4665 ダスキン 銘柄分析・適正株価
5.6Sol 個別レビュー
投資テーゼ
26/3期は売上1945.5億円(+3.1%)、営業利益87.5億円(+20.4%)、純利益91.8億円、EPS195.29円、配当118円と3期連続の増収増益。クリーンサービスのレンタル契約基盤とミスタードーナツのFC網は資本コストの低い安定フランチャイズで、prob_default0.001が示すとおり財務は極めて堅牢、無借金に近く投資有価証券を厚く持つ。この安定性ゆえに倍率を割り引く必要はないが、それでもPER19倍(中立)が上限で、そこから逆算した適正値は4000円。5シナリオの確率加重は4008円で現値を11.3%下回る。過剰資本を自社株買いで還元しROEが8%台に乗れば話は変わるが、現状の資本政策ではその前提を置けない。
主な懸念
DBのeps_0=202.4は26/3期実績EPS195.29に対し+3.6%過大(27/3期会社予想208.16との中間値に近い)、配当もDB119.3に対し実績118円。ズレは小さいが実績195.29で評価した。本質的な問題は収益性で、自己資本比率75.1%と過剰資本のためROEは5.81%止まり、26/3期経常利益129.6億円のうち営業利益は87.5億円しかなく約42億円が営業外(持分法・受取利息配当金)に依存する。現値4517円は27/3期予想EPS208.16でPER21.7倍、PBR1.35倍。ROE6%・売上成長年3%の事業にPER20倍超は明確に高く、資本コスト0.0774を前提にした残余利益では正当化できない。ミスタードーナツは原材料と人件費の上昇を価格転嫁で吸収してきたが、既存店客数が反落すれば営業利益率(26/3期4.5%)は薄いので利益の振れが大きい。
シナリオ内訳
| シナリオ | 確率 | 妥当価値 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 悲観 | 12.0% | 2,400円 | ミスタードーナツの既存店客数が反落し、原材料と人件費の上昇を転嫁しきれず営業利益70億円へ後退。EPS160円にPER15倍。 |
| 弱気 | 25.0% | 3,200円 | 値上げ効果が一巡し増益ペースが鈍化、EPS190円で横ばい。低成長を織り込んだPER17倍。 |
| 中立 | 33.0% | 4,000円 | 27/3期会社予想EPS208円の近辺で着地しその後も年3%成長、EPS210円にPER19倍。ROE6%・低成長に見合う倍率。 |
| 強気 | 20.0% | 4,900円 | クリーンサービスの単価改定とミスドの好調が続きEPS235円、自社株買いで資本効率が改善しPER21倍。 |
| 楽観 | 10.0% | 6,200円 | 営業利益率が6%台へ構造改善しEPS270円、安定フランチャイズとして再評価されPER23倍。 |
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
同社は企業向けの運営支援や業務サービスを通じて、顧客の現場を裏側から支える。設備を持たないぶん軽やかに見えるが、人材や運用品質の管理が収益の芯になる。継続契約や深い関係があるほど、景色は安定しやすい。派手な製品より、仕事の流れを整える価値が大きい業種である。
法人サービスの堀は、現場理解、実績、業務設計力、関係性の厚さに宿る。顧客の業務に深く入り込むほど、単純な比較対象になりにくい。成果が見えるサービスほど継続率も高まりやすい。いっぽうで人に依存する部分が大きい企業は、品質維持そのものが競争力になる。
成長余地は、既存顧客への横展開とサービスの標準化にある。個別対応だけでなく、再現性のある型を作れれば伸びの角度は上がりやすい。外部委託や効率化の流れが追い風になる場面も多い。顧客の課題に近い企業ほど、景気の波の中でも機会を拾いやすい。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
サービス品質を支える人材が不足すると、成長も収益性も鈍りやすい。採用と定着の難しさは常にある。
継続契約が弱い企業は、景気悪化時に見直しの対象になりやすい。価格競争に入ると利益が薄くなりやすい。
個人の力量に頼る運営が強いと、再現性のある拡大が難しい。品質のばらつきが信頼を損ねることもある。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
既存顧客へ別サービスを広げられれば、営業効率の良い成長を作りやすい。関係性の深さが武器になる。
業務の型が整えば、人に頼り過ぎない拡大がしやすくなる。収益の見通しも安定しやすい。
企業の効率化意識が高まるほど、業務支援の需要は追い風を受けやすい。外部環境が見通しを支える。
サービス企業は資本が軽いことも多いが、人材と品質への投資を軽視すると土台が崩れやすい。還元を見るときは、採用や教育とのバランスが取れているかを確かめたい。成長と配分を両立できる企業は、資本効率の見え方が良くなりやすい。継続契約の厚みがあるほど配分にも安心感が出る。
リスク耐性スコア 7/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 116億円 / 2024年度 -55億円 / 2023年度 -8億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥112。成長率は過去DPS CAGR(10年=7.9%、直近3年=10.5%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(10年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥3,188、配当性向60%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥165、総合スコア4.4から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.91倍、現BPS=¥3,188。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥165。
10年後の株価を 1000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-07-29)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 4.24% | 7.74% | 12.24% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥2,776 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥2,573 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 1.1%、直近売上成長 4.7%) | ||
※ 試算精度について:現在は 1000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (27%) | 中立 (51%) | 楽観 (22%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥1,273 | ¥2,133 | ¥4,314 | ¥2,381 |
| 残余利益 | ¥1,682 | ¥3,785 | ¥7,268 | ¥3,983 |
| PERマルチプル | ¥1,153 | ¥1,812 | ¥2,800 | ¥1,851 |
| PBR分位法 | ¥2,459 | ¥2,912 | ¥3,219 | ¥2,857 |
| PER分位法 | ¥2,957 | ¥3,805 | ¥5,491 | ¥3,947 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥3,004 | ||
¥1,905 FV¥3,004 割高
¥4,618 ¥5,773