9997 ベルーナ 銘柄分析・適正株価
5.6Sol 個別レビュー
投資テーゼ
26/3期実績は売上2181億(+3.4%)、営業164.7億(+38.6%)、経常163億、純利益115億、EPS119.93、BPS1572.51、配当38円、ROE7.63%。27/3期会社予想は売上2210億、営業175億、純利益120億、EPS124.69、配当39円、ROE7.95%。現値1074円はPER8.6倍、PBR0.683倍、配当利回り3.6%。COE7.03%・g1%の残余利益モデルでは持続ROE7.95%の正当PBRは1.15倍で株価1813円、持続ROE6%まで落ちても0.85倍で1342円と現値を上回る。つまり市場は持続ROE4.5%程度(正当PBR0.64倍)しか織り込んでおらず、これは26/3期実績7.63%からも27/3期計画7.95%からもかけ離れて悲観的。5シナリオの確率加重適正値1335円は現値を24.3%上回る。ただし中期計画28/3期の営業利益165億は26/3期に前倒し達成してしまっており、成長の次の柱が示されていない点は割引理由になる。ホテル利益の循環性とコングロマリット・ガバナンスのディスカウントを2-3割見込んでなお割安と判断し candidate とする。
主な懸念
利益の質が本業から離れている。26/3期の営業利益164.7億(+38.6%)のうちプロパティ・ホテルが85.5億(+62.7%、売上497億+38.3%)を占め、増益の過半が訪日需要と国内旅行需要に依存するホテル・不動産である。ここはピーク利益を恒久化してはいけない循環事業で、かつ資産が重い。一方で祖業の総合通販は縮小しており、アパレル・雑貨は仕入原価と DM 配送費の上昇に対しカタログ発行部数を減らし、不採算のファッションECモールとインポートブランドECを終了して減収。収益性は改善したが売上の下げ止まりは確認できていない。化粧品健康食品も減収。ファイナンス事業は増収増益だが与信リスクを内包する。DB値のズレ: eps_0=122.5は26/3期実績119.93と27/3期予想124.69の間のTTM、revenue_0=2196億も実績2181億より上、dividend_0=34.5は前期29円と今期38円の間の混成で会社の年間配当38円(27/3期予想39円)とは一致しない。bps_0=1572.6は実績1572.51と一致。shares_0=96,236,000は純利益115億÷EPS119.93=95.9百万株よりやや多く自己株式込みの可能性があるが誤差は0.4%で1株指標に実害はない。7セグメント体制のコングロマリット構成とオーナー色の強いガバナンスがPBR0.68倍の恒常的ディスカウント要因。
シナリオ内訳
| シナリオ | 確率 | 妥当価値 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 悲観 | 15.0% | 800円 | 訪日需要の反落でプロパティ・ホテルの利益85.5億が半減し、総合通販の顧客減も加速して営業利益100億割れ。持続ROE4%で正当PBR0.5倍、BPS1572円に対し約790円。 |
| 弱気 | 25.0% | 980円 | ホテルの増益を通販とアパレル・雑貨の減収が相殺し営業利益140億前後で停滞、EPS95。持続ROE5.8%の正当PBR0.62倍。コングロマリット・ディスカウントも継続。 |
| 中立 | 28.0% | 1,350円 | 27/3期計画(営業175億・EPS124.69)を達成し持続ROE7.5%。残余利益モデルの理論値1695円にガバナンスと事業構成の割引2割を当てて1350円。PERでは10.8倍。 |
| 強気 | 20.0% | 1,700円 | ホテル・不動産が拡大し通販が下げ止まって持続ROE9%。正当PBR1.33倍の理論値2087円に2割弱の割引で1700円。PBR1.08倍、PER13.6倍に相当。 |
| 楽観 | 12.0% | 2,100円 | 新中期計画と資本政策(自己株買い・保有不動産の売却)でROE11%超が視野に入りディスカウントが縮小。PBR1.34倍でNAV評価に近づく水準。 |
FY2025実績
純利益
FY2025実績
比率
FY2025
通販と小売を通じて生活商材を幅広く扱い、継続購買を積み上げる。顧客データと商品編集が運営の軸になる。収益の見え方は、どの用途で採用が続くかと、顧客の更新や稼働の流れを安定して拾えるかで変わりやすい。単発の売り切りだけでなく、既存顧客との継続接点をどう深めるかが事業の厚みを左右しやすい。人手で担ってきた工程が多い領域では、AI や自動化に置き換わりにくい部分を残せるかも中長期の焦点になる。
顧客接点は資産だが、販促や制作は AI で効率化されやすく、差別化の持続は難しい。優位が続く条件は、品質や納期、提案力のような日々の運営差を顧客に体感させ続けられることにある。一方で、情報整理や定型対応の比重が高い部分は AI による代替や内製化の圧力を受けやすく、見かけより防御力が薄いこともある。そのため、単なる知名度よりも、顧客の運営に入り込む深さを保てるかが評価の分かれ目になる。
伸びしろは独自商材や深い顧客理解にある。汎用品に寄るほど価格競争が強まる。伸びしろは、既存顧客の中で採用範囲を広げる動きと、隣接用途へ無理なく横展開できるかにかかりやすい。ただし AI が作業代替や探索効率化を進める領域では、需要が増えても単価や役割が薄まり、売上の質が想像ほど強くならないおそれがある。結局は、需要の追い風を受けるだけでなく、自社の役割を濃くして粗さの少ない成長に変えられるかが重要になる。
スコアは「リスクが小さい」ことではなく、「リスクに対する財務・構造的耐性の高さ」を評価したものです。
広告制作や販促最適化は AI で均されやすく、優位が薄れやすい。この状態が続くと、採算や運営の安定感が鈍り、利益率の見え方も弱くなりやすい。とくに人手で処理してきた工程の比重が高い場合は、顧客の内製化や AI 活用が進むほど価格交渉力が落ち、評価の重しになりやすい。
商材が広いぶん、在庫の読み違いが採算に響きやすい。この状態が続くと、案件の回転や稼働の勢いが鈍り、利益率の見え方も弱くなりやすい。とくに人手で処理してきた工程の比重が高い場合は、顧客の内製化や AI 活用が進むほど価格交渉力が落ち、評価の重しになりやすい。
汎用商材は比較されやすく、粗利が圧迫されやすい。この状態が続くと、採算や運営の安定感が鈍り、利益率の見え方も弱くなりやすい。とくに人手で処理してきた工程の比重が高い場合は、顧客の内製化や AI 活用が進むほど価格交渉力が落ち、評価の重しになりやすい。
業績を構造的に変える可能性のある具体的な上振れ経路のみ。種まき新規事業・ニュースに出た小さな特許・抽象的な期待論は対象外。
比較されにくい商材を増やせれば、収益の質を高めやすい。見通しとしては、既存の強みを隣接領域へ広げられるかが重要になる。AI に置き換えられやすい定型部分から離れ、判断や設計、運営責任の重い領域へ寄れれば、単価と顧客接点の両方を守りやすい。
継続購買の設計を磨ければ、販促効率を改善しやすい。見通しとしては、既存の強みを隣接領域へ広げられるかが重要になる。AI に置き換えられやすい定型部分から離れ、判断や設計、運営責任の重い領域へ寄れれば、単価と顧客接点の両方を守りやすい。
新しい販路が育てば、国内競争の影響を和らげやすい。見通しとしては、既存の強みを隣接領域へ広げられるかが重要になる。AI に置き換えられやすい定型部分から離れ、判断や設計、運営責任の重い領域へ寄れれば、単価と顧客接点の両方を守りやすい。
還元は期待できるが、集客効率を守るための投資も欠かせない。資本配分を見るうえでは、株主還元の強弱そのものより、競争力を守る投資と無理なく両立できているかが大切になる。人材や販促、システム整備への再投資が弱いと顧客接点が薄れやすく、還元の見栄えだけでは持続力を示しにくい。安定した本業の積み上がりが確認できる局面ほど、還元策にも説得力が生まれ、資本政策全体への信頼が高まりやすい。
リスク耐性スコア 5/10 より算出
直近3期のいずれかでFCFが赤字のため、DCF法による算定を見送り
直近3期FCF: 2025年度 -81億円 / 2024年度 -16億円 / 2023年度 -217億円
2段階配当割引モデル(2-Stage DDM)。ベースDPS=¥29。成長率は過去DPS CAGR(10年=7.9%、直近3年=15.1%)から算出、MOATスコアに応じたフェード期間(9年)でターミナル成長率に収束。
2段階残余利益モデル。BPS₀=¥1,466、配当性向32%でBPS追跡。
PERマルチプル法。ピークEPS=¥114、総合スコア4.4から指数関数的に倍率算出。
過去長期(10年以上)のPBR分位 × 現BPS。市場の不況・好況局面を含む歴史的レンジから価値帯を算定。中央値PBR=0.73倍、現BPS=¥1,466。
過去長期(10年以上、赤字年除外)のPER分位 × ピーク/正規化EPS。歴史的バリュエーションレンジから価値帯を算定。基準EPS=¥114。
10年後の株価を 1000通りの未来シナリオでシミュレーション。 業績の成長・横ばい・衰退・倒産の確率を過去データから推定し、1株利益の動きと適正株価の幅を予測します。 (最終計算: 2026-07-29)
| 入力値 / 各モデルの結果 | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 必要利回り(株主資本コスト) | 3.53% | 7.03% | 11.53% |
| 成長持続年数(競争優位性に連動) | 7年 | 10年 | 13年 |
| EPS/BPS-first MC 適正株価(中央) | ¥469 | ||
| 10年後EPS/BPS×出口評価(中央) | ¥469 | ||
| スタート時の状態 | S(名目永続成長率 0.7%、直近売上成長 1.2%) | ||
※ 試算精度について:現在は 1000通りのシミュレーションで、売上成長・利益率・株数からEPSとBPSを作り、配当は総リターンに、内部留保と自社株買いはBPS/株に反映します。10年後EPS/BPSに対して出口PER/PBR/PSRを評価し、赤字パスでは黒字時のPERを使わず、資産・売上倍率ベースの低い評価に切り替えます。さらにTOB、競争優位低下、景気後退、赤字からの回復、利益率変化、希薄化、バリュエーション変化などの事象タグを各銘柄の露出度に応じて発生させています。TOBは時価総額が大きい銘柄ほど発生確率を下げています。
| 評価モデル | 悲観 (39%) | 中立 (30%) | 楽観 (31%) | 加重平均 |
|---|---|---|---|---|
| DCF | — | — | — | — |
| 配当割引 | ¥330 | ¥614 | ¥1,283 | ¥711 |
| 残余利益 | ¥638 | ¥1,721 | ¥3,277 | ¥1,781 |
| PERマルチプル | ¥799 | ¥1,256 | ¥2,055 | ¥1,325 |
| PBR分位法 | ¥821 | ¥1,066 | ¥2,220 | ¥1,328 |
| PER分位法 | ¥812 | ¥1,240 | ¥1,853 | ¥1,263 |
| モデル平均 | ↑ 各モデルの確率加重平均 | ¥1,282 | ||
¥680 FV¥1,282 割高
¥2,138 ¥2,673