オプションの言葉
分析のページで出てくる言葉を、実際の数字と一緒に並べました。 定義だけを読んでも身につかないので、「それで結局どういうことか」まで書いています。
値段のもと
オプションの値段を「これから 1 年でどれくらい動くか」に読み替えた数字。年率のパーセント。オプションの値段はほぼこれ 1 つで決まるので、値段そのものより IV を見るほうが銘柄をまたいで比べやすい。20% なら「1 年で ±20% くらいの幅で動く」と市場が見ている、という意味。
実際に起きた値動きの大きさ。過去の日々の値動きから計算する。IV が「予想」なら、こちらは「結果」。終値だけで測る方法のほか、高値安値を使う方法(Parkinson)、寄り付きの飛びも含める方法(Yang-Zhang)がある。同じ相場でも測り方で数字が変わるので、当サイトでは 5 通りを並べている。
IV から、そのあと実際に起きた実現ボラを引いた差。プラスなら「予想が結果より高かった」=保険を売った側の取り分。S&P500 では 1990 年以降の平均で +3〜5%ポイント。これがオプション売り戦略の利益の源になっている。
満期時点での「今の値段の見込み」。現物の値段に金利を足し、配当を引いたもの。オプションの計算はこのフォワードを基準に行う。当サイトでは、同じ行使価格のコールとプットの値段差から逆算している(先物の清算値と 0.002% 以内で一致することを確認済み)。
グリークス(何に効くか)
原資産が 1 動いたときに、オプションの値段がいくら動くか。0〜1(コール)、−1〜0(プット)。「今のところ何株分の効き目を持っているか」とも読める。ATM ならおよそ ±0.5。
デルタの変わりやすさ。値動きの加速度。売り手にとってはこれが敵で、原資産が動くほど不利な方向にデルタが変わっていく。満期が近い ATM でいちばん大きくなる。
IV が 1%ポイント動いたときの値段の変化。「相場が荒れるか静かになるか」への賭けの大きさ。満期が長いほど大きい。
1 日たつだけで減る(増える)値段。売り手はこれを受け取り、買い手はこれを払う。「時間が味方か敵か」を表す。ガンマと必ずセットで、セータを取るならガンマのリスクを負う。
金利が 1%ポイント動いたときの値段の変化。満期が長いほど効く。短いものではほぼ無視できる。
ヴァンナは「IV が動いたときにデルタがどう変わるか」、ヴォルガは「IV が動いたときにベガがどう変わるか」。スキューのある相場でヘッジを組むときに効いてくる二階の感応度。
値段の形
同じ満期でも、行使価格によって IV が違うこと。株価指数では下側(プット)のほうが高いのが常態で、これをスキュー(ゆがみ)と呼ぶ。暴落の保険に人気が集まるため。25 デルタのプットとコールの IV 差(リスクリバーサル)で測ることが多い。
満期の違いによる IV の違い。普段は先ほど高い(コンタンゴ)。ここが逆転して近いほうが高くなると、目先に何かが起きていることを市場が織り込んでいる。
満期の違う 2 本から取り出す「その区間だけ」の予想変動率。総分散が足し算でつながることを使う。ここが飛び出す区間に、FOMC や決算が入っている。
満期 × 行使価格の面で見た IV の地図。左下(近い満期の下側)が濃いのが株価指数の常態。
窓の長さごとに、実現ボラが過去どれくらいの幅で散らばったかを並べた図。短い窓ほど大きく散らばるので円錐に見える。ここに今の IV を重ねると、どの満期のオプションが割高かが満期ごとに分かる。
市場が織り込んでいるもの
オプションの値段を行使価格で 2 回微分すると出てくる、市場が思っている満期時の確率分布。正規分布も対数正規分布も仮定しない。株価指数では必ず左(下落側)に尾が長くなる。
30 日先の分布の「歪み」を 100 − 10×歪度 の形で表した指数。100 が中立で、高いほどテール(滅多に起きない大暴落)を警戒している。VIX と組み合わせると、過去の任意の日について「市場が織り込んでいた下落確率」を復元できる。
建玉から推定した「マーケットメイカーがどちら向きのガンマを持っているか」。プラスなら値動きが抑えられ、マイナスなら増幅されやすい。慣例としてコールは売られ、プットは買われていると仮定して計算する。
満期にそこで終わると、買い手の受け取り合計がいちばん小さくなる価格。需給の重心を見る目安で、必ずそこへ行くというものではない。
組み方
ストラドルは同じ行使価格でコールとプットを両方。ストラングルは離れた行使価格で両方。売れば「大きく動かなければ勝ち」、買えば「大きく動けば勝ち」。
ストラングル売りの外側に保険(買い)を足した型。取り分は減るが、最大損失が決まる。CBOE の指数(CNDR)で見ると、1990 年以降のシャープは 0.680 で S&P500 の 0.486 を上回る。
現物を持ったままコールを売る。上値を諦めるかわりに保険料を受け取る。CBOE の BXMD(30 デルタ)は 1990 年以降で年率 10.18%、S&P500 の 8.73% を上回っている。
現物+プット買い+コール売り。上下を挟んで振れ幅を抑える。下げに強いかわりに、上げも取り逃す。
満期の違うものを組み合わせる型。期近を売り期先を買うと、時間の減り方の差を取りにいくことになる。期間構造が逆転しているときに妙味が出る。
デルタを完全に打ち消して「ボラそのもの」を売買したときの損益に相当するもの。損益はボラの差ではなく分散(ボラの 2 乗)の差に比例する。
制度と用語
ATM は行使価格が今の値段とほぼ同じ。OTM は「いま行使しても無価値」、ITM は「いま行使すると価値がある」。当サイトの分析では OTM 側の気配を主に使う(ITM は売り買いが薄く、値が信用しにくいため)。
ヨーロピアンは満期まで行使できない。アメリカンはいつでも行使できる。指数オプション(SPX・NDX・日経225)はヨーロピアン、ETF のオプション(SPY・QQQ)はアメリカン。アメリカンではプットコールパリティが等式にならず、幅でしか縛れない。
同じ満期・同じ行使価格のコールとプットの間に必ず成り立つ関係(C − P = (F − K)e−rT)。これが破れていれば、裁定の機会か、気配が実勢から外れているかのどちらか。
オプションの最終的な決済に使われる値。日本の日経225 は各限月の第 2 金曜日、米国のオプション満期は第 3 金曜日。ここで建玉の損益が確定する。
まだ決済されずに残っている契約の数。多いほど売り買いが厚く、値段が信用できる。当サイトでは建玉ゼロの気配を分析から外している。
満期まで 1 年以上ある長期オプション。売り買いが薄く、売値と買値の幅が広いので、中点の値段は実勢からずれやすい。実測では QQQ の 180 日超で 4 割が理論上の境界を外れていた。
数字はいずれも当サイトが実データで測った結果です(出典:CBOE・JPX・指数の日次四本値)。
当サイトの情報は投資助言を構成するものではありません。