株譜
AI 銘柄分析 · 海運業 · 試作

商船三井 9104

ONEと自動車船の市況の山を均すと資本コストに届かず、レバレッジの重さも加わり「割高」寄り

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)5,017 円1.72 兆円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)7,375 円2.53 兆円差 −32.0%
10 年後から見ると 割高 価値 5,017 円1.72 兆円 · 差 −32.0% · 期待の年率 +3.1%
期待の年率リターン(10 年)+3.1%資本コスト比 −5.4 pt
推定の資本コスト8.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

商船三井は定期船(コンテナ、持分法のONEが31%出資の中心)・自動車船・ドライバルク・エネルギー(タンカー・LNG)・不動産(ダイビル)・物流(宇徳・LBC Tank Terminals)の6本柱を持つ総合海運会社で、2026年3月期の売上は1兆8,251億円、経常利益1,758億円、純利益2,133億円。ONEの持分法投資利益は新造船の竣工ラッシュによる運賃下落で416.65億円まで正常化し、エネルギー事業は中東情勢の緊迫(ホルムズ海峡の事実上の封鎖)でタンカー市況が歴史的高水準となり経常利益555億円を確保した。不動産のダイビルは29棟のオフィス・商業ビルで安定的に利益を出す一方、純有利子負債は21,170億円(時価総額比83.8%)と日本郵船より重い。

ここでは6本柱を数量×価格で積み、ONEや市況の山の利益をそのまま10年に延ばさないことを徹底した。資本コストは基本7.5%に、市況の山谷の大きさ+1.0%・運賃を市場に決められる分+0.5%・純有利子負債の重さ+0.5%を足した9.5%とし、堀は日本郵船と同じ「弱い」(残る割合1/3)とした。10年の中立の筋書きではROEが資本コストを下回り続け、今の利益をそのまま資本化した上限の1÷k=10.5倍の9割に置いた。LNGの15〜20年長期契約とダイビルの安定収益が市況変動への耐性を補う一方、純有利子負債の重さは日本郵船より本質価値の床を低くする方向に働く。10年の本質価値は今の時価総額を5割ほど下回る水準で、結論は「割高」。

バリュー投資の観点から

オーナー利益の面では、商船三井は自動車船という比較的安定した事業と、ONEというコンテナ船の持分法投資という市況直結の事業、さらに不動産(ダイビル)・LNG長期契約という相対的に安定した事業を併せ持つ。バリュー投資の観点では、ONEの持分法投資利益が2025年3月期の2,623.68億円から2026年3月期の416.65億円まで1年で84%縮んだという事実そのものが、この会社の「本業の外」の収益がいかに市況依存かを示しており、山の年の利益を10年に単純に延ばすことは避けるべきだと考える。

堀の広さについては、自動車船の世界シェア12.6%は評価できるが、中国船主の自前化という構造変化がどこまで侵食するかは不確かである。資本配分については、累進配当と自社株買いを組み合わせた株主還元方針は評価できる一方、ダイビル・宇徳のTOBやLBC Tank Terminalsの買収など多角化のM&Aを積み重ねてきた結果、純有利子負債が時価総額の83.8%まで膨らんでおり、この財務レバレッジの重さが安全域を狭めている。安全域という最後の判断軸では、中立の筋書きでROEが資本コストに届かない状態が10年続くとみており、日本郵船よりもむしろ厳しい評価になるというのが、バリュー投資の観点からの実態に近い評価である。

何で稼ぐ会社か

商船三井は定期船(コンテナ)・自動車船・ドライバルク・エネルギー(タンカー・LNG・LPG)・不動産・物流を営む総合海運グループである。コンテナ船事業は2017年に日本郵船・川崎汽船と共同でOcean Network Express(ONE)を設立し、商船三井は31%を出資(日本郵船38%、川崎汽船31%)して自社運航ではなく持分法投資利益として収益を得る。ONEは船腹供給が需要を上回ると取り分が急速に縮む市況直結の事業で、2025年3月期の2,623.68億円から2026年3月期は416.65億円へ1年で84%縮んだ。

自動車船は2023年末時点で106隻・世界シェア12.6%を運航し、中国メーカーのEV輸出急増という追い風を受けつつ、中東情勢緊迫による喜望峰迂回で航海日数と燃料費が増えて収益を圧迫している。ドライバルクは商船三井ドライバルク(2021年にグループ内の事業を再編して発足)が鉄鉱石・石炭・穀物を輸送し、2026年3月期の経常利益は108億円(利益率2.4%)と薄い。エネルギー事業はタンカー(スポット市況中心)とLNG船(カタールエナジー・JERA・東京ガス・インドのONGC/GAILなど国営エネルギー会社との15〜20年の長期契約が中心)を組み合わせ、VLEC(エタン輸送船)船隊は契約の積み上げで世界最大の16隻に拡大する計画である。不動産事業は2022年にTOBで完全子会社化したダイビルが東京・大阪・札幌に29棟のオフィス・商業ビルを運営し、安定的に利益を出す。物流・ターミナル事業は同時にTOBで完全子会社化した宇徳(港湾・輸送)と、2025年に約2,605億円で買収したLBC Tank Terminals(オランダのタンクターミナル運営会社)が中心で、海運本体より市況に左右されにくい収益源への多角化の軸になっている。

優良さと弱いところ

堀の強さは事業ごとに差がある。自動車船は世界シェア12.6%(日本郵船に次ぐ日本2位)という規模の経済と荷主との長期関係があるが、中国船主自身による自動車船の自前発注が世界最多になっており、10年後にこの優位が保てるかは不確かである。コンテナ(ONE)はアライアンスとしての規模はあるが価格を決める力は乏しく、持分法投資利益が1年で84%縮む振れの大きさは日本郵船以上に全社業績を揺らす。ドライバルクは完全なコモディティ事業で価格決定力はほぼ無い。

ROEは過去10年で-31.5%(2016年3月期)から55.6%(2022年3月期)まで市況で極端に振れ、直近の2026年3月期ROEは7.4%で基本の資本コスト(7.5%)とほぼ同水準まで正常化している。自己資本比率は48.2%、純有利子負債は時価総額比83.8%と、同業の日本郵船(25.1%)より財務レバレッジが明確に高く、金利上昇の利払い増加(brief.py推定で10年-529億円)がより重くのしかかる。2026年4月に橋本剛社長が代表取締役会長に退き、新社長には定航・自動車船事業出身の田村城太郎氏が昇格、CEO・COO・CFOの3役協調体制に移行した。社外取締役5名(日本製鉄・住友商事出身者を含む)、報酬諮問委員会の社外取締役比率66%とガバナンス体制は整っている。弱点は、ONEの持分法投資利益という「本業の外」の収益への依存と、重い純有利子負債という2つの要因が重なり、資本コストを安定して上回る稼ぐ力を持ちにくい点にある。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

総合海運業界は、コンテナ船上位10社(MSC・マースク・COSCO・ONE・ハパックロイド等)で市場の8割超を握る寡占構造にあるが価格を決める力は乏しく、2025年の世界コンテナ荷動きは前年比2.8%増の見込みに対し船腹供給は5.2%増と供給過多が続く。自動車船は日本勢3社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)で世界シェアの4割を握る寡占的な構造だが、中国メーカーの自動車輸出が2023年に世界首位となり、中国船主による自動車船の自前発注も世界最多になっており、構造的な追い風と長期的なシェア侵食リスクが同時に存在する。ドライバルクはケープサイズ傭船料が2025年度平均23,400〜26,400USD/日と循環的に変動する業種である。

IMO(国際海事機関)が2025年10月に採択した海運業初の排出量取引・炭素課金の枠組み(2027年発効予定)は、既存船の運航速度低下やLNG・メタノール・アンモニア等の代替燃料船への切替投資という形で、今後10年のコスト構造を各社共通で重くする。商船三井にとっての固有の論点は、ONEという持分法子会社への依存度の高さと、純有利子負債が時価総額比83.8%という財務レバレッジの重さが同時に存在する点で、エネルギー事業のLNG長期契約と不動産のダイビルという相対的に安定した収益源がどこまでこの重さを補えるかが、今後10年の分かれ目になる。

資本政策と M&A

経営計画「BLUE ACTION 2035」のPhase2(2026〜2030年度、2026年3月31日公表)では、経営の重心を「変革と拡大」から「成果実現」へ移し、稼ぐ力の向上・バランスの取れた資本配分・確かな経営基盤の構築を重点テーマとする。株主還元は2026年度の配当を起点に前年度の額を下回らない累進配当(減配しない)を導入し、総還元性向40%を目途とする機動的な自社株買いを組み合わせる方針である。

M&Aは2022年にダイビル・宇徳をそれぞれTOBで完全子会社化したのが大きな転機で、2025年には欧州(オランダ)のタンクターミナル運営会社LBC Tank Terminalsを約2,605億円で買収するなど、LNG船やターミナル運営といった中長期契約が前提となる分野に2,000億円規模のM&Aを投じる方針を掲げている。2026年4月には橋本剛社長が代表取締役会長に退き、定航・自動車船事業出身の田村城太郎氏が新社長に昇格、CEO・COO・CFOの3役協調体制に移行した。会社から他社への大型M&Aや、他社からのTOB・買収の可能性は、時価総額約2.5兆円の規模からkabufuのMC参考値で10年以内16.1%とみられる。

減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は今の1,682億円が10年後に約 1,839億円。更新投資は価格の上昇で膨らみ、足りない分は借入になって利払い(3.5%)が増える。会計の利益と現金の動きは同じ向きに動かない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

自動車船の世界シェア12.6%という地位は、106隻規模の船隊と荷主との長期の取引関係に支えられた本物の規模の経済であり、中国メーカーのEV輸出という構造的な追い風が10年続けば、稼ぎ頭としての地位はさらに強まる。エネルギー事業はLNGの15〜20年長期契約(カタールエナジー・JERA・東京ガス・インドのONGC/GAILなど国営エネルギー会社が主要顧客)を積み上げており、VLEC船隊も世界最大の16隻に拡大する計画で、タンカーのスポット市況が今後も中東情勢の緊張で時々上振れすれば、エネルギー事業は今後10年でさらに育つ安定成長の柱になる。コンテナ船のONEについても、紅海・ホルムズ情勢の緊張が今後も断続的に続けば迂回による船腹需給の引き締まりが運賃を支え、持分法投資利益が時々2,000億円規模まで戻る可能性は十分にある。

不動産(ダイビル)は29棟のオフィス・商業ビルで安定的に利益を出し続け、含み益を考慮した資産価値は悲観の筋書きでも株価の床を支える。物流・ターミナル事業(宇徳・LBC Tank Terminals約2,605億円)は、海運本体の市況変動に左右されにくい収益源を育てる戦略として理にかなっており、売上は10年で大きく拡大する余地がある。2026年度の配当を起点とする累進配当と総還元性向40%を目途とする自社株買いを組み合わせた株主還元方針、CEO・COO・CFOの3役協調体制への移行は、資本配分の規律を強める経営の表れであり、次の市況の山での機動的な投資余力を生んでいる。

慎重な見方

ONEの持分法投資利益は2025年3月期の2,623.68億円から2026年3月期には416.65億円まで、わずか1年で84%縮んでおり、この市況直結の収益構造こそが商船三井の本質的な弱さである。2025年の世界コンテナ荷動きが前年比2.8%増の見込みに対し船腹供給は5.2%増という供給過剰は、新造船の竣工が今後数年続くことで構造的に解消しにくく、ONEの取り分がさらに縮む可能性は十分にある。自動車船についても、中国メーカーの自動車輸出が世界首位になる一方で、中国船主自身による自動車船の自前発注が世界最多になっており、日本勢3社が握る世界シェア4割がこのまま10年続くと考えるのは楽観的すぎる。中東情勢の緊迫による喜望峰迂回は自動車船の航海日数・燃料費を増やし、むしろ収益を圧迫する方向にも働いている。

ドライバルクは2026年3月期の利益率が2.4%という薄さであり、改善余地は限られる。エネルギー事業の好調は中東情勢という地政学リスクに依存した部分が大きく、情勢が緩和すれば2026年度以前の水準に戻る可能性が高い。最大の弱さは純有利子負債が時価総額の83.8%(日本郵船は25.1%)まで積み上がっている点で、ダイビル・宇徳のTOBやLBC Tank Terminalsの買収を積み重ねた結果、金利上昇の利払い増加(推定で10年-529億円)がより重くのしかかる。IMOの炭素課金(2027年発効)への対応投資も全事業に共通する重荷であり、過去10年のROEが-31.5%から55.6%まで極端に振れた実績は、この会社の稼ぐ力が市況とレバレッジの両方に従属していることを示している。

どちらに重みを置いたか

自動車船の世界シェア12.6%という堀は本物だが、全社業績を左右するのはそれよりもONEの持分法投資利益の振れであり、1年で84%縮んだという事実が「市況の山の利益を10年に延ばさない」という考え方を強く支持する。慎重な見方が指摘するとおり、純有利子負債が時価総額の83.8%まで積み上がっている点は日本郵船との明確な違いであり、金利上昇の利払い増加がより重くのしかかる。本質価値の計算では、中立の筋書きでROEが資本コストを下回り続け、今の利益をそのまま資本化した上限の1÷k=10.5倍の9割にとどまった。不動産(ダイビル)の安定利益とLNGの長期契約は市況耐性を補う材料として評価したが、財務レバレッジの重さを打ち消すには至らない。確率は中立に最も重みを置きつつ、レバレッジの重さを踏まえてやや悲観側にも日本郵船よりやや厚めに置いた。 資本コストは基本7.5%に、市況の山谷の大きさ+1.0%・運賃の決まり方+0.5%・純有利子負債の重さ+0.5%を足し、9.5%とした。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 7,261 円2.50 兆円(+ 配当配当と自社株買いの合計 2,714 円9,327 億円)。 今の値に割り戻すと 5,017 円1.72 兆円、今との差 −32.0%、 期待の年率 +3.1%(資本コスト 8.5%)→ 割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 11% 15,874 円5.45 兆円 4,349 円1.49 兆円 +174.2% +10.6% 2,225 円7,644 億円
やや楽観 22% 10,982 円3.77 兆円 3,561 円1.22 兆円 +97.2% +7.0% 3,199 円1.10 兆円
中立 34% 7,149 円2.46 兆円 2,947 円1.01 兆円 +36.9% +3.2% 3,432 円1.18 兆円
やや悲観 21% 2,551 円8,766 億円 1,624 円5,581 億円 −43.4% −5.5% 877 円3,013 億円
悲観 12% 1,104 円3,794 億円 915 円3,144 億円 −72.6% −12.2% 242 円833 億円
加重平均100% 7,261 円2.50 兆円2,714 円9,327 億円 +35.3% +3.1% 9,975 円3.43 兆円

今の株価時価総額 7,375 円2.53 兆円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。

楽観 11% 自動車船とLNGが構造的な柱に育ち、レバレッジも軽くなる10年 利益 4,415 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 15,874 円5.45 兆円

中国メーカーのEV輸出拡大が10年続き、商船三井は自動車船の世界シェアを12.6%からさらに広げ、脱炭素対応の新型PCTCへの切り替えで荷主からの評価も高まる。コンテナはIMOの炭素課金(2027年発効)への対応投資がかさむ一方、ONEは alliance内の再編を主導し取り分を安定的に確保する。エネルギーはLNG・VLEC船隊の拡充(世界最大の16隻)で安定収益が積み上がり、タンカーも中東情勢の緊張が断続的に市況を支える。不動産(ダイビル)は新規物件の取得で着実に成長し、物流はLBC Tank Terminals等のM&Aを積み重ね「第二の収益の柱」として定着する。累進配当と自社株買いを両立しながら純有利子負債比率も徐々に下がる10年になる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の1,682億円が10年後に約 1,839億円(物価で一律に増やすと約 1,169億円)。営業利益は +670億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。

  • 定期船(ONE持分・コンテナ関連):数量 1,450(ONEグループの輸送量(万TEU、年間、推定))× 価格 2.11(1万TEUあたりの商船三井の取り分利益(億円、名目))→ 売上 3,060 億円・営業利益 918 億円。alliance再編で取り分安定
  • 自動車船:数量 440(輸送台数(万台、年間、推定))× 価格 16(1台あたり運賃収入(万円、名目))→ 売上 6,900 億円・営業利益 1,311 億円。EV輸出拡大でシェア拡大
  • ドライバルク:数量 105(輸送量(百万トン、年間、推定))× 価格 7,877(1トンあたり運賃収入(円、名目))→ 売上 8,271 億円・営業利益 579 億円。長距離輸送需要が下支え
  • エネルギー(タンカー・LNG・LPG):数量 38.0(輸送量(百万トン、年間、原油・石油製品・LNG・LPG計、推定))× 価格 23,139(1トンあたり運賃収入(円、名目))→ 売上 8,793 億円・営業利益 1,945 億円。LNG・VLEC拡充で成長・償却は物価で増やさず按分(10年後 1,839億円)
  • 不動産(ダイビル):数量 140(賃貸可能面積(千坪、年間、推定))× 価格 64(1坪あたり年間賃料(万円、名目))→ 売上 900 億円・営業利益 189 億円。新規物件取得で成長
  • 物流・ターミナル事業(宇徳・LBC Tank Terminals):数量 4,500(取扱貨物量・タンク容量(万トン、年間、推定))× 価格 10,716(1トンあたり物流収入(円、名目、ブレンド単価))→ 売上 4,822 億円・営業利益 434 億円。M&Aで第二の柱に定着

倍率:事業の純利益 4,415 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.84 倍、時価総額 52,274 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:自動車船の世界シェア拡大とLNG・脱炭素輸送の成長、同時に純有利子負債の削減が10年続けて重なる必要があり、実現すれば強いが連続成功の確度は高くない。

やや楽観 22% EV輸出とLNG・物流M&Aが成長の軸として定着 利益 3,015 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 10,982 円3.77 兆円

自動車船はEV輸出の拡大が続き世界シェアを維持、迂回コストの転嫁も体制が定着する。コンテナは供給過剰の解消が緩やかに進み、ONEの取り分は会社の中計の範囲で安定する。ドライバルクは中国需要の鈍化を南米・インドの需要拡大が補い薄い黒字を保つ。エネルギーはLNG船団の拡充で安定収益が積み上がり、タンカーも時々の地政学リスクで市況が支えられる。不動産(ダイビル)は既存物件の収益化が進み、物流はLBC Tank Terminals型のM&Aを継続し売上規模を拡大しながら利益率もじわりと改善する。累進配当と自社株買いを組み合わせた株主還元を維持しながら純有利子負債の比率も緩やかに下がる10年になる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の1,682億円が10年後に約 1,839億円(物価で一律に増やすと約 1,362億円)。営業利益は +477億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。

  • 定期船(ONE持分・コンテナ関連):数量 1,300(ONEグループの輸送量(万TEU、年間、推定))× 価格 1.87(1万TEUあたりの商船三井の取り分利益(億円、名目))→ 売上 2,433 億円・営業利益 657 億円。供給過剰の解消が緩やかに進む
  • 自動車船:数量 400(輸送台数(万台、年間、推定))× 価格 14(1台あたり運賃収入(万円、名目))→ 売上 5,433 億円・営業利益 978 億円。シェア維持、コスト転嫁が定着
  • ドライバルク:数量 96.0(輸送量(百万トン、年間、推定))× 価格 8,426(1トンあたり運賃収入(円、名目))→ 売上 8,089 億円・営業利益 364 億円。南米・インド需要が鈍化を補う
  • エネルギー(タンカー・LNG・LPG):数量 35.0(輸送量(百万トン、年間、原油・石油製品・LNG・LPG計、推定))× 価格 21,509(1トンあたり運賃収入(円、名目))→ 売上 7,528 億円・営業利益 1,418 億円。LNG船団拡充で安定収益・償却は物価で増やさず按分(10年後 1,839億円)
  • 不動産(ダイビル):数量 130(賃貸可能面積(千坪、年間、推定))× 価格 60(1坪あたり年間賃料(万円、名目))→ 売上 785 億円・営業利益 161 億円。既存物件の収益化が進む
  • 物流・ターミナル事業(宇徳・LBC Tank Terminals):数量 4,200(取扱貨物量・タンク容量(万トン、年間、推定))× 価格 7,590(1トンあたり物流収入(円、名目、ブレンド単価))→ 売上 3,188 億円・営業利益 271 億円。M&Aで売上拡大、利益率改善

倍率:事業の純利益 3,015 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 35,456 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:自動車船の構造的な追い風とLNG・物流M&Aの積み重ねが続くという、業種ノートの楽観に近い想定。

中立 34% 中立:供給過剰とレバレッジの重さが構造的に残り、自動車船が主柱のまま 利益 1,895 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 7,149 円2.46 兆円

世界貿易量は年2〜3%の実質成長を続けるが、新造船の発注が需要見通しを上回って続くため、コンテナ・ドライバルクの運賃は供給過剰で構造的に抑えられ、ONEの取り分は定期船事業で450億円規模にとどまる。自動車船は中国メーカーの輸出が一定の成長を保ちつつも、中国船主の自前船拡大でシェアの伸びは頭打ちになり、稼ぎ頭であることは変わらないが利益率は今よりやや下がる。ドライバルクは世界需要の緩やかな拡大が薄い黒字を支える。エネルギーは中東情勢の緊張が和らぎタンカー市況は平常化するが、LNGの長期契約が安定収益を積み上げる。不動産(ダイビル)は安定した利益を保ち、物流はLBC Tank Terminals型のM&Aで育成中の投資回収がこれからという状態が続く。純有利子負債の借り換えが10年で全部新しい金利になる影響(推定-529億円)が利払いを押し上げ、資本コストをなお大きく下回る稼ぐ力の10年になる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の1,682億円が10年後に約 1,839億円(物価で一律に増やすと約 1,605億円)。営業利益は +234億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。

  • 定期船(ONE持分・コンテナ関連):数量 1,180(ONEグループの輸送量(万TEU、年間、推定))× 価格 1.59(1万TEUあたりの商船三井の取り分利益(億円、名目))→ 売上 1,875 億円・営業利益 450 億円。供給過剰が構造的に運賃を抑制(物価より上がらない)
  • 自動車船:数量 360(輸送台数(万台、年間、推定))× 価格 12(1台あたり運賃収入(万円、名目))→ 売上 4,286 億円・営業利益 750 億円。シェア頭打ち、利益率は低下
  • ドライバルク:数量 88.0(輸送量(百万トン、年間、推定))× 価格 7,306(1トンあたり運賃収入(円、名目))→ 売上 6,429 億円・営業利益 180 億円。世界需要の緩やかな拡大
  • エネルギー(タンカー・LNG・LPG):数量 32.0(輸送量(百万トン、年間、原油・石油製品・LNG・LPG計、推定))× 価格 20,728(1トンあたり運賃収入(円、名目))→ 売上 6,633 億円・営業利益 884 億円。タンカー平常化、LNGが下支え(物価より上がらない)・償却は物価で増やさず按分(10年後 1,839億円)
  • 不動産(ダイビル):数量 122(賃貸可能面積(千坪、年間、推定))× 価格 57(1坪あたり年間賃料(万円、名目))→ 売上 700 億円・営業利益 140 億円。安定した利益を保つ(緩やかな賃料上昇)
  • 物流・ターミナル事業(宇徳・LBC Tank Terminals):数量 3,900(取扱貨物量・タンク容量(万トン、年間、推定))× 価格 6,410(1トンあたり物流収入(円、名目、ブレンド単価))→ 売上 2,500 億円・営業利益 200 億円。M&Aで育成中、投資回収はこれから

倍率:事業の純利益 1,895 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 22,285 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:業種ノートの中立(世界貿易は年2〜3%拡大するが船腹供給過剰が運賃を構造的に抑制)に、純有利子負債の重さによる利払い増加(10年で全部が新しい金利)を加えた中心シナリオ。

やや悲観 21% 供給過剰の長期化とレバレッジの重さでシェアも侵食される10年 利益 714 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 2,551 円8,766 億円

新造船の発注が需要見通しを上回って続き、供給過剰が長期化してコンテナ運賃は歴史的低水準に近づき、ONEの取り分は定期船事業で200億円程度まで縮む。自動車船は中国船主の自前化が想定以上に進み世界シェアがじわり侵食され、稼ぎ頭としての力も弱まる。ドライバルクは中国の鉄鋼・不動産需要の縮小が世界需要の拡大を上回り薄い黒字すら危うい。エネルギーは中東情勢の緊張が解消しタンカー市況は低迷、LNGの伸びも鈍る。不動産(ダイビル)は空室率上昇で利益がやや減るが安定性は保つ。物流はM&Aの統合が思うように進まず利益率が伸びない。純有利子負債の重さがIMOの脱炭素投資の負担と重なり、資本効率がさらに悪化する10年になる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の1,682億円が10年後に約 1,839億円(物価で一律に増やすと約 1,780億円)。営業利益は +59億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。

  • 定期船(ONE持分・コンテナ関連):数量 1,020(ONEグループの輸送量(万TEU、年間、推定))× 価格 1.33(1万TEUあたりの商船三井の取り分利益(億円、名目))→ 売上 1,353 億円・営業利益 203 億円。供給過剰の長期化で取り分縮小
  • 自動車船:数量 310(輸送台数(万台、年間、推定))× 価格 12(1台あたり運賃収入(万円、名目))→ 売上 3,816 億円・営業利益 477 億円。中国船主の自前化でシェア侵食
  • ドライバルク:数量 83.0(輸送量(百万トン、年間、推定))× 価格 6,828(1トンあたり運賃収入(円、名目))→ 売上 5,667 億円・営業利益 17 億円。世界需要拡大を縮小が上回る
  • エネルギー(タンカー・LNG・LPG):数量 29.0(輸送量(百万トン、年間、原油・石油製品・LNG・LPG計、推定))× 価格 18,727(1トンあたり運賃収入(円、名目))→ 売上 5,431 億円・営業利益 412 億円。タンカー低迷、LNGの伸び鈍化・償却は物価で増やさず按分(10年後 1,839億円)
  • 不動産(ダイビル):数量 112(賃貸可能面積(千坪、年間、推定))× 価格 56(1坪あたり年間賃料(万円、名目))→ 売上 622 億円・営業利益 112 億円。空室率上昇も安定性は保つ
  • 物流・ターミナル事業(宇徳・LBC Tank Terminals):数量 3,500(取扱貨物量・タンク容量(万トン、年間、推定))× 価格 4,729(1トンあたり物流収入(円、名目、ブレンド単価))→ 売上 1,655 億円・営業利益 91 億円。M&A統合が進まず利益率伸びず

倍率:稼ぐ力は純利益 544 億円÷k %=約 5,731 億円にとどまり、船・LNG 船・ダイビルの不動産という売れる実物資産が下支えになる。事業用資産(今の自己資本 28,742 億円に純有利子負債 21,170 億円を足した 49,912 億円)が簿価の 6 割で売れると仮定し(LNG の長期契約と不動産があるので日本郵船より 1 割高い掛け目)、純負債を返すと 8,777 億円で、今の自己資本の 0.30 倍にあたる。市場の値付けは根拠にしていない。純有利子負債 21,170 億円を足した EV÷営業利益は高く出るが、この筋書きは資産の床で測り、EV の倍率では割高・割安を言わない(借金の重さは床の掛け目と純負債の控除に入れた)。

確率:新造船の発注が需要見通しを上回って続き、中国勢の自前化が進む下振れの筋。純有利子負債の重さを踏まえ日本郵船よりやや厚めに置いた。

悲観 12% 優良さとレバレッジ耐性を同時に失う10年 利益 −1,161 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 1,104 円3,794 億円

ONEはCOSCO・CMA CGM等との競争でシェアを失い持分法投資利益はほとんど残らず、定期船事業は10年のうち複数年赤字になる。自動車船は中国船主(COSCO系・BYD系など)の自前船拡大でシェアを大きく落とし、稼ぎ頭の座も失う。ドライバルクは世界需要の伸び悩みが重なり構造的に収支が悪化、エネルギーもLNG新規参入者との競争で収益性が落ちる。不動産(ダイビル)はテナント需要の減退で利益が縮むが、ビル資産そのものの価値は残る。物流はM&Aが積み上がらず、海運本体の市況耐性を補う役割を果たせない。純有利子負債の重さがIMOの脱炭素規制対応の投資負担と重なり、累進配当(減配しない方針)も資産売却と借り換えで守るほかなくなる10年になる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の1,682億円が10年後に約 1,839億円(物価で一律に増やすと約 2,114億円)。営業利益は −275億円。機材・船舶・設備の価格上昇で膨らむ更新投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 109億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 定期船(ONE持分・コンテナ関連):数量 750(ONEグループの輸送量(万TEU、年間、推定))× 価格 1.07(1万TEUあたりの商船三井の取り分利益(億円、名目))→ 売上 800 億円・営業利益 −76 億円。alliance内シェア失い複数年赤字
  • 自動車船:数量 220(輸送台数(万台、年間、推定))× 価格 10(1台あたり運賃収入(万円、名目))→ 売上 2,200 億円・営業利益 0 億円。中国船主の自前化でシェア失うも収支均衡
  • ドライバルク:数量 68.0(輸送量(百万トン、年間、推定))× 価格 5,588(1トンあたり運賃収入(円、名目))→ 売上 3,800 億円・営業利益 −253 億円。世界需要の伸び悩みで構造的に悪化
  • エネルギー(タンカー・LNG・LPG):数量 22.0(輸送量(百万トン、年間、原油・石油製品・LNG・LPG計、推定))× 価格 13,636(1トンあたり運賃収入(円、名目))→ 売上 3,000 億円・営業利益 −413 億円。新規参入者との競争で収益性低下・償却は物価で増やさず按分(10年後 1,839億円)
  • 不動産(ダイビル):数量 100(賃貸可能面積(千坪、年間、推定))× 価格 47(1坪あたり年間賃料(万円、名目))→ 売上 467 億円・営業利益 70 億円。テナント需要減退も資産価値は残る
  • 物流・ターミナル事業(宇徳・LBC Tank Terminals):数量 3,000(取扱貨物量・タンク容量(万トン、年間、推定))× 価格 6,000(1トンあたり物流収入(円、名目、ブレンド単価))→ 売上 1,800 億円・営業利益 −54 億円。M&Aが積み上がらず役割を果たせず

倍率:赤字で稼ぐ力は無く、売れる資産の床で置く。事業用資産(49,912 億円)が簿価の 5 割でしか売れない投げ売りの局面を仮定し、純有利子負債 21,170 億円を返すと 3,786 億円で、今の自己資本の 0.13 倍にあたる。レバレッジが重く、売却額の下振れがそのまま株主価値を削る構造的な負けの筋書きで、市場の値付けは根拠にしていない。PBR が 0.13 倍と低いのは、純有利子負債が自己資本の 0.7 倍あり、売却額の下振れが株主価値を直撃するため。

確率:コンテナでCOSCO・CMA CGM等に、自動車船で中国船主にシェアを奪われ、同時に純有利子負債の重さが財務面の制約として表面化する複合的な下振れ。技術・シェアの構造劣位は一度始まると10年で後退しやすく、財務レバレッジの重さもこの会社固有のリスクのため、無視できない確率を置いた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

定期船(ONE持分・コンテナ関連)

Ocean Network Express(ONE)への31%出資から得る持分法投資利益が中心。自社のコンテナターミナル関連の利益も含む。

数量ONEグループの輸送量(万TEU、年間、推定)価格1万TEUあたりの商船三井の取り分利益(億円、名目)売上営業利益
今 2026/03 1,050 1.45 1,517 417
10 年後 中立 1,180 1.59 1,875 450

取り方:2026年3月期のコンテナ船事業の持分法投資損益416.65億円(前期2025年3月期の2,623.68億円から84%減)を、ONEグループの輸送量を年1,050万TEU(推定、日本郵船と同じONEグループの規模を想定)とし、商船三井の取り分(31%出資)を1万TEUあたり約1.4億円に分けた。新造船の竣工ラッシュで船腹供給が需要を上回り運賃が正常化したため、この市況の山はそのまま10年に延ばさない。

自動車船

自動車メーカー向けの完成車海上輸送。2023年末時点で106隻の自動車専用船(PCTC)を運航し、世界シェア12.6%。

数量輸送台数(万台、年間、推定)価格1台あたり運賃収入(万円、名目)売上営業利益
今 2026/03 287 11 3,155 520
10 年後 中立 360 12 4,286 750

取り方:2025年度の輸送台数2,874千台・2026年度見込み2,868千台(ほぼ横ばい)を286.8万台とし、製品輸送セグメントの経常利益からONEの取り分(417億円)を差し引いた残りを自動車船とフェリー等の合計(約542億円)とみて、フェリー等の小さな損益を考慮し自動車船の経常利益を520億円(1台あたり運賃収入11万円、利益率16.5%)と推定した。中東情勢緊迫による喜望峰迂回で航海日数・燃料費が増え、荷役費上昇の転嫁も限られたため利益率は日本郵船の自動車船(18.6%)よりやや低い。

ドライバルク

鉄鉱石・石炭・穀物などの不定期専用船事業。2021年にグループ内の事業を再編して発足した商船三井ドライバルクが運航。

数量輸送量(百万トン、年間、推定)価格1トンあたり運賃収入(円、名目)売上営業利益
今 2026/03 84.0 5,425 4,557 108
10 年後 中立 88.0 7,306 6,429 180

取り方:2026年3月期のドライバルク事業の売上4,557億円・経常利益108億円(利益率2.4%、前期比29.7%減)を公表値のまま使い、輸送量84百万トン(推定)×1トンあたり運賃収入0.5425万円に分けた。ケープサイズ傭船料は2025年度平均23,400〜26,400USD/日で、中国の鉄鋼・不動産需要の鈍化と船腹供給の伸びが相殺し合う薄いマージンの事業である。

エネルギー(タンカー・LNG・LPG)

原油・石油製品タンカー(スポット市況中心)と、国営エネルギー会社との15〜20年長期契約が中心のLNG・LPG(VLEC)船。

数量輸送量(百万トン、年間、原油・石油製品・LNG・LPG計、推定)価格1トンあたり運賃収入(円、名目)売上営業利益
今 2026/03 30.0 17,523 5,257 555
10 年後 中立 32.0 20,728 6,633 884

取り方:2026年3月期のエネルギー事業の売上5,257億円・経常利益555億円(利益率10.6%、前期比45.6%減)を公表値のまま使い、輸送量30百万トン(推定)×1トンあたり運賃収入1.7523万円に分けた。中東情勢緊迫(ホルムズ海峡の事実上の封鎖)によるタンカー市況の歴史的高水準が寄与しており、LNG船はカタールエナジー(新造6隻)・JERA・東京ガス・インドのONGC/GAILとの長期契約で安定、VLEC船隊は世界最大の16隻に拡大予定。地政学由来の市況押し上げ分は一時的とみて10年には延ばさない。

不動産(ダイビル)

2022年にTOBで完全子会社化したダイビルによる、東京・大阪・札幌の29棟のオフィス・商業ビル等の賃貸・管理事業。

数量賃貸可能面積(千坪、年間、推定)価格1坪あたり年間賃料(万円、名目)売上営業利益
今 2026/03 95.0 50 470 90
10 年後 中立 122 57 700 140

取り方:ダイビルの2025年3月期ベースの売上469.58億円・経常利益109.70億円(利益率23.4%)を目安に、2026年3月期は一部物件の建替え影響と前期の一過性の持分法投資利益の消失で減益としたうえで、賃貸可能面積95千坪(推定)×1坪あたり年間賃料49.5万円に分けた。大阪の空室率1.3%・東京0.1%と稼働率は高く、海運本体より市況に左右されにくい安定事業である。

物流・ターミナル事業(宇徳・LBC Tank Terminals)

2022年にTOBで完全子会社化した宇徳(港湾・輸送)と、2025年に約2,605億円で買収した欧州のタンクターミナル運営会社LBC Tank Terminalsが中心。

数量取扱貨物量・タンク容量(万トン、年間、推定)価格1トンあたり物流収入(円、名目、ブレンド単価)売上営業利益
今 2026/03 3,000 4,000 1,200 80
10 年後 中立 3,900 6,410 2,500 200

取り方:宇徳の港湾・輸送事業とLBC Tank Terminals(約2,605億円で買収)の規模観から、売上1,200億円・経常利益80億円(利益率6.7%、推定)とし、取扱貨物量・タンク容量3,000万トン(推定)×1トンあたり物流収入0.4万円に分けた。海運本体より市況に左右されにくく、中長期契約が前提のM&Aを積み重ねる方針で、利益率はまだ薄い。

リスクと懸念

ONEの持分法投資利益の構造的な振れ

コンテナ船事業はONEへの31%出資から得る持分法投資利益が中心で、2025年3月期の2,623.68億円から2026年3月期の416.65億円まで1年で84%縮んでおり、この振れの大きさが全社業績のボラティリティの主因になっている。紅海情勢等の地政学要因が解消すれば、さらに下押しされる可能性がある。

純有利子負債が時価総額比83.8%という財務レバレッジの重さ

純有利子負債21,170億円は時価総額比83.8%(自己資本比率48.2%)に達し、同業の日本郵船(25.1%)より明確に高い。金利上昇の利払い増加(推定で10年-529億円)がより重くのしかかり、EV÷営業利益で見ても割高・割安の判断を利益の倍率だけで言えない状態にある。

船腹供給過剰の長期化

2025年の世界コンテナ荷動きは前年比2.8%増の見込みに対し船腹供給は5.2%増と供給過多が続いており、新造船の発注から竣工まで2〜3年のタイムラグがあるため、供給過剰が解消するまでに時間がかかる構造的な逆風がある。

自動車船における中国船主の自前化

中国の自動車輸出が2023年に世界首位になった一方、中国船主自身による自動車船の発注も世界最多になっており、日本勢3社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)が握る世界シェア4割が10年先も保たれるとは限らない。

IMOの脱炭素規制対応コスト

IMOが2025年10月に採択した海運業初の排出量取引・炭素課金の枠組み(2027年発効予定)は、既存船の運航速度低下やLNG・メタノール・アンモニア等の代替燃料船への切替投資という形で、今後10年のコスト構造を各事業共通で重くする。

ドライバルクの構造的な薄利

ドライバルク事業は2026年3月期の売上4,557億円に対し経常利益は108億円、利益率2.4%という薄さであり、完全なコモディティ事業として価格を決める力がほとんど無い。中国の鉄鋼・不動産需要の鈍化と船腹供給の伸びが相殺し合う構図が続けば、構造改革後もこの薄い利益率から大きくは改善しにくい。

物流・不動産M&Aの統合リスク

2022年のダイビル・宇徳の完全子会社化、2025年のLBC Tank Terminals(約2,605億円)買収など、投資回収に時間を要する長期のM&Aを積み重ねる戦略を取っており、統合がうまくいかなければ海運本体の市況耐性を補う役割を果たせず、純有利子負債の重さだけが残るリスクがある。

地政学リスクへの収益の依存

2025年度後半のエネルギー事業(タンカー)の好調は中東情勢の緊迫(ホルムズ海峡の事実上の封鎖)という地政学リスクに依存した一時的なものであり、情勢が緩和すれば市況が急速に反転する可能性がある。コンテナ船の迂回による運賃支えも同様に地政学リスク次第で、解消すれば複数の事業で同時に収益性が落ちる構図になっている。

今後の分かれ目

ONEの持分法投資利益が2025年3月期並み(2,000億円超)に再び戻ったら
楽観・やや楽観の筋書きの確率を上げてよい。ただしその水準が10年続く構造的な変化かどうかは、船腹供給の動向で別に確認する。
純有利子負債が時価総額比で日本郵船並み(30%未満)まで下がったら
財務レバレッジを理由にしたやや悲観側の厚みを減らし、日本郵船に近い確率配分に寄せる。
新造船の発注・竣工ペースが会社の見通しを上回って供給過剰が深刻化したら
やや悲観・悲観側の筋書きに重みを移し、コンテナ・ドライバルクの運賃前提を下方修正する。
中国船主の自動車船発注が世界シェアを明確に侵食する実績として出てきたら
自動車船の長期シェア前提を下方修正し、稼ぎ頭としての位置づけを見直す。
LBC Tank Terminals等の物流・ターミナルM&Aの統合が計画より早く利益率改善に結びついたら
物流事業の長期の利益率前提を上方修正し、海運本体の市況耐性を補う効果を評価し直す。
IMOの炭素課金の運用がコスト転嫁しやすい形で固まったら
各事業の利益率前提への下押しを緩め、中立・楽観側の確率をやや上げる。
中東情勢・紅海情勢が緊迫化・長期化したら
エネルギー・コンテナの短中期の市況前提を上方修正するが、10年の構造前提は変えない。

見ておくもの

  • ONE(定期船事業)の四半期ごとの経常利益・持分法投資利益の推移
  • 純有利子負債・自己資本比率の推移(財務レバレッジが下がるかどうか)
  • 世界のコンテナ船・自動車船の新造船竣工量と解撤量(船腹供給の増減)
  • 中国船主による自動車船・コンテナ船の発注動向
  • ダイビル・LBC Tank Terminalsなど不動産・物流M&Aの統合後の利益率の推移

倍率と資本コストの決め方

ONEの持分法投資利益が1年で84%急落した実績を踏まえ、中立・楽観の筋書きでも紅海迂回や中東情勢の緊張を一時的な押し上げとして扱い、10年に延ばさないようにした。事業のROEが資本コスト8.5%を下回るので、ためた利益は額面未満の価値として1÷k=10.5倍を上限とし、その9〜9.5割に楽観〜中立を置いた。やや悲観・悲観は稼ぐ力が小さいため、船・LNG船・不動産の売れる資産の仮定の床(簿価の6割・5割で売り、純有利子負債を返した残り)で置き、今や過去のPER・PBRには寄せていない。純有利子負債が時価総額比84%と重い点は、資本コストの借金分+0.5%と床の純負債の控除で反映した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→11.84 倍・やや楽観 PER 9.7→11.76 倍・中立 PER 9.5→11.76 倍)。

資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k=基本 7.5%+quality +2.0%=9.5%。内訳と理由は quality_why。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 8.50%。

同じ業種(海運業)の AI 分析

やや割安 飯野海運9119 タンカーの荒波と都心のビルを抱える堅実な会社。ただし稼ぐ力に比べ今の値段はやや重い 本質価値との差 +24.0% · 10 年 やや割安(年 +8.6%) やや割安 共栄タンカー9130 VLCCを貸す船主。今の市況は山で、利益に出るのはこれから。ただし新造船の波と大きな借金があり、中立の値付けは今の値段とほぼ釣り合う 本質価値との差 +12.4% · 10 年 やや割安(年 +10.1%) 適正 栗林商船9171 北海道の物流を担う内航RORO船の会社。持ち合い株と含み資産は厚いが、借金も重く、値段は割高寄り 本質価値との差 +3.3% · 10 年 適正(年 +7.4%) 適正 乾汽船9308 海運の市況に乗りつつ、勝どきの不動産が土台を支える。含み益を足さずに測ると今の値段は高い 本質価値との差 +1.4% · 10 年 適正(年 +7.2%) やや割高 川崎汽船9107 ONEの振れが3社で最も大きく、大型株主還元で自己資本を絞る分、資本コストに届きにくい「やや割高」 本質価値との差 −17.8% · 10 年 やや割高(年 +4.4%) 割高 日本郵船9101 ONEの市況の山を10年に延ばさなければ、資本コストに届かず「割高」に出る 本質価値との差 −31.7% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 玉井商船9127 日本軽金属のアルミ原料と全農の穀物を運ぶ小さな船主。市況の山でも ROE は資本コストに届きにくく、平年の稼ぎで測ると今の値段は割高 本質価値との差 −32.4% · 10 年 割高(年 +3.3%) 割高 明海グループ9115 船を貸して稼ぐ外航船主。借金が重く、ホテルは利益が出ない。含み益の根拠を足さずに測ると、今の値段は高い 本質価値との差 −35.7% · 10 年 割高(年 +3.5%) 割高 東海汽船9173 伊豆諸島の航路をほぼ独占するが、ROE は 3% 前後。安全の不祥事と船の更新、重い借金を考えると大きく割高 本質価値との差 −73.0% · 10 年 割高(年 −5.4%)

ほかの業種も見る(AI 銘柄分析の一覧)→

読んだ資料

  1. 商船三井 グループ経営計画「BLUE ACTION 2035」Phase 2
  2. 日本経済新聞 商船三井社長に田村城太郎専務執行役員 橋本社長は代表権ある会長に
  3. 日本経済新聞 決算:商船三井の26年3月期、運賃下落で純利益58%減 配当は25円引き上げ
  4. LIMO 商船三井、売上の2.7%しかない不動産事業がグループ設備投資の2番手
  5. 日本経済新聞 自動車運搬船とは 日本郵船など日本勢3社でシェア4割
  6. 日本M&Aセンター 商船三井、LBCタンクターミナルを約2605億円で買収
  7. fic-investment.biz 商船三井(9104)の利益はなぜ急変するのか
  8. 日本経済新聞 商船三井系8隻、ホルムズ海峡通過 コンテナ船も
  9. 日本海事新聞 商船三井、世界最大LNG船 長契。カタールと6隻

分析日 2026-10-16