株譜
AI 銘柄分析 · 水産・農林業 · 試作

Umios株式会社 1333

水産最大手だが儲けは薄い。計画どおり進んでも、今の値段に安全域は乏しい

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)1,024 円1,534 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)1,208 円1,810 億円差 −15.2%
10 年後から見ると やや割高 価値 1,024 円1,534 億円 · 差 −15.2% · 期待の年率 +5.5%
期待の年率リターン(10 年)+5.5%資本コスト比 −3.0 pt
推定の資本コスト8.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

Umios(旧マルハニチロ)は、漁業・養殖から水産物の輸入販売、冷凍食品や缶詰までを一社で持つ、日本最大級の水産・食品会社だ。売上は 1 兆円を超えるが、営業利益率は 3% に届かない。筆者の結論はこうだ。事業は強いが儲けの質が薄く、今の値段には安全域が乏しい。

稼ぎの土台は食材流通だ。世界中から魚介を買い付け、スーパーや外食に卸す。売上の約 7 割を占めるが、利益率は 2% ほどで、値段は市場が決める。加工食品は利益率の高い柱で、漁業・養殖の水産資源は長く赤字だったが、直近でようやく黒字に戻った。

中期経営計画は 2028 年 3 月期の営業利益 400 億円を掲げる。筆者は届くと見る。ただ、届いても株主の手元に残る利益は営業利益の半分ほどにとどまる。借金の利払いが増え、海外子会社の少数株主に取られる分が重いからだ。

直近の純利益は政策保有株の売却益で膨らんでおり、平常の水準は 150 億円台とみる。10 年で価格は物価並みに上がるが、株主の取り分は資本コストを下回りがちだ。中立の筋書きでも、10 年後の価値は今の時価総額に届かない。総合では本質価値が今の値段を 2 割ほど下回る、やや割高と見る。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、この会社は「好きになれる事業だが、払える値段には上限がある」会社だ。

事業の本質は、世界の魚を安定して食卓に届ける仕組みの運営だ。需要は景気に左右されにくい。だが、その仕組みは誰でもまねできる部分が多く、値段は市場が決める。稼いだ利益は漁船・養殖場・工場・買収に再投資が要り、株主が自由に使える利益、つまりオーナー利益は、見かけの純利益よりかなり少ない。

堀は普通だ。調達力と販売網は強いが、商社や海外大手と競い合う。ROE が資本コストを安定して上回る会社ではないので、利益に払える値段は、資本コストから決まる上限でほぼ頭打ちになる。

資本配分は評価が分かれる。政策保有株の売却と不採算事業の整理は評価できるが、M&A に 700 億円を投じる局面で、買収価格を誤れば価値を壊す。借金が自己資本並みに厚いので、失敗の傷も深い。

安全域は薄い。10 年後の利益が計画どおりでも、今の時価総額を超える水準には届かない。計画を上回る成功が重なった時にだけ報われる値段だ。

何で稼ぐ会社か

稼ぎの 7 割は食材流通だ。魚介の買い付けから国内外の販売までを担い、日本のスーパー・外食に加え、欧州やアジアにも販路を持つ。売上は 7,700 億円だが、利益率は 2% 前後と薄い。

加工食品は冷凍食品・缶詰・カニカマ・ペットフードなどで、売上は 1,900 億円弱。利益率は 5% を超え、グループでいちばん収益性が高い。ここに国内工場の再編と、微細藻類由来のDHA、海外のペットフードという新しい芽がある。

水産資源は漁業と養殖で、売上は 1,300 億円。まぐろの養殖、北米のすり身・カニカマ原料などを含む。前の期は赤字だったが、不採算漁業の整理と新造船で黒字に戻った。

このほかの事業に物流・倉庫がある。子会社のUmiosロジは、51% をセンコーに譲渡する。総資産約 500 億円と有利子負債約 300 億円が連結から外れ、BS が軽くなる。

方針は「川下」、つまり消費者に近い側への展開だ。欧州の水産加工会社の買収、マレーシアのペットフード会社への出資などで、海外の利益の比率を高める。成長投資は 3 年で 1,400 億円以上、うち M&A が約半分だ。

優良さと弱いところ

水産・食品の大手に共通する弱みが、この会社にもある。値段を自分で決められない。魚の相場、燃料、為替、スーパーの値下げ要求で、利益率が上下する。営業利益率は過去 10 年で 1% から 3% の間を行き来している。

強みは調達力と加工技術、そして国内外の販売網だ。世界各地の漁場・養殖場・加工工場を結んだ供給の仕組みは、一朝一夕にまねできない。ただ、買い手を縛るほどの強さはなく、筆者は堀、つまり他社がまねできない強みを「普通」と見る。

資本効率も平凡だ。ROE は過去 10 年の中央値で 10% だが、そのうち数年は政策保有株の売却益で底上げされている。売却益を除くと、資本コストを安定して上回ってはいない。

財務も見かけほど軽くない。純有利子負債は自己資本とほぼ同額で、運転資金が中心とはいえ、金利が上がる世界では利払いが重くなる。海外子会社の少数株主に流れる利益も大きく、利益の 3 割近くが株主の外に出ていく。

経営は、不採算の漁業の整理、物流の切り離し、政策保有株の売却と、資産の入れ替えを進めている。方向は正しい。課題は、それが利益率の切り上げに結びつくかどうかだ。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

世界の水産物の需要は、人口と所得の増加を背景に、名目でおおむね年 6% 前後伸びるという調査会社の予測が多い。かたや日本国内は、人口減で魚の消費量そのものが細っている。筆者は国内の食用魚介の数量を、10 年で 1 割ほど減ると見る。

国内の水産・食品の大手は 3 社に絞られている。Umios の売上が約 1.1 兆円、ニッスイが約 9,000 億円、極洋が約 3,300 億円で、合わせて 2.4 兆円規模だ。営業利益率はニッスイ 3 〜 4%、極洋 3%、Umios 2.8%。Umios は規模が最大なのに、利益率は最も低い。そこに伸びしろがあり、同時に構造的な弱さもある。

供給側の制約も強まる。かつお・まぐろは国際機関による漁獲枠の管理が続き、海水温の変化で漁場も動く。養殖はノルウェー・チリの大手が先行し、日本勢は生産コストで追う立場だ。魚の斃死のリスクも付きまとう。

川下では、商社や海外の大手が食材の調達を握り、スーパーや外食が値上げに強く抵抗する。うまくいけば、Umios が欧州・アジアの川下で数量を増やし、10 年後に売上 1.6 兆円・営業利益 700 億円台まで届くこともありうる。ただ筆者は、そこまでの上振れには連続した成功が要るとみる。

資本政策と M&A

還元の方針は、配当性向 30% 以上の累進配当だ。今期の配当は純利益に対して 4 割台後半になる見通しで、利益が一時的に減る年も、配当は維持する。自社株買いは機動的とするが、規模は示していない。

資本の使い方は、いま転換点にある。3 年間で成長投資を 1,400 億円以上、うち M&A を約 700 億円置く。これまでに、欧州の水産加工会社の買収、マレーシアのペットフード会社の過半取得(約 113 億円)などを進めた。買収は海外の利益を増やす一方、借金と少数株主の取り分を増やす。

一方で、資産の入れ替えも進む。政策保有株は上場 25 銘柄(簿価 278 億円)が残り、縮減する方針だ。伊藤忠食品の株式は公開買付けに応じて全株売却した。物流子会社の過半の譲渡と合わせ、軽量化は続く。

再編の面では、10 年のうちに同業との統合や TOB が起きても不思議はない。業界は 3 社に絞られ、規模の利益が効く。ただ現時点で具体的な動きはなく、筋書きの数字には織り込んでいない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

稼ぐ力は、数字にまだ表れていない。2026 年 3 月期の営業利益は過去最高の 312 億円だが、会社自身が「企業変革費用」で約 20 億円を差し引いており、実力は 330 億円を超える。水産資源は前期の赤字から黒字に転じ、今期は営業利益 27 億円を見込む。不採算漁業の整理と新造船が効けば、さらに上がる余地がある。

川下の海外展開も進んでいる。欧州では水産加工会社を買収し、北米ではカニカマ工場の増設で能力が 25% 増える。マレーシアのペットフード会社は、アジアで伸びる市場に入る足がかりだ。計画どおり海外の利益比率が 5 割を超えれば、国内の人口減に左右されない会社になる。

物流子会社をセンコーに譲渡すれば、有利子負債約 300 億円が連結から外れ、財務が軽くなる。物流は外の専門家に任せ、本業に資源を集中できる。政策保有株の売却資金も成長投資に回る。

配当性向 30% 以上の累進配当は、利益が伸びれば配当も増えることを意味する。ニッスイは同じ業界で営業利益率 4% 近くを出しており、Umios が同水準まで利益率を上げれば、営業利益は 450 億円を超える。

慎重な見方

営業利益が増えても、株主の取り分は増えない。2026 年 3 月期の純利益 222 億円には、政策保有株などの売却益が 100 億円以上入っており、平常の純利益は 150 億円台とみられる。今期の会社計画も純利益 150 億円で、営業利益 320 億円との間に大きな開きがある。借金の利払いは借り換えで増え、海外子会社の少数株主には年 60 億円ほどが流れる。

売上の 7 割を占める食材流通は、2% の利益率で、スーパーや外食の値下げ圧力と、商社・海外大手との競争にさらされている。前期は営業利益が 12% 減った。加工食品も 3 割近く減益だった。水産資源の黒字は、前期の赤字からの戻りにすぎない。

中期計画の目標は、資料ごとに数字が食い違い、セグメントの合計は全社目標とも合わない。M&A に 700 億円を投じる局面で、欧州の川下は商社や現地大手の領域でもあり、期待どおりの利益が出る保証はない。ペットフードの 51% 取得も、のれんの重さが残る。

純有利子負債は自己資本と同額で、今期第 1 四半期は自己資本比率が 31.7% に下がった。漁業は資源規制と海水温の変化に弱く、国内の食の量は減っていく。今の時価総額は、この薄利の事業に、すでに十分な値段をつけている。

どちらに重みを置いたか

事業の改善は本物で、営業利益の計画は達成可能と見る。だが、株主に残る利益が営業利益の半分ほどにとどまる点と、ROE が資本コストを安定して超えない点で、慎重な見方の指摘が強い。筋書きの確率は中立に 4 割を置き、残りを悲観寄りの 35% と楽観寄りの 25% に分けた。中立のまま 10 年たっても今の値段には届かず、届くのはやや楽観以上の筋書きだけだ。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 1,536 円2,302 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 518 円776 億円)。 今の値に割り戻すと 1,024 円1,534 億円、今との差 −15.2%、 期待の年率 +5.5%(資本コスト 8.5%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 7% 2,835 円4,248 億円 721 円1,080 億円 +194.3% +11.4% 249 円373 億円
やや楽観 18% 2,229 円3,340 億円 627 円940 億円 +136.4% +9.0% 514 円770 億円
中立 40% 1,734 円2,599 億円 547 円820 億円 +88.9% +6.6% 913 円1,368 億円
やや悲観 25% 793 円1,189 億円 431 円646 億円 +1.4% +0.1% 306 円459 億円
悲観 10% 443 円664 億円 280 円420 億円 −40.1% −5.0% 72 円108 億円
加重平均100% 1,536 円2,302 億円518 円776 億円 +70.0% +5.5% 2,054 円3,078 億円

今の株価時価総額 1,208 円1,810 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。

楽観 7% 計画を超えて川下と海外が伸びる 利益 357 億円 · PER 11.9 倍 · 株価時価総額 2,835 円4,248 億円

海外と川下が、計画以上の速さで育つ 10 年になる。欧州では買収した水産加工会社が既存の販路と噛み合い、北米のカニカマ工場の増設も順調に稼働する。マレーシアのペットフード会社を足がかりにアジアの加工食品が伸び、微細藻類由来のDHAも商品として根づく。水産資源では不採算の漁業を整理し、新造船と養殖の短期蓄養が利益を支える。値上げが物価並みに通り続け、食材流通の利益率が 2.8% まで上がる。M&A は価値を壊さず、借金を抑えて配当を増やす。海外の利益の比率は 5 割を超え、国内の人口減に左右されにくい会社に変わる。ただ、物価で伸びる価格と数量の増加が全部そろっても、薄利で値段を市場に決められる事業であることは変わらない。そのため、倍率は資本コストの許す範囲にとどまり、利益の伸びほどは上がらない。

  • 水産資源:数量 24.0(取扱数量(万トン、推定))× 価格 91(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 2,174 億円・営業利益 120 億円。数量 1.20 倍、価格 1.40 倍、営業利益率 5.5%
  • 食材流通:数量 143(取扱数量(万トン、推定))× 価格 96(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 13,712 億円・営業利益 384 億円。数量 1.30 倍、価格 1.37 倍、営業利益率 2.8%
  • 加工食品:数量 44.8(販売数量(万トン、推定))× 価格 64(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 2,872 億円・営業利益 215 億円。数量 1.12 倍、価格 1.38 倍、営業利益率 7.5%

倍率:事業の純利益 357 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.9 倍。全体の PER 11.9 倍、時価総額 4,248 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:計画の川下強化と海外が、10 年かけて連続で当たる筋書き。M&A の成功と値上げの定着が同時に要るので、確率は低く置いた。

やや楽観 18% 中計の 400 億円が定着し、じわり伸びる 利益 284 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 2,229 円3,340 億円

中期経営計画の営業利益 400 億円が、2028 年度前後に達成され、その水準から物価と数量の伸びで利益が積み上がる。水産資源は赤字の漁業を整理した後、養殖と北米のすり身・カニカマが利益の柱になり、利益率は 4.5% に届く。食材流通は欧州と東南アジアで数量が増え、国内の縮小を埋める。加工食品は国内工場の再編と価格改定が効き、ペットフードと健康素材が加わって利益率は 6.8% へ上がる。資本の使い方も落ち着き、純負債の比率は 1 倍以下に下がっていく。それでも非支配株主の取り分が重く、株主に残る利益の伸びは営業利益より緩やかになる。

  • 水産資源:数量 22.0(取扱数量(万トン、推定))× 価格 88(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 1,936 億円・営業利益 87 億円。数量 1.10 倍、価格 1.36 倍、営業利益率 4.5%
  • 食材流通:数量 134(取扱数量(万トン、推定))× 価格 94(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 12,680 億円・営業利益 317 億円。数量 1.22 倍、価格 1.35 倍、営業利益率 2.5%
  • 加工食品:数量 43.2(販売数量(万トン、推定))× 価格 63(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 2,729 億円・営業利益 186 億円。数量 1.08 倍、価格 1.36 倍、営業利益率 6.8%

倍率:事業の純利益 284 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.3% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 3,340 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:会社の中期経営計画(2028/03 期の営業利益 400 億円)が達成され、その後も物価並みを少し上回る伸びが続く筋書き。実績の積み上げ(営業利益は 10 年で 3.5 倍)から、無理のない上振れとして置いた。

中立 40% 中立:計画は届くが、収益の質は普通の大手にとどまる 利益 221 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,734 円2,599 億円

計画の水準には届くが、薄利の構造は 10 年たっても変わらない。水産資源は赤字の漁業を絞って利益率が 3.5% 程度まで戻る。食材流通は欧州の買収が貢献して数量が 1 割強増えるが、利益率は 2.2% と、ほぼ今の延長にとどまる。加工食品は国内の食の量が少しずつ減るなか、ペットフードや海外の拡大で数量をほぼ保ち、値上げも物価並みに通る。営業利益は 480 億円ほどになる。借り換えで金利が上がり、非支配株主の取り分も増えるので、株主に残る純利益は 220 億円前後。事業は続くが、資本コストを上回る稼ぎにはなかなか届かない。

  • 水産資源:数量 21.0(取扱数量(万トン、推定))× 価格 87(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 1,821 億円・営業利益 64 億円。数量 1.05 倍、価格 1.34 倍、営業利益率 3.5%
  • 食材流通:数量 123(取扱数量(万トン、推定))× 価格 94(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 11,555 億円・営業利益 254 億円。数量 1.12 倍、価格 1.34 倍、営業利益率 2.2%
  • 加工食品:数量 41.2(販売数量(万トン、推定))× 価格 62(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 2,564 億円・営業利益 154 億円。数量 1.03 倍、価格 1.34 倍、営業利益率 6.0%

倍率:事業の純利益 221 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.0% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 2,599 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:計画の水準には届くが、薄利の構造は変わらない筋書き。過去 10 年の動きと、会社の言う構造改革の進み具合の中間に置き、最も厚い確率にした。

やや悲観 25% 伸びが物価に追いつかず、利益が足踏みする 利益 145 億円 · PER 8.2 倍 · 株価時価総額 793 円1,189 億円

原材料・燃料・人件費の上昇を、価格に転嫁しきれない 10 年になる。スーパーや外食が値上げに抵抗し、食材流通と加工食品の利益率が今の水準を下回る。国内の食の量は減り、工場の再編費用がかさむ。水産資源は漁獲枠の強化と海水温の変化で黒字化が遅れ、利益率は 1.8% にとどまる。欧州と北米の買収は計画ほど利益を出さず、買収に使った借金が重荷になる。借り換えで金利が上がり、非支配株主の取り分も減らない。利益は今の平常の水準とあまり変わらず、配当は性向を保っても伸びない。会社は構造改革を続けるが、費用ばかりが先に出て、利益率の切り上げが 10 年たっても実現しない。株主から見れば、10 年間ほぼ何も増えない会社になる。

  • 水産資源:数量 19.0(取扱数量(万トン、推定))× 価格 84(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 1,598 億円・営業利益 29 億円。数量 0.95 倍、価格 1.30 倍、営業利益率 1.8%
  • 食材流通:数量 113(取扱数量(万トン、推定))× 価格 92(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 10,467 億円・営業利益 199 億円。数量 1.03 倍、価格 1.32 倍、営業利益率 1.9%
  • 加工食品:数量 38.0(販売数量(万トン、推定))× 価格 60(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 2,295 億円・営業利益 110 億円。数量 0.95 倍、価格 1.30 倍、営業利益率 4.8%

倍率:事業の ROE 4.1% は k 8.50% を大きく下回り、PER の上限は 1÷k=11.8 倍だが、伸びと利益の持ちを低く見て 8.2 倍に置いた。やや悲観の PBR は中立より低い。

確率:原材料と人件費の上昇を価格に転嫁しきれず、国内の加工食品が細る筋書き。過去にも営業利益が 2 年続けて足踏みした時期があり、起こりやすさは中立に次ぐと見た。

悲観 10% 資源と国内需要が細り、薄利が赤字すれすれになる 利益 79 億円 · PER 8.4 倍 · 株価時価総額 443 円664 億円

漁場の資源が細り、国内の食の量も減る中で、薄利の事業が構造的に追い詰められる。かつお・まぐろの漁獲規制が強まり、水産資源は赤字に戻る。食材流通は商社や海外の大手に取り分を削られ、利益率は 1.6% まで落ちる。加工食品は国内の値上げが通らず、工場の減損と再編が続く。欧州・アジアの買収は期待を下回り、のれんの償却と借金の利払いが利益を食う。営業利益は 200 億円ほどで、金利の上昇後は純利益が 80 億円程度に細る。配当は性向を下げ、倍率は稼ぐ力の範囲に収まる。会社は事業の整理を余儀なくされ、海外の川下も思うように育たない。それでも食の需要がなくなるわけではないので、事業は縮みながら続き、赤字の連続や破綻には至らない。ただし株主にとっては、10 年かけて価値が目減りする筋書きだ。

  • 水産資源:数量 15.0(取扱数量(万トン、推定))× 価格 78(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 1,165 億円・営業利益 0 億円。数量 0.75 倍、価格 1.20 倍、営業利益率 0.0%
  • 食材流通:数量 105(取扱数量(万トン、推定))× 価格 90(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 9,362 億円・営業利益 150 億円。数量 0.95 倍、価格 1.28 倍、営業利益率 1.6%
  • 加工食品:数量 36.0(販売数量(万トン、推定))× 価格 59(1 トンあたりの売上(万円・名目))→ 売上 2,140 億円・営業利益 86 億円。数量 0.90 倍、価格 1.28 倍、営業利益率 4.0%

倍率:事業の ROE 2.4% は k 8.50% を大きく下回る。構造的に負けた会社の床は、その筋書きの稼ぐ力(純利益÷k)。1÷k=11.8 倍の 7.1 割の 8.4 倍に置き、帳簿の自己資本には掛けない。含み益を持つ政策保有株は、利益ベースの倍率にすでに織り込まれているものとし、別に足していない。

確率:漁場の資源と国内の食の量が構造的に細り、商社や海外大手との競争で川下の取り分も削られる筋書き。薄利事業で借金が重いので傷は深いが、複数の悪材料が重なる必要があり、確率は 1 割にとどめた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

水産資源

漁業・養殖と、北米のすり身・カニカマ原料など。水産物を獲り・育てる川上の事業。

数量取扱数量(万トン、推定)価格1 トンあたりの売上(万円・名目)売上営業利益
今 2026/03 20.0 65 1,294 24
10 年後 中立 21.0 87 1,821 64

取り方:有報に数量の開示が無いので、売上 1,294 億円を、まぐろ・かつお・養殖魚・北米のすり身原料など混ぜた取扱量 20 万トン(筆者の推定)で割り、1 トン 64.7 万円とした。数量は実質の量で、物価の分と魚価の上下は価格に入れる。利益 24 億円は前期の赤字から戻った水準。

食材流通

世界中から水産物・食材を買い付け、国内外のスーパー・外食・加工業者に売る事業。欧州・アジアの子会社も含む。

数量取扱数量(万トン、推定)価格1 トンあたりの売上(万円・名目)売上営業利益
今 2026/03 110 70 7,699 158
10 年後 中立 123 94 11,555 254

取り方:数量の開示が無いので、売上 7,699 億円を、魚介を中心に肉・野菜なども混ぜた取扱量 110 万トン(筆者の推定)で割り、1 トン約 70 万円とした。欧州の買収分を含む。数量は実質の量、物価と相場は価格に入れる。

加工食品

冷凍食品・缶詰・カニカマ・ペットフード・健康素材など、消費者向けの加工食品。

数量販売数量(万トン、推定)価格1 トンあたりの売上(万円・名目)売上営業利益
今 2026/03 40.0 46 1,858 101
10 年後 中立 41.2 62 2,564 154

取り方:数量の開示が無いので、売上 1,858 億円を、冷凍食品・缶詰・ペットフードなどの販売量 40 万トン(筆者の推定)で割り、1 トン約 46 万円とした。数量は実質の量、値上げと物価は価格に入れる。

リスクと懸念

株主に残る利益が営業利益ほど増えない

借り換えで利払いが増え、海外子会社の少数株主への分配が増える。営業利益が計画どおり伸びても、純利益は営業利益の半分前後にとどまる。10 年の利益の伸びを、営業利益より低く見る一番の理由だ。

漁獲規制と海水温の変化

かつお・まぐろの漁獲枠は国際機関が管理し、強まる方向の見直しもありうる。海水温の変化で漁場が動けば、水産資源の黒字は崩れる。養殖も魚の斃死で、一度に損失が出る。

M&A の失敗

3 年間で約 700 億円を M&A に使う計画で、欧州の川下・ペットフードなどが対象になる。買収価格が高すぎれば、のれんの減損と借金の重さが重なる。ネットD/E比率は 1 倍を超えて動きやすい。

取引先の値下げ要求と競争

売上の 7 割を占める食材流通は、利益率が 2% 前後と薄い。スーパー・外食の値下げ要求や、商社・海外大手との競争で、1 ポイント下がるだけで営業利益は 3 割以上減る。

国内の食の量の減少

人口減で国内の魚介の消費量は細り、加工食品の数量も減る方向にある。値上げで売上を保てても、数量の減少が続くと工場の稼働率が下がり、再編費用が膨らむ。

原油・為替・原材料の変動

遠洋漁業と物流で燃料を大量に使い、輸入の魚介は円安で仕入れが高くなる。転嫁が遅れると、1 年で数十億円の利益が動く。企業変革費用など、一時的な費用も年 30 億円規模で出る。

今後の分かれ目

営業利益が 2028 年 3 月期に 400 億円を超え、その後も利益率が上がり続けたら
楽観・やや楽観の確率を上げてよい。ただし純利益への落ち方(利払いと少数株主)も合わせて確認する。
食材流通の営業利益率が 2.5% を超えて定着したら
中立の利益率を引き上げる。売上の 7 割に効くので、価値への影響は大きい。
欧州・アジアの買収で、のれんの減損が出たら
M&A の資本配分に疑問が出る。やや悲観に確率を寄せ、純負債の水準を確認する。
かつお・まぐろの漁獲枠が大幅に厳しくなったら
水産資源の黒字が続かない。悲観側に確率を移す。
同業との統合や TOB の話が出たら
筋書きの外の出来事。買われる側なら上振れ、買う側なら資本配分の評価を見直す。
純有利子負債が自己資本の 1.2 倍を超えたら
利払いの負担が増える。利益の質をさらに低く見て、悲観に寄せる。

見ておくもの

  • 食材流通・加工食品・水産資源の営業利益率(四半期ごと)
  • 純利益から政策保有株の売却益などを除いた平常の水準
  • ネットD/E比率と、M&A の買収価格・のれんの額
  • 中期経営計画の営業利益 400 億円の達成時期
  • 漁獲枠の国際会議の結果と、まぐろ・かつおの相場

倍率と資本コストの決め方

倍率は今の株価や過去・同業の PER・PBR からでなく、10 年後の事業の ROE と資本コスト 8.5%(基本 7.5% に、値決め力+0.5%・借金+0.5%)から決めた。中立の ROE は 6% で資本コストを下回るので、PER の上限は 1÷k の 11.8 倍とし、その 8 割に置いた。今の値段が 2 倍でも半分でも、この倍率は変わらない。純利益と営業利益の比は、売却益を除いた平常の 0.5 前後で置いた(過去 10 年の中央値 0.71 は売却益が混ざる)。リースは、運搬船・倉庫・事務所の賃借が有報にあるが、約束額は未確認。2028/03 期からの新リース会計で純有利子負債は増えるが、10 年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)で置いた。物流子会社の過半譲渡は、利益の小ささから置いた数字に大きな影響は与えないと見た。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→11.9 倍・やや楽観 PER 10→11.76 倍・中立 PER 9.4→11.76 倍)。

資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。

読んだ資料

  1. Umios 有価証券報告書(FY2026)抽出
  2. Umios 中期経営計画「For the ocean, for life 2027」
  3. Umios 決算説明資料(2026 年 3 月期)

分析日 2026-10-16