結論
スーパーバッグは、1905年創業の紙袋の老舗だ。店で渡す手提げの紙袋、通販の宅配袋、菓子や化粧品の紙器を作り、ポリ袋と用度品の一括納品も手がける。筆者の結論は、今の値段は割安だ、というものだ。
一番の理由は、値段が稼ぐ力に比べて安すぎることだ。売上は280億円あり、ならした純利益は7億円台だ。今の時価総額はその4倍余りにすぎない。利益率は3%前後と薄いが、袋はなくならない商品で、財務も堅い。原料の値上げを売値に移す力がつけば、利益はもう一段厚くなる。
弱みもはっきりしている。値段を決めるのは原料と大口の客で、値上げはいつも遅れる。店で配る袋は人口とともに細り、レジ袋の有料化でポリ袋も縮んだ。自己資本は膨らむのに、ためた利益を高く回す先は少ない。
10年後の中立では、純利益は約8億円で、ROEは資本コストを下回る。それでも確率を重ねた本質価値は、今の時価総額を大きく上回る。安全域の源は、薄くても続く稼ぎと、借入の少ない財務だと筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、利益の薄い商売を、とても安い値段で買える会社だと筆者は見る。
事業は単純で、10年後もなくならない。わかりやすい商売で、10年後の姿を思い描きやすいことも長所だ。店で渡す袋は減っても、通販の袋と食品や化粧品の箱は残る。紙への切り替えは追い風になる。
堀は浅い。値段は原料と大口の客に決められる。利益率は3%前後で、景気や原料の相場で赤字の年もあった。オーナーとして持ちたい理想の事業ではない。
資本の使い方には注文がある。配当は利益の2割ほどで、利益の多くは社内に残る。その利益を、資本コストを超えて回す先は少ない。自己資本が膨らむほどROEは下がる。
それでも値段に安全域がある。純利益の4倍余りという今の値段は、稼ぎが半分になっても元が取れる水準だ。株主に戻す割合が上がれば、価値はもっと素直に株価に出る。
何で稼ぐ会社か
事業は三つに分かれる。売上の54%が紙製品、20%が化成品、25%がその他の事業だ。
紙製品は稼ぎの柱だ。百貨店や専門店、スーパーで渡す手提げの紙袋、通販の宅配袋、菓子や化粧品の箱になる紙器を作る。2026/03期の売上は152億円で、紙袋が124億円を占める。工場は埼玉の所沢と鶴ヶ島、北海道の三笠にあり、東南アジアの協力工場も使う。セグメントの営業利益は約11億円で、全社の稼ぎのほとんどがここから出る。
化成品は、レジ袋やテイクアウトの袋などのポリ袋だ。売上は58億円あるが、多くは海外で作らせて仕入れるもので、利益は2億円に届かない。
その他の事業は、店で使う包装用品や清掃用品、事務用品をまとめて納める仕組みだ。会社はS・V・Sと呼ぶ。客の店の消耗品を一括で引き受け、袋の注文とあわせて取引を太くする。売上は72億円で、利益率は3%弱だ。
費用の柱は、原料の紙と樹脂、運賃、人件費だ。本社の費用が年7億円かかり、三つの事業の利益の半分を食う。特定の客に頼る度合いは低い。主な客は小売や飲食のチェーンで、数千の店に袋と用度品を届ける。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、弱いと筆者は見る。
強みはある。創業から120年近く、小売の袋を作り続けてきた。デザインの提案から製造、在庫、配送までを一社で引き受けられる。紙袋の同業は中小が多く、まとまった量を安定して納められる会社は限られる。用度品の一括納品も、客の手間を減らして離れにくくする。
ただ、値段を決める力は弱い。袋の値段は原料の紙の相場と、大口の小売との交渉で決まる。2026/03期は原料と人件費の上昇を売値に移しきれず、紙の利益が1.8億円減った。海外で作った安い袋と常に比べられる。
資本効率は振れが大きい。ROEは直近3期で14〜21%と高いが、2022/03期までの5年には赤字の年が3回あった。営業利益率は12年で最高でも3.9%だ。
経営は借入を減らし、政策保有株も売ってきた。ただ、ためた利益を高く回す先を持たない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
袋の需要は、二つの流れの間にある。
一つは縮む流れだ。店で渡す紙袋は、店に来る客の数で決まる。人口は減り、百貨店や専門店の売り場も縮む。客が自分の袋を持つ習慣も広がった。2020年のレジ袋の有料化で、ポリ袋の量ははっきり減った。
もう一つは伸びる流れだ。通販の荷物は増え続け、宅配袋の需要を押し上げる。プラスチックを減らしたい会社は、ポリ袋から紙の袋や箱に切り替える。業界のノートでも、包装の紙は紙全体の中で底堅い領域とされる。
競争の形は、中小の袋屋が多い分散した市場だ。百貨店と専門店の紙袋ではザ・パックが最大手とされ、ポリ袋では福助工業などの大手がいる。海外で作った安い袋も入る。原料の紙は王子ホールディングスなどの大手から買うので、原料の値上げは先に来る。袋は単価の安い商品で、運賃の比重が重い。工場が客の近くにあることも、競争の条件になる。
10年の中立では、紙の数量は横ばい、値段は物価並みと筆者は見る。店の袋の減りと通販の袋の伸びが打ち消し合う。勝敗を分けるのは、原料の値上げを素早く売値に移せるかどうかだ。
資本政策と M&A
還元は、安定した配当が中心だ。2026/03期の配当総額は約1.6億円で、純利益の2割ほどにあたる。自社株買いの実績は無く、株主優待も無い。
資本は利益の積み上げで厚くなった。自己資本は4年で24億円から56億円に増えた。借入は返し続け、純負債は約10億円まで減った。2027/03期は設備の更新と増強に資金を使う。
政策保有株の縮減も進む。2期で投資有価証券を約9億円売った。上場株はまだ15銘柄、約11億円残る。売れば現金が増えるが、配当の受け取りは減る。
株主の構成は、不動産の管理会社の福田産業が約30%を持つ。王子ホールディングスも約5%を持つ。福田産業の出資が厚く、買収の提案が来ても、その判断が大きい。時価総額が小さく、事業の安定した会社なので、同業や包装の大手が取り込む余地はある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、値段の安さと、追い風の二つを重く見る。
今の時価総額は、ならした純利益の4倍余りだ。袋はなくならない商品で、財務の不安もほぼ無い。借入は減り、自己資本比率は40%を超えた。この4年で自己資本は倍以上に増え、稼ぎが本物であることを示した。
追い風もある。通販の荷物は増え続け、宅配袋と紙器の注文は好調だ。プラスチックを減らしたい会社は、ポリ袋から紙に切り替える。紙の袋を安定して大量に納められる会社は限られ、この会社はその一つだ。
2026/03期の減益は、設備の整備と値上げの遅れによる一時のものだ。前の期の紙の利益率は8%を超えていた。設備を整えた後は、能力の増強が効いてくる。原料の値上げを売値に移せば、利益は前の期の水準に戻る。
政策保有株を売り、資本の効率を上げる動きも始まった。株主に戻す割合が上がれば、安さはすぐに見直される。時価総額が小さいので、包装の大手が丸ごと取り込む話が出ても不思議はない。
慎重な見方
慎重な見方は、利益の薄さと、値段を決める力の弱さを突く。
営業利益率は12年で最高でも3.9%だ。原料の紙は製紙の大手から買い、袋は大口の小売に売る。両側を強い相手に挟まれ、値上げはいつも遅れる。2022/03期までの5年には、赤字の年が3回あった。物価が3%ずつ上がる世界では、この遅れが毎年の利益を削る。
店で渡す袋は人口とともに減る。百貨店も専門店も売り場を縮め、客は自分の袋を持つ。ポリ袋はレジ袋の有料化で量が減り、利益はほとんど無い。原料の紙を握る製紙の大手が、袋の加工まで手を広げる恐れもある。通販の袋も、段ボールの大手や海外の袋と競う。設備を増やしても、量が増える保証は無い。
資本の使い方も物足りない。配当は利益の2割で、残りは社内に積まれる。その利益を高く回す先は無く、ROEは下がっていく。福田産業が約30%を持ち、外の株主の声は届きにくい。安い会社が安いまま放置される典型だ。値段が安いことは、価値が表に出てくることを約束しない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の言う利益の薄さは本当で、中立でもROEは資本コストを下回る。ただ、それを織り込んでも、今の値段は稼ぎに比べて安すぎる。強気の見方の言う追い風は、まだ数字で証明されていない。
そこで中立に厚く36%を置き、強気の側に34%、慎重な側に30%とほぼ釣り合わせた。割安の判断は、筋書きの寄せ方でなく、値段の安さから出ている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 8,326 円124 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,376 円20 億円)。 今の値に割り戻すと 4,598 円68 億円、今との差 +113.8%、 期待の年率 +16.3%(資本コスト 8.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 16,238 円241 億円 | 2,202 円33 億円 | +757.6% | +24.0% | 2,213 円33 億円 |
| やや楽観 | 22% | 11,811 円175 億円 | 1,643 円24 億円 | +525.8% | +20.1% | 2,960 円44 億円 |
| 中立 | 36% | 8,714 円129 億円 | 1,306 円19 億円 | +366.1% | +16.6% | 3,607 円54 億円 |
| やや悲観 | 20% | 2,647 円39 億円 | 1,023 円15 億円 | +70.7% | +5.5% | 734 円11 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,124 円17 億円 | 754 円11 億円 | −12.6% | −1.3% | 188 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 8,326 円124 億円 | 1,376 円20 億円 | +351.3% | +16.3% | 9,702 円144 億円 |
今の株価時価総額 2,150 円32 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 12% 宅配袋と紙器が伸び、紙の工場が埋まる 利益 14 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 16,238 円241 億円
通販の荷物は増え続け、宅配袋と紙器の注文が工場の能力を埋める。プラスチックを減らしたい小売や飲食の会社が、ポリ袋から紙の袋に切り替える。海外の安い袋に流れていた注文も、品質と納期の確かさで国内に戻る。
紙の袋の数量は10年で2割増え、値段は物価をやや上回って上がる。所沢と鶴ヶ島の設備の更新が効き、紙の利益率は8.5%に戻る。ポリ袋は細るが、テイクアウトの袋で量を保つ。用度品の一括納品も、取引先の店が増えて伸びる。
営業利益は18億円台、純利益は14億円台になる。配当は利益の3割に上がる。紙袋の同業が減る中で、残った側として値決めの力を持つ会社に変わる。
- 紙製品(紙袋・宅配袋・紙器):数量 7.3(紙袋・紙器の枚数(億枚・推定))× 価格 3.50(千枚あたりの平均の値段(万円・推定))→ 売上 256 億円・営業利益 22 億円。紙袋・紙器 7.3億枚、1枚の値段1.4倍、利益率8.5%
- 化成品(ポリ袋):数量 18.2(ポリ袋の枚数(億枚・推定))× 価格 0.40(千枚あたりの平均の値段(万円・推定))→ 売上 73 億円・営業利益 2 億円。ポリ袋は0.95倍、利益率3%
- その他(S・V・S 用度品の一括納品):数量 3,450(納品先の店の数(店・推定))× 価格 320(1店あたりの年の取扱い(万円・推定))→ 売上 110 億円・営業利益 4 億円。納品先 3,450店、利益率3.2%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.0% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍。全体の PER 14.96 倍、時価総額 217 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:通販の伸びとプラスチックから紙への切り替えが重なり、設備の増強が当たる姿だ。原料の高騰を値上げで取り返した実績はまだ薄く、1割強にとどめた。
やや楽観 22% 紙への切り替えが続き、利益率が戻る 利益 11 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 11,811 円175 億円
店で渡す紙袋は人口とともに少しずつ減る。それを、通販の宅配袋と菓子や化粧品の紙器が補う。紙の数量は10年で1割弱増える。
原料の紙と人件費は物価で上がるが、値上げは1年ほど遅れて通る。2026/03期に利益を削った設備の整備は終わり、紙の利益率は8%に戻る。ポリ袋はレジ袋の有料化の後で量が細り、テイクアウトの袋で下げ止まる。
営業利益は13億円台、純利益は約11億円になる。配当は利益の3割近くに上がり、残りは設備と借入の返済に回る。ROEは資本コストにほぼ並び、ためた利益が額面どおりに生きる姿だ。政策保有株の売却も進み、資本の無駄は減る。
- 紙製品(紙袋・宅配袋・紙器):数量 6.6(紙袋・紙器の枚数(億枚・推定))× 価格 3.40(千枚あたりの平均の値段(万円・推定))→ 売上 224 億円・営業利益 18 億円。紙袋・紙器 6.6億枚、利益率8%
- 化成品(ポリ袋):数量 17.3(ポリ袋の枚数(億枚・推定))× 価格 0.40(千枚あたりの平均の値段(万円・推定))→ 売上 70 億円・営業利益 2 億円。ポリ袋は0.9倍
- その他(S・V・S 用度品の一括納品):数量 3,150(納品先の店の数(店・推定))× 価格 320(1店あたりの年の取扱い(万円・推定))→ 売上 101 億円・営業利益 3 億円。納品先 3,150店
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.1% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.0 倍。全体の PER 13.99 倍、時価総額 151 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026/03期の紙の利益率は設備の整備で下がっただけで、前の期は8%を超えていた。値上げの遅れを取り戻す流れは十分ありうるので、2割強に置いた。
中立 36% 紙は横ばい、値上げは物価並み 利益 8 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 8,714 円129 億円
店で渡す紙袋は減り、宅配袋と紙器は増える。足し引きで、紙の数量は10年で横ばいだ。値段は原料と物価に合わせて上がり、10年で3割強上がる。紙の利益率は7.5%で、設備を整えた後の平年の水準だ。
ポリ袋は量が15%減る。レジ袋の有料化で店の袋は戻らず、テイクアウトの袋だけが残る。用度品の一括納品は、取引先の店の数が横ばいで、物価並みに伸びる。
本社の費用は物価で増える。営業利益は約10億円、純利益は約8億円になる。配当は利益の4分の1ほどで続き、残りは設備に回る。自己資本は倍に膨らみ、ROEは7%台と資本コストを下回る。稼ぐ力は保つが、ためた利益をうまく使えない姿だ。
- 紙製品(紙袋・宅配袋・紙器):数量 6.1(紙袋・紙器の枚数(億枚・推定))× 価格 3.35(千枚あたりの平均の値段(万円・推定))→ 売上 204 億円・営業利益 15 億円。紙袋・紙器 6.1億枚、1枚の値段1.34倍、利益率7.5%
- 化成品(ポリ袋):数量 16.3(ポリ袋の枚数(億枚・推定))× 価格 0.40(千枚あたりの平均の値段(万円・推定))→ 売上 66 億円・営業利益 2 億円。ポリ袋は0.85倍、利益率2.5%
- その他(S・V・S 用度品の一括納品):数量 3,000(納品先の店の数(店・推定))× 価格 320(1店あたりの年の取扱い(万円・推定))→ 売上 96 億円・営業利益 3 億円。納品先 3,000店、1店の取扱い1.34倍
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.6% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 106 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:紙の数量が横ばいで、値段は物価に追いつくが利益率は今と前の期の間に落ち着く、という姿がいちばん起こりやすいとみた。中立に厚く置いた。
やや悲観 20% 値上げが遅れ、ポリ袋は赤字すれすれ 利益 3 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 2,647 円39 億円
原料の紙と運賃、人件費は物価以上に上がる。小売の大手は袋の値上げを渋り、海外の協力工場で作った安い袋と比べられる。値上げは物価に届かず、紙の利益率は6%に下がる。
店で渡す紙袋は人口減と店の減少で細り、宅配袋の伸びでは埋めきれない。紙の数量は1割減る。ポリ袋は量が3割減り、利益はほぼ消える。用度品の一括納品も取引先の店が減る。
営業利益は3.5億円ほど、純利益は3億円弱になる。配当は据え置きに近く、利益の3割を配る。ROEは3%で、ためた利益は額面の価値を持たない。設備に投じた資金も、利益を押し上げるより、今の量を守るために消える。
- 紙製品(紙袋・宅配袋・紙器):数量 5.5(紙袋・紙器の枚数(億枚・推定))× 価格 3.13(千枚あたりの平均の値段(万円・推定))→ 売上 172 億円・営業利益 10 億円。紙袋・紙器 5.5億枚、値上げは物価に届かない、利益率6%
- 化成品(ポリ袋):数量 13.4(ポリ袋の枚数(億枚・推定))× 価格 0.38(千枚あたりの平均の値段(万円・推定))→ 売上 50 億円・営業利益 1 億円。ポリ袋は0.7倍、利益率1%
- その他(S・V・S 用度品の一括納品):数量 2,550(納品先の店の数(店・推定))× 価格 298(1店あたりの年の取扱い(万円・推定))→ 売上 76 億円・営業利益 2 億円。納品先 2,550店
倍率:純利益約2.8億円、ROEは3%で資本コストに届かない。上限は1÷kの12.5倍だが、稼ぐ力の価値(純利益÷k)約35億円も下回る8.5倍。
確率:2026/03期は原料と人件費の値上げを売値に移しきれず、紙の利益が1.8億円減った。この遅れが続く筋書きの現実味は高く、2割に置いた。
悲観 10% 袋が要らない店が増え、紙の工場が余る 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,124 円17 億円
構造的に負ける筋書きだ。客が袋を持参し、店は袋を配らなくなる。通販の箱は段ボールの大手が取り、宅配袋の伸びも頭打ちになる。海外の協力工場と競合の輸入品で、袋の値段は物価に大きく遅れる。
紙の数量は4分の1減り、工場の稼働が落ちる。ポリ袋は半分になり利益は消える。用度品の一括納品は大口の取引先を失う。本社の費用を削っても、営業損益は赤字になる。
残る価値は、持っている上場株と、工場と在庫を整理した後の資産だ。会社は続くが、株主に残るのは今の自己資本の3割ほどになる。工場を閉じて袋を海外から仕入れる会社に変われば、利益はさらに細る。
- 紙製品(紙袋・宅配袋・紙器):数量 4.6(紙袋・紙器の枚数(億枚・推定))× 価格 2.88(千枚あたりの平均の値段(万円・推定))→ 売上 131 億円・営業利益 7 億円。紙袋・紙器 4.6億枚、利益率5%
- 化成品(ポリ袋):数量 9.6(ポリ袋の枚数(億枚・推定))× 価格 0.35(千枚あたりの平均の値段(万円・推定))→ 売上 33 億円・営業利益 0 億円。ポリ袋は半分、利益なし
- その他(S・V・S 用度品の一括納品):数量 1,800(納品先の店の数(店・推定))× 価格 275(1店あたりの年の取扱い(万円・推定))→ 売上 49 億円・営業利益 1 億円。納品先 1,800店
倍率:赤字で稼ぐ力では測れない。今の自己資本55.5億円に0.3倍を掛け、売れる資産の床(約17億円)と合わせた。
確率:小売が袋を配らない流れと、海外の安い袋の流入が同時に進めば起こる構造的な負けだ。財務は堅く倒れる心配は小さいので、1割に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
紙製品(紙袋・宅配袋・紙器)
小売の手提げの紙袋、通販の宅配袋、菓子や化粧品の紙器を自社工場と協力工場で作る。
| 数量紙袋・紙器の枚数(億枚・推定) | 価格千枚あたりの平均の値段(万円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6.1 | 2.50 | 153 | 11 |
| 10 年後 中立 | 6.1 | 3.35 | 204 | 15 |
取り方:売上152.5億円(紙袋124.2・紙器18.9・その他9.3)は短信の開示。枚数の開示は無く、手提げ袋と宅配袋の平均の値段を千枚あたり2.5万円と推定して6.1億枚と置いた。利益率は設備の整備で下がった年で、前の期は8.3%。
化成品(ポリ袋)
レジ袋・テイクアウト袋などのポリ袋。多くは海外で作らせて仕入れる。
| 数量ポリ袋の枚数(億枚・推定) | 価格千枚あたりの平均の値段(万円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 19.2 | 0.30 | 58 | 2 |
| 10 年後 中立 | 16.3 | 0.40 | 66 | 2 |
取り方:売上57.5億円(ポリ袋49.5・その他8.1)は短信の開示。枚数は千枚あたり0.3万円と推定して19.2億枚と置いた。
その他(S・V・S 用度品の一括納品)
小売の店で使う包装・清掃・事務の用度品を一括で受けて納める。
| 数量納品先の店の数(店・推定) | 価格1店あたりの年の取扱い(万円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,000 | 239 | 72 | 2 |
| 10 年後 中立 | 3,000 | 320 | 96 | 3 |
取り方:売上71.6億円は短信の開示。店の数の開示は無く、納品先を約3,000店と推定し、1店あたり年239万円と置いた。
リスクと懸念
値上げの遅れ
原料の紙、樹脂、運賃、人件費が上がっても、売値に移すまでに時間がかかる。2026/03期は紙の利益が1.8億円減った。物価3%が続く世界では、この遅れが毎年の利益を削る。
店で配る袋の減少
人口減と百貨店・専門店の縮小で、店で渡す紙袋は細る。客が自分の袋を持つ習慣も広がる。通販の袋の伸びが追いつかなければ、紙の工場の稼働が落ちる。
海外の安い袋との競争
ポリ袋の多くは海外で作られ、紙袋も海外の工場と比べられる。為替や海運の費用で安い輸入品が増えれば、値段の力はさらに弱まる。
プラスチックの規制
レジ袋の有料化に続き、規制が強まればポリ袋の量はさらに減る。逆に紙への切り替えは追い風で、規制は二つの事業で向きが逆になる。
ためた利益の使い道
配当は利益の2割ほどで、自己資本は4年で倍以上に増えた。設備や買収に回した資金が資本コストを稼げなければ、ROEは下がり続ける。
政策保有株と株主の構成
上場株を約11億円持ち、相場で自己資本が揺れる。福田産業が約30%を持ち、資本の使い方や買収の提案への判断に大きな影響を持つ。
今後の分かれ目
- 紙の利益率が2期続けて8%を超えた
- 値上げを売値に移す力がついた合図だ。強気の側の確率を上げる。
- 宅配袋と紙器の売上が紙袋を上回るペースで伸びた
- 店の袋の減りを通販の袋が埋める形が回っている。中立から強気の側に近づく。
- 配当性向を3割以上に上げる、または自社株買いを始めた
- ためた利益が株主に戻り始めた合図だ。溜まる現金の戻り方を厚く見る。
- 大口の小売が袋の配布をやめた、または海外の袋に切り替えた
- 数量の前提が崩れる。慎重な側の確率を上げる。
- 包装の大手や同業から買収の提案が出た
- 福田産業の判断しだいだが、事業の価値に上乗せした値段が付きうる。
見ておくもの
- 紙製品のセグメント利益率
- 宅配袋・紙器の売上の伸び
- 原料の紙の値段と売値の改定
- 配当性向と政策保有株の残高
- 設備投資の額と工場の稼働
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。中立は純利益約8.2億円、ROE7.2%で資本コスト8.5%に届かないので上限は1÷kの12.5倍、その84%の10.5倍。今のPER4倍台や同業の値付けは倍率に使っていない。起点の純利益は投資有価証券の売却益を除いた7.3億円にした。減価償却は年2.9億円で、今ある設備の分は物価で増やさず、更新の分だけ新しい値段で足して10年後は約3.5億円とみた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→14.96 倍・やや楽観 PER 10.8→13.99 倍・中立 PER 10.5→12.9 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality +0.5%を足した8%。紙の同業(包装の会社)と同じ物差し。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 8.50%。