歴史のケースと国別・工程別の10年需給
ニードルコークス:世界の増産と中国外・高品位の不足を分ける
調査日 2026-10-25 · 見直し期限 2027-01-25 · 調査版 20261025-r1
足元の需給判断と、確認できている範囲
中国の増産で世界数量の供給余力が広がる可能性と、中国外の高品位・認証済み原料が限られる可能性が併存する。全世界が一様に供給不足、または供給過剰とは置かない。
2025年末の供給者推計と2026年の用途説明。2026年10月の品位別価格・稼働・在庫は未接続。
GrafTechは中国外の石油系能力を約75万トンと推計する一方、約55万トンは中国外UHP電極用途の過去3年平均需要である。両者の差を総市場の余剰量としない。電池用途・品位・稼働率・他用途の範囲が異なる。供給者の見通しという立場も考慮する。
供給が応答するまでの時間を分ける
- 2030年ごろまで
- 中国の名目増設と実際の認証済み供給、電炉電極向けと電池負極向けの需要を分ける。EV台数だけで原料需要を計算せず、天然/人造黒鉛の配合や歩留まりも見る。
- 2036年の終点まで
- 石油系/ピッチ系、グリーン/仮焼、高品位電極/電池グレードを分け、原料油・精製設備・環境許可・顧客認証まで追う。地域分断が緩むケースと、中国外プレミアムが残るケースを分ける。2030年までの需要見通しをそのまま延長しない。
国・地域ごとの供給網と需要
5つの終点シナリオに必要な条件
共通条件はCPI年3.0%、日本の短期金利2.0%・長期金利3.0%、10年後ドル円150円。途中のショックと終点の条件を分けます。
- 低価格:中国等の認証済み増産が需要を上回り、地域間の調達障壁も縮小する。
- やや低価格:電極・負極の需要増を生産性・増産が吸収し、供給不安プレミアムが低下する。
- 中立:世界数量は概ね釣り合うが、高品位・中国外での需給差が残るという条件付き仮説。
- やや高価格:中国外の負極需要や電炉用途が増え、認証・原料・許認可の供給反応が遅れる。
- 高価格:特定グレードの供給制約が長引き、増産・配合変更・調達代替が10年先にも追いつかない。2017年型の一時的逼迫だけではこの終点にならない。
石油系ニードルコークスそのものの同一品位・条件による歴史的な価格倍率は未確認。黒鉛電極の価格倍率を原料価格として使わない。現在価格の継続源も未接続のため2036年の数値価格・確率は未算出。
歴史的ケース:高値が生まれ、戻った仕組み
2017〜2019年:電極能力削減と原料の競合需要
2017年後半〜2019年(その後の正常化も確認)
指標の対象:GrafTechの黒鉛電極の加重平均実現価格。ニードルコークスではない
318.00 %増(2018年上期の前年同期比・当時開示)
同社2018年の届出書にある関連製品の指標。ニードルコークスの同一品位価格の倍率は未確認。
- 需給の変化
- 会社開示は電極能力削減・電炉需要の回復に加え、電池用途との競合で2017年後半から石油系ニードルコークスの供給が制約されたと説明する。原料の契約短期化と、電極販売の長期契約化が企業ごとの転嫁・採算を変えた。
- 正常化・価格低下
- 2019年には黒鉛電極側の需給が正常化・余力方向へ転じ、その後のスポット価格も低下したと会社は回顧する。一方、原料購入費や在庫原価は販売価格と同時には下がらない。電極の正常化だけで原料全グレードの同率値下がりとはしない。
- 2036年にも残る条件
- 2036年の高価格には、中国外の認証済み原料や特定グレードの供給応答が電炉・電池需要に追いつかないという持続条件が必要。世界の名目能力増加は反対材料となる。
黒鉛電極とニードルコークス、石油系とピッチ系、会社実現価格とスポットを別にする。318%を原料価格の上昇率として流用しない。
GrafTech 2018年登録届出書(2017〜2018年・当時の会社開示) GrafTech 2019年10-K(2019年・会社実績/当時見通し) GrafTech 2022年10-K(2019〜2022年の回顧)
履歴の指標は現在価格や2036年の価格予測ではありません。資料で確認した事項と、将来の条件付きの推論を区別しています。途中の暴騰による利益・在庫資金・資金繰りへの数値接続は未完了です。
関連する価格:ニードルコークス(石油系)