オプションは今、割高か割安か
株の割安・割高を PER や PBR で見るように、オプションにも「高い・安い」があります。
その物差しが IV(予想変動率)。オプションの値段は、ほぼこれ 1 つで決まります。
IV が実際の値動き(実現ボラ)より高ければ、保険を売る側が取り分を得ます。
低ければ買う側が有利。この差を VRP と呼び、ここでは長期の実データで測ります。
S&P500 は 1990 年から
日経225 は 1965 年から
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いまの水準
帯の上の印が、その指数の IV が過去のどのあたりにいるかを示します。 左(青)ほど歴史的に安く、右(赤)ほど高い。株のバリュエーション推移と同じ読み方です。
参考:予想変動率が公開されていない指数
オプションの予想変動率が指数として公表されていない市場です。 実際に動いた大きさ(実現ボラ)だけを載せています。
IV=これから 30 日の値動きの予想(年率)。オプションの値段はここから決まります。
実現ボラ=直近 20 営業日に実際に起きた値動き(年率)。
取り分(VRP)= IV − 実現ボラ。プラスなら売り手が有利だった状態。
期待ボラと実現ボラ
青が「これからこれくらい動くだろう」という予想(オプション価格が語っている値)。 橙が「実際にこれだけ動いた」という結果。青が橙より上にいる期間が長いほど、売り手の取り分が積み上がります。
予想は、どれだけ当たっているのか
「そのあと 30 日に実際に起きたボラ」を、予想(IV)と直前の実現ボラで
説明できるかを回帰で測りました。
予想が完璧なら係数は 1 になります。1 より小さければ、予想は行き過ぎということです。
実現ボラの測り方ちがい
終値だけで測るか、高値安値も使うか、寄り付きの飛びを含めるかで、 同じ相場でも数字が変わります。差が開くときは「日中に往復した」か「窓を開けた」かの合図。
窓の長さちがい
5 日・20 日・60 日・252 日。短い窓が長い窓を上抜くと、 相場が急に荒れ始めた合図になります。
売り手の取り分(VRP)
その日の IV から、そのあと実際に起きた 30 日の値動きを引いた差です。 「予想が結果より高かったか」を後から答え合わせしたもので、オプション売りの利益の源はここにあります。 IV と直近の実現ボラを引き算しただけの図は 1 か月ずれた比較になるので、ここでは先の実現ボラと比べています。
10 年ごとの平均
月ごとの平均
CBOE のオプション戦略指数(実際に回した場合)
自前の検証だけでは身びいきになるので、CBOE が 1986 年から 算出している実在の戦略指数と並べます。BXM=カバードコール、PUT=プット売り、 CNDR=アイアンコンドル。100 を起点に揃えてあります。
期間構造 — 近いほど安いか、高いか
同じ指数でも、9 日先・1 か月先・3 か月先で予想変動率は違います。 普段は先ほど高い(右上がり=コンタンゴ)。ここが逆転して近いほど高い状態になると、 目の前に何かが起きていることを市場が織り込んでいます。
今日のカーブ(S&P500)
1 か月 ÷ 3 か月 の推移
1.0 を超えたら逆転(近いほうが高い)。 過去、ここが跳ね上がった日はほぼ例外なく波乱の最中でした。
予想変動率は、どこへ戻るのか
VIX は上がりっぱなしにも下がりっぱなしにもなりません。
高いところからは引き戻され、低いところからはじわじわ戻る——この戻る速さと
戻る先が、期先の予想変動率や VIX 先物の値段の土台になっています。
表は「いまがこの水準のとき、その先の中央値はどこだったか」。1990 年からの全部を数えています。
期間構造の歴史(月ごと)
縦が満期、横が時間。色はその満期の予想変動率。 上(短い満期)が下より濃くなっている縦の帯が、期間構造が逆転していた時期です。 2011年8月・2015年8月・2018年2月・2020年3月・2022年—— 波乱の記憶がそのまま模様になります。
限月ごとの ATM 予想変動率(今日)
上ほど期近です。近い限月のほうが高いなら、目先に何か身構えているという意味。 ふだんは期先のほうが高く(右肩上がり)、危機になると逆転します。
ゆがみ(スキュー) — 下がるほうの保険は高い
同じ満期でも、行使価格によって IV は違います。株価指数では 下側(プット)のほうが高いのが普通。暴落の保険に人気が集まるからです。 この傾きが急なほど、下側の保険が割高になっています。
横軸は「今の値段の何倍の行使価格か」。0.90 なら 10% 下、1.10 なら 10% 上。
IV サーフェス(満期 × 行使価格)
SKEW 指数の長期
CBOE が 1990 年から出している、 テールリスク(滅多に起きない大暴落)の織り込み度。100 が中立、高いほど暴落を警戒。
実測 — IV が高いときに売ると本当に勝てたのか
「IV が高いときに売れ」とよく言われます。本当かどうか、 IV の水準を 10 段階に分け、そのあと 30 日で実際に起きた値動きと突き合わせました。 縦棒がプラスなら、その水準で売った側の取り分がプラスだったということです。
IV 水準(10 段階)別の取り分
予想変動率の高さで日を10等分し、それぞれで 「そのあと実際どれだけ動いたか」との差を見たものです。右へ行くほど取り分が増えるなら、 高いときだけ売る意味がある。横ばいなら、水準で選り好みしても報われていません。
月別の取り分
季節性は「あった」ではなく「この期間はこうだった」として読んでください。 標本が少ない月ほど、たまたまの振れが大きく出ます。
株が 1% 下げたら、VIX はどれだけ上がるのか
株価指数と予想変動率は逆に動きます。ただし下げの日と上げの日で効き方が違い、
しかもそのときの水準によっても変わります。
VIX 連動のもので下げを守ろうとするなら、この係数が「どれだけ効くか」の見積もりになります。
係数が 1.4 なら、株が 1% 下げたときに VIX が 1.4 ポイント上がる、という意味です。
イベントの前後で、予想変動率はどう動くか
「イベント前に上がり、通過した瞬間に落ちる」(IV クラッシュ)はよく言われます。
1990 年からの VIX で、イベント日と同じ曜日のふつうの日を比べました。
曜日を揃えるのが肝心です。雇用統計も SQ も満期もぜんぶ金曜なので、
ふつうの日と比べると「金曜に下がって月曜に戻る」という週末の動きを
イベントの効果と取り違えます(実測で +2.85% 対 +0.10% という大差が出ましたが、
正体は曜日でした)。
1 日ずつの点
横が指数の変化、縦が予想変動率の変化。 左上に伸びる形(下げるほど強く跳ねる)が見て取れます。
指数どうしは、どれだけ一緒に動いているか
相関が上がると分けて持つ意味が薄れます。
同時に、指数のオプションは構成銘柄のオプションより安くなりにくくなります
(バラバラに動くほど、指数のほうは打ち消し合って静かになるため)。
ここでは実際に起きた相関の推移と、予想変動率の差——小型株やハイテクに
どれだけ上乗せされているか——を見ます。
S&P500 との実現相関
市場が織り込んでいる相関(CBOE の相関指数)
上の実現相関は「指数どうし」でしたが、
こちらは S&P500 の構成銘柄どうしがどれだけ一緒に動くと見られているかを、
指数オプションと個別株オプションの値段の差から逆算したものです(CBOE が算出)。
低いほど「銘柄はバラバラに動く」と見られている状態で、そのとき指数のオプションは
個別株のオプションに比べて安くなります。分散取引(指数を売って個別を買う)の妙味は
この水準で決まります。
予想変動率の上乗せ分
S&P500 の予想変動率を基準にした差。 プラスなら、その指数のほうが荒れると見られています。 小型株(ラッセル2000)とハイテク(ナスダック100)は常に上乗せがあり、 この差が縮むときは、大型株のほうに問題が起きていることが多い。
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出典:CBOE(ボラティリティ指数・戦略指数・オプションチェーン)、JPX(清算値段・最終清算数値)、指数の日次四本値。