3222 ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス 銘柄分析・適正株価
5.6Sol 個別レビュー
投資テーゼ
評価軸をPERに置けない(赤字)ためPBR一本で見る。BPS1024.9円に対し現在株価811円でPBR0.79倍、配当16円で利回り1.97%。ROEがゼロ近傍からマイナスである以上、COE5.5%に対する理論PBRは0.3〜0.5倍にとどまり、資産価値の3〜5割引きが理論的な着地点になる。それでも0.79倍で取引されているのは、イオン傘下という親会社の存在と完全子会社化の思惑が下値を支えているためで、この期待を7%の楽観シナリオとして織り込んだ。中立でも減損一巡後の純利益40億(EPS約20円、PER40倍相当)が精一杯で、PBR0.78倍=800円が上限に近い。確率加重は748円で現値811円を約8%下回る。人件費・物流費の高騰は継続する一方、食品スーパーは価格転嫁が最も難しい業態であり、価格据え置き方針が粗利率を直接削っている。統合効果が数字で確認できるまでは投資対象として見送るべきでconviction=skip。
主な懸念
DBのeps_0=-6.5が誤りかを検証したが、実績も赤字であることを確認した。2026年2月期は営業収益9444億・営業利益50.5億に対し、51億円の減損損失計上により親会社株主帰属当期純損失31.9億円(EPS約-16.29円)で、持株会社設立以来初の通期最終赤字。さらに2027年2月期第1四半期(2026年7月6日発表)も営業収益2736億35百万円で前年同期比16.8%増ながら、価格施策強化と資材価格上昇で売上総利益率が低下し販管費も増加、営業損失8億05百万円・経常損失8億23百万円・親会社株主帰属四半期純損失20億77百万円と赤字が継続している。したがってTTM EPS-6.5円はむしろ実態に近く、DB値を黒字へ修正すべき根拠はない。減損51億を除けば経常段階では黒字だが、営業利益率は50.5÷9444=わずか0.53%で食品スーパーの平均2%を大きく下回り、正常化しても収益力は極めて脆弱。増収はいなげや統合による見かけ上のもので、統合シナジーは未発現。不採算店・老朽店の整理が遅れており追加減損リスクが残る。shares_0=195,570,659は自己株式込みの可能性があり、revenue_0=1,061,018,986,000(1兆610億)も実績9444億より大きくTTM集計とみられる。
シナリオ内訳
| シナリオ | 確率 | 妥当価値 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 悲観 | 25.0% | 500円 | 不採算店の追加減損が続き通期でも営業赤字に転落。人件費・物流費の高騰を価格転嫁できず粗利率がさらに低下、配当16円も維持できず減配。PBR0.49倍まで水準訂正。 |
| 弱気 | 28.0% | 650円 | PBR0.63倍。営業利益率0.5%が定着し統合シナジーは発現せず、ROEゼロ近傍に対する理論PBR0.5倍前後へ収れんする。増収しても利益が伴わない構図が続く。 |
| 中立 | 25.0% | 800円 | 減損が一巡し純利益40億(EPS約20円)まで回復。ただし収益力の低さからPERでは評価されずPBR0.78倍が上限。親会社イオンの存在が下値を支える標準ケース。 |
| 強気 | 15.0% | 1,000円 | いなげや統合シナジーが顕在化し営業利益150億・営業利益率1.5%へ改善。EPS45円。PBR0.98倍まで評価が回復し増配も実現する。 |
| 楽観 | 7.0% | 1,300円 | イオンによる完全子会社化のTOBが実施され、直近株価に30%超のプレミアムが乗る。PBR1.27倍で純資産に接近した価格で決着。 |
FY2026実績
純利益
FY2026実績
比率
FY2026
同社は食品を中心に、地域の日常需要を支える小売を展開する。毎日の買い物に近いぶん、来店頻度は高いが競争も強い。価格だけでなく、鮮度、品ぞろえ、買いやすさが支持を分けやすい。目立つ成長産業ではないが、生活の土台を握る存在である。
食品小売の堀は、立地、物流、仕入れ、地域密着の運営力にある。日常的に立ち寄る理由を作れている店は、価格差だけでは崩れにくい。地域の嗜好に合わせた売場づくりも、見えにくいが強い資産になる。とはいえ商圏競争は厳しく、油断するとすぐ差が縮まりやすい。
大きな市場拡大は望みにくいが、既存店改善や商圏深耕で積み上がる余地はある。惣菜や簡便需要など、同じ食でも伸びる領域を取れるかが重要だ。物流やデータ活用が進めば、成熟業態でも質の改善は狙える。守りの強さの中に、小さな成長の芽を探したい。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
食品は比較されやすく、商圏内の競争が強い。集客のための値下げが続くと利幅が細りやすい。
物流や人件費の負担が積み上がると、薄利の構造には重く響く。効率化が遅れると差が出やすい。
人口動態や地域需要の伸びが弱いと、既存店の改善余地が限られやすい。守りの強さだけでは上がりにくい。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
惣菜や品ぞろえの改善が当たれば、同じ商圏でも来店価値を高めやすい。地味だが効く成長の形だ。
供給網の効率化が進めば、成熟業態でも利益の見え方を良くしやすい。守りの強さが一段と増す。
不安定な局面ほど、食品小売の底堅さは見直されやすい。防御力のある銘柄として見通しを支える。
生活密着小売は安定感がある一方、店舗や物流への継続投資が欠かせない。還元の評価は、足元の現金だけでなく基盤強化の進み方と合わせて見たい。無理のない配分を続けられる企業は、成熟株として安心感が出やすい。派手さより継続性が似合う分野である。
リスク耐性スコア 7/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2026年度 90億円 / 2025年度 -18億円 / 2024年度 -41億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥16。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,025、配当性向45%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥69、総合スコア4.2から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.93倍、現BPS=¥1,025。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥69。
10年後の株価を 1000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-07-29)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 3.00% | 5.50% | 10.00% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥341 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥341 | ||
| スタート時の状態 | L(名目永続成長率 1.2%、直近売上成長 5.5%) | ||
※ 試算精度について:現在は 1000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (27%) | 中立 (51%) | 楽観 (22%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥190 | ¥324 | ¥429 | ¥311 |
| 残余利益 | ¥465 | ¥1,310 | ¥1,449 | ¥1,112 |
| PERマルチプル | ¥483 | ¥759 | ¥1,172 | ¥775 |
| PBR分位法 | ¥891 | ¥957 | ¥1,053 | ¥960 |
| PER分位法 | ¥1,528 | ¥1,762 | ¥6,853 | ¥2,819 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥1,195 | ||
¥711 FV¥1,195 割高
¥2,191 ¥2,739
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