスノウハウは容易に移転できない知的財産である。高度な専門エンジニアを大規模に抱える体制は採用・育成コストの面で参入障壁として機能する。

📈 業界の成長性・セクター動態 3/10

脱炭素プラント受注の本格拡大

各国政府のカーボンニュートラル目標達成に向けてCCUS・グリーン水素・ブルーアンモニア・SAFプラントへの設備投資が本格化しており、化学・石油分野EPCの技術移転が可能な日揮には最適な成長機会が到来している。既存顧客である中東・アジアの国営エネルギー企業が脱炭素投資を優先課題とする方向性も追い風となる。

LNG需要継続と新規液化プロジェクト

アジアにおける天然ガス需要は再生可能エネルギーへの完全移行までのブリッジ燃料として中期的に堅調に推移する見通しであり、新規LNG液化プロジェクトへの参画機会は引き続き存在する。米国・東アフリカ・中東での新規LNG開発計画が具体化すれば大型EPC受注の獲得につながる可能性がある。

⚠️ リスクファクター分析 3/10

スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。

中リスク大型EPC案件における工事損失リスク

固定価格契約が主体のEPCビジネスでは、資材・労務コストの想定外上昇や設計変更・工期延長が直接利益を圧迫し、単一プロジェクトで数百億円規模の損失が発生するリスクがある。過去の大型LNGプロジェクトで実際に多額の損失を計上した経緯があり、案件採算の見積精度向上が経営上の最重要課題となっている。

中リスク地政学リスクと中東市場への集中

主要市場である中東地域では政治的不安定・制裁リスク・紛争が突発的にプロジェクト進捗や代金回収に影響を与える可能性がある。特定地域・特定顧客への受注集中は分散不足のリスクとして投資家から注視されている。

中リスクエネルギー転換加速による化石燃料案件の縮小

脱炭素政策の前倒しや再生可能エネルギーコストの急低下が進行した場合、従来の石油精製・化学プラント案件の発注が予想より早期に減少するシナリオが存在する。新領域への移行速度が既存事業の縮小ペースに追いつかなければ業績空白期が生じるリスクがある。

中リスク韓国・中国EPCとのコスト競争激化

現代エンジニアリング・サムスンエンジニアリング等の韓国勢や中国国有EPCは低コスト構造を武器に中東・アジア市場での受注競争を激化させている。価格競争力の低下は受注単価・採算の悪化をもたらし、日揮の競争優位を徐々に侵食するリスクを持つ。

💡 見通し(上振れ経路と実現確度) 4/10

業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。

CCUS・水素・SAF等の脱炭素プラントEPCへの展開

カーボンニュートラル達成に向けた世界規模の脱炭素インフラ投資が急拡大しており、CO₂回収・貯留(CCUS)、グリーン・ブルー水素製造、持続可能航空燃料(SAF)プラントでの大型EPC発注が今後数十年にわたり継続的に発生する見通しである。石油・化学プラントで培った高圧・低温・大規模プロセスエンジニアリングの技術は脱炭素分野に直接応用可能であり、競合に対する技術的先行優位を活かした高採算受注が期待できる。

アジア・アフリカ新興国のエネルギーインフラ需要

東南アジア・南アジア・東アフリカでのエネルギーインフラ整備需要は経済発展と人口増加に伴い中長期的に拡大が見込まれる。日本政府のODA・JOGMECを通じた官民連携スキームを活用することで、リスク分散しながら新興国市場での受注機会を獲得できるポジションにある。

💰 株主還元政策 3/10

EPC事業は完工進捗に応じた収益認識であり、大型案件の完工が集中する年度には業績が大幅に改善する一方、案件の端境期には低調となる傾向がある。配当は安定的に維持する方針を掲げており、工事損失が発生しない局面では株主還元の増額余地もある。長期的には脱炭素案件の高付加価値化と固定費コントロールによりROEの持続的改善が期待されるが、プロジェクト単位の採算管理が株主価値を左右する最重要指標である。

EPS / DPS 長期推移(年次・全期間)
EPS(1株益) DPS(1株配当年間)
⚖️ 内在価値の推定(確率加重フェアバリュー)
📐 株主資本コスト(CoE)の算出
30年国債利回り(リスクフリーレート)+3.70%
成熟市場ERP(Damodaran)+4.23%
日本カントリーリスクプレミアム+0.91%
業種ベータ(建設・ゼネコン)×0.74
 → 業種調整後の市場リスクプレミアム+3.81%
リスク耐性スコア調整(3/10)+1.20%
MOAT スコア調整(4/10)+0.20%
格付け調整(JCR A+)-0.20%
当社中立CoE8.71%
悲観 CoE
11.7%
中立 CoE
8.7%
楽観 CoE
6.2%
リスク耐性スコア(3/10)を用いて3シナリオに確率ウェイトを配分。安定性が高いほど中立シナリオの比重が増し、リスクが高いほど悲観・楽観シナリオの比重が増加する。各モデルの確率加重平均を等ウェイトで平均した値を総合フェアバリューとして表示。
悲観 34%
中立 39%
楽観 27%
悲観 34% — 大型案件での工事損失再発・資源価格低迷による発注延期
中立 39% — LNG需要継続と脱炭素案件の段階的拡大で安定成長
楽観 27% — 脱炭素プラント受注の急拡大と高採算案件集中で収益急改善
総合フェアバリュー(確率加重・4モデル平均)
¥2,406/株
悲観34% / 中立39% / 楽観27%
リスク耐性スコア 3/10 より算出
DCF法による算定を見送り
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 256億円 / 2024年度 -91億円 / 2023年度 993億円

2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥40。成長率は過去DPS CAGR(10年=0.4%、直近3年=38.7%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(9年)でターミナル成長率に収束。

悲観 34%
大型案件での工事損失再発・資源価格低迷による発注延期
¥327
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト11.7%
ターミナル成長率-0.1%
中立 39%
LNG需要継続と脱炭素案件の段階的拡大で安定成長
¥1,031
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト8.7%
ターミナル成長率1.0%
楽観 27%
脱炭素プラント受注の急拡大と高採算案件集中で収益急改善
¥3,865
推定フェアバリュー/株
株主資本コスト6.2%
ターミナル成長率2.0%

2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,620、配当性向45%でBPS追跡。

悲観 34%
大型案件での工事損失再発・資源価格低迷による発注延期
¥590
推定フェアバリュー/株
CoE11.7%
ROE(初年→10年目)-5.0%→6.5%
TV成長率-0.1%
中立 39%
LNG需要継続と脱炭素案件の段階的拡大で安定成長
¥1,556
推定フェアバリュー/株
CoE8.7%
ROE(初年→10年目)8.5%→8.5%
TV成長率1.0%
楽観 27%
脱炭素プラント受注の急拡大と高採算案件集中で収益急改善
¥3,042
推定フェアバリュー/株
CoE6.2%
ROE(初年→10年目)10.8%→8.8%
TV成長率2.0%

PERマルチプル法。ピークEPS=¥187、総合スコア3.4から指数関数的に倍率算出。

悲観 34%
大型案件での工事損失再発・資源価格低迷による発注延期
¥1,121
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥187
想定PER6倍
中立 39%
LNG需要継続と脱炭素案件の段階的拡大で安定成長
¥1,869
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥187
想定PER10倍
楽観 27%
脱炭素プラント受注の急拡大と高採算案件集中で収益急改善
¥2,804
推定フェアバリュー/株
ピークEPS¥187
想定PER15倍
PBR法による価値算定を見送り
過去PBR中央値が1.5超のため、PBR法による価値算定は適していません(高ROE/成長銘柄)

過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥187。

PER推移(月次・全期間、赤字年除外)
PER月次 下位25% (14.0) 中央値 (22.1) 上位25% (41.0)
悲観 34%
大型案件での工事損失再発・資源価格低迷による発注延期
¥2,610
推定フェアバリュー/株
分位下位25%
適用PER14.0倍
中立 39%
LNG需要継続と脱炭素案件の段階的拡大で安定成長
¥4,138
推定フェアバリュー/株
分位中央値
適用PER22.1倍
楽観 27%
脱炭素プラント受注の急拡大と高採算案件集中で収益急改善
¥7,667
推定フェアバリュー/株
分位上位25%
適用PER41.0倍

10年後の株価を 5000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-05-10)

総合判定(期待利回り vs 必要利回り)
回避
期待年利が必要利回りを上回る確率: 5.0%
期待年利(10年保有した場合)
下振れ -18.4% / 中央 -8.4% / 上振れ 4.8%
中央シナリオで必要利回り(7〜8%目安)を超えるか
10年後株価の幅(5000シナリオ)
下振れ ¥210 / 中央 ¥605 / 上振れ ¥2,702
現在 ¥2,496 → 分布の下から 1%地点(低いほど割安)
10年以内の倒産・上場廃止確率
1.0%
10年後の状態: 成長22% 横ばい24% 衰退53% 倒産・上場廃止1%
事象タグ別の10年発生確率
景気後退・需要減
49.5%
好況・上振れサイクル
43.5%
バリュエーション低下
43.0%
株主還元強化
41.0%
利益率改善
32.4%
大幅業績ショック
23.7%
バリュエーション上昇
23.6%
利益率悪化
22.6%
競争優位低下
15.6%
構造的衰退
15.4%
希薄化・増資
14.6%
TOB・買収
8.2%
倒産・上場廃止
5.0%
過剰債務・既存株主毀損
2.5%
銘柄の状態、業種の景気敏感度、スコア、資本効率、現在PBRなどから各事象の露出度を作り、EPS/BPSシミュレーション内で発生させています。
📊 10年後の株価予想分布(5000通りのシナリオ)
横軸 = 10年後の株価 / 縦軸 = その株価に到達するシナリオ数。 現在 ¥2,496(赤線)より右に分布があれば株価上昇期待、左なら下落リスク。
株価の10年推移予想(中央線=中央シナリオ、帯=下振れ〜上振れ)
入力値 / 各モデルの結果下振れ中央上振れ
必要利回り(株主資本コスト)4.77%8.27%12.77%
成長持続年数(競争優位性に連動)7年10年13年
EPS/BPS-first MC 適正株価(中央)¥574
10年後EPS/BPS×出口評価(中央)¥574
スタート時の状態S(名目永続成長率 0.5%、直近売上成長 5.5%)

※ 試算精度について:現在は 5000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。

評価モデル 悲観 (34%) 中立 (39%) 楽観 (27%) 加重平均
DCF
配当割引 ¥327 ¥1,031 ¥3,865 ¥1,557
残余利益 ¥590 ¥1,556 ¥3,042 ¥1,629
PERマルチプル ¥1,121 ¥1,869 ¥2,804 ¥1,867
PBR分位法
PER分位法 ¥2,610 ¥4,138 ¥7,667 ¥4,571
モデル平均 ↑ 各モデルの確率加重平均 ¥2,406
📊 株価チャート
バリュエーションゾーン
¥639 割安
¥1,162
FV¥2,406 割高
¥4,345
¥5,431
本レポートは公開情報(有価証券報告書・IR資料・各種統計)に基づく定性・定量分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。財務数値はEDINET開示データより自動取得しており、最新の決算発表を反映していない場合があります。割引率は NYU Stern Damodaran (Jan 2026) の Japan ERP および日本国債利回りを基に算定。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
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