株譜
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SOMPOホールディングス 8630

政策保有株ゼロ化とAspen統合の途上。保険料率と運用利回りが物価・金利で上がり、利益ベースのPERを式の9割に置いても、今の値段は割安

割安
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)9,544 円8.45 兆円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)6,994 円6.19 兆円差 +36.5%
10 年後から見ると 割安 価値 9,544 円8.45 兆円 · 差 +36.5% · 期待の年率 +10.0%
期待の年率リターン(10 年)+10.0%資本コスト比 +2.2 pt
推定の資本コスト7.8%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 7.8% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

SOMPOホールディングスは、損害保険ジャパンによる国内損害保険事業、Sompo Internationalを中核とする海外保険事業、国内生命保険事業、そして介護大手SOMPOケアを傘下に持つ、国内損害保険市場で3メガ損保の一角を占めるグループである。2024〜2026年度の中期経営計画では、時価約1.8兆円の政策保有株式を2031年3月末までにゼロ化する方針を掲げ、当初目標の6,000億円を上回る8,000億円以上の削減に上方修正し、売却益(税引後)の50%を自社株買い・配当で株主に還元する。2025年8月には海外子会社Sompo Internationalがバミューダのスペシャルティ保険会社Aspen Insuranceを買収することで合意し、ロイズ市場への橋頭堡を得て再保険世界10位規模の体制を築く。2025年度から経営体制を国内損保・海外保険の「SOMPO P&C」と国内生保・介護の「SOMPOウェルビーイング」の2部門に集約し、2027年4月には持株会社名を「SOMPOグループ」に変更する計画も発表した。一方で2026年3月期に少なかった自然災害が平年並みに戻る反動と、稼ぎ頭の海外保険事業の競争激化により、2027年3月期の純利益は前期比23.4%減の4,900億円を見込む。同社は2023年のビッグモーターによる保険金不正請求問題で親会社として金融庁から業務改善命令を受け、当時の会長兼グループCEOが引責辞任した過去があり、2024年には損保ジャパンを含む大手4社がカルテル認定も受けている。ここでは国内損害保険・海外保険事業・国内生命保険・介護事業の4つを数量×価格で積み上げ、その時点のROEと資本コストから倍率を決めて株価を出した。物価3%の世界では修理費・建築費とともに保険料率が10年で約1.34倍に上がり、債券の入れ替えで運用利回りも上がる。自然災害と売却益をならした中立のROEは10年後で10%強。倍率は利益ベースの正当化PER(薄れるのは新しく投じるお金の稼ぎだけ)の9割に置いた。災害での利益の振れは資本コストに入れてあるので、倍率では引かない。資本コストは基本7.5%に、災害の振れ+0.5%と値決め力−0.25%を足した7.75%。10年後の中立はPER約13倍。筆者の結論は「割安」だ。本質価値は今の時価総額を3割ほど上回る。

バリュー投資の観点から

オーナー利益の面では、料率改定(値上げ)が業界全体で歩調を合わせて進むため、設備投資をほとんど追加せずに利益を押し上げやすい構造になっており、資本効率の改善につながりやすいと、バリュー投資の観点では評価できる。堀の広さについては、国内損害保険市場でのシェアと全国の代理店網という参入障壁、Endurance・Aspenという完全子会社化した海外の2つの軸を評価するが、損害保険業は自然災害という予測しづらいリスクに常に晒される業種であり、2012年・2011年の純損失という過去の経験は、堀の強さと業績の読みやすさが別問題であることを示している。ビッグモーター問題での業務改善命令とトップの引責辞任、カルテル認定というガバナンス上の懸念は、経営の資本配分の規律そのものへの信頼を一時的に損ねた点で軽視できない。資本配分については、政策保有株式ゼロ化の目標を上方修正し計画を上回るペースで進めている点と、Aspen買収のような非連続成長への投資を評価するが、完全子会社化を重ねる戦略はのれんの減損という下振れリスクも同時に積み上げる。介護事業という非保険の収益源を持つ点は多角化として一定の価値があるが、介護業界自体の収益性の低さを踏まえれば、本質価値への貢献はまだ限定的と見るべきである。最後の安全域の判断では、今の株価はこの一連の再編とAspen統合の収益化が計画通り進むことをかなり素直に織り込んだ値段になっており、2027年3月期の減益のように単年度の自然災害費用の振れがそのまま株価の下押しに直結しやすい点には注意が要ると見る。

何で稼ぐ会社か

損害保険ジャパンによる自動車保険・火災保険・新種保険(企業向け・労働災害・サイバー等)の提供が国内損害保険事業の中心で、個人・法人の両方に全国の代理店網を通じて販売する。海外保険事業はSompo International(旧Endurance Specialty、2016年に約6,831億円で買収した米国特殊保険会社を核に再編)が担い、米国・バミューダ・ロンドン保険市場で再保険・スペシャルティ保険を展開する。2025年8月に合意したAspen Insurance Holdingsの買収で、従来手薄だったロイズ市場への参入と米国事業基盤の拡充を進める。2026年7月には米国の労災保険会社を300〜500億円規模で買収するなど、海外は有機的成長と非連続のM&Aを組み合わせて最適なポートフォリオを築く戦略を取る。国内生命保険事業(SOMPOひまわり生命)は医療・資産形成型商品を中心に保有契約の運用利回りを稼ぐ。介護事業のSOMPOケアは全国1,000事業所以上・シニアリビング定員数約3万人を抱える国内トップクラスの介護事業者で、2024年度の連結売上高は約1,600億円、利用者数は約8万人にのぼる。2026年7月には介護事業者向けにノウハウを外販する新会社「SOMPOケアソリューションズ」を設立し、介護事業を自社の運営だけでなく業界全体の変革支援という収益源にも広げる方針である。2025年度からは国内損保・海外保険を「SOMPO P&C」、国内生保・介護を「SOMPOウェルビーイング」という2部門に集約し、2027年4月には持株会社名を「SOMPOグループ」に変更して損保と介護・生保の連携を一段と深める計画で、介護事業という保険以外の大規模な非保険収益源を持つ点が同業の最大の違いである。

優良さと弱いところ

国内損害保険市場で3メガ損保の一角(元受収入保険料シェア約2割強)を占める地位と、全国の代理店網という参入障壁が基本的な堀であり、自動車保険・火災保険の料率改定を業界全体で歩調を合わせて実施できる価格決定力につながっている。弱点は、2023年に発覚したビッグモーターによる保険金不正請求問題で、親会社として子会社の監督責任を果たさなかったとして金融庁から損保ジャパンとともに業務改善命令を受け、当時の会長兼グループCEOが2024年3月末に引責辞任したガバナンス上の重い懸念である。2024年には損保ジャパンを含む損保4社が公正取引委員会からカルテル認定(企業向け共同保険での保険料調整)を受け、課徴金約6.48億円の支払いも命じられており、同種の問題が短期間に重なった点は企業文化への疑問を残す。自己資本比率は単純指標で27.8%と同業のMS&AD(16.7%)より厚く、政策保有株式ゼロ化が進んでも資本の余裕度は相対的に高い。ただし過去20年の間に希薄化を経験した期があり、2012年3月期・2011年3月期には純損失を計上した実績もある。経営の規律という点では、政策保有株式の削減目標を当初の6,000億円から8,000億円以上へ上方修正し、実際に計画を上回るペースで進めている点と、Aspen買収のように海外M&Aを完全子会社化で進める姿勢が評価できる一方、完全子会社化はのれんの減損リスクをより直接的に抱える点でもある。介護事業という非保険の大規模事業を持つ構造は、収益の多角化という点で堀を広げる材料になりうるが、介護業界自体は人件費の上昇が続く労働集約型の低収益構造であり、堀の強さと言うよりは規模の経済を積み上げる途上の事業である。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

日本の損害保険業界は、自然災害(台風・豪雨・地震)の激甚化と修理費・医療費の上昇を背景に、2024〜2026年にかけて保険料率の引き上げ局面(アンダーライティング・ハード化)にある。自動車保険は2026年1月に損保ジャパンが約7.5%、大手3社が過去最大の6〜7.5%の値上げを実施し、損害保険料率算出機構も参考純率を全国平均14.4%引き上げた。自賠責保険も2026年11月から13年ぶりに全車種平均6.2%の値上げが決まっており、物価3%の前提下でも保険料は実質で上がり続ける構図が当面続く。海外では、東京海上がHCC InsuranceなどのM&Aを主軸にするのに対し、SOMPOはEndurance買収を起点にしたSompo Internationalを核に、2025年のAspen買収でロイズ市場への橋頭堡を新たに得て、国内市場の成熟を海外のスペシャルティ保険・再保険で補う戦略を加速させている。2026年3月期は国内外で自然災害が少なく利益が押し上げられた反動で、2027年3月期は自然災害費用が平年並みに戻り、稼ぎ頭の海外事業も競争激化に直面するため純利益が23.4%減る見通しであり、保険サイクルの単年度の振れが続くことを示している。介護業界は高齢化の進行で需要自体は拡大が見込まれるが、介護人材の不足と公的介護保険制度の報酬改定という外部要因に収益性が強く左右される構造的な課題を抱える。中長期的には、政策保有株式の売却が完了するほど資本の安定性が高まり、自然災害がリーマン級の複合的な悪材料に見舞われない限り、国内損保の値上げ効果の定着とAspen統合によるグローバル展開の進展で資本効率の改善トレンドが続くと見られている。

資本政策と M&A

株主還元は配当と自社株買いを組み合わせ、2031年3月末までに政策保有株式の残高をゼロにする方針を明確にしている。2024〜2026年度の中期経営計画では当初6,000億円以上としていた削減目標を8,000億円以上に上方修正し、売却益(税引後)の50%を原則として株主還元に回す。M&Aは、2016年の米国Endurance Specialty買収(約6,831億円)で築いた海外保険事業の基盤の上に、2025年8月にバミューダのAspen Insurance Holdingsを完全子会社として買収することで合意し、2026年7月には米国の労災保険会社を300〜500億円規模で追加買収するなど、海外での非連続成長を積極的に続けている。完全子会社化を軸にする買収姿勢は持分法出資中心の同業他社より経営の一体性を取りやすい一方、のれんの計上規模も大きくなりやすい。国内では2027年4月に持株会社名を「SOMPOグループ」に変更し、国内損保・海外保険の「SOMPO P&C」と国内生保・介護の「SOMPOウェルビーイング」という2部門体制のもとで資本配分の権限委譲も進めている。国内では再編の主体として自ら動いており、他社から買収対象になる可能性は実質的にない規模にある。

点検済み(見落とし点検 2026-10-19):起点の純利益は売却益を除いた 4,900 億円(実績 6,401 億円ではない)。数量は実質・率は物価込みで二重がけなし。自己資本の流れ(今+純利益−還元)が筋書きの間で整合していることを確かめた。政策保有株の売却益は起点に入れていない。Aspen は2026年2月24日に完全子会社になり、2026年3月期の実績には約1か月分しか入らない。起点の4,900億円は会社が通期でAspenを連結して出した予想で、海外セグメントの今の利益3,000億円も統合後ベースなので、Aspen の利益は起点に1回だけ入り、二重も抜けもない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

国内損害保険市場での上位の地位のもと、自動車保険・火災保険の値上げが業界全体で歩調を合わせて進み、2026年1月の過去最大の値上げ効果が通期で効き始めれば、国内損害保険事業の利益率は改善に向かう。海外保険事業はEndurance買収で築いた基盤に加え、2025年に合意したAspen買収でロイズ市場への橋頭堡を得ることで、再保険世界10位規模の体制が整い、スペシャルティ保険市場での収益機会が広がる。完全子会社化を軸にするM&A戦略は、持分法出資にとどまる同業他社よりも早く統合シナジーを収益に取り込める可能性があり、2026年7月の米国労災保険会社買収のように有機的成長と非連続成長を組み合わせる体制が加速すれば、海外利益の拡大ペースは上振れしうる。政策保有株式の削減目標を当初の6,000億円から8,000億円以上に上方修正し、計画を上回るペースで実行していることは、浮いた資本が自社株買いに回る余地の大きさを示す。介護事業のSOMPOケアも、2026年7月に発足した「SOMPOケアソリューションズ」を通じてノウハウの外販という新たな収益源を得られれば、単なるコスト事業から収益事業への転換が進む。2027年4月に持株会社名を「SOMPOグループ」に変更し損保・生保・介護の連携を深めることで、顧客基盤を跨いだクロスセルの効果も中長期的に積み上がり、これらが重なれば資本効率の改善が市場の想定より前倒しで進む道筋が見えてくる。

慎重な見方

損害保険事業は自然災害という予測しづらいリスクに常に晒され、2026年3月期に国内外で自然災害が少なかった反動で、2027年3月期は純利益が23.4%も落ち込む見通しである。この振れの大きさ自体が、値上げによる利益率改善という楽観的な見立てを単年度で簡単に打ち消してしまうことを示している。海外保険事業は稼ぎ頭である一方、2027年3月期は競争激化に直面しており、Aspen買収は完全子会社化であるがゆえに統合コストとのれんの減損リスクを同業他社の持分法出資より直接的に抱え、スペシャルティ保険市場での価格競争が続けば期待したシナジーが実現しない可能性もある。2023年のビッグモーター問題では親会社として子会社の監督責任を問われ業務改善命令を受け、会長兼グループCEOが引責辞任するという重いガバナンス上の失態があり、2024年のカルテル認定もこれに重なったことで、企業文化そのものへの信頼が損なわれた。同様の問題が再発すれば行政処分や企業イメージの悪化に加え、代理店網からの信頼低下という形で本業にも影響しかねない。介護事業のSOMPOケアは、介護人材の不足と公的介護保険制度の報酬改定という外部要因に収益性が強く左右される低収益構造の事業であり、業界2位という規模があっても利益率の改善余地は限られる。自己資本比率は単純指標で27.8%とMS&ADより厚いものの、政策保有株式がゼロに近づくほど株式市場の下落時の緩衝材になっていた含み益のクッションが薄れる点は同業と共通のリスクであり、過去20年に希薄化を経験した期があることも踏まえれば、今の株価は一連の再編が計画通り進むことをかなり楽観的に織り込んだ値段だと見える。

どちらに重みを置いたか

国内損害保険市場での上位の地位と、政策保有株式の削減目標を上方修正して計画を上回るペースで実行している点、Aspen買収による海外展開の加速という点では強気の見方に分があるが、ビッグモーター問題とカルテル認定という重いガバナンス上の懸念が短期間に重なった点、完全子会社化を軸にするM&A戦略が抱えるのれん減損リスク、介護事業の構造的な低収益性という点では慎重な見方の指摘も軽くない。確率は中立に最も重みを置き、政策保有株式の削減ペースの速さとAspen統合による海外展開の広がりを踏まえて楽観側をやや厚めに、ただしリーマン級の自然災害・金融危機の複合悪材料という悲観の尾も、過去の希薄化・純損失の経験を踏まえて相応に残した。利益ベースの正当化PERの9割に置くと、本質価値は今の時価総額を3割ほど上回り、結論は「割安」。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 13,676 円12.11 兆円(+ 配当配当と自社株買いの合計 4,446 円3.94 兆円)。 今の値に割り戻すと 9,544 円8.45 兆円、今との差 +36.5%、 期待の年率 +10.0%(資本コスト 7.8%)→ 割安

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 10% 24,277 円21.49 兆円 6,546 円5.80 兆円 +340.7% +16.0% 3,082 円2.73 兆円
やや楽観 25% 19,333 円17.12 兆円 5,635 円4.99 兆円 +257.0% +13.6% 6,242 円5.53 兆円
中立 30% 15,102 円13.37 兆円 4,763 円4.22 兆円 +184.0% +11.0% 5,959 円5.28 兆円
やや悲観 22% 7,183 円6.36 兆円 3,317 円2.94 兆円 +50.1% +4.1% 2,310 円2.04 兆円
悲観 13% 2,341 円2.07 兆円 1,725 円1.53 兆円 −41.9% −5.3% 529 円4,679 億円
加重平均100% 13,676 円12.11 兆円4,446 円3.94 兆円 +159.1% +10.0% 18,122 円16.04 兆円

今の株価時価総額 6,994 円6.19 兆円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。

楽観 10% SOMPOグループへの再編とAspen統合がともに結実する10年 利益 12,672 億円 · PER 17.0 倍 · 株価時価総額 24,277 円21.49 兆円

10年間で政策保有株式のゼロ化が完了し、浮いた資本が大規模な自社株買いに回る。2025年のAspen買収に続く海外での非連続成長が積み上がり、再保険世界10位規模からさらに上位を目指す体制が定着する。国内の値上げサイクルも循環を経ながら利益率の改善が続き、2027年に発足した「SOMPOグループ」の体制のもとで損保・生保・介護の連携が深まる。介護事業は「SOMPOケアソリューションズ」のノウハウ外販が業界標準として広がり、本体以外からの収益比率が高まる。ビッグモーター問題・カルテル認定からの信頼回復も完了し、代理店網の評価が最も高まる、中期経営計画が描く理想が最も実現した10年になる。

  • 国内損害保険:数量 11.8(国内損害保険の正味収入保険料市場(兆円。今の値段で測った実質=契約の量))× 価格 33.5%(グループの国内シェア(%)× 保険料率の物価の指数(今=1))→ 売上 39,530 億円・営業利益 8,308 億円。値上げサイクルの循環的な改善が続く
  • 海外保険事業:数量 3.3(海外正味収入保険料(兆円。今の値段で測った実質))× 価格 30.2%(保険引受・資産運用を合わせた利益率(経常利益÷正味収入保険料、%)× 物価の指数(今=1))→ 売上 9,950 億円・営業利益 9,648 億円。Aspen統合後の非連続成長が積み上がる
  • 国内生命保険:数量 3.4(国内生命保険の保有契約高(兆円))× 価格 1.7%(実質利回り差(利差益等、%))→ 売上 562 億円・営業利益 543 億円。資産形成型商品の浸透
  • 介護事業(SOMPOケア):数量 105,000(利用者数(人))× 価格 0.04(利用者1人当たり年間収益(億円))→ 売上 3,940 億円・営業利益 174 億円。外販事業が業界標準として広がる

倍率:事業の純利益 12,672 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.2% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.0 倍。全体の PER 16.96 倍、時価総額 214,917 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:政策保有株式ゼロ化の完了、Aspen統合の完全な収益化、介護事業の外販拡大がすべて噛み合う前提で、確度は高くない。

やや楽観 25% 海外比率が高まりながら安定成長 利益 10,697 億円 · PER 16.0 倍 · 株価時価総額 19,333 円17.12 兆円

政策保有株式のゼロ化が完了し、浮いた資本が自社株買いの原資として定着する。Aspen統合も定着し、ロイズ市場・米国スペシャルティ保険市場での収益機会を安定的に取り込む体制が整う。国内の自動車・火災保険は値上げサイクルを循環的に繰り返しながら、修理費・医療費の上昇に合わせた実質的な値上げを続け、緩やかに利益率を改善させる。介護事業は高齢化の進行で利用者数が緩やかに増加し、外販事業も一定の規模に育つ。国内損害保険の寡占的な地位という堀は大きくは変わらないが、グループ全体の利益構成は海外の比率が一段と高まり、国内の成熟を海外の成長で補う10年になる。

  • 国内損害保険:数量 11.3(国内損害保険の正味収入保険料市場(兆円。今の値段で測った実質=契約の量))× 価格 32.8%(グループの国内シェア(%)× 保険料率の物価の指数(今=1))→ 売上 37,098 億円・営業利益 6,861 億円。循環的な値上げ効果の定着
  • 海外保険事業:数量 3.0(海外正味収入保険料(兆円。今の値段で測った実質))× 価格 26.8%(保険引受・資産運用を合わせた利益率(経常利益÷正味収入保険料、%)× 物価の指数(今=1))→ 売上 8,040 億円・営業利益 7,718 億円。海外利益比率の持続的拡大
  • 国内生命保険:数量 3.3(国内生命保険の保有契約高(兆円))× 価格 1.5%(実質利回り差(利差益等、%))→ 売上 487 億円・営業利益 468 億円。安定的な利差益
  • 介護事業(SOMPOケア):数量 100,000(利用者数(人))× 価格 0.03(利用者1人当たり年間収益(億円))→ 売上 3,350 億円・営業利益 134 億円。外販事業が一定の規模に育つ

倍率:事業の純利益 10,697 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.0 倍。全体の PER 16 倍、時価総額 171,152 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:中期経営計画の方向性が10年間おおむね維持され、海外保険事業の比率拡大が国内の成熟を補う、業界見通しの上位レンジに近い想定。

中立 30% 中立:政策保有株ゼロ化は完了し倍率も平常化 利益 8,973 億円 · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 15,102 円13.37 兆円

10年の間に政策保有株式のゼロ化が完了し、国内損害保険事業の値上げ効果も自然災害費用の平年化とならして見れば緩やかな利益率改善にとどまる。2025年に合意したAspen統合の効果は定着し、再保険世界10位規模の体制が維持されるが、グループ全体として資本コストを上回る水準に落ち着く。海外保険事業は標準的な成長軌道に乗り、米国労災保険会社など小粒な買収を積み重ねながら地域・商品のポートフォリオを広げる。介護事業は高齢化の進行で利用者数自体は緩やかに増えるが、人材不足と公的介護保険の報酬改定の影響を受けながら現状程度の収益性を維持する水準にとどまる。国内上位としての代理店網の厚さは変わらず維持され、ビッグモーター問題・カルテル認定からの信頼回復も一巡する。保険株として標準的な倍率で評価される、特別な上振れも下振れもない10年になる。

  • 国内損害保険:数量 10.8(国内損害保険の正味収入保険料市場(兆円。今の値段で測った実質=契約の量))× 価格 32.2%(グループの国内シェア(%)× 保険料率の物価の指数(今=1))→ 売上 34,733 億円・営業利益 5,735 億円。値上げ効果と災害費用の平準化
  • 海外保険事業:数量 2.7(海外正味収入保険料(兆円。今の値段で測った実質))× 価格 23.5%(保険引受・資産運用を合わせた利益率(経常利益÷正味収入保険料、%)× 物価の指数(今=1))→ 売上 6,332 億円・営業利益 6,017 億円。標準的な成長軌道
  • 国内生命保険:数量 3.2(国内生命保険の保有契約高(兆円))× 価格 1.3%(実質利回り差(利差益等、%))→ 売上 415 億円・営業利益 395 億円。標準的な利差益
  • 介護事業(SOMPOケア):数量 96,000(利用者数(人))× 価格 0.03(利用者1人当たり年間収益(億円))→ 売上 2,830 億円・営業利益 101 億円。現状程度の収益性を維持

倍率:事業の純利益 8,973 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.4% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.9 倍。全体の PER 14.9 倍、時価総額 133,698 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:政策保有株式ゼロ化が完了し、自然災害費用も景気循環・災害サイクルを経て平均的な水準に戻る、最も重みを置く中心シナリオ。

やや悲観 22% 自然災害の頻発と海外競争で成長が鈍る 利益 5,225 億円 · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 7,183 円6.36 兆円

気候変動により国内の自然災害費用が従来の料率設定の前提を上回る頻度で発生し、自動車・火災保険の値上げ効果を断続的に打ち消す。海外保険市場でも競争激化と再保険コストの上昇が続き、2025年に合意したAspen統合の収益化も伸び悩み、完全子会社化で抱えたのれんの一部減損を迫られる局面も出る。介護事業は人材不足がさらに深刻化し、公的介護保険の報酬改定も収益に不利に働く場面が増え、「SOMPOケアソリューションズ」の外販事業の拡大も計画より遅れる。政策保有株式のゼロ化は完了するが、災害費用の増加分を自社株買いの抑制で吸収する場面も出る。ビッグモーター問題・カルテル認定のようなガバナンス上の問題への警戒も市場で続く、自然災害と海外競争の両方の重さが国内の値上げメリットを一部相殺する10年になる。

  • 国内損害保険:数量 10.2(国内損害保険の正味収入保険料市場(兆円。今の値段で測った実質=契約の量))× 価格 30.2%(グループの国内シェア(%)× 保険料率の物価の指数(今=1))→ 売上 30,753 億円・営業利益 3,846 億円。災害費用の頻発で利益率低迷
  • 海外保険事業:数量 2.3(海外正味収入保険料(兆円。今の値段で測った実質))× 価格 15.4%(保険引受・資産運用を合わせた利益率(経常利益÷正味収入保険料、%)× 物価の指数(今=1))→ 売上 3,544 億円・営業利益 3,296 億円。海外競争激化で伸び悩み
  • 国内生命保険:数量 3.0(国内生命保険の保有契約高(兆円))× 価格 1.0%(実質利回り差(利差益等、%))→ 売上 301 億円・営業利益 277 億円。利回り改善が鈍る
  • 介護事業(SOMPOケア):数量 90,000(利用者数(人))× 価格 0.02(利用者1人当たり年間収益(億円))→ 売上 2,171 億円・営業利益 60 億円。人材不足がさらに深刻化

倍率:事業の ROE 8.5% は資本コスト 7.75% を上回る。RONIC=k+残る割合 1/2×(ROE−k)=8.1%、g 4.0% から正当化 PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.5 倍。自然災害での利益の振れは資本コストの循環(+0.5%)で、ビッグモーター問題とカルテル認定の傷は筋書きの利益率と確率で見ているので、倍率では重ねて引かず、上限の 9.0 割、12.2 倍に置いた。

確率:気候変動による自然災害の頻発と海外保険市場の競争激化が重なり、成長ペースが計画より鈍る想定。10年という期間では災害の多い年も相応に混ざる。

悲観 13% 構造的に負け、資本効率が戻らない10年 利益 1,284 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 2,341 円2.07 兆円

10年のどこかで世界的な金融危機と巨大自然災害の同時発生が起き、保険金支払いと保有資産の評価損が重なる。気候変動により自然災害の頻度・規模が従来の料率設定の前提を超えて悪化し続け、再保険コストの上昇が保険料改定に追いつかない。Aspen統合も当初の狙いほどの効果を生まず、完全子会社化で抱えたのれんの減損が業績を圧迫する。ビッグモーター問題・カルテル認定のようなガバナンス上の問題が再発し、代理店網からの信頼も低下する。介護事業は人材不足の深刻化で事業縮小を余儀なくされる拠点も出る。政策保有株式のゼロ化で資本の安定性は増しているが、含み益のクッションが無くなった分、災害や市場悪化のたびに資本の薄さがそのまま業績に直結する。ROEは資本コストを下回る水準にとどまり、国内上位という規模の優位だけでは資本効率の低さを補えない苦しい10年になる。

  • 国内損害保険:数量 9.3(国内損害保険の正味収入保険料市場(兆円。今の値段で測った実質=契約の量))× 価格 22.8%(グループの国内シェア(%)× 保険料率の物価の指数(今=1))→ 売上 21,185 億円・営業利益 844 億円。災害頻発と再保険コスト高で利益率低迷
  • 海外保険事業:数量 1.8(海外正味収入保険料(兆円。今の値段で測った実質))× 価格 4.0%(保険引受・資産運用を合わせた利益率(経常利益÷正味収入保険料、%)× 物価の指数(今=1))→ 売上 724 億円・営業利益 489 億円。Aspen統合失敗でのれん減損
  • 国内生命保険:数量 2.7(国内生命保険の保有契約高(兆円))× 価格 0.2%(実質利回り差(利差益等、%))→ 売上 59 億円・営業利益 38 億円。市場停滞で運用利回り低迷
  • 介護事業(SOMPOケア):数量 82,000(利用者数(人))× 価格 0.01(利用者1人当たり年間収益(億円))→ 売上 1,099 億円・営業利益 13 億円。人材不足で事業縮小

倍率:この筋書きは純利益 1,284 億円で稼ぐ力は ÷k で 1.7 兆円ほど。それより大きい資産の床として、損保の契約を移管・売却したとき株主に残る額を、今の自己資本 51,678 億円の 4 割の 20,700 億円と見積もった(巨大災害の支払いと債券の含み損で 6 割を失うとみた筆者の推定)。

確率:リーマン級の複合悪材料に加え、気候変動による自然災害の恒常的な悪化、Aspen統合の失敗やガバナンス問題の再発が10年のどこかで重なる想定。過去20年に希薄化・純損失の期があったことを踏まえ、相応の確率を置く。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

国内損害保険

損害保険ジャパンによる自動車保険・火災保険・新種保険の元受・正味収入保険料と、その利益率。

数量国内損害保険の正味収入保険料市場(兆円。今の値段で測った実質=契約の量)価格グループの国内シェア(%)× 保険料率の物価の指数(今=1)売上営業利益
今 2026/03 10.0 23.0% 22,900 2,750
10 年後 中立 10.8 32.2% 34,733 5,735

取り方:国内の正味収入保険料市場9.97兆円に、損害保険ジャパンの国内シェア約23%(正味収入保険料2兆3,115億円を市場全体で割った値に近い)を掛け、兆円×%×10000で億円に換算した。利益は国内損害保険事業の当期利益に近い値を置いた。2026-10-18 の見直しで、市場は今の値段で測った量(実質。車の台数・建物の数に結びつき、ほぼ横ばい)とし、修理費・建築費が物価で上がる分を保険料率(価格の側)に入れた 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。

海外保険事業

米国・バミューダ・ロンドン保険市場で再保険・スペシャルティ保険を展開するSompo International。2025年合意のAspen Insurance買収を含む。

数量海外正味収入保険料(兆円。今の値段で測った実質)価格保険引受・資産運用を合わせた利益率(経常利益÷正味収入保険料、%)× 物価の指数(今=1)売上営業利益
今 2026/03 2.0 16.0% 3,120 3,000
10 年後 中立 2.7 23.5% 6,332 6,017

取り方:Sompo Internationalの正味収入保険料を1.95兆円(Aspen統合後ベースの推定)、経常利益率を16%と置いて億円換算した。Aspenは2026年2月に連結に入り、この利益は通期で含めた額(起点の4,900億円と同じ前提で、足し直していない)。統合効果の上積みはここでは控えめに見ている。2026-10-18 の見直しで、物価 3% の上昇は価格の側に入れた(150 円固定) 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。

国内生命保険

SOMPOひまわり生命による保有契約の運用利回りと利差益。医療・資産形成型商品が中心。

数量国内生命保険の保有契約高(兆円)価格実質利回り差(利差益等、%)売上営業利益
今 2026/03 3.0 1.1% 315 300
10 年後 中立 3.2 1.3% 415 395

取り方:保有契約高を3.0兆円、実質利回り差を1.05%と置いた。MS&ADの生保2社体制より規模は小さい単一の生保子会社である。2026-10-18 の見直しで、金利 2〜3% の世界で新しく買う債券の利回りが上がる分(3 年 6%・10 年 18% 利ざやが広がる)を価格に入れた。経費の物価上昇はその一部を食う 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は名目の額・率は物価を掛けず、事業の理由(金利・競争・規制)でだけ動かす(A)。二重がけなし。(利ざやの広がりだけを率に入れた)

介護事業(SOMPOケア)

全国1,000事業所以上・シニアリビング定員数約3万人を抱える国内トップクラスの介護事業者。2026年設立の「SOMPOケアソリューションズ」でノウハウ外販も開始。

数量利用者数(人)価格利用者1人当たり年間収益(億円)売上営業利益
今 2026/03 80,000 0.02 1,600 50
10 年後 中立 96,000 0.03 2,830 101

取り方:利用者数約8万人に、1人当たり年間収益200万円(0.02億円)を掛けて売上高約1,600億円(SOMPOケアの2024年度連結売上高に近い値)とした。介護は人件費中心の低収益構造で営業利益率は3%程度に置いた。2026-10-18 の見直しで、1 人当たり収益は介護報酬の改定で物価並みに上がる(人件費も上がるので利益率は変えない) 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。

リスクと懸念

自然災害費用の単年度での振れ

2026年3月期に国内外で自然災害が少なかった反動で、2027年3月期は純利益が23.4%減る見通しである。台風・豪雨・地震という予測しづらいリスクが単年度の業績を大きく振らせる構造は、値上げによる利益率改善という楽観的な見立てを単年度で簡単に打ち消してしまう。

ビッグモーター問題とガバナンスの懸念

2023年に発覚した中古車販売ビッグモーターによる保険金不正請求問題で、2024年1月に金融庁が損保ジャパンと親会社SOMPOホールディングスに業務改善命令を出し、親会社の子会社監督責任を問われた。当時の会長兼グループCEOが引責辞任しており、同様の問題が再発すれば行政処分や企業イメージの悪化に加え、代理店網からの信頼低下にもつながる。

カルテル認定による価格決定力への信頼の低下

2024年に公正取引委員会から独占禁止法違反(企業向け共同保険での保険料・団体割引率の事前調整)を認定され、損保ジャパンを含む損保4社が排除措置命令と課徴金(損保ジャパン分約6.48億円)を受けた。ビッグモーター問題と短期間に重なったことで、企業文化そのものへの信頼が損なわれている。

Aspen買収の統合リスクとのれん減損

2025年8月に合意したAspen Insurance Holdingsの買収は完全子会社化であるため、統合コストとのれんの減損リスクを持分法出資中心の同業他社より直接的に抱える。スペシャルティ保険市場での競争激化が続けば、期待したシナジーが実現しない可能性もある。

政策保有株ゼロ化後の資本クッション消失

政策保有株式が2031年3月末までにゼロに近づくほど、これまで株式市場の下落時に評価損の緩衝材になっていた含み益のクッションが薄れる。自己資本比率は単純指標で27.8%と同業より厚いが、過去20年に希薄化を経験した期があり、株価急落・金融危機局面での資本の脆さが増す面がある。

介護事業(SOMPOケア)の構造的な低収益性

介護事業は公的介護保険制度の報酬改定と介護人材の不足という外部要因に収益性が強く左右される労働集約型の低収益構造の事業であり、国内トップクラスの規模があっても利益率の改善余地は限られる。人材不足が一段と深刻化すれば、事業規模の縮小を余儀なくされる拠点が出るリスクもある。

気候変動による構造的な再保険コスト上昇

気候変動により自然災害の頻度・規模が従来の料率設定の前提を超えて悪化し続ければ、再保険市場の収縮・再保険料率の高止まりが保険料への転嫁を上回り続け、値上げサイクルを回しても利益率の改善が追いつかなくなる可能性がある。

今後の分かれ目

2027年3月期の自然災害費用が想定より明確に少なく済んだら
楽観・やや楽観の筋書きの確率を上げてよい。国内損害保険事業の損害率(コンバインドレシオ)の改善度を決算で確認する。
巨大自然災害(国内の地震・台風、米国のハリケーン)が同時多発したら
やや悲観・悲観側の筋書きに重みを移す。自己資本への影響度と再保険による吸収度を確認する。
Aspen Insurance買収の統合効果が計画を上回って進んだら
海外保険事業の前提を上方修正し、楽観側の確率を上げる。のれんの減損が無いことも確認する。
政策保有株式の売却が2031年3月末の目標を前倒しで達成したら
資本効率改善のペースが速いとみて楽観側の確率をやや上げる。
ビッグモーター問題・カルテル認定と同様の行政処分・ガバナンス問題が再発したら
ガバナンスへの懸念を強め、悲観側の確率を上げる。
介護事業の人材不足がさらに深刻化し報酬改定が収益に不利に働いたら
介護事業セグメントの前提を下方修正し、やや悲観側の確率を上げる。

見ておくもの

  • 国内自然災害の発生状況と自然災害費用(損害率・コンバインドレシオ)
  • Aspen Insurance買収の統合進捗とのれんの減損の有無
  • 政策保有株式の売却進捗(2031年3月末にゼロ)
  • ビッグモーター問題・カルテル認定後のガバナンス改善・再発の有無
  • 自動車・火災保険の値上げ効果の定着度とSOMPOケアの外販事業・人材確保の状況

倍率と資本コストの決め方

今の株価や PBR から筋書きを作らず、国内損保の市場(実質の量)×シェア×保険料率の物価の指数、海外の保険料(実質)×利益率×物価の指数、生保の利ざやに金利上昇の分を積み上げ、新しく買う債券の利回りが上がる分を純利益に足した。倍率は資本コスト 7.75%(基本 7.5% に災害の振れ+0.5%・値決め力−0.25%)と g から利益ベースの正当化 PER を出し、上限の 9 割に置いた(災害の振れは k の循環に入れたので倍率では引かない)。やや悲観は稼ぐ力(純利益÷k)、悲観は契約の移管・売却で株主に残る額(今の自己資本の 4 割、筆者の推定)で測り、過去の PBR の底は使っていない。結論は「割安」。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 15.26→16.96 倍・やや楽観 PER 14.4→16 倍・中立 PER 13.41→14.9 倍)。

資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β 0.64 × 5%。k は基本 7.5% に quality +0.25%(循環+0.5・値決め−0.25)を足した 7.75%。カルテル認定・ガバナンスなど個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。

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