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小型株の出番は来るのか:「金利が下がれば本命」と「割高で人気過多」の間で割れた見方

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小型株の出番は来るのか。この問いに、10人の発言は「金利しだい」という点でほぼ一致しています。ただ、筆者はこの問いの立て方自体が大きすぎると思います。出番を待つより、小型株の中身の違いを確かめるほうが、発言から学べることは多いからです。

大型のテック株が相場を引っ張る展開が続いています。その陰で、小型株は「出番を待つ存在」として何度も語られてきました。2026年に小型株を論じた人は10人。結論はそろっていません。「金利が下がれば本命になる」と見る人、「利益の裾野が広がっている」と見る人、「すでに割高で人気が過ぎている」と見る人がいます。

割れ目は四つです。金利は追い風なのか壁なのか。利益の改善は小型にも及んでいるのか。値段は割安なのか割高なのか。そして、小型株の中で何を選ぶのか。なお、国によって「小型」の意味は違います。インドと米国の議論が混ざる点には注意してください。

分かれ目1:金利は追い風か、壁か

小型株は短期の借り入れが多く、金利の変化に敏感だといわれます。2026年の発言は、この金利の見方が時期によって大きく違いました。

ウォートン校のジェレミー・シーゲルは、年初のコメントで追い風と見ていました。雇用の伸びは鈍いのに、10〜12月期のGDPはアトランタ連銀の推計で5.4%(7〜9月期は4.3%)。これは生産性が急に上がっている証拠で、物価を再燃させずに成長できる理想の形だという評価です。FRBは5%超のピークから合計約2%分の利下げをする見込みで、その恩恵は短期借り入れの多い中小型株に出る、という見立てでした。

ところが、9月末のコメントでは様子が一変します。3週間で実質金利(物価の伸びを引いた金利)が約0.4ポイント上がるという珍しい動きがあり、これは物価の期待ではなく、実体経済の強さが見直された結果だというのです。10年物の実質金利は約2.8%で、GDPの推計は3.3〜5%。10月に0.25%の利上げ、年末までにもう一度の利上げも、真剣に考えるべきだとまで言っています。住宅ローン金利は7%超で、「小型株・割安株への資金の乗り換えは、金利に阻まれる」と書きました。10月の番組でも、原油が90ドル近くにあると住宅や小型株が圧迫されるが、大手テックの高い利益率が市場を支える、と話しています(要約で、二次情報)。

バンク・オブ・アメリカのマイケル・ハートネットは、正反対の道筋を示しました。9月の欧州・米国・日本の利上げは、信頼できる行動で、債券利回りのピークを示すかもしれない。そうなれば、小型株、バイオ、地方銀行、不動産投資信託など、利益が先に出る「期間の長い資産」に追い風になる、というのです。9月下旬の要約では、中間選挙に向けて、利回りがピークにある資産(30年米国債、大型テック7社、バイオ、小型株、不動産投資信託)を少しずつ拾うと話しています(AIによる要約で、二次情報)。

ただし、ハートネットは警戒も忘れていません。9月の要約では、期間の長い資産は価格だけが上がって、資金の流入が伴っていないと指摘しました。8月には、強気弱気指標が2021年以来の売りの合図を出したとして、夏は「撤退して資金を乗り換え、再投資はしない」と書き、生活必需品、期間の長い資産、米ドルへ移るとしていました。

売りの合図の理由は、銀行・景気に左右される株・半導体が、金融環境の引き締まりに弱いという点でした。彼が示した強気の合意には、四つの前提があります。景気の着陸なし、FRBの利上げなし、AI設備投資の削減なし、民主党の中間選挙での完勝なし。このうち「FRBの利上げなし」は、9月16日の0.25%の利上げ(3.75〜4%)で外れました。

筆者は、ここがおもしろいところだと思います。シーゲルは利上げが続いていることと、住宅ローン金利の高さという足元の負担を見ています。ハートネットは、利上げが長期金利のピークを作るという先の動きを見ています。同じ「金利」でも、見ているのが足元か先かで、結論が真逆になるのです。どちらが正しいかは、長期金利が本当にピークを付けたかどうかで決まります。いまのところは、足元の負担を見るシーゲルの慎重さに分があると筆者は見ています。ピークを付けたと確認できていないからです。

なお、シーゲルが10月に、広く国際分散するのを勧め、特に株価収益率の低い欧州と日本を挙げたのも、小型株に絞らず、割安さを世界に求める発想の一つです。

分かれ目2:利益の裾野は広がっているか

エド・ヤルデニは、2月の無料公開部分で、中型・小型(S&P400と600)の利益が、2022年末以降の横ばいから上向き始めたと見ました。割安なまま見直される「大いなる評価替え」が、昨年末から進んでいるといいます。米国は2010年以降に世界を上回り、世界の株式時価総額に占める比率は昨年65%と過去最高でした。割高になった大型株と、リスクの高まった利益見通しから、資金は割安な中小型や海外へ回る、という理屈です。

モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソンは、4月に、売られすぎから買われすぎまで12日で戻った急反発のあとも、強気を保ちました。先行き12か月の利益の伸びは約25%(1年前は9%)で、1〜3月期の決算は予想を平均10%上回りました。利益の伸びは一部の銘柄だけではなく、中位の銘柄や小型株でも二桁だというのです。2025年11月の見通しで示した、順番に回復していく筋書きと合う、という整理でした。

一方、ファンドスミスのテリー・スミスは、別の面を指摘します。7月の半期書簡で、S&P500の「稼いだ現金の利回り」が、AI投資の軍拡競争のせいで2%を下回ったと書きました。そのうえで、米国の小型株の指数(ラッセル2000)では、赤字企業が黒字企業を上回る成績が続いている、と言います。利益の質を無視する局面だというのです。保有企業の稼ぐ現金は、今後3〜5年に年約14%伸びると見ていて、割安なまま上がることを期待しています。

筆者がいちばん引っかかるのは、ここです。ヤルデニとウィルソンは、利益の改善を根拠に、小型株への資金の移動を予想しています。しかし二人の発言は、2月と4月のもので、その後の利上げの前でした。スミスの言う「質」の問題は、時期にかかわらず残ります。つまり、利益の裾野が広がっても、その恩恵を受ける企業と、受けない企業が混在するということです。

分かれ目3:値段は割安か、人気が過ぎているか

インドのラジーブ・タッカーは、8月の書簡で、小型・中型株への熱狂に釘を刺しました。株価収益率(利益の何年分で買われているか)は、大型株の指数が20.8倍、中型が30.7倍、小型が34.6倍です。小型は大型より約6割高い計算です。「小型株は高リターンなのが物理法則だと思う人は、米国市場を見よ」と皮肉りました。2025年9月の別の記事(二次情報)では、自分の資産のうち小型・中型は4%で、大型は約60%だと明かしています。小中型の評価が、大型より割高だからという理由でした。

同じインドのS・ナレンも、2月の講演で「人気が出すぎた資産ほど、割安ではなくなる」と言い切っています(二次情報)。資金が入りすぎた分野は、割安さがなくなる。例として、インフラ投信(2005年12月の約3,500億ルピーから2007年に約25,000億ルピー)と、中小型株投信(2013年の約13,000億ルピーから2017年に約67,000億ルピー)の、その後の不振を挙げました。資金が大量に入るのは天井付近で、底では資金を集めること自体がほぼ不可能になる、という整理です。

クリストファー・ウッドは、9月のインタビューで、中小型株は今は買い増さないと話しています。イランとの戦争がイエメンの事態でまた激しくなっているからです。ただ、インドの投資家なら、5〜10年で資金の半分を中小型ファンドに振り向けるのは理にかなうとも話していて、短期と長期の見方が同じ発言の中に並んでいます。

ヴィジャイ・ケディアは、2025年10月のインタビューで、強い新しいアイデアが乏しいため、銘柄をいくつか売って現金を作り、売買しやすい銘柄に振り向けたと話しました(二次情報)。当面の5〜6か月は忍耐が要る。大型株は安全とされて人気を集めるが、市場が転換し、収益の見通しと経済の勢いが戻れば、中小型株が再び活気づく、という見方です。

筆者は、タッカーとナレンの話を重く受け止めます。人気が出て資金が入りすぎた分野は、その後の不振が数字で残っているからです。値段の議論では、将来の成長の話より、過去に実際に起きた資金の流れのほうが、確かな材料になります。

分かれ目4:小型株の中で何を選ぶか

四つ目の割れ目は、小型株を一括りにするかどうかです。

ケディアは、9月のムンバイ講演で、自分の銘柄選びを「SMILE」という頭文字で説明しました(二次情報)。Sは小さい会社で、500億ルピーが5年、10年で5,000億ルピーになる余地があること。Mは、同じ事業で10〜15年を過ごし、景気の波を経験した経営者。Lは志の大きい経営陣。Eは市場が特大であること。「騎手は馬より重要だ」とまで言っています。小型株全体ではなく、成長の余地と経営者の質を、同時に見るという立場です。

ハートネットは、5月の配信記事(二次情報)で、AI関連では、1970年代後半の「ニフティ・フィフティ」(人気の優良株50銘柄)の崩壊後に似ていて、独占・寡占を崩す小型の導入企業が最良の取引になると見ています。史上最大級の上場10件の前後の相場は結果がまちまちで、アリババとICBCの上場は、中国株の「ロケット燃料」になりました。一方、VisaとAIAの上場は天井の目印で、9〜12か月後に指数は大きく下がっていたといいます。

中国の林園は、2025年11月の対話で、新興産業の泡沫は始まったばかりで、中小型の調整は重要でないと話しました。泡沫は方向を示すだけで、個別企業の投資の成功とは別だ、とも言っています。

なぜ割れるのか

割れる理由は三つあります。

一つ目は、見る時点です。シーゲルの1月と9月の発言を比べると、同じ人物でも、利下げの局面と利上げの局面で結論が変わります。小型株の見方は、金利の方向に強く連動しているのです。

二つ目は、国と指数の違いです。インドの小型株の株価収益率の高さと、米国のラッセル2000に赤字企業が多いことは、別々の問題です。同じ「小型株」でも、割高の中身は国によって違います。

三つ目は、「小型株」という括りの粗さです。ヤルデニやウィルソンは指数全体の利益を見て、スミスやケディアは個別企業の質を見ています。指数で見れば追い風でも、個別の会社にはあてはまらないことがあります。

株譜の見方

以下は、公開された発言から筆者が推測した部分で、確定した事実ではありません。

冒頭の主張に戻ります。10人の発言は、小型株の出番を、金利の方向に委ねている点で共通しています。シーゲルは「金利が壁」と言い、ハートネットは「金利が転機になる」と言いますが、どちらも金利を最大の変数に置いています。だとすれば、日々の発言を追うより、長期金利の動きそのものを確かめるほうが早いはずです。

割高さの議論は、国で分けて読むべきだと思います。タッカーとナレンはインドの、スミスとシーゲルは米国の事情を語っています。同じ「割高」でも、原因も対処も違います。

そして、出番を待つより、中身の違いを確かめるほうが、発言から学べることは多いと考えます。ウィルソンの言う利益の裾野の広がり、スミスの言う質の問題、ケディアの言う経営者の質は、どれも小型株の中身の違いを指しています。小型株全体が来るのを待つのではなく、利益が実際に出ている会社かどうかを、一社ずつ見る。それが、金利の見通しを外したときの保険にもなります。

明日から見るなら、二つです。一つは、10年物の長期金利が上げ止まるか。もう一つは、小型株の指数で、黒字の会社と赤字の会社のどちらが買われているか。前者はハートネットとシーゲルの答え合わせに、後者はスミスの警告の答え合わせになります。

なお、ハートネットの要約の多くはAIによる要約サイトの二次情報で、原文の細部は確かめられていません。ケディアとナレンの講演も報道ベースです。小型株の議論は、数字の出どころの確からしさにも差があることを、読む側で意識しておくとよいと思います。

注意

本稿は、公開された発言を整理したもので、投資助言ではありません。個別銘柄の売買を勧めるものでもありません。引用は要約であり、二次情報は報道ベースとして扱いました。数字は発言時点のものです。

出典

  • Jeremy Siegel、WisdomTree Weekly Siegel Commentary、2026年1月12日。https://resources.wisdomtree.com/weekly-siegel-commentary/archive-january-12-2026
  • Jeremy Siegel、WisdomTree Weekly Siegel Commentary、2026年9月28日。https://resources.wisdomtree.com/weekly-siegel-commentary/archive-september-28-2026
  • Jeremy Siegel、CNBC Television(Podwise要約、二次)、2026年10月5日。https://podwise.ai/episodes/9058228
  • Michael Hartnett、Finvaulta(AI要約、二次)、2026年8月6日。https://finvaulta.com/research/bank-of-america/the-flow-show-2026-08-06
  • Michael Hartnett、Investing.com(二次)、2026年8月7日。https://www.investing.com/news/stock-market-news/bofas-hartnett-says-rotate-into-defensives-as-sell-signal-returns-4845556
  • Michael Hartnett、Finvaulta(AI要約、二次)、2026年9月3日。https://finvaulta.com/research/bank-of-america/the-flow-show-let-them-eat-data-2026-09-03
  • Michael Hartnett、Finvaulta(AI要約、二次)、2026年9月10日。https://finvaulta.com/research/bank-of-america/the-flow-show-those-yields-might-not-hurt-yet-but-diesel-2026-09-10
  • Michael Hartnett、Finvaulta(AI要約、二次)、2026年9月25日。https://finvaulta.com/research/bank-of-america/the-flow-show-china-in-a-bull-shop-2026-09-25
  • Michael Hartnett、Investing.com(Hellenic Shipping News、二次)、2026年5月23日。https://www.hellenicshippingnews.com/?p=1134722
  • Ed Yardeni、Yardeni Research QuickTakes、2026年2月17日。https://yardeni.com/research/quicktakes/2026/02/17/the-great-valuation-rotation-of-the-roaring-2020s
  • Mike Wilson、Morgan Stanley Thoughts on the Market、2026年4月27日。https://www.morganstanley.com/insights/podcasts/thoughts-on-the-market/us-stock-market-remaining-bullish-mike-wilson
  • Terry Smith、ファンドスミス・エクイティ・ファンド 2026年半期書簡、2026年7月15日。https://www.fundsmith.co.uk/media/lfhpxi1x/fundsmith-equity-fund-semi-annual-letter-to-shareholders-2026.pdf
  • Rajeev Thakkar、PPFAS ユニットホルダーへの手紙、2026年8月4日。https://amc.ppfas.com/knowledge-center/notes-by-rajeev-thakkar/2026/mr-rajeev-thakkar-note.pdf?11082026
  • Rajeev Thakkar、Value Research(Mint取材、二次)、2025年9月1日。https://www.valueresearchonline.com/stories/224920/rajeev-thakkar-ppfas-investment-strategy-2025
  • S. Naren、Outlook Money「40 After 40」講演(二次)、2026年2月20日。https://www.outlookmoney.com/retirement/outlook-money-40after40-too-much-money-becomes-enemy-of-returns-sankaran-naren-highlights-essence-of-value-investing
  • Christopher Wood、Business Standard、2026年9月17日。https://www.business-standard.com/markets/news/gold-at-10k-sip-flows-mid-smallcap-outlook-chris-wood-s-india-market-playbook-decoded-126091700520_1.html
  • Vijay Kedia、Business Today(二次)、2025年10月14日。https://www.businesstoday.in/amp/markets/stocks/story/no-idea-vijay-kedia-admits-eimco-elecon-stake-was-a-mistake-stock-down-40-498162-2025-10-14
  • Vijay Kedia、Outlook Money「The Money Question」(二次)、2026年9月23日。https://www.outlookmoney.com/invest/stock-specific-investing-is-key-to-wealth-creation-says-vijay-kedia-owner-of-kedia-securities
  • Lin Yuan、全景財経(腾讯転載)、2025年11月24日。https://news.qq.com/rain/a/20251124A06HEI00

この記事の投資家の実際の保有(13F)

13F は米国の運用会社が四半期ごとに開示する保有株の報告です。発言と並べて読むための参考で、現在のポジションを示すとは限りません。

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