関西電力の価格感応度と事業環境
日々の価格と、2036年に向けた5つの価格シナリオを比べます。価格上昇が利益になるかは、企業の販売・調達・価格転嫁・ヘッジによって変わります。
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関西電力:燃料高と原発稼働低下、資産売却益、維持投資を分けて現金を見る
原子力・水力や契約は競争力の源泉になり得るが、燃料・市場調達の上昇と停止の影響は大きい。純利益の増加や地域需要の拡大だけでは、維持更新後の持続的な株主利益が増えたとは判断しない。会社が維持投資を開示している点は評価できるが、現金支出との照合が必要。
分析日 2026-10-25 · 調査版 kepco-price-cash-20261025-r1 · 見直し期限 2026-10-31。当サイトの独自検討で、特定の投資家本人による評価ではありません。
見直し期限を過ぎています。新しい会社開示との照合が必要です。
2026年4~6月:純利益と継続的な利益を分ける
| 連結損益・百万円 | 2025年4~6月 | 2026年4~6月 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 917,791 | 1,007,962 |
| 営業利益 | 128,949 | 20,371 |
| 経常利益 | 134,672 | 52,822 |
| 親会社株主帰属純利益 | 99,163 | 137,061 |
| 関係会社株式売却益(税引前) | — | 105,077 |
きんでん株式の売却による利益が含まれます。これは税引前の特別利益で、税引後の純利益から同額を引いて正常利益を作ることはできません。当Q1の連結CF計算書は未作成です。減価償却費の開示から営業CFを逆算もしません。
販売が伸びても、燃料・市場調達と原発停止で利益は減る
エネルギー事業の経常利益増減。連結子会社・持分法適用会社からの受取配当金を除く会社の区分で、営業CFや純粋な価格感応度ではありません。
会社の増減表示は合計△776億円。表示された利益の端点1,142→365億円の差は△777億円で、1億円の差を価格要因へ配賦しません。
燃料・為替・市場等△870億円の内訳
| 会社の要因区分 | 増減 億円 |
|---|---|
| 燃調収入の減等 | -180 |
| 燃料費等の増 | -280 |
| JEPX単価差 | -370 |
| 再エネ交付金 | -40 |
JEPX単価差△370億円は当期の調達・販売ポジションの影響です。関西エリア平均価格1円に対する恒久的な利益係数にはしません。燃調収入の記載は国の電気・ガス料金負担軽減支援事業の値引きと精算を加味し、その精算による収支影響はないという会社注記を伴います。
会社が示す当年度の収支感応度
2026年度(2027年3月期)予想の理論値です。会社表記の「収支への影響額」を保持し、税引後利益・現金の係数へ読み替えません。原子力・出水率は原表の「+1%」表記です。
| 要素 | 変動条件 | 収支影響 億円 |
|---|---|---|
| 原子力利用率 | 会社表記:+1% | 57 |
| 出水率 | 会社表記:+1% | 15 |
| 全日本原油CIF価格 | USD/bbl上昇 | -2 |
| 為替レート | JPY/USDの円安 | -12 |
会社の原油前提は全日本原油CIF約80 USD/bbl、ドル円約160円、原子力利用率約70%、出水率約100%。当サイトの2036年ドル円150円・共通CPI3%は変更しません。原油CIFとBrent、会社の契約LNGと日本輸入平均CIF・アジアスポットを区別し、10年先の価格差にこの係数を掛けません。会社も急激・大幅な前提変動で理論値と実際が乖離する場合を明記しています。
会社の販売量と、地域需要は一致しない
| 2026年度Q1の指標 | 単位 | 前年同期 | 当期 |
|---|---|---|---|
| 総販売電力量(関西電力分) | 億kWh | 341.0 | 370.0 |
| 小売販売電力量 | 億kWh | 255.0 | 271.0 |
| 他社販売電力量 | 億kWh | 86.0 | 98.0 |
| エリア需要 | 億kWh | 292.0 | 290.0 |
| 原子力利用率 | % | 78.8 | 59.8 |
| 出水率 | % | 105.8 | 92.5 |
| 全日本原油CIF価格 | USD/bbl | 75.2 | 112.7 |
| 為替レート(インターバンク) | JPY/USD | 144.0 | 159.0 |
関西電力分の総販売量370億kWhとエリア需要290億kWhは別範囲。小売271+他社98と総販売370の1億kWh差も保持します。会社予想の通期総販売1,628と地域需要1,331億kWhも別です。OCCTO地域需要を自社販売へ配賦しません。原表14ページ。
会社が分けた維持投資と成長投資
| 会社の補正後区分・億円 | 2026年4~6月実績(程度) | 2026~2028年度累計計画 |
|---|---|---|
| 安全・安定供給のための維持投資 | 900 | 15,000 |
| 成長投資 | 1,350 | 10,000 |
| 合計 | 2,250 | 25,000 |
安全・安定供給のための維持投資。会計上の投資額から一部補正。成長投資には投融資を含む。不動産の投資には投資額・売却額を合計した区分がある。 四半期を4倍して年換算しません。会社定義の維持投資は確認できましたが、現金支出・経済的な競争力維持費との照合は未完了です。
実際の現金:2026年3月期の通期CF
ここからは2025年4月~2026年3月の連結現金です。上の2026年4~6月の損益・補正後投資額とは対象期間が異なります。
| 連結CF・百万円 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 575,299 | 652,381 |
| 固定資産取得の支出 | -494,896 | -560,464 |
| 固定資産売却の収入 | 31,994 | 45,642 |
| 投融資の支出 | -50,007 | -106,155 |
| 投融資回収の収入 | 146,074 | 33,278 |
| その他投資CF | 24,482 | 15,777 |
| 投資CF合計 | -342,353 | -571,921 |
| 財務CF | 137,673 | -290,219 |
| 利息支払(営業CF内) | -33,102 | -41,135 |
| 配当支払(財務CF内) | -49,115 | -66,858 |
| 期首の現金同等物 | 564,427 | 941,432 |
| 期末の現金同等物 | 941,432 | 741,286 |
営業CF+全投資CFの単純合計は804.60億円。会社のFCF表示は804.59億円で、百万円単位の端数差を保持します。投資CFは資産売却・投融資回収等も含むため、維持投資後に繰り返し分配できる現金とは確定しません。
総投資支出と運転資金・税支払を確かめる
当期の営業CF+固定資産取得支出だけの小計は919.17億円。さらに投融資支出まで引いた小計は-142.38億円です。どちらも成長/維持の現金区分は未確定で、投資回収や他の支出を除く参考小計です。株主利益・必要借入額ではありません。
| 営業CF内・百万円 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上債権の増減(増加は△) | -110,256 | 56,760 |
| 棚卸資産の増減(増加は△) | -31,665 | -46,370 |
| 仕入債務の増減(減少は△) | 74,063 | -21,864 |
| 法人税等の支払又は還付 | -195,697 | -141,637 |
| 減価償却費(CF調整) | 331,771 | 338,340 |
これらの変化を見ずに営業CF増加を恒久的な稼ぐ力の増加としません。営業CFには償却調整が反映済みで、償却費を二重加算しません。支払利息や配当も所属するCF合計に含まれ、もう一度引きません。現金合計の百万円単位の差は原表のまま保持しています。
借入を維持できるか
連結有利子負債は2026年3月末42,666→6月末43,398億円、期末利率は1.11→1.15%。残高変化には為替換算等も含まれ、借入と返済の差だけではありません。期末利率を10年先の支払金利へ据え置かず、借換期限・固定変動・ヘッジの確認が必要です。原表30ページ。
バフェット式に、競争力を維持した後の現金を見る
- 燃料・為替・JEPX単価差を含む混合要因がエネルギー利益を圧迫している。会社公表の当年度理論感応度にも急激・大幅な前提変動で実際との差が生じるとの留保がある。10年先へ係数を固定しない。
- 安全・安定供給のための維持投資を会社が分けている一方、補正後の投資額と現金支出の橋渡しは未確認。年度の営業CFから別年度四半期の維持投資を引いて株主利益にしない。
- 原子力の停止・補修・安全対策投資、既設電源を使う契約収入、送配電の回収制度を確認して、競争力の維持に必要な現金を見積もる。地域の電力需要を自社の販売量へ自動配賦しない。
- 株式売却益と受取売却代金は別物。売却益を税引後純利益からそのまま控除して正常利益を作らず、税・持分法・非支配持分を照合する。繰り返せる事業収入とも扱わない。
- 有利子負債の大きさと金利上昇・借換期限を重視する。期末利率を将来の資金調達金利とみなさず、満期構成・固定変動・ヘッジ・容量収入・料金回収の時点を追加確認する。
この段階の判断は、低コスト電源の強さと価格転嫁の仕組みを評価する一方、投資負担・停止・借換後にも現金が残るかを確認する、というものです。持続的な株主利益・2036年利益・適正株価は未確定です。
事業環境:関西エリアの10年需要・供給力 · 需要電力量とLNG燃料費 · 最新JEPX関西 · 日本LNG輸入CIF · 既存の銘柄AI分析
次に必要な証拠・原本
- 2026年10月30日予定の中間決算と、四半期未作成だった実際の営業CF・運転資金・投資支払の確認。公表後に別調査版で取り込む。
- 会社の維持/成長投資分類と実際の固定資産取得支払・投融資・売却との照合、維持投資が経済的な競争力維持を網羅するかの検証。
- 燃料契約・ヘッジ・料金区分別の調整上限・市場調達比率と、借入の満期/固定変動・規制収入の回収条件。
次回発表予定は会社IRカレンダーを参照。予定と実際の公表・取込を区別します。
2027年3月期 第1四半期決算短信(JPX収録の会社開示)資料記載日 2026-07-31 · SHA256 05cc96b373c6383497e320b5034bf8547bc1d43de8886ad9d09a4c8af807795e
2026年度第1四半期決算説明資料資料記載日 2026-07-31 · SHA256 d47edf09ae02e3b113f885e13cb30ab1ea6aa8ca4b409fb205af757ffb030fc9
2026年3月期 決算短信(JPX収録の会社開示)資料記載日 2026-04-30 · SHA256 04d37274ff0adb8045f07e913c9fbba96ce1802f4b18cd48a403e1b893890c41
原本の数値・期間・単位・端数差を保持した独自調査です。既存のAIV・facts・財務基準には転記していません。
6系列。市場価格は日次、公的統計は公表頻度に合わせて更新します。時点が異なる系列を並べて比較する際は対象期間を確認してください。
| 価格・指数 | 最新観測 | 対象期間/状態 | 2036 低価格 | 2036 中立 | 2036 高価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| 天然ガスHenry Hub(先物)エネルギー · USD/MMBtu | 2.90 | 2026-10-30更新範囲内 | 4.87 | 7.16 | 12.69 |
| 原油WTI(先物)エネルギー · USD/bbl | 104.12 | 2026-10-30更新範囲内 | 69.89 | 107.52 | 188.16 |
| 建築総合(工事費)建築・修繕 · 指数 (2020年度=100) | 127.40 | 2026-08更新範囲内 · 要見直し | 145.30 | 170.45 | 231.38 |
| 電力JEPX(関西)電力 · JPY/kWh | 14.34 | 2026-11-03更新範囲内 | 12.16 | 19.23 | 32.77 |
| 電力JEPX(全国システム)電力 · JPY/kWh | 21.37 | 2026-11-03更新範囲内 | 13.02 | 20.59 | 35.08 |
| LNG(日本輸入)エネルギー · $/mmbtu | 14.25 | 2026-09更新範囲内 | 8.66 | 15.34 | 28.98 |
銘柄分析とつなぐときの読み方
同じ原油高でも、生産会社の売上と、航空会社の燃料費では効く方向が異なります。販売数量、契約通貨、価格転嫁の時間差、ヘッジ、設備更新費を確認して利益・現金収支に接続します。土地の含み益を営業利益に足したり、建設工事費とその内訳の労務費を二重に計上したりしないことが重要です。
各価格の5ケースは独立した周辺シナリオです。すべての高価格ケースが同時に起こる確率を掛け合わせたり、銘柄の楽観ケースへ一律に割り当てたりすることはできません。