株譜
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石油資源開発 1662

国内ガス会社が米国シェール買収で変身中。原油が緩やかに下がる前提では、今の値段はやや割高に出る

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)1,522 円3,897 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)1,715 円4,390 億円差 −11.2%
10 年後から見ると やや割高 価値 1,522 円3,897 億円 · 差 −11.2% · 期待の年率 +5.2%
期待の年率リターン(10 年)+5.2%資本コスト比 −2.6 pt
推定の資本コスト7.8%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 7.8% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

石油資源開発(JAPEX)は、国内のガス田と LNG・電力の販売で稼いできた会社だ。いま米国のシェールオイル買収に大きく舵を切っている。筆者の結論は「やや割高」だ。

稼ぎの土台は国内のガス販売にある。需要が安定していて、利益は年 300 億円前後で動きにくい。これに対し、10 年で生産量を 4 倍にする海外の部分は、原油価格にそのまま振り回される。

筆者がいちばん気にしているのは、お金の使い方だ。会社は 10 年で 1.5 兆円を投じる。いまの自己資本は 6,000 億円台なので、借金をして買う局面が来る。買う値段が高ければ、株主の取り分が先に削られる。

原油が業界の見方どおり緩やかに下がる世界では、会社の目標である ROE 12% には届かない。それでも、手元の現金と国の後ろ盾が下値を支える。中立の筋書きの10年後の時価総額は約2,900億円で、今の4,300億円を下回る。

原油が 75 ドル前後で踏みとどまり、買収が計画どおり進めば、時価総額は 2 倍にもなる。価格が崩れれば純現金ほどの値まで下がる。振れ幅の大きい銘柄だ。

バリュー投資の観点から

バリュー投資家の目で見ると、問われるのは 2 つだ。10 年後もこの事業は残るか。そして、経営は株主のお金を上手に使うか。

国内ガスの事業は、10 年後も残る。細る需要と、安定した利益の組み合わせで、価値は大きくは動かない。海外の事業は、買った値段と、10 年間の原油価格で価値が決まる。ここが予測のしにくい部分だ。

オーナー、つまり株主の手元に残る利益はいくらか。シェールは、生産を保つために掘り続ける投資が要るので、帳簿の利益より株主のものになる分は小さい。ROE が資本コストの 8.5% を下回る期間が長く続くと、内部に積み上げた自己資本は、その分だけ割り引いて測られる。

安全域は、財務の厚さにある。自己資本比率 73%、純現金が手元にあり、悲観の筋書きでも純現金が株主の取り分として残る。反面、計画は買収で大きくなる方向なので、その財務の厚さは使われる前提だ。値段が低くても、このお金の使い方が分からないうちは、筆者は確信を持てない。結論は、やや割高で、特別な安全域はない、というものだ。

何で稼ぐ会社か

JAPEX は 1955 年に国策会社として生まれた、国内の石油・天然ガス開発の草分けだ。いまの稼ぎは大きく 2 つに分かれる。

1 つ目は日本の事業で、売上の約 7 割を占め、2026 年 3 月期の売上は 2,481 億円。新潟や北海道のガス田で掘った天然ガスと、輸入 LNG を、都市ガス会社・電力会社・工場に売る。ガスを運ぶパイプライン網と、福島県の相馬 LNG 基地を自前で持つのが特徴だ。電力の販売もここに入る。売っているのは「ガスを必要な場所に届ける仕組み」で、原油価格よりも国内の需要で利益が決まる。

2 つ目は海外の E&P(探鉱・開発・生産)で、売上の約 3 割。米国、中東(イラク)、欧州(ノルウェーなど)に権益がある。2026 年 2 月に約 12.6 億ドルで買った米国コロラド州の DJ 盆地のシェール資産(日量約 3.5 万バレル、7 割が軽質油と NGL)が、初めて自社で操業する米国の資産になった。イラクのガラフ油田は、イラク政府の不可抗力宣言で出荷が止まっている。

将来の柱は 2 つ。経営計画 2026-2035 は、生産量を 4.5 万バレルから 18 万バレルへ 4 倍にし、米国・ノルウェー・東南アジアに広げる。もう 1 つは CO2 の回収・貯留(CCUS)で、北海道の苫小牧で 2031 年度から年 150 万〜200 万トンを貯留する計画だ。ただし CCUS が利益を生むのは 2031 年度以降で、いまは費用が先に出る段階にある。

優良さと弱いところ

筆者の見立ては、国内は良い事業、海外は普通の資源会社、というものだ。

国内ガスの強みは、他社が簡単にまねできない設備にある。ガスを運ぶパイプラインと LNG の受け入れ基地は、新しく作ろうとすると何年もかかる。利益も、原油が急落した年でも崩れにくい。ここは堀、つまり他社が入り込めない強みと呼べる。

海外は事情が違う。生産する原油の値段は市場が決める。買った権益も、ほかの会社が同じ値段で買える。堀はなく、資産をいくらで買ったかがすべてだ。シェール井戸は掘った直後に生産が落ちるので、同じ生産量を保つだけでも掘り続ける費用が要る。

資本効率の記録は厳しい。直近 13 期のうち赤字が 4 期あり、ROE は 15% から −8% の間を行き来してきた。PBR(時価総額 ÷ 自己資本)も長く 0.5 倍前後にとどまった。

経営には、国の政策色が濃い。経済産業大臣が 37.8% を持つ筆頭株主で、エネルギーの安定供給という使命が、収益だけを追う動きを抑えてきた。2026 年 4 月の計画は、脱炭素から石油・ガスへの方針転換だ。市況の波に乗る経営は、買いの値段次第で良くも悪くも出る。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

世界の原油市場は、供給余剰と地政学リスクの綱引きだ。業界の見方では、原油は今の 65〜70 ドルから緩やかに下がって 55 ドル前後、LNG も同様に落ち着くのが中立だ。2026 年のホルムズ海峡の混乱で価格は一時急に動いたが、そのまま高止まりするとは見ていない。

JAPEX が選んだ米国のシェールは、世界で最も競争が激しい分野だ。大手のエクソンモービルやシェブロン、専業の中堅が同じ盆地で掘る。1 本あたりの生産が早く落ちるので、新しい井戸を掘り続けた者だけが生産を保てる。価格が下がると、先に弱い会社が掘るのをやめ、供給が減って価格が戻る。この調整が働くため、10 年の価格は下がっても、ある水準で支えられる。

国内ガスの需要は、人口減で緩やかに細る。一方で、データセンターの電力需要や、石炭から天然ガスへの切り替えが、需要の減りを抑える。国内で同じ事業を持つ競争相手は、INPEX(国内最大の E&P で、海外が中心)と、大手のガス会社・商社の LNG 事業が主だ。

脱炭素の流れは、石油・ガスにとって逆風だが、その圧力は 2026 年の混乱以降、やや弱まった。苫小牧の CCUS は、化石燃料を使い続ける世界のための保険として、国の支援を受けやすい。

資本政策と M&A

筆者は、この会社の資本の使い方に、2 つの顔があると見る。守る方は堅い。連結配当性向 30% を目安とし、業績が落ちても年間配当には下限を設けた。2025 年 5 月に下限を引き上げており、株主に払い続ける意思は読み取れる。

攻める方は大胆だ。2026 年 2 月に米国の Verdad を約 12.6 億ドルで買い、8 月には Fundare(約 3.2 億ドル)の買収を決めた。経営計画では、10 年で 1.5 兆円のうち約 1.16 兆円を E&P に投じる。会社の自己資本が 6,000 億円台なので、計画どおりに進めば借金が大きくなる。

自社株買いの実績は見当たらず、株主還元の主役は配当だ。政府が 37.8% を持つため、他社による買収(TOB)が起きる可能性は低い。値段の高い時に買ってしまう失敗は、この会社自身の判断にかかっている。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

2026 年の計画で、会社は石油・ガスに回帰した。ホルムズ海峡の混乱は、エネルギーの安定供給がいかに大事かを世界に思い出させた。米国のシェールは政治的に安全な供給元で、日本の買い手もそれを重視する。経営陣の言葉を借りれば、化石燃料の安定供給と脱炭素は矛盾しない。国の後押しも、その方向だ。

Verdad は日量 3.5 万バレルの生産を持ち、会社の生産量はほぼ倍になる。Fundare を加えれば、2028 年度から営業利益が 150 億円ほど積み上がるとの報道もある。会社は 2031 年度に日量 10 万バレルを狙う。原油が 75 ドル前後で推移すれば、10 年後の ROE は 10% を超え、時価総額は今の 3 倍に近づく。

国内のガス販売は、市況に左右されない土台だ。ここに政府という筆頭株主がいるから、倒産の心配はほぼない。PBR 0.68 倍は、帳簿の自己資本を 3 割引きで買えることを意味する。さらに 2027 年 3 月期は、会社の予想でも純利益が 600 億円と、今期の 534 億円より増える。国の方針に支えられた会社が、1 倍を割っている今こそ買い場だ。

慎重な見方

業界の見方では、原油は 10 年後に 55 ドル、LNG も下がる。この世界では、買ったシェール資産は稼ぎが出ない。実現単価に対して、掘る費用と償却の負担が重いからだ。

会社の言う ROE 12% は、原油 70 ドルの前提で成り立つ。前提が 55 ドルなら、ROE は 5% に届かない。資本コストを下回るなら、事業を大きくするほど価値が壊れる。

しかも、買収のタイミングが悪い。原油が高い時に、高い値段でシェールを買い集めている。借金で買うので、価格が崩れれば、財務の強みが削られる。イラクのガラフ油田は出荷が止まったまま、再開の見通しが立たない。

過去 13 期で赤字は 4 期ある。2020 年には PBR が 0.23 倍まで下がった。今の 0.68 倍は、決して底ではない。国の関与は倒産を防いでも、株主の利益を守る保証にはならない。

さらに、会社が 1.5 兆円の計画で自己資本の倍以上の投資を打ち出した点は、経営のリスク選好がこれまでより明らかに上がったことを意味する。

どちらに重みを置いたか

どちらの言い分にも、一部の真実がある。ただ、筆者は慎重な見方がやや強いと見る。会社の計画は原油 70 ドルが前提で、業界の中立の 55〜60 ドルとは開きがある。その分、中立と、やや悲観の確率を厚くした。それでも、国内ガスの土台と厚い財務のおかげで、純現金が株主の取り分の最低限を支える。結果として、中立の時価総額は今を下回った。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 2,013 円5,153 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 825 円2,112 億円)。 今の値に割り戻すと 1,522 円3,897 億円、今との差 −11.2%、 期待の年率 +5.2%(資本コスト 7.8%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 10% 5,831 円1.49 兆円 1,109 円2,840 億円 +304.7% +15.0% 694 円1,777 億円
やや楽観 20% 3,566 円9,128 億円 1,025 円2,625 億円 +167.7% +10.3% 918 円2,351 億円
中立 31% 1,836 円4,701 億円 991 円2,538 億円 +64.9% +5.1% 877 円2,244 億円
やや悲観 25% 497 円1,274 億円 654 円1,674 億円 −32.9% −3.9% 288 円737 億円
悲観 14% 164 円420 億円 273 円700 億円 −74.5% −12.8% 61 円157 億円
加重平均100% 2,013 円5,153 億円825 円2,112 億円 +65.5% +5.2% 2,838 円7,265 億円

今の株価時価総額 1,715 円4,390 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。

楽観 10% 原油 70 ドルが続き、計画の 18 万バレルに届く 利益 1,731 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 5,831 円1.49 兆円

原油は名目で 70 ドルに落ち着く。2026 年の中東の混乱を契機に、エネルギー安全保障が重視され続け、米国・ノルウェー・インドネシアの買収が計画どおり進む。生産量は 17 万バレル近くに達し、会社が掲げる 2035 年度の 18 万バレルにほぼ並ぶ。

実現単価が高く、費用が据え置かれるので、海外の利益率は 3 割近くまで上がる。営業利益は 1,900 億円、純利益も 1,300 億円ほどになる。会社の目標だった 1,000 億円を超える形だ。

ROE は 10% を超え、中立よりはるかに良い。買収の借金は利益で返せる。CCUS も、苫小牧で年 150 万トン規模の貯留が軌道に乗り、小さいが安定した収益を足す。

  • 日本(国内ガス・LNG・電力の販売):数量 10.5(国内で売るガス・LNG・電力の量(原油換算 万バレル/日))× 価格 7,840(原油換算 1 バレルあたりの販売単価(円))→ 売上 3,005 億円・営業利益 421 億円。単価 +15%、利益率 14%
  • 海外E&P(北米・中東・欧州):数量 17.0(海外の原油・ガスの生産量(持ち分・原油換算 万バレル/日))× 価格 8,720(原油換算 1 バレルあたりの実現単価(円。ドル円 150 円で換算))→ 売上 5,411 億円・営業利益 1,542 億円。原油 70 ドル、利益率 28.5%

倍率:事業の純利益 1,726 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.8% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.8%、10 年より先の名目の伸び g 1.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 8.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 8.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)366 億円。全体の PER 8 倍、時価総額 14,173 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:原油が 70 ドルで落ち着き、買収が計画どおり進み、生産が 17 万バレルまで伸びる必要がある。10 年先まで連続して成功する確度は高くない。

やや楽観 20% 原油 62 ドルで、計画の 8 割の生産量 利益 1,006 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 3,566 円9,128 億円

原油は 62 ドル前後と、中立よりやや強い。買収は会社の計画の 8 割ほどのペースで進み、生産量は 14 万バレルまで伸びる。ノルウェーの長期の権益が、米国のシェールを補う。

営業利益は 1,050 億円ほどで、純利益は 780 億円だ。ROE は 7% を超え、資本コストにあと少しのところまで来る。

還元は計画どおりで、買収の借金は利益で返せる。ただ、価格が強いぶん、買う側の競争も激しく、権益を買う値段が割高になり、この筋書きの上値を抑える。国内のガス販売は、物価に沿って単価が上がる分と、人口減による需要の減りがほぼ釣り合い、利益は横ばいを保つ。

  • 日本(国内ガス・LNG・電力の販売):数量 10.0(国内で売るガス・LNG・電力の量(原油換算 万バレル/日))× 価格 7,400(原油換算 1 バレルあたりの販売単価(円))→ 売上 2,701 億円・営業利益 338 億円。単価 +9%、利益率 12.5%
  • 海外E&P(北米・中東・欧州):数量 14.0(海外の原油・ガスの生産量(持ち分・原油換算 万バレル/日))× 価格 7,780(原油換算 1 バレルあたりの実現単価(円。ドル円 150 円で換算))→ 売上 3,976 億円・営業利益 795 億円。原油 62.5 ドル、利益率 20%

倍率:事業の純利益 1,001 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.2% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 1.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 8.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 8.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)366 億円。全体の PER 8 倍、時価総額 8,373 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:原油は中立よりやや強く、生産は計画の 8 割ほどに届く。買収の価格に規律が働く場合の筋書き。

中立 31% 中立:原油は 55 ドル、買収のペースは落ちる 利益 473 億円 · PER 7.6 倍 · 株価時価総額 1,836 円4,701 億円

原油は 55 ドルに下がる。名目で下がるので、実質では 4 割ほど安い。この価格では、シェールの新規の掘削は利益が薄く、会社は買収と掘削のペースを落とす。生産量は 11 万バレル台にとどまる。

国内のガス販売は、需要の細りを価格の上昇で埋め、利益は 265 億円ほど。海外は利益率が 1 割ほどで、全体の営業利益は 450 億円前後、純利益は 390 億円ほどになる。

ROE は 5% 前後と資本コストを下回る。会社の目標だった 12% は実現しない。ただ、買収に走らずに現金を持ち続けるので、自己資本は崩れず、配当は守られる。

  • 日本(国内ガス・LNG・電力の販売):数量 9.5(国内で売るガス・LNG・電力の量(原油換算 万バレル/日))× 価格 6,940(原油換算 1 バレルあたりの販売単価(円))→ 売上 2,406 億円・営業利益 265 億円。単価 +2%、需要は 5% 減、利益率 11%
  • 海外E&P(北米・中東・欧州):数量 11.5(海外の原油・ガスの生産量(持ち分・原油換算 万バレル/日))× 価格 6,850(原油換算 1 バレルあたりの実現単価(円。ドル円 150 円で換算))→ 売上 2,875 億円・営業利益 273 億円。原油 55 ドル(実現約 46 ドル)、利益率 9.5%

倍率:事業の純利益 468 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 7.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 7.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)366 億円。全体の PER 7.63 倍、時価総額 3,936 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:業界ノートの中立(原油 55 ドル)と、買収が計画より遅れて進むペースを組み合わせた中心の筋書き。価格が下がれば買収の採算が合わず、会社も手を緩めるはずだ。

やや悲観 25% 原油 42 ドルで買った権益の利益が消える 利益 25 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 497 円1,274 億円

原油は 42 ドルまで下がる。高い値段で買ったシェール資産の稼ぎが、償却と掘る費用に消える。生産量は 8 万バレル程度にとどまり、会社は買収を止める。ノルウェーなど長期の権益だけが、わずかに利益を支える。

海外は小さな赤字に落ち、国内の 140 億円ほどの利益だけが全社を支える。純利益はほぼゼロだ。

ただ、財務の厚さが倒産を遠ざけ、配当は下限を守る。国の支援もあり、会社は縮んだ形で存続する。国内ガスの安定した設備と、政府という大株主が、会社を支える最後の砦になる。市場は、自己資本の半分の値段をつける。配当は、資産の売却には頼らず手元の現金で払う。

  • 日本(国内ガス・LNG・電力の販売):数量 9.0(国内で売るガス・LNG・電力の量(原油換算 万バレル/日))× 価格 6,200(原油換算 1 バレルあたりの販売単価(円))→ 売上 2,037 億円・営業利益 143 億円。単価 −9%、利益率 7%
  • 海外E&P(北米・中東・欧州):数量 8.0(海外の原油・ガスの生産量(持ち分・原油換算 万バレル/日))× 価格 5,290(原油換算 1 バレルあたりの実現単価(円。ドル円 150 円で換算))→ 売上 1,545 億円・営業利益 −77 億円。原油 42.5 ドル、利益率 −5%

倍率:原油 42 ドルで買った権益の利益が消え、純利益は 25 億円。稼ぐ力(純利益÷k)は約 300 億円で、純現金と持ち合い株の含み益の床(約 683 億円)の方が大きいので、床の値を価値とする。

確率:原油が 42 ドルまで下がり、買ったシェール資産の利益が消える。会社は買収を止めるが、すでに買った資産の減価が重く残る。

悲観 14% 構造的に負ける:高値でつかんだ権益が減損する 利益 −346 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 164 円420 億円

構造的に負ける筋書きだ。脱炭素の流れが加速し、原油は 30 ドルまで下がる。高い値段で買ったシェール権益と、ガラフ油田が減損され、数百億円の損失が出る。

海外の生産量は 4.5 万バレルまで縮み、国内ガスも需要の細りで利益が消える。営業赤字は 430 億円、純損失は 350 億円ほどだ。

国の後ろ盾があるので、会社は消えない。ただ、優良ではなくなり、配当は大きく切られる。時価総額は自己資本の 4 割弱まで下がり、資産の売却で現金を保つ局面もある。コスト削減や事業の整理を迫られ、2031 年度の CCUS の計画も縮小される可能性が高い。

  • 日本(国内ガス・LNG・電力の販売):数量 8.0(国内で売るガス・LNG・電力の量(原油換算 万バレル/日))× 価格 5,440(原油換算 1 バレルあたりの販売単価(円))→ 売上 1,588 億円・営業利益 0 億円。単価 −20%、需要 2 割減、利益率 0%
  • 海外E&P(北米・中東・欧州):数量 4.5(海外の原油・ガスの生産量(持ち分・原油換算 万バレル/日))× 価格 3,740(原油換算 1 バレルあたりの実現単価(円。ドル円 150 円で換算))→ 売上 614 億円・営業利益 −184 億円。原油 30 ドル、利益率 −30%

倍率:構造的に負け、純利益は −346 億円と赤字で利益では測れない。純現金の残りと持ち合い株の含み益の一部(約 420 億円)を株主の取り分とする。

確率:高値で買った権益の減損、脱炭素の加速による長期需要縮小、中東の混乱が重なって構造的に負ける。買収に頼る会社の宿命として、同じ領域の INPEX より少し厚く 14% を置いた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

日本(国内ガス・LNG・電力の販売)

国内のガス田で掘った天然ガスと輸入 LNG を、都市ガス会社・電力会社・工場に売り、電力も販売する。パイプライン網と相馬 LNG 基地を持つ。2026 年 3 月期の売上は 2,481 億円、セグメント利益は 308 億円。

数量国内で売るガス・LNG・電力の量(原油換算 万バレル/日)価格原油換算 1 バレルあたりの販売単価(円)売上営業利益
今 2026/03 10.0 6,797 2,481 308
10 年後 中立 9.5 6,940 2,406 265

取り方:数量と価格の内訳は開示が無いので推定した。売上 2,481 億円を、国内で売るガス・LNG・電力の量 10.0 万バレル/日(原油換算)× 単価 約 45 ドル/バレル(ドル円 150 円換算。天然ガスは原油より安い熱量単価なので原油価格より低い)で置いた。rev_factor は 365 日 × 1 万バレル ÷ 1 億円 = 0.0365。利益は会社開示のセグメント利益 308 億円(利益率 12.4%)をそのまま使った。

海外E&P(北米・中東・欧州)

米国(DJ 盆地のシェール)、イラク(ガラフ油田)、欧州など海外の原油・ガスの権益。2026 年 3 月期の売上は 923 億円(米国 524 億円・イラク 318 億円・その他 81 億円)。2026 年 2 月に米国の Verdad を取得し、生産量が大きく増える。

数量海外の原油・ガスの生産量(持ち分・原油換算 万バレル/日)価格原油換算 1 バレルあたりの実現単価(円。ドル円 150 円で換算)売上営業利益
今 2026/03 3.0 8,430 923 81
10 年後 中立 11.5 6,850 2,875 273

取り方:海外の売上 923 億円(地域別売上の米国・イラク・その他の合計)を、生産量 3.0 万バレル/日(持ち分・原油換算。米国約 1.2 万+イラク約 1.0 万+その他)× 実現単価 約 56 ドル/バレルで置いた。生産量は開示の全社 4.5 万バレル/日から国内分を引いた推定。Verdad は 2026 年 2 月末取得なので、この期にはほとんど入っていない。営業利益 81 億円は、全社の営業利益 389 億円から日本のセグメント利益 308 億円を引いた差で、本社費や調整を含む。

リスクと懸念

ガラフ油田の停止と中東の混乱

イラクのガラフ油田は、イラク政府の不可抗力宣言で操業と出荷が止まったままだ。ホルムズ海峡の封鎖では、ペルシャ湾からの LNG の調達コストも悪化した。中東依存の部分は、いつ再開するか予測しにくい。再開が遅れれば、海外の利益は計画より小さくなる。

原油価格の下落

原油は業界の中立で 55〜60 ドルに緩やかに下がる。会社の計画は 70 ドルが前提で、この開きが大きい。米国シェールは掘る費用と償却が重く、価格が下がるほど利益が薄くなる。実現単価が 10 ドル下がれば、海外の利益は半分以下に落ちる。

買収の値段と借金

会社は 10 年で 1.5 兆円を投じるが、自己資本は 6,000 億円台だ。買収は借金に頼ることになる。原油が高い時に高い値段で買うと、価格が下がった時に資産が減損する。資本の使い方を誤れば、株主の取り分が先に削られる。

シェールの生産が落ちる速さ

シェール井戸は掘った直後に生産が大きく落ちる。同じ生産量を保つには、新しい井戸を掘り続ける投資が要る。会社は米国で自社操業を始めたばかりで、費用の見通しが外れる可能性がある。Verdad の生産目標も、掘削の実行力にかかっている。

政府が筆頭株主であること

経済産業大臣が 37.8% を持つ。国の後ろ盾は財務の安心につながるが、収益だけで経営を決められないこともある。エネルギー安全保障の使命が、採算の合わない投資を後押しする場面も起こりうる。政府が株を売りに出せば、需給が悪くなる懸念もある。

CCUS の収益化の遅れ

苫小牧の CO2 貯留は 2031 年度の開始予定で、利益が出るのは先だ。国の支援や炭素の値段の制度が変われば、採算は変わる。費用は先に出るので、国内の安定した利益を食う年もありうる。計画の 800 万トンの貯留が遅れれば、投資の回収も後ろにずれ込む。

国内ガス需要の細り

人口減で国内の都市ガス需要は緩やかに細る。データセンターや発電向けの需要が補うが、地域や契約によって差が出る。国内の価格は原油連動の部分が大きく、原油が下がると利益も圧迫される。電力の販売や、LNG の調達コストの上昇も、利益の振れ要因になる。

今後の分かれ目

ガラフ油田が再開し、出荷が安定したら
海外の生産量と利益が回復する。楽観・やや楽観の確率を上げてよい。再開の時期が見えない間は、中立の置き方を変えない。
原油が 75 ドル前後で 1 年以上続いたら
海外の利益率が 3 割近くまで上がる。楽観側に重みを移す。ただし、買収の値段が上がっていないかも合わせて確認する。
原油が 45 ドルを割り込んだら
やや悲観・悲観の筋書きに重みを移す。会社が買収と掘削を止めるかを見る。
次の大型買収が、原油の高い局面で、借金で決まったら
買った値段が将来の利益を食う危険が高まる。10 年のやや悲観・悲観側の確率を上げる。
政府が保有する株を売り出したら
短期は需給が悪くなる。ただ、国の関与が薄まるので、経営の自由度は上がる。長期の価値は大きく変わらない。
苫小牧の CCUS が 2031 年度に予定どおり貯留を始めたら
国内の新しい収益源として、国内の利益の土台が厚くなる。10 年の上振れ要因になる。

見ておくもの

  • 四半期ごとの海外の生産量(Verdad・Fundare の貢献)と実現単価
  • ガラフ油田の再開の時期と出荷の状況
  • 原油(WTI・Brent)の水準と、会社の計画前提の 70 ドルとの差
  • 次の米国・ノルウェー・東南アジアでの買収の値段と資金の出どころ
  • 連結配当性向 30% と年間配当の下限が守られるか

倍率と資本コストの決め方

物価 3% に対し、中立の単価が今の 0.8〜1.0 倍にとどまるのは、売る単価が原油とガスの市況に連動し、業界の中立が原油を 55〜60 ドルへ下げる前提だからだ。資本コストは 7.75%(基本 7.5% に品質+1.0%)。掘って減る資源なので倍率の上限は寿命(推定 12 年)の年金で、楽観〜中立はその 9 割に置いた。やや悲観・悲観は稼ぐ力が小さいので、純現金 500 億円の床から測った。持ち合い株の含み益は評価差額金 366 億円の半分を余った資産として足した(政府が大株主で戻りにくい)。純現金は Fundare の買収や 10 年の投資計画に使う前提で、余った現金としては分けていない。計画の前提(70 ドル・140 円)と業界ノートの中立(55〜60 ドル・150 円)の違いは、中立の ROE が会社の目標を下回る形で表れる。今の株価や PER には寄せていない。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。

資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。資本コストは基本7.5%に quality +1.0% を足した 8.5%(β・規模は使わない)。原油・ガス価格で赤字が4回あり循環+0.75(国内ガス販売が緩和)、海外は価格を市場に決められ国内は料金に転嫁でき値決め力+0.25、純現金で借金0、埋蔵量が減る寿命は倍率の年金の上限で見るのでkには足さず0。合計+1.0%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 7.75%。

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分析日 2026-10-16