5208 有沢製作所 銘柄分析・適正株価
5.6Sol 個別レビュー
投資テーゼ
電子材料事業は売上358.82億円(前期比44.05億円増)、産業用構造材料事業は売上137.31億円(同31.15億円増)といずれも二桁成長し、半導体パッケージ基板材料や産業用途への構造シフトが進んでいる。ROEは実績9.7%で資本コスト7.74%を上回り、成長率1%を前提とした理論PBRは約1.04倍(株価換算1608円)。現値のPBR1.60倍はこれに対し約54%のプレミアムであり、市場は電子材料の構造成長を既に相当織り込んでいる。したがってこの銘柄の投資判断は「良い会社かどうか」ではなく「20倍のPERが減益計画と両立するか」に尽きる。中立シナリオは会社予想EPS122.04円にPER19倍を当てた2350円とし、上方は半導体パッケージ基板材料と産業用構造材料の二本柱が伸びる場合、下方は中国勢の浸食でディスプレイ・FPC向けが縮む場合を置いた。配当利回りは会社予想DPS98円で3.97%と下値の支えにはなる。
主な懸念
会社自身が2027年3月期に減益を計画している点が最大の警戒材料。2026年3月期は売上564.74億円(前期比13.4%増)、営業利益58.05億円(同18.6%増)、経常利益61.57億円(同16.9%増)、純利益49.95億円(同25.8%増)と過去最高水準だが、2027年3月期の会社予想は売上613億円(同8.5%増)に対し経常利益57億円(同7.4%減)、純利益40億円(同19.9%減)、EPS122.04円で、増収減益。年間配当も122円から98円へ実質減配計画である。株価2469円は会社予想EPS122.04円に対しPER20.2倍、BPS1546.49円に対しPBR1.60倍で、減益計画に対して倍率が高い。過去EPSは117.4円→86.45円→49.48円→119.49円→150.57円と3年で3分の1になった実績があり、電子材料はディスプレイ・FPC向けで中国勢の浸食を受けやすいシクリカル事業。ピーク益にピーク倍率を重ねる構図は避けた。DB側の罠として、eps_0=135.7は実績150.57円とも会社予想122.04円とも一致せず両者の平均値に近い混成値、revenue_0=589.87億円も実績564.74億円と予想613億円の中間値であり、dividend_0=98.1は会社予想DPSに一致する。bps_0=1527.6も実績1546.49円とわずかにずれる。
シナリオ内訳
| シナリオ | 確率 | 妥当価値 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 悲観 | 14.0% | 1,450円 | ディスプレイ・FPC向けが中国勢に浸食されEPS70円へ後退。PER20.7倍・PBR0.94倍。DPS60円へ再減配。 |
| 弱気 | 27.0% | 1,900円 | 2027年3月期の会社計画未達でEPS100円×PER19倍、PBR1.23倍。過去平均EPS104円と整合する水準。 |
| 中立 | 30.0% | 2,350円 | 会社予想EPS122.04円×PER19.3倍、PBR1.52倍。DPS98円を維持し利回り4.2%。 |
| 強気 | 21.0% | 3,000円 | 半導体パッケージ基板材料と産業用構造材料が伸びEPS165円×PER18.2倍、PBR1.94倍で最高益を更新。 |
| 楽観 | 8.0% | 3,750円 | 電子材料が構造成長軌道に入りEPS200円×PER18.8倍、PBR2.42倍。ROE13%へ上昇し倍率の切り上がりを伴う。 |
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
リスク耐性スコア 7/10 より算出
直近3期のFCFブレが30%超のため、DCF法による算定を見送り(年次変動が大きく将来推計が困難)
直近3期FCF: 2025年度 25億円 / 2024年度 22億円 / 2023年度 40億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥96。成長率は過去DPS CAGR(10年=13.7%、直近3年=0.3%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(11年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,462、配当性向80%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥197、総合スコア5.8から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.73倍、現BPS=¥1,462。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥197。
10年後の株価を 1000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-07-29)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 4.24% | 7.74% | 12.24% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥1,141 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥1,141 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 1.2%、直近売上成長 7.4%) | ||
※ 試算精度について:現在は 1000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (27%) | 中立 (51%) | 楽観 (22%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥818 | ¥1,718 | ¥4,499 | ¥2,087 |
| 残余利益 | ¥740 | ¥1,800 | ¥3,166 | ¥1,814 |
| PERマルチプル | ¥1,774 | ¥2,760 | ¥4,534 | ¥2,884 |
| PBR分位法 | ¥839 | ¥1,064 | ¥1,706 | ¥1,144 |
| PER分位法 | ¥2,187 | ¥2,905 | ¥4,492 | ¥3,060 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥2,198 | ||
¥1,272 FV¥2,198 割高
¥3,679 ¥4,599