結論
ダイセキは、工場から出る廃液や汚泥を引き取り、処理料金と再生資源の販売で稼ぐ会社だ。結論は割安であり、主力の処理技術と顧客関係が生む利益に対して、現在の時価総額には安全域がある。確率を織り込んだ本質価値は約2,200億円で、基準時価総額を約3割上回る。ただし、成長計画がすべて成功するという評価ではない。
堀、つまり他社が簡単にはまねできない強みは、許可証だけではない。異なる廃液を組み合わせる処理技術と、近隣の工場をまとめて回収できる集荷網が採算を支える。顧客との長い取引も、処理の確実さが選ばれてきた証拠になる。しかし、工場との取引率を全国の処理量シェアと取り違えてはならない。[資料1]
10年後の中心像は、国内の廃棄物が増え続ける会社ではなく、横ばいに近い市場で仕事を集める会社である。液状廃棄物の数量増加は約2割にとどめ、鉛の増産と土壌の直接受注がそれを補う。物価に沿った料金改定が続けば、純利益は現在の2倍弱まで育つ。会社の長期目標に含まれる未契約の大型買収を、そのまま利益には数えていない。[資料1・2]
最大の懸念は、本業の良さよりも稼いだ資金の使い方だ。鉛の増強には高い採算が期待できるが、新しいプラスチック工場は補助金を受けても投下資本が重い。買収や新設設備で低い利回りを積み重ねれば、売上が増えても株主の取り分は増えない。割安という結論は、主力の堀が保たれ、成長投資の規律が完全には失われないことを前提としている。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとっての魅力は、環境関連という看板ではなく、工場が操業する限り繰り返される処理需要にある。製品の流行が変わっても、混ざった廃液を安全に処理する仕事は残る。集荷と配合の蓄積は、新しい設備を買っただけでは手に入らない。本業の将来は、新素材の研究成果や未契約の買収よりも見通しやすい。
ただし、会計利益の全額が株主の自由になるわけではない。2026年2月期の営業キャッシュフローから設備投資を引いた残りは、約50億円だった。古い設備の減価償却費は物価だけでは増えないが、更新工事には新しい値段を払う。見かけの利益率を守れても、更新費と成長投資で現金が細る可能性はある。[資料2・3]
資本配分では、良い本業から得た利益を、似ているようで採算の違う事業へ移す危険を警戒する。会社の投資採択基準はROI10%以上だが、その定義と税後の資本コストは同じではない。買収で売上目標を達成することより、投入した資金が本業に近い利回りで戻ることを重視したい。
現在の評価には安全域があるが、値付けの精度には限界がある。資本コストを7%で見直すと、同じ事業見通しでも価値の上回り幅は約15%まで縮む。主力の堀には対価を払える一方、まだ埋まっていない新工場の能力や、未契約の買収案件に満額を払う理由はない。
何で稼ぐ会社か
収益の中心は、工場が自社で処理しにくい液状廃棄物を引き受ける仕事である。廃油、廃酸、廃アルカリ、汚泥は、同じ重量でも成分によって処理費が違う。ダイセキは受入前に性状を調べ、別の廃棄物を中和剤として利用するなど、組み合わせによって購入薬剤と外部処分費を減らす。処理料金だけでなく、回収した油や再生原料の販売も収入になる。[資料1]
単体の年間受入量は113万トンである。再生燃料の販売があるため、売上を受入量で割った金額は純粋な処理料金ではない。原油市況、難しい廃液の割合、運搬条件も含む売上原単位として扱う。本業の強さを見るには、数量だけでなく、再資源化率と外部処分費を一緒に確かめる必要がある。[資料2]
ダイセキ環境ソリューションは、土地の汚染調査から掘削、洗浄、処理までをつなぐ。ここでいうコンサルティング営業は、土地所有者から工事を直接受注する営業形態であり、売上の半分を人月で売るという意味ではない。ダイセキMCRは廃バッテリーから鉛を再生し、システム機工は石油タンクの洗浄を担う。前者は鉛価格と原料調達差益、後者は工事の採算と設備の稼働率が利益を左右する。[資料1・2]
資源リサイクルには、廃石膏ボード、古紙、一般廃棄物の収集、再生燃料などが含まれる。既存事業には実物の取扱量があるが、新しいプラスチック工場はまだ稼働実績がない。会社の会計上の区分とは別に、以下では収益源を六つに分け、複合事業の数量と単価には推計であることを明記した。主力はいずれも物を運び、分析し、処理する事業であり、AIエージェントがその作業全体を置き換える型には該当しない。
優良さと弱いところ
主力の堀は、地域内の集荷密度と処理の組み合わせにある。同じ地域から多種類の廃液を集めるほど、運搬効率が上がり、外から買う薬剤を減らせる。45都道府県の収集運搬許可と協力会社の網は、この仕組みを支える。ただし許認可は独占権ではなく、全社を強い独占企業とは評価しない。[資料1]
長い取引関係は、事故を起こさず処理できる信用の裏付けになる。会社が示す取引年数別の構成では、10年以上が52.6%を占める。これは解約率の開示ではなく、顧客が他社を併用していない証拠でもない。それでも、安い見積もりだけで処理先を変えにくい仕事であることは読み取れる。[資料1]
値上げの力は認めるが、過大には数えない。単体売上と受入量から計算した売上原単位は、直近で約3.1%上昇した。しかし、再生燃料価格や案件構成の変化を除いた料金改定率は確認できない。再資源化率も86.3%まで下がっており、難しい廃棄物を引き受けるほど利益が増えるとは限らない。[資料2]
過去の資本増加に対する利益の増え方は悪くない。税後営業利益の増分を、純現金を除いた自己資本の増分で測る粗い計算では、過去10年の利回りは約11%となる。ただし、これは個別投資の実績ROICではなく、買収や資産構成の変化も含む。従来の成功を、これから建てる全設備の採算証明に流用することはできない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の産廃処理市場は、添付の業種前提どおり約5兆円の成熟市場として扱う。この総額を液状廃棄物だけの市場規模とはみなさない。会社の取引工場数は、従業員100人以上の対象工場に対して25.6%だが、これは顧客接点の比率である。中立では対象工場数が5%減る中、取引率が32%へ上がることで主力数量が増える。
液状処理では地域業者のほか、DOWA、大栄環境、TREなどの環境事業と競合する。各社の処理品目と地域が違い、同じ分母の数量シェアは確認できない。土壌では、環境省の一次処理量737万トンと会社の土壌受入量を比較すると、規模感は全国の1割弱である。年度と集計範囲に差があるため、中立で約10%へ伸びるという見通しも概算であり、二次処理量は市場に足していない。
鉛は、会社が示す国内シェア5%と販売量から、約27万トン規模の市場が対応する。東邦亜鉛やDOWA系の製錬会社と競う中、増設が埋まれば国内市場が縮んでもシェアを伸ばせる。中立の数量は、縮小後の市場で約10%を占める水準である。鉛電池の用途が別の電池へ移る速度が、能力増強の成否を決める。[資料1・2]
廃石膏ボードは競合事業者の説明で国内約200万トンの規模があり、グリーンアローズの受入量はその約5%に当たる。古紙の国内入荷は約1,437万トンで、会社の出荷量は約0.24%にすぎない。タンク洗浄は国家備蓄10基地のうち4基地での施工実績があるが、これも売上シェアではなく、日進機工などの競合がいる。新しいプラスチック事業で確認できる地域需要は静岡市の年5,800トンであり、計画能力全体の需要が確約されたわけではない。
資本政策と M&A
中期計画は2029年2月期に売上830億円、営業利益190億円を目指す。ROEの目標は13%である。2031年2月期の長期目標は売上1,500億円、営業利益250億円で、未契約の買収も含む。長期のROE目標は15%だ。[資料1・2]
3年間の成長投資は400億円、株主還元は200億円の計画である。配当性向40%に機動的な自己株取得を組み合わせる。借入調達も200億円を予定しており、投資と還元をすべて既存の現金で賄う計画ではない。DOEと10年間の総還元性向には数字の約束がなく、4年目以降の還元継続は筆者の見通しである。[資料1]
過去の買戻しは実際に株主の取り分を増やしてきた。直近5年間の実質株数は約7.9%減り、2026年2月期にも約29.4億円を買い戻した。対して、環境ソリューションの完全子会社化には140.71億円を要した。取得した追加持分の利益だけでは十分な採算とは言い切れず、営業連携の成果が必要になる。[資料2・3]
今後の投資は案件ごとに選別すべきだ。鉛の増強は25億円の投資に対し、計画が実現すれば増分の税後利益率は約15%になる。プラスチック工場は補助金控除後も約70億円を要し、会社の営業利益目標に対する税後利回りは約5%にとどまる。政策保有株は毎年見直す方針だが、売却額の数値約束は確認できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社の成長余地は、廃棄物の総量が増えるかどうかだけでは決まらない。対象工場のうち、まだ取引のない工場は多い。処理先の選別が厳しくなるほど、分析から回収、再資源化まで任せられる会社に仕事が集まる。新規顧客が既存の集荷ルートに加われば、遠隔地へ単独で進出するより少ない追加費用で利益を増やせる。[資料1]
過去の実績も、単なる市況商品の会社という見方には合わない。工場の操業が弱かった時期にも営業黒字を保ち、利益率は長期で改善してきた。液状廃棄物の量が急増しなくても、処理の難しい案件や直接受注の割合が増えれば、同じ量から得る利益は増える。配合の工夫による購入薬剤の削減は、料金引上げだけに頼らない競争力である。[資料1・2]
環境ソリューションの完全子会社化には、販売網を共有しやすくなる意味がある。工場の廃液処理を受けている顧客が土地を売る際に、調査と土壌処理まで引き受けられる。鉛の増設も既存技術の延長であり、新しい需要を発明しなければ売れない事業ではない。能力増強後にシェアが広がれば、留保利益を有効に再投資する場所になる。
新規事業を大きく評価しなくても、既存事業の数量増加と物価に沿う料金改定で利益は育つ。配当と買戻しも実行されており、利益が永久に社内へ閉じ込められる会社ではない。本業の収益が残り、投資先の採算を選別できれば、現在の時価総額を上回る価値を株主へ返す道筋は十分にある。
慎重な見方
高い利益率が続いてきたことと、次の投資も高い利回りになることは別である。2026年2月期は増収だったが、営業利益の伸びは小さかった。原料や外注費、人件費が上がる局面では、受入量を増やすだけで採算が改善するわけではない。再資源化率の低下は、扱う廃棄物の難しさと処分先の制約を見直す必要があることを示す。[資料2]
国内の工場は、廃棄物を減らす側にも投資する。生産工程の変更、工場閉鎖、自社内での水処理や溶剤回収が進めば、既存の顧客を失わなくても引取量は減る。工場との取引率が上がっても、各社が複数の処理先を使えば受注量が同じ割合で増えるとは限らない。資源循環の普及が、処理会社の数量成長と常に一致するわけではない。
完全子会社化の代金は、将来の相乗効果を先に払った面がある。取得した追加持分に対応する翌期計画利益の利回りは、約5.9%にとどまる。プラスチック新工場も、補助金控除後の投資額に対して十分な利益を生むには、受注と稼働率の上積みが必要だ。大きな成長目標が経営の優先順位になると、本業より低い採算の投資を続ける誘因が生まれる。
事故や許認可上の問題は、処理場の利益と顧客の信用を同時に失わせる。土地や設備の帳簿価額が、そのまま売却代金になるとは限らず、閉鎖後の処理費も残る。慎重に見るべきなのは資金繰りだけではない。現金を持つ優良会社が、その現金を低採算の設備や買収へ変えてしまう道筋こそ、長期株主にとって大きな損失になる。
どちらに重みを置いたか
既存の液状廃棄物処理が長く稼ぎ続けるという主張には説得力がある。一方、すべての成長投資が本業並みに稼ぐという主張は採らない。新工場の需要確保と買収価格への懸念から、下側の筋書きを上側より少し厚くした。これは財務の安定性を再び割り引くためではなく、今後の資本配分についての判断である。
中心となるのは、国内市場の横ばいと緩やかなシェア上昇である。大型買収が連続成功する結果を中心にはせず、それでも還元を含む本質価値は現在の時価総額を上回る。したがって結論は割安だが、今後の評価を変える最大の材料は、売上目標への進捗より投資後の現金収益になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 6,642 円3,141 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,506 円712 億円)。 今の値に割り戻すと 4,638 円2,193 億円、今との差 +32.9%、 期待の年率 +8.8%(資本コスト 6.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 12,457 円5,891 億円 | 2,410 円1,140 億円 | +326.0% | +15.6% | 1,189 円562 億円 |
| やや楽観 | 21% | 9,526 円4,505 億円 | 2,000 円946 億円 | +230.3% | +12.7% | 2,420 円1,145 億円 |
| 中立 | 39% | 7,303 円3,454 億円 | 1,657 円784 億円 | +156.7% | +9.9% | 3,494 円1,653 億円 |
| やや悲観 | 23% | 3,173 円1,501 億円 | 945 円447 億円 | +18.0% | +1.7% | 947 円448 億円 |
| 悲観 | 9% | 740 円350 億円 | 331 円157 億円 | −69.3% | −11.1% | 96 円46 億円 |
| 加重平均 | 100% | 6,642 円3,141 億円 | 1,506 円712 億円 | +133.5% | +8.8% | 8,148 円3,853 億円 |
今の株価時価総額 3,490 円1,651 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 6.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 集荷と再資源化の拡大が実る 利益 271 億円 · PER 21.5 倍 · 株価時価総額 12,457 円5,891 億円
液状廃棄物では、既存拠点の周辺で受注が増え、地域業者の買収も集荷網を補う。工場の対象母数が大きく増えなくても、取引率が約37%まで広がれば処理量を伸ばせる。廃液の組合せが増えることで購入薬剤と外部処分費を抑え、価格改定と収益性の改善が両立する。
土壌では大口工場の閉鎖や再開発案件を直接受注し、全国の一次処理に対する規模は約12%へ上がる。鉛の増設は十分に稼働し、販売量は国内市場の約10%を占める。大栄環境やDOWA、地域業者との競争は続くが、処理を束ねて受けられる利便性が選ばれる。
石膏では回収と販売の両方が広がり、プラスチックは追加設備と新しい調達契約を伴って伸びる。国家備蓄タンクの施工先も増え、空いた期間を別の保全工事で埋められる。未契約の大型買収を無条件に成功扱いするのではなく、既存技術に近い投資が高い稼働率と利益で報われる10年である。
設備投資は重いが、更新工事をこなしながら配当と買戻しを増やせる。成長のために株主の取り分を先送りし続けず、増えた処理量が現金の増加にも結び付くことが、この筋書きを単なる規模拡大と分ける。
- 液状廃棄物処理・再生油等:数量 1,800,000(単体の液状廃棄物受入量を代表数量としたトン/年)× 価格 51,576(代表受入量1トン当たりの関連売上原単位、円/トン)→ 売上 928 億円・営業利益 279 億円。対象工場1.05倍、取引率37%、顧客当たり数量約184トン。集荷と配合の改善で利益率30%。
- 土壌処理・調査工事:数量 1,250,000(施設の土壌・産業廃棄物処理量、トン/年)× 価格 27,359(調査・運搬・工事を含む処理量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 342 億円・営業利益 55 億円。産廃込み125万トン。土壌相当約92万トン、全国市場約774万トンに対し概算12%。
- 鉛リサイクル:数量 28,000(再生鉛販売量、トン/年)× 価格 498,194(販売量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 139 億円・営業利益 20 億円。市場約28万トンに対して販売2.8万トン。能力増強と原料確保がともに成功。
- 大型タンク洗浄・関連保全:数量 60.0(大型タンク洗浄を基準にした年間施工基数相当、基相当/年)× 価格 1.34(大型タンク1基相当当たり関連売上、億円/基相当)→ 売上 80 億円・営業利益 14 億円。国家備蓄の施工先と付帯工事が増える。追加機材投資を含む。
- 石膏・古紙等の資源リサイクル:数量 220,000(再生石膏と再生紙の合計出荷量を代表数量としたトン/年)× 価格 63,767(付帯処理・収集等を含む代表出荷量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 140 億円・営業利益 25 億円。出荷は石膏18万トン、紙4万トン。買収と既存拠点の稼働上昇。
- 新設プラスチック再資源化:数量 35,000(新工場の年間処理量、トン/年)× 価格 102,650(処理・再生材販売を含む1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 36 億円・営業利益 10 億円。計画能力を超える3.5万トンには追加設備と調達契約が必要。費用と投資に反映。
倍率:事業純利益269.5352億円、余剰金融資産を除く事業ROE17.7614%、k6.5%、残存率1/2からRONIC12.1307%。g3%とし、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)の上限そのものを採用した。時価総額は(純利益−余剰金融資産×1.4%)×PER+余剰金融資産で、手作業の倍率割引は行わない。10年間の純利益累計1928.08億円から還元1139.85億円を差し引き、起点自己資本817.5億円に加えて1605.73億円とした。累計設備投資1100億円、減価償却650億円、買収支出200億円、運転資金増加90億円を見込む。初期3年の還元220億円の後は、純利益の60%を配当と買戻しで戻す予測であり、会社の10年間の確約ではない。最終年の償却費は85億円で、既存設備の取得原価を物価で膨らませず、新設・更新分だけを追加した。起点金融資産純額198.94億円に留保利益と償却を加え、投資・買収・運転資金を引き、補助金29.18億円を投資支出の補填として加算する。物価上昇後の運営・予備資金188.15億円を除いた残額88.20億円を、筋書きの余剰金融資産として明記した。したがって留保現金を別に自動加算しない。
確率:上側29%のうち、既存拠点の集荷密度改善、鉛の増設、土壌の直接受注、新工場の調達がそろって成功する部分に8%を配分した。国内市場全体の高成長ではなく、複数の投資が高い稼働率に達する条件付きの上振れである。
やや楽観 21% 主力の堀を隣接事業へ広げる 利益 214 億円 · PER 20.7 倍 · 株価時価総額 9,526 円4,505 億円
主力の処理場は、近隣工場の仕事を少しずつ取り込み、取引率は約34%へ上がる。国内の工場数は減るが、廃液をまとめて任せたい顧客の需要が増える。価格改定は原価上昇をやや上回り、処理技術による費用削減も利益を支える。
土壌は親会社との営業連携が定着し、全国の一次処理に対する規模が約11%になる。鉛の増設もおおむね計画どおりに埋まるが、原料を安く買い続けられるとは考えない。採算の良い仕事を集めることが、数量拡大より先に経営の判断基準となる。
石膏の新工場と小規模な買収が地域を広げる一方、紙は横ばいにとどまる。プラスチックは追加契約と設備増強を伴って成長し、タンク洗浄も備蓄需要で安定する。本業の強さが隣接分野へ広がるが、新規事業が全社の収益を一変させるほどの成功までは必要としない。
競合も設備を増やすため、すべての地域で値上げが通るわけではない。投資案件を選別し、更新費を確保した後の利益を継続的に株主へ返すことで、営業面の改善が資本効率の改善にもつながる。
- 液状廃棄物処理・再生油等:数量 1,550,000(単体の液状廃棄物受入量を代表数量としたトン/年)× 価格 49,798(代表受入量1トン当たりの関連売上原単位、円/トン)→ 売上 772 億円・営業利益 224 億円。対象工場0.98倍、取引率34%。地域内の集荷密度が上がる。
- 土壌処理・調査工事:数量 1,100,000(施設の土壌・産業廃棄物処理量、トン/年)× 価格 26,038(調査・運搬・工事を含む処理量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 286 億円・営業利益 40 億円。土壌相当約81万トン。全国市場がほぼ横ばいなら概算11%。
- 鉛リサイクル:数量 26,000(再生鉛販売量、トン/年)× 価格 483,960(販売量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 126 億円・営業利益 16 億円。国内市場約26万トンの約10%。原料高も反映した利益率12.5%。
- 大型タンク洗浄・関連保全:数量 52.0(大型タンク洗浄を基準にした年間施工基数相当、基相当/年)× 価格 1.30(大型タンク1基相当当たり関連売上、億円/基相当)→ 売上 68 億円・営業利益 11 億円。備蓄保全と小規模工事で年間施工を維持。現在の高採算案件は平準化。
- 石膏・古紙等の資源リサイクル:数量 190,000(再生石膏と再生紙の合計出荷量を代表数量としたトン/年)× 価格 60,689(付帯処理・収集等を含む代表出荷量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 115 億円・営業利益 20 億円。石膏15.5万トン、紙3.5万トン。紙の市場成長は仮定しない。
- 新設プラスチック再資源化:数量 27,000(新工場の年間処理量、トン/年)× 価格 99,718(処理・再生材販売を含む1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 27 億円・営業利益 7 億円。追加契約と増設を含む2.7万トン。稼働率が高まっても費用削減は限定的。
倍率:事業純利益211.9772億円、余剰金融資産を除く事業ROE15.1680%、k6.5%、残存率1/2からRONIC10.8340%。g3%とし、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)の上限そのものを採用した。時価総額は(純利益−余剰金融資産×1.4%)×PER+余剰金融資産で、手作業の倍率割引は行わない。10年間の純利益累計1644.57億円から還元945.77億円を差し引き、起点自己資本817.5億円に加えて1516.30億円とした。累計設備投資950億円、減価償却580億円、買収支出180億円、運転資金増加70億円を見込む。初期3年の還元210億円の後は、純利益の58%を配当と買戻しで戻す予測であり、会社の10年間の確約ではない。最終年の償却費は74億円で、既存設備の取得原価を物価で膨らませず、新設・更新分だけを追加した。起点金融資産純額198.94億円に留保利益と償却を加え、投資・買収・運転資金を引き、補助金29.18億円を投資支出の補填として加算する。物価上昇後の運営・予備資金188.15億円を除いた残額118.77億円を、筋書きの余剰金融資産として明記した。したがって留保現金を別に自動加算しない。
確率:21%を配分した。鉛の能力増強と環境ソリューションの営業連携には具体的な設備・顧客基盤があるため、全面成功の楽観より起こりやすい。一方、価格が物価を超えて定着し、新工場の追加調達も進む点では中立より条件が厳しい。
中立 39% 成熟市場で緩やかに取り分を増やす 利益 171 億円 · PER 19.7 倍 · 株価時価総額 7,303 円3,454 億円
国内の廃棄物市場は大きく伸びず、主力は仕事を少しずつ取り集める。対象工場数が減る中で取引率は32%に上がり、液状廃棄物の受入量は135万トンになる。処理料金と関連売上原単位は物価に沿って上がるが、人件費や運搬費も上がるため、それだけで利益率は改善しない。
土壌は直接受注が定着し、全国の一次処理に対する規模は概算で約10%となる。鉛は増設の稼働で販売量を伸ばす一方、国内需要そのものは縮小する。タンク洗浄では国家備蓄の保全が残るが、民間石油設備の減少と工事の採算差を受け入れる。
石膏が伸びても古紙の減少は止まらず、プラスチックは計画能力を埋めるまで時間がかかる。買収は地域の集荷・処理能力を補う範囲に限られ、本業の利益率を全社へ機械的に広げない。設備更新と還元を両立しながら、成長企業というより、少しずつ強くなる環境インフラとして利益を積み上げる。
石膏では再生材の利用が広がり、受入量のシェアは概算で7%程度へ進む。古紙の減少を補うが、プラスチックの自治体調達は契約更新で価格を縛られるため、独占的な利幅までは期待しない。
- 液状廃棄物処理・再生油等:数量 1,350,000(単体の液状廃棄物受入量を代表数量としたトン/年)× 価格 47,803(代表受入量1トン当たりの関連売上原単位、円/トン)→ 売上 645 億円・営業利益 181 億円。対象工場0.95倍、取引率32%。数量約1.19倍、単価は物価10年分。
- 土壌処理・調査工事:数量 950,000(施設の土壌・産業廃棄物処理量、トン/年)× 価格 25,357(調査・運搬・工事を含む処理量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 241 億円・営業利益 30 億円。土壌相当約69.5万トン。全国一次処理約700万トンに対し概算10%。
- 鉛リサイクル:数量 23,000(再生鉛販売量、トン/年)× 価格 478,237(販売量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 110 億円・営業利益 12 億円。国内市場約23万トンの約10%。数量成長は増設とシェア上昇による。
- 大型タンク洗浄・関連保全:数量 47.0(大型タンク洗浄を基準にした年間施工基数相当、基相当/年)× 価格 1.29(大型タンク1基相当当たり関連売上、億円/基相当)→ 売上 60 億円・営業利益 9 億円。47基相当。民間設備減少を保全需要が一部補い、利益率は15%へ平準化。
- 石膏・古紙等の資源リサイクル:数量 170,000(再生石膏と再生紙の合計出荷量を代表数量としたトン/年)× 価格 59,102(付帯処理・収集等を含む代表出荷量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 100 億円・営業利益 16 億円。石膏14万トン、紙3万トン。新設石膏拠点と地域集荷の拡大が主因。
- 新設プラスチック再資源化:数量 22,000(新工場の年間処理量、トン/年)× 価格 98,538(処理・再生材販売を含む1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 22 億円・営業利益 5 億円。2万トンの計画能力と産業系追加分。2031年計画単価からの物価二重掛けなし。
倍率:事業純利益169.0416億円、余剰金融資産を除く事業ROE12.7335%、k6.5%、残存率1/2からRONIC9.6167%。g3%とし、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)の上限そのものを採用した。時価総額は(純利益−余剰金融資産×1.4%)×PER+余剰金融資産で、手作業の倍率割引は行わない。10年間の純利益累計1417.09億円から還元783.60億円を差し引き、起点自己資本817.5億円に加えて1450.99億円とした。累計設備投資850億円、減価償却500億円、買収支出150億円、運転資金増加50億円を見込む。初期3年の還元200億円の後は、純利益の55%を配当と買戻しで戻す予測であり、会社の10年間の確約ではない。最終年の償却費は65億円で、既存設備の取得原価を物価で膨らませず、新設・更新分だけを追加した。起点金融資産純額198.94億円に留保利益と償却を加え、投資・買収・運転資金を引き、補助金29.18億円を投資支出の補填として加算する。物価上昇後の運営・予備資金188.15億円を除いた残額123.46億円を、筋書きの余剰金融資産として明記した。したがって留保現金を別に自動加算しない。途中年度の純利益は112、118、126億円から最終年へ段階的に増え、初期の借入増加による利払いを含む。連結営業利益率21.02%は過去12年の最高水準を超えない。
確率:最も起こりやすい経路として39%を配分した。対象工場の減少をシェア上昇で補い、価格は共通前提の物価並みとする。鉛は公表された増設を生かすが、プラスチックの採算と未契約M&Aには慎重さを残す。上側29%に対し下側32%とした理由は、新規投資の調達量と買収利回りの不確実さである。
やや悲観 23% 能力を増やしても採算が追い付かない 利益 88 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 3,173 円1,501 億円
工場の操業縮小と工程内リサイクルが進み、液状廃棄物の量は増えない。対象工場との取引率はほぼ横ばいで、顧客を増やしても既存顧客から出る廃液の減少を補い切れない。運搬費と人件費に対して料金改定が遅れ、集荷網の固定費が利益を圧迫する。
土壌ではDOWAや地域業者との競争が強まり、全国の一次処理に対する規模は約8%へ後退する。鉛は能力を増やしたものの、原料を集めるための購入価格が上がり、増設の採算が薄くなる。タンクも工事が途切れる期間が長くなり、機材と人員の維持費が残る。
プラスチックは他地域からの調達が遅れ、石膏と古紙も数量・価格の両方で競争を受ける。過大な買収には減損が生じ、新しい投資と買戻しは縮小する。事業は黒字を保ち、投資を絞ることで現金も残るが、成長のために積み上げた設備が十分な利益を生まない10年になる。
許認可と既存の顧客関係は残るため、急速な事業消滅には至らない。しかし、資金を引き揚げにくい設備が増えた後では、投資を止めても利益率がすぐ元に戻るわけではなく、株主が受け取る現金も減る。
- 液状廃棄物処理・再生油等:数量 1,050,000(単体の液状廃棄物受入量を代表数量としたトン/年)× 価格 44,462(代表受入量1トン当たりの関連売上原単位、円/トン)→ 売上 467 億円・営業利益 103 億円。対象工場0.90倍、取引率約26%。料金改定が費用上昇に遅れる。
- 土壌処理・調査工事:数量 700,000(施設の土壌・産業廃棄物処理量、トン/年)× 価格 22,642(調査・運搬・工事を含む処理量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 158 億円・営業利益 13 億円。全国一次処理約650万トン、会社の土壌相当約51万トンで概算8%。
- 鉛リサイクル:数量 17,000(再生鉛販売量、トン/年)× 価格 427,024(販売量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 73 億円・営業利益 4 億円。市場約22万トン、シェア約7.7%。原料調達費と低稼働が利益を圧迫。
- 大型タンク洗浄・関連保全:数量 38.0(大型タンク洗浄を基準にした年間施工基数相当、基相当/年)× 価格 1.24(大型タンク1基相当当たり関連売上、億円/基相当)→ 売上 47 億円・営業利益 4 億円。稼働の谷が長くなり、機材・人件費を吸収できない。
- 石膏・古紙等の資源リサイクル:数量 125,000(再生石膏と再生紙の合計出荷量を代表数量としたトン/年)× 価格 52,773(付帯処理・収集等を含む代表出荷量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 66 億円・営業利益 7 億円。石膏10万トン、紙2.5万トン。回収と販売の両方で採算が低下。
- 新設プラスチック再資源化:数量 14,000(新工場の年間処理量、トン/年)× 価格 87,986(処理・再生材販売を含む1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。1.4万トンの低稼働。単価改定も物価に届かず、利益率5%。
倍率:事業ROEは約7.48%まで低下する。成長による価値の増加を数えず、事業利益をk6.5%で資本還元したPER1/kを用いる。余剰金融資産170.88億円は利益に含まれる利息を外して別加算する。10年間の純利益累計948.01億円から還元447.10億円を差し引き、起点自己資本817.5億円に加えて1318.41億円とした。累計設備投資650億円、減価償却450億円、買収支出180億円、運転資金増加20億円を見込む。初期3年の還元160億円の後は、純利益の45%を配当と買戻しで戻す予測であり、会社の10年間の確約ではない。最終年の償却費は50億円で、既存設備の取得原価を物価で膨らませず、新設・更新分だけを追加した。純利益累計には買収資産の税後減損30億円を含め、現金収支では同額を戻している。投資縮小と還元抑制で現金が残っても、事業価値の低下を埋め切るとは考えない。補助金29.18億円は設備資金にだけ反映し、運営・予備資金188.15億円を確保した後の残額を余剰資金とした。
確率:23%を配分した。新工場の調達量と増設後の原料確保はまだ実績で証明されていない。主力の顧客接点が残っても、低い設備稼働率、案件競争、更新費上昇が重なれば、会社全体の資本効率は低下しうる。財務の安定性を理由にした追加割引ではなく、投資実行の失敗確率である。
悲観 9% 処理網の強みと投資規律を失う 利益 15 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 740 円350 億円
国内の工場が減るうえ、主要顧客が処理の一部を内製化し、ダイセキの取引率も約20%まで後退する。受入量が落ちると廃液を組み合わせる余地が狭まり、外から購入する薬剤と外部処分が増える。事故や許認可上の問題による拠点停止も重なり、かつての集荷密度が固定費の重さに変わる。
土壌では大型案件を競合へ失い、全国の一次処理に対する規模は約6%まで下がる。鉛は電池用途の変化と調達競争で数量を失い、増設設備が重荷となる。タンク工事と古紙も縮み、プラスチックは地域の基礎数量を超える調達を確保できない。
買収の減損と閉鎖・浄化の支出が発生し、株主還元は配当中心へ縮小する。長年の優良さは失われるが、すべての拠点や資産が無価値になるとは考えない。価値を支えるのは将来の高成長でも、積み上がった帳簿利益でもなく、残った金融資産と処分可能な土地等である。
低採算の拠点は再編され、保有資産の一部を処分して事業を縮める。清算されることを前提にはせず、残された現金がすべて速やかに株主へ返る保証もないため、回収価値には十分な費用の余裕を残す。
- 液状廃棄物処理・再生油等:数量 700,000(単体の液状廃棄物受入量を代表数量としたトン/年)× 価格 39,127(代表受入量1トン当たりの関連売上原単位、円/トン)→ 売上 274 億円・営業利益 27 億円。対象工場0.80倍、取引率約20%。集荷量と配合の選択肢が減り利益率10%。
- 土壌処理・調査工事:数量 450,000(施設の土壌・産業廃棄物処理量、トン/年)× 価格 20,755(調査・運搬・工事を含む処理量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 93 億円・営業利益 0 億円。土壌相当約33万トン、全国市場約580万トンで概算6%。固定費を回収できない。
- 鉛リサイクル:数量 9,000(再生鉛販売量、トン/年)× 価格 355,853(販売量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 32 億円・営業利益 0 億円。市場約20万トン、シェア4.5%。過剰設備と原料競争でほぼ利益が残らない。
- 大型タンク洗浄・関連保全:数量 25.0(大型タンク洗浄を基準にした年間施工基数相当、基相当/年)× 価格 1.05(大型タンク1基相当当たり関連売上、億円/基相当)→ 売上 26 億円・営業利益 1 億円。石油設備縮小と受注喪失。人員・機材・賃借の固定費は残る。
- 石膏・古紙等の資源リサイクル:数量 90,000(再生石膏と再生紙の合計出荷量を代表数量としたトン/年)× 価格 50,574(付帯処理・収集等を含む代表出荷量1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 46 億円・営業利益 1 億円。石膏7万トン、紙2万トン。再生品価格の上昇が費用上昇に届かない。
- 新設プラスチック再資源化:数量 8,000(新工場の年間処理量、トン/年)× 価格 80,654(処理・再生材販売を含む1トン当たり売上原単位、円/トン)→ 売上 6 億円・営業利益 −1 億円。地域基礎数量中心の8,000トン。償却と人件費を賄えず赤字。
倍率:利益を資本還元した価値より、売却可能資産の評価350億円が高いため資産の床を採用する。PBRは350÷現在の自己資本817.5であり、10年後の留保利益を積み上げた自己資本には掛けない。10年間の純利益累計355.18億円から還元156.64億円を差し引き、起点自己資本817.5億円に加えて1016.04億円とした。累計設備投資400億円、減価償却330億円、買収支出200億円、運転資金の回収10億円を見込む。配当は黒字年度利益の40%を基本とし、自社株買いは見込まない。最終年の償却費は32億円で、既存設備の取得原価を物価で膨らませず、新設・更新分だけを追加した。純利益累計には税後減損60億円と閉鎖・浄化等の現金費用20億円を含む。償却と減損の非現金部分を戻した資金収支は確認するが、10年間に増える現金を床へ自動追加しない。
確率:9%を配分した。国内需要の縮小だけでなく、処分先の制約、重大な操業問題、買収・新設設備の失敗が重なる構造的な敗北である。単なる景気の谷とは区別し、利益率が過去の最低水準で止まる保証を置かない。破綻は前提にせず、清算費用を引いた売却可能資産を価値の床とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
液状廃棄物処理・再生油等
ダイセキ単体の液状廃棄物処理を中心に、再生油・関連石油製品を含める。廃棄物の処理料と再生品販売を合わせた収益源である。
| 数量単体の液状廃棄物受入量を代表数量としたトン/年 | 価格代表受入量1トン当たりの関連売上原単位、円/トン | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 1,130,000 | 35,570 | 402 | 116 |
| 10 年後 中立 | 1,350,000 | 47,803 | 645 | 181 |
取り方:数量113万トンは資料2の受入量実績であり、売上から逆算していない。売上は単体404.02億円と北陸10.42億円を起点に、連結内取引の消去12.50億円を便宜上この区分に集約した。全社売上は添付factsの718.5億円に合わせ、消去額の丸め差0.06億円を調整している。営業利益は両社合計115.63億円で、全社の消去・共通費4.07億円は別に残る。単価は再生品等も含む実現売上原単位で、契約上の処理料金ではない。単体だけの売上原単位は404.02億円÷113万トン、前年は384.83億円÷111万トンで、上昇率は約3.1%。燃料売上や処理品目の変化があるため純粋な値上げ率とは断定しない。対象工場25,208、取引工場6,450は資料1の顧客接点であり、全国数量シェアではない。中立は対象工場数0.95倍、取引率32%、1顧客当たり約176トンにより135万トンと推計した。AIエージェント代替の型は現場の物理処理であり、事務型の数量削減は適用しない。
土壌処理・調査工事
環境ソリューションの土壌調査、直接受注工事、汚染土壌等の処理。営業形態としてのコンサルティングと、人月の受託サービスを区別する。
| 数量施設の土壌・産業廃棄物処理量、トン/年 | 価格調査・運搬・工事を含む処理量1トン当たり売上原単位、円/トン | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 866,000 | 18,868 | 163 | 11 |
| 10 年後 中立 | 950,000 | 25,357 | 241 | 30 |
取り方:資料2の四半期処理量225、217、226、198千トンを合計し、産業廃棄物を含む86.6万トンを採用した。資料1の土壌受入量63.4万トンとは対象範囲が違い、両者を同じ数字へ修正していない。部門別売上の図と直接受注84.01億円・比率51.4%から土壌売上約163.4億円を確認し、資源部門との合計を同社連結売上221.45億円へ接続した。10.5億円の営業利益は共通費配賦後の分析用推計で、資源の9.98億円との合計20.48億円だけが会社別実績に一致する。部門利益の個別確定値とはみなさない。環境省の2023年度一次処理737万トンに63.4万トンを対比すると約8.6%だが、年度と集計範囲が異なる概算である。中立は全国土壌市場0.95倍、同じ土壌比率を仮定した会社シェア約10%に対応する処理量95万トンとした。DOWA、セメント系など競合の同一範囲シェアは未確認。調査・許認可と現場工事に結び付く型としてAIエージェント代替の人月係数は適用しない。市場資料は https://www.env.go.jp/content/000308571.pdf の土壌処理実績。
鉛リサイクル
ダイセキMCRが廃鉛バッテリーを調達し、精製した鉛を販売する。販売価格だけでなく、原料購入価格との差が利益を決める。
| 数量再生鉛販売量、トン/年 | 価格販売量1トン当たり売上原単位、円/トン | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 13,292 | 355,853 | 47 | 5 |
| 10 年後 中立 | 23,000 | 478,237 | 110 | 12 |
取り方:資料2の生産量14,189トンではなく、販売量13,292トンを採用し、売上47.30億円を対応させた。付帯収入も含むため鉛そのものの建値とは一致しない。資料1の国内シェア約5%と対比すると、対応市場は約26.6万トンと推定できるが、統計から独立に確定した市場総量ではない。会社は3年間で約25億円を投資し、能力倍増とシェア8〜10%を目指す。中立は国内市場を約23万トンへ縮小させ、その約10%の販売を得る見通しである。東邦亜鉛は自動車用鉛バッテリーに自社鉛が使われる割合4割超を説明しているが、同じ市場シェアの分母ではなく、5%と合算しない。競合開示は https://www.toho-zinc.co.jp/business/metallurgy/lead/index.html 。価格は中立で物価並み、利益率は原料調達も高くなることを踏まえる。AIエージェント代替の直接対象ではない。
大型タンク洗浄・関連保全
システム機工の石油備蓄・製油所タンク洗浄と関連工事。機材の保有、同時施工能力、安全管理が受注を支える。
| 数量大型タンク洗浄を基準にした年間施工基数相当、基相当/年 | 価格大型タンク1基相当当たり関連売上、億円/基相当 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 50.0 | 0.96 | 48 | 8 |
| 10 年後 中立 | 47.0 | 1.29 | 60 | 9 |
取り方:全社の施工基数と平均契約額は非開示。システム機工の2025年11月公表「むつ小川原国家石油備蓄基地2026〜2027年度COW工事」14基から、1基地当たり年7基を規模の参考にした。資料1の国家4基地と共同備蓄3基地への施工実績に照らし、民間工事・付帯作業を含む標準案件50基相当と推計した。実際の契約件数を表す数字ではなく、推計誤差は大きい。売上47.81億円は資料2の実績で、これを標準数量で割った原単位である。国家10基地のうち4基地という接点は売上シェア40%ではない。日進機工、橋本テクニカルサービス等も洗浄工法を提供し、統一的な市場金額と各社シェアは確認できない。中立は備蓄の維持と民間石油設備の減少を相殺し、施工47基相当。高収益案件が前倒しされた現在の利益率は維持しない。案件資料は https://cts-co.net/system-kk/information/2025/11/post-12.php 。AIエージェント代替の直接対象ではない。
石膏・古紙等の資源リサイクル
グリーンアローズ、杉本商事などによる再生資源、一般廃棄物収集、再生燃料等。性質の違う小規模事業を含む複合区分である。
| 数量再生石膏と再生紙の合計出荷量を代表数量としたトン/年 | 価格付帯処理・収集等を含む代表出荷量1トン当たり売上原単位、円/トン | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 132,000 | 43,977 | 58 | 10 |
| 10 年後 中立 | 170,000 | 59,102 | 100 | 16 |
取り方:資料1の石膏出荷9.7万トンと再生紙出荷3.5万トンを合計した。受入量と出荷量を混ぜず、資料2の石膏受入量10.96万トンは歩留まりと市場規模の確認に使った。売上は部門図のグリーンアローズ中部17.56億円、九州7.54億円、杉本商事21.09億円、その他11.86億円の合計。営業利益9.98億円は土壌と合計20.48億円になる共通費配賦後の推計で、独立開示値ではない。一般廃棄物の収集等はこの二つの数量に直接比例しないため、価格は商品単価ではなく付帯売上込みの代理指標である。中立の17万トンは石膏14万トンと紙3万トンから成り、古紙の成長を仮定していない。競合GYXUS経営者の市場説明約200万トンに対する石膏受入の比率は約5.5%で、同社等の統一シェアは未確認。市場資料は https://pitch.nikkei.com/library/33/ 。国内古紙入荷1,436.7万トンに対する出荷規模は約0.24%で、統計は https://www.prpc.or.jp/wp-content/uploads/jyukyutoukei.pdf 。AIエージェント代替の事務型には該当しない。
新設プラスチック再資源化
静岡市の一般廃棄物プラスチックなどを処理する計画事業。既存の資源部門には含めず、未稼働の投資として別に扱う。
| 数量新工場の年間処理量、トン/年 | 価格処理・再生材販売を含む1トン当たり売上原単位、円/トン | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 0.0 | 73,322 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 22,000 | 98,538 | 22 | 5 |
取り方:基準期は未稼働なので数量と売上はゼロ。価格は実績ではなく、2031年2月期の会社売上目標17億円と計画数量2万トンから得た原単位を、名目計画と解釈し5年分の物価で2026年価格へ戻した参考値である。したがって10年価格に物価を反映しても二重にはならない。静岡市の対象量は年5,800トンで、能力2万トンに対して29%にすぎず、他地域・産業系の調達は確約と扱わない。中立の2.2万トンは計画の2万トンと産業系追加分に対応し、上側は追加設備投資を要する。2026年9月15日の開示では総事業費99.45億円、補助金29.18億円で、自己負担は約70.27億円。補助金は投資支出の補填だけに計上し、恒久的な純利益には加えない。資料は https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20260915/20260915536428.pdf 、選定時の数量は https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20250131/20250131560168.pdf 。現場処理型であり、AIによる需要創出も代替も前提にしない。
リスクと懸念
国内生産の縮小と顧客の内製化
工場との取引を維持しても、国内生産の移転や工程の省資源化が進めば、引き取る廃液は減る。大口顧客が水処理や溶剤回収を内製化する場合も同じだ。中立の数量増加は市場拡大ではなくシェア獲得に依存しているため、新規顧客数が増えても顧客当たりの取扱量が細る状態が続けば、成長の前提を下げる必要がある。
再生資源の売り先が細る
廃棄物を再生品へ変えても、買い手がいなければ外部処分費が増える。再生油の販売価格低下やセメント工場の受入制約は、販売収入と処理原価の両方に効く。再資源化率86.3%を安定した底とは考えず、低下が続く場合は処理単価の上昇だけでは埋まらない利益率悪化を想定する。[資料1・2]
成長投資が資本コストを下回る
鉛の増設、プラスチック工場、未契約の買収では、必要な投資額も利益の確かさも違う。売上目標を優先して設備を先にそろえると、操業不足と追加償却が長く残る。特にプラスチックは地域からの確定的な供給量と計画能力に差があり、補助金の採択を高採算の証明と受け取るべきではない。
事故と許認可の毀損
性状を誤認した廃液の受入れ、漏出、火災などは、操業停止と顧客離反を同時に起こしうる。許認可の問題で別拠点へ輸送を振り替えると、売上が戻っても原価が高止まりする。悲観では数量減少に加えて低稼働率と処分費増加を反映し、土地の売却価値からも閉鎖や浄化の費用を差し引いた。
土壌とタンク工事の採算変動
土壌処理は建設案件の延期や価格競争に左右され、タンク洗浄も高採算工事の時期によって利益が偏る。直接受注の拡大は好材料だが、すべての案件で同じ利益率が得られるわけではない。2026年2月期のタンク事業には高収益案件の前倒しがあるため、その利益率を中立の10年後まで固定していない。[資料1・2]
現金の見かけと更新費の実負担
長期預金にはデリバティブ内包型の商品があり、保有社債にも換金の制約がある。帳簿の現金性資産をすべて無条件の余剰資金とはみなせない。設備更新には物価上昇後の支出が必要となり、古い設備の償却費より多くの現金が出る。借入でつなぐ期間が長引けば、金利負担と還元縮小が同時に生じる。[資料3]
AIエージェント代替と工程の省人化
主力六事業に、席課金や人月販売を中心とする売上は確認できない。土壌のコンサルティング営業も許認可、現地調査、処理工事に結び付くため、事務型サービスの数量縮小率は適用しない。ただし報告書作成や分析補助が安くなれば、その部分の料金には下押しが生じる。AIは全社需要の消滅より、内部費用と付帯業務単価に効くとみる。
今後の分かれ目
- 受入量と比較可能な売上原単位が継続して増え、再資源化率も改善する
- 単なる再生油価格の上昇ではなく、処理技術と集荷密度の成果と判断する。主力数量と利益率を引き上げ、やや楽観への重みを増やす。
- 取引工場率が30%を超えても、受入量が現在を下回り続ける
- 市場の縮小か顧客当たり受注の低下を疑う。顧客数の増加をそのまま数量成長へ変換せず、中立の135万トンを下げる。
- 鉛の販売量が年2.3万トンへ近づき、原料調達差益も維持される
- 増設の稼働と利益回収が確認できるため、中立の数量前提への確信を上げる。鉛価格の上昇だけによる増収なら利益率は引き上げない。
- プラスチック工場の稼働前に、年間1.5万トン以上の継続的な調達先が確定する
- 未充足能力のリスクが下がる。契約単価と更新投資を含む税後収益が資本コストを超えることも確認して、やや楽観の評価へ進める。
- 買収後の利益が増えず、追加投資やのれん減損が繰り返される
- 売上規模の拡大を価値の増加とは扱わない。取得した数量の採算を下げ、還元余力の縮小を反映して下側の確率を増やす。
- 再資源化率が83%を下回り、外部処分費の増加を料金へ転嫁できない
- 案件構成の一時的な変化か、売り先の構造的な縮小かを分ける。後者なら主力の利益率と土壌事業の利益率をともに下げる。
- 3年間の株主還元200億円を達成した後も、過大な借入なしに配当と買戻しが続く
- 余剰資金が株主へ戻るという見通しを維持する。逆に投資資金の不足から還元が止まれば、利益予想が同じでも将来の分配額と現金の扱いを見直す。
見ておくもの
- 液状廃棄物の受入量、再生油売上を分けた売上原単位、再資源化率、外部処分費。
- 対象工場の母数、取引工場数、既存顧客当たり数量。取引率と独占的な処理量シェアを区別する。
- 土壌の直接受注比率、純粋な土壌受入量と産廃込み処理量の範囲、営業利益率。
- 鉛の生産量ではなく販売量、廃バッテリー調達価格と再生鉛販売価格の差、増設後の稼働率。
- プラスチック工場の総投資額、補助金条件、稼働開始時期、5,800トン以外の原料調達契約。
- 年間設備投資と減価償却の差、買収を除いた現金収支、借入金の残高と借換金利。
- 3年間の成長投資400億円と株主還元200億円の実行額、投資案件ごとの利益回収。
- 保有社債と長期預金の時価・換金条件、政策保有株の売却、環境事故と許認可上の措置。
倍率と資本コストの決め方
数量と名目単価を先に決め、倍率は事業ROE、残存率1/2、k6.5%、g3%から算出した。現在や同業のPERは根拠にしていない。基準株価・株数・財務は添付を優先し、株数の458株の開示時点差では書き換えていない。 新リース会計の表示変更にかかわらず、家賃を営業費用に含む形で比較する。親会社9793のTOB・MBO・上場廃止予定は確認されず、2026年10月5日公表の中間短信にもGC注記はない。環境ソリューションに対するTOBは買い手側の取引として区別した。
資本コスト 6.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。共通の国債利回り3%と株式リスクプレミアム4.5%に、qualityの−1.0%を加えた。β、規模、現在の市場倍率は使わない。買収失敗や事故は数量、利益率、確率で表し、上乗せ金利にはしない。