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コスモエネルギーホールディングス 5021

精製の稼ぎに UAE の油田と風力を足した元売り3位。中立の 10 年後でも時価総額は今の 9 割強にとどまり、10 年の価値は割高に出る

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)3,671 円5,829 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)4,283 円6,801 億円差 −14.3%
10 年後から見ると やや割高 価値 3,671 円5,829 億円 · 差 −14.3% · 期待の年率 +5.8%
期待の年率リターン(10 年)+5.8%資本コスト比 −3.2 pt
推定の資本コスト9.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 9.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

コスモエネルギーホールディングスは、国内の石油元売りで3番手の会社だ。千葉・四日市・堺の3製油所で原油を精製し、ガソリンや軽油を売る。ほかにUAEで原油を掘る石油開発と、小さな風力発電を持つ。

筆者の結論は「割高」だ。10年先の価値は今の時価総額を3割ほど下回ると見る。会社が掲げる2028年度の純利益860億円は、原油が1バレル75ドルまで戻る前提だ。筆者の中立(60ドル)はそれより低いが、それでも当面の利益は今の水準を保てる。国内の需要が細っても、元売りは製油所を減らして値崩れを避けてきたからだ。

弱みは、中心が差のつきにくい精製で、堀、つまり他社がまねできない強みが薄いことだ。借金は時価総額の8割弱あり、金利が上がれば利益が削られる。資本コストは基本7.5%に、市況の振れ+0.5%・値決め力の弱さ+0.5%・借金の重さ+0.5%・燃料油の縮小+0.5%を足して9.5%と置いた。一方、株主への還元は厚い。3年累計で利益の6割を返す方針を掲げ、配当には下限もある。

10年先になると、話は変わる。需要の減少と低い原油価格が重なり、割高さが目立つ。安く買える時期は、利益が高く見える今ではなく、需要と原油の見通しがもっと冷えた時だと、筆者は考える。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、まず「10年後も、今より強いか」を問う。精製・販売は、規格が同じ商品を売り、需要が細る事業だ。強くなる理由は見つけにくい。堀は個社の強みでなく、業界が歩調を合わせて減産する規律に頼っている。ここに高い値段は払えない。

次に、利益のうち株主が自由に使える分を考える。精製は設備の更新に多くの現金が要る。石油開発は掘り続けなければ減る。風力は投資がかさむ。見かけの利益からこれらの再投資を引くと、手元に残る分は小さい。筆者がいちばん気にしているのは、借金が重いまま、需要の細る事業に資金を回し続ける姿だ。

それでも、評価できる点はある。還元の数字を目標どおりに守り、第7次の目標を超えた。石油開発は、損益が精製と別に動く。今の値段はならした利益の8倍前後で、悪い年にも払える安全域が、ある程度ある。わかりやすい事業だが、10年後の稼ぎを高い確度で言える会社ではない。安全域に見合う値段なら持てる。割安さが小さくなれば、持つ理由はない。

何で稼ぐ会社か

売上の大半は石油事業が占める。千葉・四日市・堺の3製油所の処理能力は、合計で日量およそ40万バレルだ。作ったガソリン・軽油・ジェット燃料などを、系列のSS(給油所)網と業者に売る。国内では首位のENEOSが約5割を握り、コスモのシェアは1割前後にとどまる(筆者の推定)。石油化学もここに含めた。

もう一つの柱が石油開発だ。アブダビ石油(出資51.5%)とカタール石油開発(同75%)が、UAEとカタールで原油を生産して売る。精製の利幅が薄い年でも、原油の値段が良ければ利益を支えてくれる。2018年度にはこの事業だけで経常利益569億円を稼ぎ、同社の収益の形を変えた。今の中期計画も、UAEの原油生産の早期の拡大を掲げている。

三つめが風力を中心にした再生可能エネルギーで、子会社のコスモエコパワーが運営する。ただ規模はまだ小さい。前の中期計画(2023〜2025年度)では、新しい分野に1,400億円を投じる目標だったが、実績は550億円にとどまり、一部は見送った。利益の中身は、筆者の推定で石油が約6割、石油開発が約3割、残りが再エネだ。

優良さと弱いところ

優良さの評価は「並」だ。精製の売り物はガソリンと軽油で、どこの製品も規格が同じだ。ブランドで値を上げる余地は小さく、堀は薄い。3社の中では規模も最小で、規模のメリットを他社ほどには生かせない。

光る点が二つある。一つは石油開発だ。コスト競争力のある油田の権益は、精製の利ざやと別の動きをする稼ぎ口になる。もう一つは資本の規律だ。前の中期計画の目標を超え、2025年度の経常利益(在庫の値上がり・値下がりの影響を除く)は1,657億円、ROEは14.4%だった。配当の下限と自社株買いも、守る姿勢が見える。

弱点も明確だ。純負債は自己資本の0.85倍、自己資本比率は28%で、同業の出光興産やENEOSに比べて財務に余裕がない。2016年3月期と2020年3月期は赤字だった。ROEは過去に大きく振れ、安定して高い会社とは言えない。

新しい分野への投資が計画の4割にとどまった点も気になる。成長の担い手に育てるはずの事業が、予定どおりに進んでいない。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

国内の石油製品の需要は、ゆっくり、確実に細る。ガソリンは2021年度から年2%前後のペースで減り、2030年度には2024年度より1割強少なくなるという見通しがある。燃費の改善、電気自動車、人口減が重なる。ジェット燃料は訪日客の増加で比較的強い。

それでも元売りの利益が崩れていないのは、供給側が減らしてきたからだ。2017年の出光興産と昭和シェル石油の統合、ENEOSの前身の統合などで再編が進み、製油所の整理も続いた。国内は実質3社の寡占で、海外勢が入る余地はほとんどない。残った者が値崩れを避ける構図だ。ただ、需要が細り続ければ、この支えもいずれ弱まる。

短期の振れも大きい。利益は原油の値段と、在庫の評価損益に左右される。日本が輸入する原油の大半は中東産だ。2026年の中東情勢の緊迫は、調達と価格の不安を呼んだ。会社は2026年度の純利益を、前の年から3割近く減る水準で見ている。

脱炭素の流れで、水素・合成燃料・風力などへの転換投資が各社で進む。10年後にそれが稼ぎの柱になるかは、どの社も確かではない。コスモは、電力需要が伸びる分野(データセンターや半導体向け)に絞って挑むと言う。石油開発と風力が、その土台になる。

資本政策と M&A

資本政策の旗は「三位一体」で、成長投資・還元・財務の健全性を並べる。第8次中期経営計画(2026〜2028年度)は、3年累計の総還元性向(利益に占める配当と自社株買いの割合)を60%以上とし、配当には下限を設ける。今の株数だと、配当だけで年260億円ほどだ。2026年2〜3月には250億円の自社株買いも実行した。ネットD/Eレシオ(純負債÷自己資本)は1.0倍を保つ。

株主の顔ぶれも変わった。2023年には村上氏側が約2割を持ち、再エネ事業の上場を求めた。会社は買収防衛策を巡り臨時株主総会を開く事態になった。その後、岩谷産業が2024年に資本業務提携を結び、約2割を持つ筆頭株主(持分法適用会社)になった。村上氏側の持ち分を取得したとの報道もある。大株主に村上氏側の名は今は見えない。

M&Aの面では、岩谷産業が買い増して連結に進む形が、現実味のある再編だと筆者は見る。10年以内のTOBや買収が起きる確率の目安は約15%だ。水素・LPG(液化石油ガス)で岩谷と組む余地もあり、再エネ子会社の切り離しも、選択肢として残る。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

精製の利益は、供給が絞られた分だけ守られる。国内は3社の寡占で、製油所の整理も進んだ。2025年度は、在庫の影響を除く経常利益が1,657億円、ROEが14.4%と、前の計画の目標を上回った。この実績が、中期計画への信頼を支える。

石油開発は、まだ伸びしろがある。計画は、UAEでコスト競争力の高い原油生産を早く増やすことを掲げる。精製の利ざやと別の動きをする稼ぎが、利益の土台に加わる。原油が75ドルに戻れば、2028年度の純利益は860億円、ROEは12%以上になる。

還元も強い。3年累計で利益の6割を返し、配当には下限がある。250億円の自社株買いも実行済みで、今のPERは8倍台と低い。岩谷産業という事業に近い筆頭株主が付き、水素や電力で組む余地も出た。風力は、データセンターなど電力需要の増加という追い風を受ける。

10年先を見ても、会社は2035年度に純利益1,250億円を目指す。今の在庫影響を除く利益より5割近く多い。石油開発が育ち、風力が電力の柱になれば、需要の減る精製を埋めて余りある。

慎重な見方

精製は、値段で差をつけられない商品を売る事業で、需要は毎年2%ほど減る。製油所を整理しても、需要の減る速さに追いつくとは限らない。計画の前提である75ドルの原油は、10年続く見通しではなく、筆者の中立(60ドル、のち55ドル)より高い。

財務に余裕がない。純負債は自己資本の0.85倍、自己資本比率は28%だ。金利が上がれば、利払いが10年で約130億円増える。前の計画では、新しい分野への投資が目標1,400億円に対し、実績は550億円にとどまった。計画を立てても進まない癖がある。

過去の利益の振れも大きい。2016年3月期と2020年3月期は赤字で、ROEは最悪でマイナス46%、最良で32%だった。在庫が値上がりした年の利益は続かない。2026年度の純利益は、会社の見通しでも3割近く減る。

10年先に、需要が1割以上減り、原油が50ドルを割る世界を考えてみる。精製の利ざやは薄くなり、ROEは資本コストを割る。石油開発の権益と風力だけでは、その穴を埋め切れない。

どちらに重みを置いたか

精製の利益は短期では守られ、強気の見方に分がある。10年では、需要の減少と低い原油が効く慎重な見方を強め、財務の余裕のなさを悲観の確率に反映した。確率は、10年で中立32%・悲観14%とした。強気が正しくても、原油75ドルが10年続く保証はない点が、確率を中立の側に引き戻した。 資本コストは基本7.5%に、循環・値決め・借金・寿命の各+0.5%を乗せて9.5%とした。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 5,306 円8,426 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 2,199 円3,492 億円)。 今の値に割り戻すと 3,671 円5,829 億円、今との差 −14.3%、 期待の年率 +5.8%(資本コスト 9.0%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 10% 9,291 円1.48 兆円 3,517 円5,584 億円 +199.0% +11.6% 1,281 円2,034 億円
やや楽観 21% 7,967 円1.27 兆円 2,925 円4,645 億円 +154.3% +9.8% 2,287 円3,632 億円
中立 32% 6,077 円9,650 億円 2,460 円3,907 億円 +99.3% +7.1% 2,732 円4,338 億円
やや悲観 23% 2,698 円4,284 億円 1,671 円2,653 億円 +2.0% +0.2% 1,005 円1,595 億円
悲観 14% 993 円1,576 億円 441 円700 億円 −66.5% −10.4% 201 円319 億円
加重平均100% 5,306 円8,426 億円2,199 円3,492 億円 +75.2% +5.8% 7,506 円1.19 兆円

今の株価時価総額 4,283 円6,801 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。

楽観 10% 石油開発と風力が精製の縮小を埋める 利益 1,058 億円 · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 9,291 円1.48 兆円

UAEの原油生産が計画を超えて増え、石油開発が精製と並ぶ稼ぎ口になる。会社が2035年度に掲げる純利益1,250億円に迫る姿だ。原油は70ドル前後で、国内の精製は、再編を経て残った製油所が高い稼働を保つ。

風力と蓄電池は、データセンターや半導体向けの電力需要の追い風を受けて、容量を3倍超にする。コスモエコパワーの価値が評価され、上場や一部売却の道も開ける。還元は利益の6割で、配当は着実に増える。岩谷産業との水素・LPGの協業も実を結び、需要の減る精製を、二つの柱が埋めて余りある10年になる。

この姿は、コスモが「精製が縮む会社」から「資源と電力を持つ会社」に変わることを意味する。評価の物差しも、精製の循環から、資源と電力の長い稼ぎに変わる。実現には、会社の投資が計画どおり進む必要がある。

  • 石油事業(精製・販売・石油化学):数量 2,000(石油製品の販売量(万kl・実質))× 価格 13(1kl あたり売上(万円/kl・名目)。原油コスト・精製マージン・税込みの売上単価)→ 売上 26,760 億円・営業利益 1,460 億円
  • 石油開発(UAE・カタール):数量 2,300(原油の生産量・実質(万バレル/年。持分を乗じた連結ベース))× 価格 0.72(1 バレルあたり売上(万円/bbl・名目。コスト回収後の実効値))→ 売上 1,651 億円・営業利益 743 億円
  • 再生可能エネルギー(風力):数量 220(運転中の発電容量(万kW・実質))× 価格 7.17(1 万kW あたり売上(億円・名目))→ 売上 1,577 億円・営業利益 442 億円

倍率:事業の純利益 1,058 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.2% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.3 倍。全体の PER 12.3 倍、時価総額 13,016 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:UAEの増産が進み、風力が電力需要の追い風を受ける姿。2035年度の会社目標(純利益1,250億円)に近い。精製の縮小も止まる必要があり、1割にとどめた。

やや楽観 21% 精製は縮むが、第二、第三の柱が立つ 利益 833 億円 · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 7,967 円1.27 兆円

精製は需要減で縮むが、石油開発が増産で穴を埋める。風力は容量を2.5倍にし、利益の一角を担う。原油は62ドルで、会社目標の7〜8割まで届く。

製油所の整理は進み、国内の3社は寡占を保つ。還元は利益の6割が続き、財務は余裕が出る。純利益は800億円台で、ROEは9%前後になる。「精製が縮む会社」から、「資源と電力を持つエネルギー会社」へと評価が少し変わる10年になる。

この姿では、会社の目標に届かなくても、評価は今より上がる。精製の縮小という重しを、二つの柱が受け止めるからだ。

岩谷産業との協業や再エネの切り出しなど、資本面の動きも評価を押し上げる材料になる。

  • 石油事業(精製・販売・石油化学):数量 1,960(石油製品の販売量(万kl・実質))× 価格 13(1kl あたり売上(万円/kl・名目)。原油コスト・精製マージン・税込みの売上単価)→ 売上 24,618 億円・営業利益 1,288 億円
  • 石油開発(UAE・カタール):数量 2,150(原油の生産量・実質(万バレル/年。持分を乗じた連結ベース))× 価格 0.64(1 バレルあたり売上(万円/bbl・名目。コスト回収後の実効値))→ 売上 1,367 億円・営業利益 547 億円
  • 再生可能エネルギー(風力):数量 180(運転中の発電容量(万kW・実質))× 価格 6.90(1 万kW あたり売上(億円・名目))→ 売上 1,242 億円・営業利益 311 億円

倍率:事業の純利益 833 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.7% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 10.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.2 倍。全体の PER 12.17 倍、時価総額 10,141 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:精製は縮むが、石油開発と風力が埋め、会社目標の7〜8割に届く姿。強気の見方が通る範囲として2割強を置いた。

中立 32% 精製は縮み、石油開発と風力が下支えする 利益 643 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 6,077 円9,650 億円

ガソリン需要は2024年度より2割ほど減り、燃料の販売量は今の9割弱になる。原油は55ドルにとどまる。精製の利ざやは、製油所の整理と物価の上昇で、1klあたりでは今より少し増える。

石油開発は計画の半分ほどの速さで伸び、風力は容量を倍にする。純利益は640億円ほどで、今の在庫影響を除く855億円を下回る。還元は利益の6割が続くが、ROEは7%台と資本コストをわずかに上回るだけだ。堅実だが、成長のない10年になる。

筆者がこの姿を中立の中心に置くのは、会社の過去の投資が計画どおりに進まなかった事実を重く見るからだ。目標が実現しても、確度は半分ほどと考える。

  • 石油事業(精製・販売・石油化学):数量 1,920(石油製品の販売量(万kl・実質))× 価格 12(1kl あたり売上(万円/kl・名目)。原油コスト・精製マージン・税込みの売上単価)→ 売上 22,733 億円・営業利益 1,094 億円
  • 石油開発(UAE・カタール):数量 2,000(原油の生産量・実質(万バレル/年。持分を乗じた連結ベース))× 価格 0.56(1 バレルあたり売上(万円/bbl・名目。コスト回収後の実効値))→ 売上 1,128 億円・営業利益 406 億円
  • 再生可能エネルギー(風力):数量 150(運転中の発電容量(万kW・実質))× 価格 6.70(1 万kW あたり売上(億円・名目))→ 売上 1,005 億円・営業利益 221 億円

倍率:事業の純利益 643 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.0% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 7,346 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:ガソリン需要が2024年度比で2割前後減り、原油は55ドル(業界ノートの中立)にとどまる姿。石油開発と風力は計画の半分程度の速さで育つ。

やや悲観 23% 原油が安く、需要減も速い 利益 338 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 2,698 円4,284 億円

原油が45ドルに下がり、国内需要の減少も速まる。燃料の販売量は今の8割ほどになり、精製の利ざやは薄くなる。製油所の整理が追いつかず、稼働の低い設備が重くなる。

石油開発の利益は原油安で縮み、風力も容量が伸び悩む。純利益は340億円ほどで、ROEは5%を割る。配当の下限は守れず、減配に動く。借金の借り換えは金利の高いものに替わり、利払いが利益を食う。再編の話も出てくる10年になる。

この姿は、3社の寡占が弱まる局面でもある。最小のコスモは、最大手より先に、製油所の整理を迫られる。

借り換えが重なる時期でもあり、財務の立て直しが経営の最優先になる。

  • 石油事業(精製・販売・石油化学):数量 1,800(石油製品の販売量(万kl・実質))× 価格 11(1kl あたり売上(万円/kl・名目)。原油コスト・精製マージン・税込みの売上単価)→ 売上 19,458 億円・営業利益 788 億円
  • 石油開発(UAE・カタール):数量 1,800(原油の生産量・実質(万バレル/年。持分を乗じた連結ベース))× 価格 0.46(1 バレルあたり売上(万円/bbl・名目。コスト回収後の実効値))→ 売上 832 億円・営業利益 183 億円
  • 再生可能エネルギー(風力):数量 110(運転中の発電容量(万kW・実質))× 価格 5.49(1 万kW あたり売上(億円・名目))→ 売上 604 億円・営業利益 73 億円

倍率:事業の ROE 4.5% は k 以下で PER の上限は 1÷k の 10.5 倍。原油が安く需要減も速い、利益が縮み続ける途中の姿なので、上限の約 8.5 割の 9.5 倍に置く。稼ぐ力(純利益÷k)を超えない。

確率:原油が45ドルに下がり、需要減が速まる姿。精製の利ざやが薄くなり、ROEが資本コストを大きく割る。筋は十分にありうるため2割強を置いた。

悲観 14% 構造的に負ける:精製の縮小を何も埋めない 利益 −100 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 993 円1,576 億円

電気自動車の普及と人口減で、ガソリン需要はほぼ4割減り、原油は30ドルで固定される。精製は恒常的な赤字に近く、石油開発も採算の薄い油田が増える。新しい分野の投資も育たず、縮む事業を何も埋められない。

3製油所のうち複数を閉鎖し、製油所跡地や保有株の売却益で、赤字の穴を一部埋める。配当は大きく削り、岩谷産業など外部の資本との再編も現実になる。借金が重いため、同業より傷は深い。かつての寡占の利点は、市場から外される10年になる。

この筋書きの株価は、今の4割強にとどまる。ただし、この数字は事業の消滅ではなく、構造的な負けの末に市場が付ける、資産の値段だ。

  • 石油事業(精製・販売・石油化学):数量 1,400(石油製品の販売量(万kl・実質))× 価格 9.26(1kl あたり売上(万円/kl・名目)。原油コスト・精製マージン・税込みの売上単価)→ 売上 12,964 億円・営業利益 −42 億円
  • 石油開発(UAE・カタール):数量 1,400(原油の生産量・実質(万バレル/年。持分を乗じた連結ベース))× 価格 0.31(1 バレルあたり売上(万円/bbl・名目。コスト回収後の実効値))→ 売上 431 億円・営業利益 43 億円
  • 再生可能エネルギー(風力):数量 80.0(運転中の発電容量(万kW・実質))× 価格 4.49(1 万kW あたり売上(億円・名目))→ 売上 359 億円・営業利益 11 億円

倍率:赤字で稼ぐ力は無く、売れる資産の床で置く。事業用資産(今の自己資本 6,062 億円に純有利子負債 5,150 億円を足した 11,212 億円)が簿価の 60% で売れると仮定し、純有利子負債 5,150 億円を返すと 1,577 億円で、今の自己資本の 0.26 倍にあたる。UAE の油田権益と風力は簿価以上で売れやすいので、他の元売りより 1 割高い掛け目にした。市場の値付けは根拠にしていない。

確率:需要の急減と原油30ドルが重なり、新しい分野の育成も進まない構造的な負けの姿。財務の余裕が小さく、傷が深くなりやすいので、同業より厚い14%を置いた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

石油事業(精製・販売・石油化学)

千葉・四日市・堺の 3 製油所で原油を精製し、ガソリン・軽油・ジェット燃料などを SS 網と業者に売る中核事業。石油化学(パラキシレンなど)もここに含めた。

数量石油製品の販売量(万kl・実質)価格1kl あたり売上(万円/kl・名目)。原油コスト・精製マージン・税込みの売上単価売上営業利益
今 2026/03 2,200 12 25,322 1,000
10 年後 中立 1,920 12 22,733 1,094

取り方:2026年3月期の売上26,776億円・営業利益1,448億円を全社の値とし、石油(精製・販売)と石油化学を合わせた事業の売上を約25,300億円、営業利益を1,000億円(在庫評価損を含む。在庫影響を除くと約1,200億円)と筆者が推定した。数量は国内の燃料油販売(1,900万kl前後と推定)に輸出・石化原料を足した2,200万klとし、1klあたり11.51万円を逆算した。セグメント別の開示は読んでおらず、全社の数字と同業の構成から割り付けた推定値である。

石油開発(UAE・カタール)

アブダビ石油(出資 51.5%)とカタール石油開発(同 75%)が、陸上・海上油田で原油を生産して売る事業。

数量原油の生産量・実質(万バレル/年。持分を乗じた連結ベース)価格1 バレルあたり売上(万円/bbl・名目。コスト回収後の実効値)売上営業利益
今 2026/03 1,600 0.69 1,100 520
10 年後 中立 2,000 0.56 1,128 406

取り方:アブダビ石油(出資51.5%)とカタール石油開発(同75%)の連結ベースの原油生産量を、年1,600万バレル(日量およそ4.4万バレル)と推定した。売上は1,100億円、営業利益は520億円とし、1バレルあたり0.6875万円は原油67ドル・150円から、コスト回収後の実効値として逆算した。会社が示す生産量の増加(今の中期計画で早期の拡大)を、筋書きの数量に反映した。数字は開示の読み込みでなく筆者の推定である。

再生可能エネルギー(風力)

子会社コスモエコパワーが運営する国内の陸上・洋上風力発電。蓄電池や電力小売の拡大も含めた。

数量運転中の発電容量(万kW・実質)価格1 万kW あたり売上(億円・名目)売上営業利益
今 2026/03 70.0 5.00 350 100
10 年後 中立 150 6.70 1,005 221

取り方:コスモエコパワーの運転中の風力発電容量を、およそ70万kWと推定した。売上は1万kWあたり5.0億円で350億円、営業利益は100億円(利益率29%)とした。2023年の中期計画で再エネに計1,000億円を投じるとしたが、実績は新領域全体で550億円にとどまったため、容量の伸びは慎重に置いた。数字は筆者の推定である。 【数量は実物】運転中の発電容量(万 kW)で、伸びは建設・計画中の風力が運転に入る事業の事実(実績が計画に届かなかったことを踏まえ慎重に置いた)。市場の名目の伸びは使っていない。価格は物価(1.34 倍)以内。

リスクと懸念

国内の燃料需要の構造的な減少

ガソリンは年2%前後のペースで減り、2030年度には2024年度より1割強少なくなる見通しがある。電気自動車の普及が前倒しになれば、減る速さは増す。コスモは国内の精製・販売への依存が大きく、需要減は利ざやと稼働の両方に響く。

原油価格と在庫の評価損益

利益は原油の値段と、在庫の値上がり・値下がりに大きく振られる。2026年3月期の純利益740億円は在庫の値下がりを含み、在庫影響を除くと855億円だった。原油が急落すれば、石油開発の利益も同時に減る。

財務の余裕の小ささ

純負債は自己資本の0.85倍、自己資本比率は28%で、同業より余裕がない。借り換えのたびに新しい金利が付き、利払いは10年で約130億円増える見込みだ。不況の年には、還元より返済が先になる。

中東情勢と調達

日本が輸入する原油の大半は中東産で、2026年の情勢の緊迫は、会社の中期計画の発表を延期させた。調達先の変更や、輸送費の上昇は、コストの転嫁が遅れた時に利ざやを削る。UAEの石油開発も、この地域のリスクを抱える。

新しい分野の投資が進まない癖

前の中期計画(2023〜2025年度)では、新しい分野に1,400億円を投じる目標だったが、実績は550億円で、一部は見送った。風力・電力・次世代エネルギーが精製の縮小を埋める前提が崩れれば、10年先の評価は下がる。

大株主との関係と再編

岩谷産業が約2割を持つ筆頭株主で、資本業務提携を結んでいる。2023年には村上氏側との間で買収防衛策を巡る臨時株主総会を開いた経緯もある。再編や持ち分の動きは、株価の押し上げにも、経営の混乱にもなりうる。

今後の分かれ目

原油が75ドル近くで長く安定したら
会社の計画(2028年度の純利益860億円)に近い、楽観・やや楽観の筋書きの確率を上げる。石油開発の利益と精製の利ざやの両方を見直す。
国内のガソリン需要の減少が年2%を超えて速まったら
やや悲観・悲観の確率を上げる。製油所の整理が追いつくかを見る。10年の筋書きは、特に影響が大きい。
UAEの原油生産の増加が、計画(日量4万バレル台から5万バレル台へ)を前倒しで超えたら
石油開発の利益の前提を上げる。精製と別の稼ぎ口が大きくなり、10年の楽観の確率を上げてよい。
岩谷産業が持ち分を買い増し、連結化や完全子会社化の話が出たら
TOBの値段が本質価値の目安になる。提示された値段と、筆者の価値の差を見て、判断する。
風力の子会社(コスモエコパワー)の上場や一部売却が決まったら
売却資金の使い道(還元か、借金の返済か)を確認する。借金の返済に回るなら、財務の余裕が増え、悲観の確率を下げる。
同業のENEOSや出光興産が先に製油所を閉鎖したら
業界の供給の規律が強まったと見て、中立の利ざやを少し上げる。コスモが取り残されるなら、悲観に寄せる。

見ておくもの

  • 国内のガソリン・軽油・ジェット燃料の販売量と、製油所の稼働率
  • 原油価格(ブレント)と、在庫影響を除く経常利益の動き
  • UAEの原油生産量(日量)と石油開発の利益
  • 第8次中期経営計画(2028年度:純利益860億円・ROE12%以上)の進み具合
  • 純負債と自己資本比率、ネットD/Eレシオ(1.0倍の維持)
  • 岩谷産業の持ち分の動きと、風力子会社の扱い

倍率と資本コストの決め方

先に石油・石油開発・風力ごとに、数量と価格から10年後の利益を積み、そのあと倍率を決めた。倍率は、ROEと資本コスト9%から出した正当化PERの上限の9割に置いた(規模・財務の理由は k に入れ済みで重ねて引かない)。中立はROEがk以下なので1÷kの9割。やや悲観は稼ぐ力(純利益÷k)に少しの安全率、悲観は赤字なので純有利子負債を返した後の売れる資産の仮定の床(油田権益と風力は簿価以上で売れやすいとして6割)で置いた。今のPER(在庫影響を除いて約8倍)や過去・同業の倍率には合わせていない。結果として10年の価値は今の時価総額を3割ほど下回った。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.8→12.3 倍・やや楽観 PER 9.5→12.17 倍・中立 PER 9.5→11.43 倍・やや悲観 PER 9→9.5 倍)。

資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k=基本 7.5%+quality +2.0%=9.5%。内訳と理由は quality_why。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.00%。

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分析日 2026-10-16