株譜
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K&Oエナジーグループ株式会社 1663

稼ぎの 6 割を握るヨウ素の高値が続く前提では、今の値段は事業の価値の 2 倍以上。割高に出る

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)605 円666 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)1,857 円2,044 億円差 −67.4%
10 年後から見ると 割高 価値 605 円666 億円 · 差 −67.4% · 期待の年率 −5.6%
期待の年率リターン(10 年)−5.6%資本コスト比 −12.6 pt
推定の資本コスト7.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 7.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

K&Oエナジーグループは、千葉の茂原で天然ガスとヨウ素を掘る会社だ。ガスは都市ガスとして売る。ヨウ素は X 線の造影剤などに使う。利益の大半はヨウ素が稼ぐ。

結論から言う。筆者は今の値段を割高と見る。ヨウ素の値段が史上最高に近い水準にあり、会社の最高益はその上に乗っているからだ。10 年先まで高値が続く前提でも、価値は今の時価総額の半分に届かない。

事業は悪くない。ヨウ素は世界に数社しかない稀少な資源で、原価は低い。ガスも長く売れる。ただし値段を決めるのは世界の需給であり、新しい供給が入れば利益は急に細る。筆者がいちばん気にしているのは、ここだ。

もう 1 つ見ておきたいのが現金だ。時価総額の 1 割を超える純現金がある。ただし筆頭株主は同業の合同資源で、エア・ウォーターと京葉瓦斯を合わせると 5 割近い。現金を急いで株主に戻す力学は弱い。

本質価値は、ヨウ素が名目で今の水準を保つ中立でも、今の時価総額を大きく下回る。楽観の筋書きでも届かない。割高の根拠は、ヨウ素の値段が元に戻る可能性の重さにある。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、K&O は「良い資源を持つが、値段を決められない会社」だ。持ち続けたい事業かと問われれば、半分だけそうだと答える。

良い点は、資源が尽きないこと、原価が低いこと、財務が堅いことだ。経営が借金で無理をしないのも好ましい。

気になる点は 2 つある。1 つは、利益の 6 割をヨウ素が稼ぎ、その値段を自社で決められないことだ。もう 1 つは、稼いだ利益のうち株主に戻る割合が低く、資本の効率が長く 4% 前後にとどまっていたことだ。

オーナー利益、つまり再投資を引いて株主が自由にできる利益で見ると、ヨウ素が高値でも 60〜80 億円ほどだ。これに妥当な倍率をかけると、1,000 億円前後が上限になる。今の時価総額の半分ほどだ。

安全域は逆に薄い。価値が今の時価総額を下回るので、払う値段に見合う余裕が見えない。優れた小さな事業でも、値段が先に行きすぎれば良い投資にならない。

何で稼ぐ会社か

稼ぎの柱は 3 つある。ヨウ素、ガス、その他だ。2025 年 12 月期の売上は約 914 億円。このうちガスが 677 億円を占める。

ヨウ素が利益の主役だ。年 1,800 トンほどを売り、売上は 151 億円、利益率は 58% に達する。世界の生産量は年 3.4 万トンほどで、チリが約 6 割、日本が約 3 割を占める。日本のヨウ素は千葉県の南関東ガス田が源で、国内の 8 割が千葉にある。K&O の世界シェアは約 5% だ。同業の伊勢化学工業が約 15%、合同資源が約 7% とされる。

ガスの事業は、茂原の井戸から水溶性天然ガスを汲み、県産ガスと LNG の両方を都市ガスの会社や工場に売る。売上は大きいが利益率は低く、セグメント利益は 50 億円ほどだ。販売量は人口と工場の需要で、ゆっくり減っている。

その他は電力小売、工事、環境関連だ。売上は 86 億円、利益は約 8 億円。本社費用などは全体で約 40 億円かかり、営業利益 106 億円はこれを引いた後の数字だ。

将来の芽は、地熱、CCS(二酸化炭素を地下に貯める事業)、風力、太陽光だ。2030 年までに再エネへ 100〜150 億円を投じる計画で、九十九里沖では INPEX との合弁で CCS の試掘が始まった。いまは調査費がかさみ、利益を削る側にある。

ヨウ素の増産は、かん水を増やす井戸への投資に頼る。かん水の能力は設備の古さで落ちており、2026 年も 26 億円を増産のために使う計画だ。

優良さと弱いところ

筆者の見立てでは、事業の質は「原価が低い小さな資源会社」だ。強みは明確だが、値段を決める力は無い。

強みは地下の資源にある。ヨウ素はガスと同じ水に溶けているので、ガスを汲むついでに採れる。南関東ガス田の可採量は、会社の茂原の鉱区だけで今の産量の約 600 年分とされる。掘り尽くす心配は事実上ない。同じ水からガスとヨウ素が出る仕組みは、新規参入者が簡単にまねできない。

弱みは値段だ。ヨウ素は世界の需給で決まり、2024 年から 1 キロ 70 ドル台の高値にある。造影剤の需要は堅いが、高値はチリの増産や新しい供給を呼ぶ。ガスは LNG の調達費に連動し、利益率は 7% ほどに限られる。

経営の資本の使い方は堅実だ。自己資本比率は 82%、純現金が 290 億円ある。借金で背伸びする会社ではない。ただし資本の効率は低い。過去 10 年の ROE の中央値は 3.7% で、2025 年に 8% になったのはヨウ素の高値が理由だ。

ガバナンスには注意が要る。筆頭株主が同業の合同資源(17%)で、エア・ウォーター(16%)と京葉瓦斯(13%)が続く。3 社で約 46% を握る。安定株主が多く買収の恐れは小さいが、少数株主に現金を戻す圧力も弱い。今回の累進配当と DOE 引き上げは、その点で前向きな変化だ。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

ヨウ素の市場は、供給の少なさが特徴だ。世界の生産はチリと日本にほぼ集まっており、チリは SQM などの大手、日本は伊勢化学工業、合同資源、K&O、INPEX の千葉の事業が分けている。

需要の最大の柱は X 線造影剤だ。画像診断は所得が上がる国で増え、数量は年 2〜3% ほど伸びると筆者は見る。偏光フィルムにも使うが、液晶は成熟した。次の期待はペロブスカイト太陽電池(ヨウ素を原料に使う次世代の太陽電池)だ。国は量産を後押ししているが、数量に効くのは 10 年先以降で、確かな数字はまだ無い。

値段の見通しは、高値で安定している現状が長く続くかにかかる。国際価格は 2024 年下期から 1 キロ 70 ドル台だ。長い目では、高い値段は供給を呼ぶ。筆者は、物価分を含めた名目の値段が今の水準で横ばい、つまり実質では 4 分の 1 ほど下がると中立で置く。

ガスは別の世界だ。東京周辺の都市ガスは人口と工場の需要に結びつき、10 年で販売量は 1 割ほど減ると見る。値段は物価並みに上げられるが、利益率は低い。千葉県の揚水の規制(地盤沈下の防止)が、増産の天井を決める。

競争は、国内では同業の資源の取り合いではなく、価格の勝負だ。合同資源は K&O の筆頭株主でもあり、競争と協調が入り混じる。海外はチリ産が価格の基準を作る。

資本政策と M&A

資本政策は、会社が株主還元に傾き始めた局面にある。累進配当(減らさず増やす配当)を導入し、2027 年度の DOE(自己資本に対する配当の割合)の目安を 1.5% から 3.0% に引き上げた。2026 年 7 月には株式を 2 分割し、株主優待も新設した。

それでも還元の余地は残る。純現金は 290 億円あり、毎年の投資は 80 億円ほどにとどまる。筆者は、事業に要らない現金を 120 億円とみる。ただし筆頭株主は同業で、株主構成が安定しているため、現金が株主に戻る力は半分に割り引く。

M&A では買われる側にはなりにくい。3 社で 5 割近い株主がいるうえ、提携関係の色が濃い。買う側としては、地熱や CCS、風力などの新規事業が候補で、2030 年までに 100〜150 億円を使う。これは ROE が低くなりやすい投資で、うまくいかなければ価値を削る。

中期経営計画の経常利益 75 億円は、すでにヨウ素の高値で大きく超えた。目標が低かったとも読める。計画の外にある現金と高値を、どう配分するかが次の焦点だ。

点検済み(2026-10-19):ヨウ素の高値を名目据え置きで置いたこと、余った現金(半分)、持ち合いの数え方を確かめた。割高に見せる見落としは見つからなかった。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

ヨウ素は世界で 3.4 万トンほどしか作られない。供給できる地域は限られ、新規の参入は難しい。千葉の地下の水は、ガスとヨウ素を同時に与える特殊な資源だ。ガスを汲むほど、ヨウ素はほぼ原価ゼロで付いてくる。

需要は強い。造影剤は新興国の所得上昇で増え続ける。ペロブスカイト太陽電池が量産に進めば、ヨウ素は一気に足りなくなる。国は量産を後押ししており、日本の 3 割という世界シェアは戦略資源の意味を持つ。価格が 1 キロ 70 ドル台で安定しているのは、需給が締まっているからだ。

会社は変わり始めた。累進配当と DOE 3% の引き上げで、純現金を株主に戻す意思を示した。中期経営計画の目標は大きく超過し、2030 年のヨウ素 2,000 トンの目標も射程にある。値段が名目で 5 割上がり、数量が 2,000 トンに届けば、営業利益は 180 億円に近づき、時価総額は 1,400 億円まで上がる。

国内のガス事業は、都市ガスの需要が減っても、LNG ネットワークの発電向けが伸びている。地熱と CCS が育てば、新しい収益の柱になる。

慎重な見方

ヨウ素の値段は、供給が増えれば崩れる。今の 1 キロ 70 ドル台は、過去の水準の 2 倍以上だ。高値は必ずチリの増産と国内外の新しい井戸を呼び、需給は緩む。K&O は世界シェア 5% の小さな生産者で、価格を左右する力は無い。

ヨウ素の生産自体にも不安がある。2025 年の生産は前年より増えたが、2026 年の計画は減る。理由は、かん水の能力が設備の古さで落ちていることだ。保つだけでも投資が要り、減価償却費も増える。会社は 2026 年の営業利益を 13% の減益と見ており、すでに下り坂に入っている。

資本の効率は低い。過去 10 年の ROE の中央値は 3.7% で、資本コストの 8% を大きく割る。2025 年の 8% は高値のおかげで、再現しない。時価総額の 1 割を超える純現金は、筆頭株主が同業という構図で、戻る保証が無い。

ガス事業は人口減と工場の移転で販売量が減り、利益率は低いままだ。地熱や CCS は調査費が先に出るだけで、収益に寄与するのは先の話だ。本社費用の約 40 億円は固定費として重い。ヨウ素が名目で 4 割下がれば、全社の営業利益は赤字に沈む。

どちらに重みを置いたか

強いのは慎重な見方だ。ヨウ素の値段が史上最高に近い水準にあること、会社の ROE が長く資本コストを下回ってきたこと、現金が戻りにくい株主構成であることが、そう判断した理由だ。

強気の見方で正しいのは、資源の質と財務の堅さだ。ただ、これは価値の下限を支える材料であり、今の時価総額を支える材料にはならない。

確率は、ヨウ素の値段が元に戻る側に少し寄せた。楽観は 8% にとどめ、やや悲観と悲観を合わせて 36% とした。楽観でも今の時価総額に届かないので、結論は割高で変わらない。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)

確率で加重した株価時価総額 689 円758 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 357 円393 億円)。 今の値に割り戻すと 605 円666 億円、今との差 −67.4%、 期待の年率 −5.6%(資本コスト 7.0%)→ 割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 1,510 円1,663 億円 581 円640 億円 +12.6% +1.2% 167 円184 億円
やや楽観 20% 1,047 円1,152 億円 490 円540 億円 −17.2% −1.9% 307 円338 億円
中立 36% 687 円756 億円 363 円400 億円 −43.5% −5.5% 378 円416 億円
やや悲観 24% 329 円362 億円 272 円300 億円 −67.6% −10.7% 144 円159 億円
悲観 12% 272 円300 億円 136 円150 億円 −78.0% −14.0% 49 円54 億円
加重平均100% 689 円758 億円357 円393 億円 −43.7% −5.6% 1,046 円1,152 億円

今の株価時価総額 1,857 円2,044 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.0% を下回るほど割高。

楽観 8% ヨウ素が名目で 5 割上がり、2,000 トンの目標に届く 利益 140 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 1,510 円1,663 億円

造影剤の需要が新興国で伸び、ペロブスカイト太陽電池の量産化が進んで、ヨウ素が戦略資源として値上がりする。名目の販売価格は今の 1.5 倍になり、実質でも 1 割ほど上がる。かん水への投資が実り、販売量は 2,000 トンに届く。

ガスは都市ガスの需要が緩やかに減る一方、発電向けの LNG が伸びて、販売量は 860 百万立方メートルを保つ。地熱の調査は小さな収益に変わり、本社費用の増加は抑えられる。

累進配当は DOE 3% を大きく上回って進み、10 年の還元は 640 億円になる。この筋書きでも、価値は今の時価総額に届かない。

  • ヨウ素:数量 2,000(ヨウ素販売量(トン、ヨウ化カリウム含む))× 価格 1,257(1 トンあたりの平均販売価格(万円、輸出の建値をドル円 150 円で換算))→ 売上 251 億円・営業利益 160 億円。販売価格は今の 1.5 倍(名目、実質で約 1 割高)、数量 2,000 トン。原価は物価で 1.34 倍、増産で上乗せ
  • ガス:数量 860(ガス販売量(百万立方メートル))× 価格 100(1 立方メートルあたりの平均販売単価(円))→ 売上 859 億円・営業利益 60 億円。販売量は 860 百万立方メートル、価格は物価並み、利益率 7%
  • その他(電力小売・工事・環境):数量 21.5(取引先アカウント数(万件))× 価格 5.76(1 アカウントあたりの年間売上(万円))→ 売上 124 億円・営業利益 12 億円。アカウントは 21.5 万件、単価は物価並み。利益率 10%

倍率:事業の純利益 138 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.7% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.2%、10 年より先の名目の伸び g 1.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)90 億円。全体の PER 11.41 倍、時価総額 1,662 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:ヨウ素の高値が続くだけでなく、さらに上がり、数量も 2030 年の目標に届く必要がある。ペロブスカイトの量産化や、チリの供給制約が重なる場合に限られる。

やや楽観 20% ヨウ素の値段は実質で 1 割下がるが、数量は伸びる 利益 93 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 1,047 円1,152 億円

ヨウ素の値段は、供給が少しずつ増えて実質で 1 割ほど下がる。名目では今の 1.2 倍にとどまる。販売量は 1,950 トンまで伸びる。

利益率は、設備の償却と物価による原価の上昇で、今の 58% から 53% に下がる。ガスは販売量が 850 百万立方メートルで、物価並みに値上げする。

配当は DOE 3% が定着し、10 年で 540 億円を還元する。

新規事業の投資は小さな収益にとどまるが、筆者は大きく失敗はしないと見る。この筋書きは、ヨウ素の値段が高いまま少しずつ緩む、いちばん素直な姿だ。

  • ヨウ素:数量 1,950(ヨウ素販売量(トン、ヨウ化カリウム含む))× 価格 1,006(1 トンあたりの平均販売価格(万円、輸出の建値をドル円 150 円で換算))→ 売上 196 億円・営業利益 105 億円。販売価格は今の 1.2 倍(名目、実質で約 1 割安)、数量 1,950 トン
  • ガス:数量 850(ガス販売量(百万立方メートル))× 価格 100(1 立方メートルあたりの平均販売単価(円))→ 売上 849 億円・営業利益 57 億円。販売量は 850 百万立方メートル、利益率 6.7%
  • その他(電力小売・工事・環境):数量 21.0(取引先アカウント数(万件))× 価格 5.76(1 アカウントあたりの年間売上(万円))→ 売上 121 億円・営業利益 12 億円。アカウント 21 万件、利益率 9.5%

倍率:事業の純利益 92 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.3% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 7.1%、10 年より先の名目の伸び g 1.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)90 億円。全体の PER 11.41 倍、時価総額 1,134 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:高値が長く続かなくても、造影剤の堅い需要で名目の値段が 2 割ほど上がる姿。供給の増加が緩やかな場合の筋書き。

中立 36% 中立:ヨウ素の名目の値段は横ばい、利益は今の 6 割に戻る 利益 63 億円 · PER 10.6 倍 · 株価時価総額 687 円756 億円

高値は供給の増加を呼ぶ。ヨウ素の名目の値段は今の水準で止まり、物価の分だけ実質で 4 分の 1 下がる(国際価格は過去より 2 倍以上高く、供給の増加で名目の値上がりは止まると見る)。販売量は 1,900 トンまで伸び、2030 年の目標の 2,000 トンには届かない。

原価は物価で 1.3 倍に上がるのに、値段は動かない。このため、ヨウ素の利益率は今の 58% から 44% に落ちる。ガスは販売量が 1 割減り、値段は物価並みに上がる。

本社費用は地熱の調査もあって増え、営業利益は今の 106 億円から 79 億円に下がる。配当は DOE 3% を守り、10 年で 400 億円を還元する。

  • ヨウ素:数量 1,900(ヨウ素販売量(トン、ヨウ化カリウム含む))× 価格 838(1 トンあたりの平均販売価格(万円、輸出の建値をドル円 150 円で換算))→ 売上 159 億円・営業利益 70 億円。価格は名目で今のまま。物価の 1.34 倍に上げない理由は、国際価格が過去の 2 倍以上の高値で、新しい供給により値上がりが止まり、実質で約 25% 安になると見るため。数量 1,900 トン。原価は物価で上昇
  • ガス:数量 830(ガス販売量(百万立方メートル))× 価格 100(1 立方メートルあたりの平均販売単価(円))→ 売上 829 億円・営業利益 54 億円。販売量は 830 百万立方メートル、価格は物価並み、利益率 6.5%
  • その他(電力小売・工事・環境):数量 20.5(取引先アカウント数(万件))× 価格 5.76(1 アカウントあたりの年間売上(万円))→ 売上 118 億円・営業利益 11 億円。アカウント 20.5 万件、利益率 9%

倍率:事業の純利益 62 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.2% が k 7.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)90 億円。全体の PER 10.59 倍、時価総額 742 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:ヨウ素の値段が名目で今の水準にとどまる(実質では 4 分の 1 下がる)と置くのが、供給の増加と需要の伸びのちょうど中間の姿。会社の計画の数字は、これより強気だ。

やや悲観 24% ヨウ素の値段が名目で 25% 下がり、井戸の能力も落ちる 利益 18 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 329 円362 億円

世界でヨウ素の供給が増え、名目の値段は今の 75% まで下がる。実質では 4 割ほど下がる。かん水の能力低下で、販売量は 1,750 トンに減る。

ヨウ素の利益率は 25% に落ち、営業利益は 30 億円を下回る。ガスは販売量が 780 百万立方メートルまで減り、固定費の負担で利益率は 5% に下がる。本社費用は動かない。

全社の営業利益は 19 億円まで落ちる。純現金は設備投資と新規事業で食われ、配当は DOE 3% を維持するのが苦しい。10 年の還元は 300 億円にとどまる。

この還元は、期間の利益の合計を超える。純現金や資産の売却で払う前提だ。ヨウ素の値段が戻れば、会社は DOE の目安を守るために手元の現金を使うと見る。そのぶん筋書きの価値は純現金の減りで薄くなる。

  • ヨウ素:数量 1,750(ヨウ素販売量(トン、ヨウ化カリウム含む))× 価格 629(1 トンあたりの平均販売価格(万円、輸出の建値をドル円 150 円で換算))→ 売上 110 億円・営業利益 28 億円。販売価格は今の 75%(名目)、数量 1,750 トン。原価は物価で上昇
  • ガス:数量 780(ガス販売量(百万立方メートル))× 価格 100(1 立方メートルあたりの平均販売単価(円))→ 売上 779 億円・営業利益 39 億円。販売量は 780 百万立方メートル、利益率 5%
  • その他(電力小売・工事・環境):数量 20.0(取引先アカウント数(万件))× 価格 5.76(1 アカウントあたりの年間売上(万円))→ 売上 115 億円・営業利益 8 億円。アカウント 20 万件、利益率 7%

倍率:営業利益は 19 億円、純利益は 18 億円で、稼ぐ力(純利益÷k、現金の利息を除く)は約 200 億円。純現金と売れる資産の床(約 340 億円)の方が大きいので、床の値を価値とする。

確率:チリや国内の新しい供給で値段が緩み、かん水の能力低下で数量も伸びない。高値が元に戻る過程の姿で、これは十分ありうる。

悲観 12% 構造的に負ける:ヨウ素の価格が名目で 4 割下がり、損失が出る 利益 −28 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 272 円300 億円

チリの増産と新しい供給で、ヨウ素の値段は名目で今の 6 割まで下がる。実質では半分以下だ。かん水の能力低下は止まらず、販売量は 1,600 トンに減る。

ヨウ素の営業利益はほぼゼロ。ガスは販売量が 700 百万立方メートルに落ち、利益率は 3%。地熱・CCS の調査費は成果が出ないまま先に出て、本社費用は増える。

営業利益は 30 億円を超える赤字になる。配当は大きく削り、純現金も半分近くを失う。残る価値は、現金と売れる資産だ。井戸や導管、土地の売却も視野に入る。

10 年の還元 150 億円は、赤字の年も累進配当の看板を守るために現金を取り崩して払う前提だ。井戸と導管の更新が重く、投資の回収は進まない。この筋書きでは、筆者は事業の稼ぐ力ではなく、持っている資産の価値で測る。

  • ヨウ素:数量 1,600(ヨウ素販売量(トン、ヨウ化カリウム含む))× 価格 503(1 トンあたりの平均販売価格(万円、輸出の建値をドル円 150 円で換算))→ 売上 80 億円・営業利益 0 億円。販売価格は今の 6 割(名目)、数量 1,600 トン。原価は物価で上昇し、利益は消える
  • ガス:数量 700(ガス販売量(百万立方メートル))× 価格 100(1 立方メートルあたりの平均販売単価(円))→ 売上 699 億円・営業利益 21 億円。販売量は 700 百万立方メートル、利益率 3%
  • その他(電力小売・工事・環境):数量 19.0(取引先アカウント数(万件))× 価格 5.47(1 アカウントあたりの年間売上(万円))→ 売上 104 億円・営業利益 5 億円。アカウント 19 万件、単価は物価を下回る、利益率 5%

倍率:営業利益は約 32 億円の赤字で、利益では測れない。純現金と売れる資産の床(約 300 億円)を価値とする。

確率:ヨウ素の供給過剰が長く続き、井戸の能力も落ち、新規事業で投資が空回りする複合的な悪化。K&O は規模の小さい生産者で、価格の下落を耐える力が弱いので 12% を置いた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

ヨウ素

千葉のかん水から取るヨウ素とヨウ化カリウムを、造影剤・偏光フィルム・医薬原料向けに輸出・販売する。

数量ヨウ素販売量(トン、ヨウ化カリウム含む)価格1 トンあたりの平均販売価格(万円、輸出の建値をドル円 150 円で換算)売上営業利益
今 2025/12 1,800 838 151 88
10 年後 中立 1,900 838 159 70

取り方:2025 年の販売量は約 1,800 トン。売上 151 億円を販売量で割ると 1 トンあたり約 838 万円(1 キロあたり約 56 ドル)で、国際価格の 70 ドル台より低めなのはヨウ化カリウムの混在と契約の時差による。利益は決算のセグメント利益 87.7 億円(営業利益ベース)。

ガス

茂原の県産ガスと外部調達の LNG を、都市ガス会社・工場・家庭に売る。

数量ガス販売量(百万立方メートル)価格1 立方メートルあたりの平均販売単価(円)売上営業利益
今 2025/12 909 75 677 50
10 年後 中立 830 100 829 54

取り方:2025 年の販売量は 9.09 億立方メートル。売上 677 億円を販売量で割った平均単価を置く。単価は LNG の調達費に連動する。利益は決算のセグメント利益 49.7 億円(営業利益ベース)。

その他(電力小売・工事・環境)

電力小売、ガス関連の工事、環境関連。売上は工事の受注で年ごとに動く。

数量取引先アカウント数(万件)価格1 アカウントあたりの年間売上(万円)売上営業利益
今 2025/12 20.0 4.30 86 8
10 年後 中立 20.5 5.76 118 11

取り方:中期経営計画の指標でお客さまアカウント数は 2027 年に 21 万件を目標にしており、今はおよそ 20 万件と推定する(要確認の推定)。売上 86 億円を割ると 1 件あたり約 4.3 万円。利益は決算のセグメント利益 7.9 億円。

リスクと懸念

ヨウ素の値段が元に戻る

利益の 6 割をヨウ素が稼ぎ、値段は 1 キロ 70 ドル台と高い。チリの増産や新しい供給が入れば、数年で値段は大きく下がる。ヨウ素が名目で 4 割下がれば、全社の営業利益は赤字に沈む。K&O は価格を決める力が無い。

かん水の能力の低下

ヨウ素は千葉の古い井戸の水に頼る。設備の経年で、かん水の能力が落ちている。2026 年の生産計画は減る。保つだけでも毎年の更新投資と減価償却が増え、利益を圧迫する。

ガスの販売量の減少

都市ガスの需要は人口と工場の移転で減る。大口の工業用と家庭用が減り、10 年で 1 割ほど縮むと見る。利益率が 7% ほどと低く、固定費の重さが残る。

揚水の規制と地盤沈下

かん水を汲むことは、千葉県との協定で規制されている。地盤沈下への批判が強まれば、揚水量が制限される。ガスとヨウ素の増産はこの天井にぶつかる。

新規事業への投資の空回り

地熱・CCS・風力に 2030 年までに 100〜150 億円を使う計画だ。調査費は先に出るが、収益は先になる。資本コストを下回る事業が積み上がれば、純現金は減り価値も削られる。

株主構成と現金の戻り方

筆頭株主が同業の合同資源で、エア・ウォーターと京葉瓦斯を合わせて約 46%。経営の安定には役立つが、少数株主に純現金を戻す圧力は弱い。DOE 3% の目安が守られるか確認が要る。

今後の分かれ目

ヨウ素の国際価格が 1 キロ 70 ドル台から 50 ドル台まで下がる
やや悲観・悲観の確率を上げてよい。利益の 6 割が動くので、営業利益は 3〜4 割落ちる。
ヨウ素の販売量が 2,000 トンの目標に前倒しで届く
かん水の能力低下が止まったという合図で、やや楽観・楽観の確率を上げる。利益の質も上がる。
ペロブスカイト太陽電池が量産に入り、ヨウ素の需要が数千トン単位で増える
楽観の筋書きの重みを大きくする。数量と値段の両方が効くため、10 年の利益は大きく変わる。
DOE 3% を超える追加の還元や自社株買いが出る
余った現金の戻り方を 0.5 から 1.0 に引き上げてよい。価値が現金分の 60 億円ほど増える。
地熱・CCS で大型の投資を決める(数百億円)
資本の効率が下がる側に動く。純現金が減り、悲観の床も下がる。
筆頭株主の合同資源が持ち株を増やす、または提携を深める
買収の可能性より、ヨウ素の同業協調の強まりを意味する。値段の安定には働くが、少数株主の取り分は増えにくい。

見ておくもの

  • ヨウ素の国際価格(1 キロあたりのドル)と K&O の販売量・輸出建値
  • かん水の生産量と井戸の更新投資(2026 年は増産に 26 億円)
  • ガス販売量(県産ガス・LNG ネットワーク)
  • DOE と配当、純現金の水準
  • 地熱・CCS の調査費と、収益化の時期

倍率と資本コストの決め方

倍率は式から置いた。資本コスト 7%、堀は弱く残る割合は 1/3、g は資源の扱いで 1% までとし、PER の上限は寿命 20 年の年金の 10.5 倍。中立は上限の約 9 割の 9.4 倍に置いた(価格を決められない点は k の循環に入れ済みで、倍率では重ねて引かない)。今の株価や過去の PER・PBR は倍率の根拠にしていない。ヨウ素の値段は、名目で今の水準にとどまる(実質では 4 分の 1 下がる)と置いたが、これは需給から出した中立で、今の株価に合わせたものではない。余った現金 120 億円は戻り方を半分に割り引いた。会計はリースの形を気にする必要の小さい事業で、今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→11.41 倍・やや楽観 PER 9.4→11.41 倍・中立 PER 9.4→10.59 倍)。

資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.5% を足して 8.0%。ガスが安定する分、ヨウ素の値動きの影響を和らげている。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.00%。

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読んだ資料

  1. K&Oエナジーグループ 2025年12月期決算(ログミーファイナンス)
  2. K&Oエナジーグループ 2026年12月期中間決算・通期予想修正(ログミーファイナンス)
  3. 中期経営計画 中計2027(K&Oエナジーグループ)

分析日 2026-10-16