6997 日本ケミコン 銘柄分析・適正株価
5.6Sol 個別レビュー
投資テーゼ
アルミ電解コンデンサでAIサーバー・車載向け需要が立ち上がり、27/3期は売上1600億円(+17.0%)・営業利益80億円(+137.4%)・純利益40億円・EPS166.08円・配当25円を計画する。25/3期の営業利益37億円、26/3期33.7億円という底からの回復シナリオ自体は否定しないが、粗利率の低い受注構造で営業利益を2.4倍にする計画は原材料価格と為替の前提に強く依存する。適正PBR=(ROE-g)/(COE-g)にCOE7.89%・g1.0%を当てると、正常化純利益34億円(営業65億円-金融費用、税率35%)なら持続ROE5.5%で適正PBR0.65倍=1694円、会社計画どおり純利益40億円が定着してもROE6.4%で適正PBR0.78倍=2033円にしかならない。現値3100円はBPS2594円に対しPBR1.19倍、持続ROE9.2%を織り込む水準で、過去5期で一度も到達していない。5シナリオの確率加重適正値は2435.5円で現値を21.4%下回り、EV/EBIT法でもクロスチェックが取れる(株式時価総額746.6億円+純有利子負債492億円=EV1238.6億円は26/3期営業利益の36.8倍、27/3期計画営業利益でも15.5倍)。一過性益・過小BPS・CB希薄化の三重の罠が重なっており買い候補にしない。
主な懸念
DBのeps_0=106.6は26/3期実績EPS106.26とほぼ一致するが、その純利益24億円には2026年3月27日開示の和解金による特別利益約17億円が含まれており、実力純利益は7億円前後・実力EPSは30円程度にすぎない。営業利益は33.7億円(前期比-9.9%、売上高営業利益率2.5%)、経常利益21億円で、経常より純利益が大きいこと自体が一過性益の証拠。DBのbps_0=1815.6も誤り。自己資本624.8億円を株数34,412,000で割った値であり、自己株式を除く期末株数2,408.5万株ベースの正しいBPSは2,594.2円で、DB値は30%過小。revenue_0=1458億円もTTM集計で26/3期実績1368.2億円と+6.6%ズレる。財務レバレッジはDBのprob_default=0.058を裏付ける水準で、有利子負債705.1億円に対し現金213億円、純有利子負債492億円は営業利益33.7億円の14.6倍、自己資本比率37.6%、利益剰余金は▲243.3億円の欠損。2021年7月に発行した2026年満期ユーロ円建転換社債(手取り約298億円)の満期が到来し、株価3100円が転換価額圏にあるため転換なら株数は最大34,412千株へ約43%希薄化、非転換なら現金213億円で300億円級の償還に対応できず借換えが必要という二者択一。2026年3月27日に第三者割当による種類株式の発行と資本金・資本準備金の減少、A種種類株式の取得・消却を決議し2026年6月29日に払込を完了しており、資本再構築の途上にある。
シナリオ内訳
| シナリオ | 確率 | 妥当価値 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 悲観 | 15.0% | 1,050円 | コンデンサ需要が腰折れし営業利益率1%台へ逆戻り、CBを現金償還できず希薄化を伴う資本増強に追い込まれる。BPS2594円に対しPBR0.40倍の解散価値近辺まで売られる。 |
| 弱気 | 25.0% | 1,700円 | 27/3期計画は未達で正常化純利益34億円・持続ROE5.5%に留まる。COE7.89%・g1.0%で適正PBR0.65倍。実力EPS30円台という26/3期の姿が続くケース。 |
| 中立 | 27.0% | 2,300円 | 会社計画の8割程度を達成し純利益44億円・持続ROE7.0%が定着。適正PBR0.87倍。AIサーバー向けは伸びるが車載と汎用品の価格競争が利益率を抑える。 |
| 強気 | 22.0% | 3,300円 | 27/3期計画を達成し営業利益80億円・純利益60億円・持続ROE9.6%へ。適正PBR1.25倍。CBは株価上昇で転換されレバレッジが低下し金融費用も軽くなる。 |
| 楽観 | 11.0% | 4,600円 | AIサーバーと車載電動化で導電性高分子コンデンサが構造的に伸び営業利益130億円(23/3期ピーク超え)・持続ROE13%。適正PBR1.78倍。欠損解消で本格増配に移行。 |
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
リスク耐性スコア 1/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -102億円 / 2024年度 -178億円 / 2023年度 -117億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=—。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥2,654、配当性向45%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥610、総合スコア1.8から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.78倍、現BPS=¥2,654。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥610。
10年後の株価を 1000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-07-29)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 4.39% | 7.89% | 12.39% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥322 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥334 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 1.5%、直近売上成長 3.1%) | ||
※ 試算精度について:現在は 1000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (46%) | 中立 (18%) | 楽観 (36%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | — | — | — | — |
| 残余利益 | ¥762 | ¥1,705 | ¥2,646 | ¥1,610 |
| PERマルチプル | ¥2,439 | ¥3,658 | ¥6,707 | ¥4,195 |
| PBR分位法 | ¥1,674 | ¥2,058 | ¥2,686 | ¥2,107 |
| PER分位法 | ¥6,762 | ¥10,631 | ¥20,857 | ¥12,533 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥5,111 | ||
¥2,909 FV¥5,111 割高
¥8,224 ¥10,280