REITホルダー軽視の見極め方
J-REITを見るときは、運用資産額が増えているかよりも、既存投資主の一口価値が増えているかを分けて見る必要があります。まず直近データでNAV倍率、NOI利回り、LTV、ROE、時価総額を並べ、次に年次の口数増減率をつなげて見ます。
J-REIT直近データ
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| コード | 投資法人 | NAV倍率 | 分配金利回り | 年額DPU | NOI利回り | LTV相当 | 期末口数 | 前年比 | 2年変化 | 時価総額 | 判定 |
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一番大事なのはAUM成長と一口価値成長を分けること
REITの運用会社は、報酬が運用資産額に連動しやすいため、放っておくと「増資して物件を買いたい」インセンティブを持ちやすい構造です。だから、NAV倍率1倍未満での増資はかなり疑って見るべきです。
NAV倍率1倍未満で新投資口を発行すると、既存投資主の一口NAVは基本的に希薄化します。物件取得後にDPUが少し増えても、一口NAVや巡航EPUが伸びていなければ、AUM成長が運用会社側の都合になっている可能性があります。
特に危ないパターン
| パターン | 見方 |
|---|---|
| 発行口数の増加率 > 巡航DPU/EPUの増加率 | 口数が大きく増えているのに一口利益が伸びない場合、既存投資主にとっては希薄化です。発行口数+20%から+40%級でDPUが横ばい、または微増にとどまるケースはかなり厳しく見ます。 |
| NAV割れなのにスポンサー物件を買う | スポンサーからの物件取得自体は悪ではありません。ただし、NAV割れ増資でスポンサー物件を買うなら、既存投資主からスポンサーへ価値移転していないかを確認する必要があります。 |
| DPU維持が一時要因頼み | 売却益、内部留保、利益超過分配で表面DPUを維持しているだけなら、実力値は見えません。見るべきは売却益を除いた巡航EPUです。 |
| 自己投資口取得をしない理由が弱い | NAV0.8倍台なら、新規物件取得よりも自分の投資口を買った方が高利回りなケースが多いです。そこで増資するREITは、運用会社側の都合を疑います。 |
年ごとの口数増減率を作ると見えるもの
各REITについて、年末の発行済投資口数を時系列で取り、前年比増減率を出すのが一番きれいです。自己投資口取得・消却も、公募増資・第三者割当も、最終的には口数変化として反映されます。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 年末発行済投資口数 | 分割調整後で見る。未調整だと投資口分割が希薄化に見えてしまいます。 |
| 前年比口数増減率 | +5%なら希薄化、-3%なら自己投資口取得・消却による口数減少として見ます。 |
| 時価総額 | 市場全体への影響を見るためのウェイトに使います。 |
| NAV倍率 | NAV割れ増資か、NAVプレミアムでの外部成長かを分けます。 |
| ROE / ROA / NOI利回り | 物件力、レバレッジ、売却益依存を分解します。 |
| イベントフラグ | PO、第三者割当、自己投資口取得、合併、分割を分けます。 |
計算式
分割調整後の口数増減率 = 当年末発行済投資口数 / 前年末発行済投資口数 - 1
-3.0%なら、その年に実質3%分の口数を減らしたという意味です。+10.0%なら、その年に実質10%希薄化したと見ます。
全体集計は2種類で見る
ROE・ROA・NOIの見方
J-REITのROEは、普通株のROEと同じ感覚で「高いほど良い」とは言いにくいです。ROEはROAとレバレッジの掛け算なので、LTVが高いREITほど上がりやすく、物件売却益が入ると一時的に跳ねます。
| 指標 | 使い方 |
|---|---|
| ROE | 高いだけでは評価しません。NOI利回り、LTV、売却益の有無、NAV割れ増資の有無とセットで見ます。 |
| 純利益ROA | 年換算当期純利益 / 総資産。会計上の収益性を見る指標です。 |
| NOIベースROA | 年換算NOI / 総資産。物件そのものの稼ぐ力に近い指標です。 |
| NOI利回り | 物件の賃貸収益力。平均借入金利との差、つまりスプレッドを見るのが重要です。 |
資本政策の色分け
コンフォリア、JLF、GLP、ラサールロジポート、日本プロロジス、積水ハウス・リート、アドバンス・レジデンス、いちごオフィス。NAV割れ局面で自己投資口取得を使っている点を評価します。
JPR、UUR、NBF、JRE。大型で信用力はありますが、DPU成長が薄い増資なら、買い戻しの方が良くないかという疑問は残ります。
NHR、Oneリート、日本リート、HFR、セントラル総合リート。NAV割れやDPU成長の薄い大幅増資、スポンサー第三者割当は厳しく見ます。
一番見たいチャート
横軸をNAV倍率、縦軸を年間口数増減率、バブルサイズを時価総額、色を用途またはNOI利回りにすると、資本政策の良し悪しがかなり見えます。
最初に作るべきランキング
- 過去2年の口数増加率ワースト
- 過去2年の口数減少率ベスト
- NAV割れ増資ワースト
- NAV割れ自己投資口取得ベスト
- ROE高いがLTV高いだけランキング
- NOI利回り高いがNAV低いランキング
- 低NOI・高NAVの高品質プレミアム組
- NAV低いのに増資癖あり組
この表を作ると、「安いけど運用会社が信用できないREIT」と「安くて、ちゃんと投資主目線のREIT」がかなり分かれます。分配金利回り6%でも、毎回NAV割れ増資されたら長期ではかなりきついです。